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マジックフェスト・千葉2019

観戦記事

第9回戦:島津 直史(東京) vs. 川崎 慧太(神奈川) ~打ち上げろ、全勝の花火~

小山 和志
島津 直史(写真左) vs. 川崎 慧太(写真右)

 昼間には35度近くとなり、猛暑日となったここ千葉。

 第9回戦の対戦組み合わせがアナウンスされた午後7時半過ぎには、日も暮れてその熱波は随分と和らいできている。

 しかし、グランプリ初日の佳境を迎えたこの幕張メッセ 8ホール内は、それとは反比例するかのようにプレイヤーたちの熱気は高まり続けている。

 昨年、同じくここ千葉で、同じく「基本セット」のリミテッドで行われたグランプリ・千葉2018で準優勝という成績を収めた川崎慧太が、今大会でも好調に勝利を重ねている。

「一番悔しい」

 決勝戦で敗れてきたプレイヤーたちは、「準優勝」という結果を異口同音に表現する。グランプリで一度ならずこの「準優勝」を経験している川崎は、口に出さずともその熱気が、「優勝」にかける思いがこちらまで伝わってくるような緊張感を持って、このフィーチャーマッチエリアに足を踏み入れた。

 対する東京の島津直史は、思うようにリアルでの練習ができずMTGアリーナによる練習を重ね、このイベントへと臨んでいる。しかし、始めてわずかな期間でゲーム内の最高ランク「ミシック」まで上り詰めている――グランプリ・京都2019を制したべ・デギョンのように、MTGアリーナを主戦場とするプレイヤーがまたひとり、グランプリでその名を刻もうとしている。



 会場外部では花火大会が行われており、打ち上がる花火の音が会場内にも響き渡り始めた。

 グランプリ初日、最終戦。初日全勝という花火を打ち上げることができるのは、島津か、川崎か。

ゲーム1

島津 直史

 先手を取った島津が《療養所の骸骨》から《大都市のスプライト》、さらに《小走り犬》という1~3ターンとマナを余さず動ききるグッドスタートを切る。

 後手の川崎は《血に飢えた曲芸師》で島津の軍団をストップできるサイズのブロッカーを立てるのだが、島津は《霜のオオヤマネコ》でこれでタップしつつ軽やかにクロックを刻む。

 《楽園の贈り物》でマナをジャンプしつつも行動できない川崎に対し、島津はクロックをかけ川崎のライフは11。さらに島津は4ターン目にして《大気の精霊》という強力な飛行クリーチャーを送り出す。

 川崎は《貪爪》を召喚し、サイズでは島津のクリーチャーを上回るが、トランプルを持たないクリーチャーは《療養所の骸骨》により事実上シャットアウトされており、さらに空から《大気の精霊》にプレッシャーをかけられている厳しい状況だ。

 川崎は《牙の魔術師》を追加し、地上こそほぼ制圧したものの、《大気の精霊》に対する一発回答を持っておらず、4マナを立ててターンを返す。

 だが、川崎は島津の《大気の精霊》の攻撃に対し、《血に飢えた曲芸師》がブロックに回り、これに《大群の力》を合わせ、コンバットトリックでの討ち取りを狙ったのだ!

 ここがひとつの分水嶺だった。

 ここで《大気の精霊》を討ち取ることができていれば、その後の展開に大きな影響を与えたはずだった――

――だが、島津はノータイムで《巻き込み》を合わせ、川崎は頷いて《血に飢えた曲芸師》を墓地に置いた。川崎は、本来アドバンテージを取りたいはずの《魂回収》で《血に飢えた曲芸師》を再利用することしかできない。

 そして、島津は環境最強級の爆弾レア《風の騎兵》を打ち上げる。

 川崎は《マンモスグモ》というブロッカーを立てるものの、島津は《隕石ゴーレム》で主導権を渡さぬまま、1本目を走りきった。

島津 1-0 川崎


ゲーム2

川崎 慧太

 1本目を落とした川崎が小気味よくカードを1枚、また1枚とめくっていき、7枚でキープを宣言する。対する島津もまた7枚でのキープとなった。

 今度は川崎が《療養所の骸骨》からスタート……したのだが《》《》と重ねたところで土地が止まってしまうのに対し、島津は一度《送還》をはさみ、《雲族の予見者》から《翼ある言葉》と続け、テンポよくドローを進めつつ、ダメージクロックを形成する。

 ようやく《》を引き込んだ川崎は《枝葉族のドルイド》でマナを伸ばし、続くターンには《血に飢えた曲芸師》から《花咲く砂地》で自軍を上手くサイズアップさせつつ序盤の遅れを取り戻す……かに見えた。

 中盤に入ったばかりかと思われたゲームは風雲急を告げる。

 先ほど圧倒的な強さを見せたばかりの《風の騎兵》――

――島津は5ターン目にしてフィニッシャーを打ち上げ、単なるプレッシャーと呼ぶにはあまりにも大きな圧力で川崎に迫る。

 川崎はこの《風の騎兵》を、先ほど《大気の精霊》にしたのと同じように《大群の力》を《血に飢えた曲芸師》に打ち込むことで一方的に討ち取ろうとする。現在、川崎は3体のクリーチャーをコントロールしており、《血に飢えた曲芸師》には+1/+1カウンターが1つ置かれている。何もなく解決すれば、サイズは6/7となり《風の騎兵》を上回り、対処できる――

――しかし、先のゲームでも見せていたコンバットトリックに、島津が無策であるはずがなかった。

 結果、《血に飢えた曲芸師》は4/5となり、逆に討ち取られる結果となってしまう。

 だが、ここまで全勝の川崎もまた、デッキに潜む爆弾級レアを打ち上げる――

 島津が何かしらの除去呪文で対処しようとすれば、それでなくとも川崎自身が《大群の力》のようなカードをプレイできれば逆転手となるカードだ。事実、川崎のデッキには《成長周期》や《狼族の絆》が残されていた。

 だが、島津はこの川崎の乾坤一擲の手に対し、無情にもカードを、それも《凶暴な見張り、ガーゴス》の能力をすり抜けるカードをプレイした。

 呪文ではなく、能力による対処。《凶暴な見張り、ガーゴス》はその真価を発揮することなく島津のもとに寝返ってしまう。

 この展開に、川崎は思わず鼻を鳴らす。

 なおも手を模索する川崎は《吠える巨人》でなんとか地上戦線を維持しようとするが、《隕石ゴーレム》でこれすらも対処されてしまった川崎は、ドローを一瞥してカードを片付けると、島津がグランプリ・千葉2019初日の夜に、9戦全勝という、大輪の花火を打ち上げることとなった。

島津 2-0 川崎

島津 直史 グランプリ・千葉2019 初日全勝!

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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