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マジックフェスト・名古屋2019

観戦記事

第13回戦:熊谷 陸(宮城) vs. 高橋 優太(東京) ~1-7の雪辱~

Hiroshi Okubo

 グランプリ・名古屋2019もいよいよ佳境に差し掛かった。トップ8入賞の目を残す者とそうでない者、徐々に明暗が分かたれようとしている。

 そしてこの第13回戦でフィーチャーマッチテーブルに呼ばれるということは、明暗の中の光、すなわちトップ8への目を残しているプレイヤーであるということだ。

 この時点ではまだID(任意の引き分け処理)を選べるプレイヤーはいない。よって、ひとつでも多くの白星が欲しいタイミングだ。ここでの対戦は、一層力が入ることになるだろう。まして――

熊谷 陸 vs. 高橋 優太

 まして目の前に座る相手が、日本でも指折りの強者であるならなおさらだ。

 ここに相並ぶのは熊谷 陸高橋 優太。どちらも日本を代表するプロプレイヤーであり、一緒に練習をする機会も多い2人だ。実際、高橋は先週熊谷と一緒に練習したといい、その過程で熊谷に1-7したそうだ。そのとき使っていたデッキは両者とも「シミック・フード(食物)」だったようだが、このミラーマッチは熊谷に一日の長があったようで、高橋は「熊谷さんに『シミック・フード』を教えてもらった」と述べていた。

 果たして、高橋は練習の成果をここで発揮し、雪辱(?)を晴らすことができるのか? 高みで交わるプロプレイヤーたちの戦いをお届けしよう。

ゲーム1

 ゲーム開始を待ちわびたとばかりに、手札から勢いよく《》と《金のガチョウ》をプレイする熊谷。これに対し高橋も「一流か~」とリアクションしつつ、《むかしむかし》で手札を操作する。

 熊谷は第2ターンを土地を置くのみで終え、高橋は《王冠泥棒、オーコ》が飛んでこなかったことに安堵を見せつつ静かに《》と《》を揃えてターンを終える。

 続くターンに熊谷が《金のガチョウ》をプレイすれば高橋が《霊気の疾風》を、高橋が《王冠泥棒、オーコ》をプレイすれば熊谷が《霊気の疾風》を返す一進一退の攻防を見せるが、続く熊谷の《意地悪な狼》の着地は許すこととなる。

高橋「3点削られる用意しとこw」

高橋 優太

 高橋は冗談を交えつつ、しかし冷静に熊谷の手札に《世界を揺るがす者、ニッサ》無し、《王冠泥棒、オーコ》無しと判断。自身も《意地悪な狼》をプレイし、熊谷の《金のガチョウ》を葬る。

 熊谷は《楽園のドルイド》をプレイするが、返すターンに高橋は《探索する獣》を叩きつけ、熊谷へと7点クロックを刻み始め、さらに続くターンに《王冠泥棒、オーコ》をプレイして熊谷の《意地悪な狼》を大鹿へと変える。天秤が、徐々に高橋に傾き始めていた。

 しかし熊谷もさるもの。《むかしむかし》で2枚目の《意地悪な狼》を手札に加え、食物・トークンを生け贄に捧げつつ格闘で盤面を取り戻そうとする……が、高橋はこれに《些細な盗み》(《厚かましい借り手》の出来事)!

 これによりテンポとリソースの両方で大きな損失を被った熊谷に、高橋は《ハイドロイド混成体》までをも見せ、熊谷はたまらず投了を宣言した。

熊谷 0-1 高橋

熊谷「クソッw」

 冗談めかしつつ熊谷が毒つく。高橋の「シミック・フード」に綺麗に回られてしまい、思わず感情を吐露せずにはいられなかったようだった。これに高橋も笑みをたたえながら「熊谷は珍しく感情を顕にした」とカバレージ風?に茶化す。

 その上で、熊谷と高橋の2人は一言二言程度、第1ゲームの所感を交換する。ここで行われているのは、決して練習ではない。しかし、より高い精度でデッキを扱おうという意志は本番の緊張感のさなかにあっても変わりない。その高いモチベーションが、2人をこのテーブルへと導いてきたのだろう。

ゲーム2

 先攻の熊谷が《むかしむかし》で《クロールの銛撃ち》を手札に加えながら《金のガチョウ》を手札に加え、対する高橋も《金のガチョウ》から動き出す滑り出し。無論、高橋の《金のガチョウ》は熊谷の《クロールの銛撃ち》で除去されてしまうが、構うものかと高橋は《金のガチョウ》2号機を戦線に送り出す。

 だが、高橋は土地が1枚で止まってしまっていた。熊谷はこれを見逃さず、高橋がプレイした《楽園のドルイド》に《霊気の疾風》を当てる。簡単にマナを得させはしないという構えだ。高橋も苦々しく笑いながら、「まだ優しいw」と述べた。ここで熊谷にフィニッシャーを連打されてしまえば、高橋に打つ手はなかっただろう。

 序盤をめぐる攻防の末、熊谷が《王冠泥棒、オーコ》をプレイし、高橋も3枚目の《金のガチョウ》を経由しつつ《王冠泥棒、オーコ》を送り出す。互いに《王冠泥棒、オーコ》と《金のガチョウ》をコントロールしている盤面だが、この時点では土地枚数の差(熊谷5、高橋2)で、熊谷がリードしていると言えるだろう。

 熊谷は2つの食物を大鹿に変え、ビートダウンを開始する。高橋はこれに《厚かましい借り手》で妨害を挟みながら防戦に徹するが、熊谷が延々と《金のガチョウ》で食物・トークンを生み出しながら《王冠泥棒、オーコ》で3/3に変える地獄のような状況は変わっていない。

熊谷 陸

 やがて熊谷はトップデッキしたカードを見つめ、土地の枚数を数え始める。

高橋「引いた? 引いた?」

熊谷「今引きました」

 ここで省略されている語句は《ハイドロイド混成体》。熊谷が唱えたそれがX=6で着地すると、高橋は「もう捲れないなぁ」とカードを片付けた。

熊谷 1-1 高橋

 土地が2枚で止まりながらも大健闘を見せた高橋。というより、土地2枚でもそれなりに戦えるというのが「シミック・フード」というデッキの恐るべき強みのひとつなのだろう。軽く、そして効率的なカードの数々に《金のガチョウ》のようなマナ・クリーチャーが入ったテンポデッキ。

ゲーム3

 互いに《神秘の神殿》をプレイする穏やかな立ち上がり。第2ターンも両者ともに《楽園のドルイド》をプレイする展開となり、続く第3ターンに高橋が《楽園のドルイド》によるクロックを刻み始め、さらに《厚かましい借り手》を戦線に追加してダメージレースを挑んでいく。

 沈黙を続ける熊谷に、高橋は《世界を揺るがす者、ニッサ》をプレイし、さらに果敢に攻め立てる。《世界を揺るがす者、ニッサ》の能力の対象にする土地を慎重に検討しながら、《》とする。

 ここで熊谷が対応を悩む。《》がアンタップする前に動くかどうかを検討しているのだ。しばしの黙考の後、熊谷は《些細な盗み》で《世界を揺るがす者、ニッサ》をバウンスすることを選択する。

 だが、依然高橋がリードしている状況は揺るがない。熊谷は《意地悪な狼》で高橋の《楽園のドルイド》を処理するが、返す高橋の再度の《世界を揺るがす者、ニッサ》は通さざるを得ず、再びクリーチャー化した《》と《厚かましい借り手》のクロックが熊谷を襲う。

 この《》だけは《意地悪な狼》と交換した熊谷。返すターンに反撃に転ずるべく、《世界を揺るがす者、ニッサ》をプレイする。これによって《総動員地区》をクリーチャー化し、さらに《総動員地区》が自身の能力で3/3のクリーチャー化(+1/+1カウンターが3つ置かれた3/3=6/6)で高橋の《世界を揺るがす者、ニッサ》を攻撃し、一撃の下に高橋のプレインズウォーカーを屠る。

 ようやく反撃の芽が出てきた熊谷だったが、高橋も《意地悪な狼》で熊谷の《総動員地区》を処理しながら熊谷の《世界を揺るがす者、ニッサ》を落とし、《厚かましい借り手》が熊谷のライフを詰めていく。

 やがて高橋が《探索する獣》までをも戦線に追加し、一気に熊谷へと迫ると、熊谷はその右手を高橋に差し出すのだった。

熊谷 1-2 高橋

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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