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『カルドハイム』チャンピオンシップ
『カルドハイム』チャンピオンシップ チャンピオンシップマッチ
2021年3月28日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
『カルドハイム』チャンピオンシップ最終戦へと至る道は長かった。トップ8ラウンドが終結を迎え、ヨーロッパではとうに日が沈んでいても、アルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbethとグジェゴジェ・コワルスキ/Grzegorz Kowalskiによる王者の座を懸けた戦いは続いていた。
コワルスキは世界のトップ・プレイヤーの1人であり続けている。世界選手権2018ではハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezに次ぐ準優勝の成績を収め、マジック・プロリーグとライバルズリーグには最初期から所属してきた。トップ8入賞は今回で3度目となり、「2020ミシックインビテーショナル」での第4位入賞からそこまで時期を空けずに達成した。彼が使うデッキは、スタンダードで1番人気の「スゥルタイ根本原理」。このデッキとともに敗者側ブラケットからここまで戦い抜き、対戦相手も技術的な問題も乗り越えてきた。そして今、彼は最高峰のイベントの決勝の舞台に再び立っている。
2 《沼》 3 《森》 3 《島》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 1 《ケトリアのトライオーム》 4 《闇孔の小道》 2 《疾病の神殿》 4 《清水の小道》 4 《樹皮路の小道》 4 《寓話の小道》 -土地(31)- 1 《嘘の神、ヴァルキー》 1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》 1 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》 -クリーチャー(3)- |
4 《海の神のお告げ》 4 《狼柳の安息所》 3 《無情な行動》 2 《ジュワー島の撹乱》 1 《取り除き》 4 《耕作》 2 《エルズペスの悪夢》 2 《神秘の論争》 2 《ペラッカの捕食》 4 《古き神々への拘束》 2 《多元宇宙の警告》 2 《エシカの戦車》 1 《絶滅の契機》 3 《影の評決》 4 《出現の根本原理》 3 《アールンドの天啓》 2 《海門修復》 1 《キオーラ、海神を打ち倒す》 -呪文(46)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 1 《悪意に満ちた者、ケアヴェク》 1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》 2 《長老ガーガロス》 1 《星界の大蛇、コーマ》 3 《強迫》 2 《取り除き》 2 《否認》 2 《サメ台風》 -サイドボード(14)- |
インターネットを介して対面に座るのは、火球のごとき勢いを持つドイツのハッシェンビスだ。彼はこの週末を通して、『カルドハイム』チャンピオンシップを席巻した。彼は巧みなプレイを見せて開幕から8連勝を飾り、その後敗北を喫したハビエル・ドミンゲスにもトップ8ラウンドで雪辱を果たすと、チャンピオンシップマッチの席をいち早く確保した。「ディミーア・ローグ」を使うのはトップ8入賞者で彼1人だが、トリッキーでマナ効率の優れたこのデッキは「スゥルタイ根本原理」にプレッシャーを与えることができ、特に危険なカードを打ち消せる《湖での水難》や《神秘の論争》も備えている。
6 《島》 3 《沼》 3 《ゼイゴスのトライオーム》 3 《欺瞞の神殿》 4 《清水の小道》 1 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《マーフォークの風泥棒》 4 《遺跡ガニ》 4 《盗賊ギルドの処罰者》 4 《空飛ぶ思考盗み》 -クリーチャー(16)- |
4 《湖での水難》 2 《取り除き》 2 《無情な行動》 1 《軽蔑的な一撃》 2 《神秘の論争》 2 《心を一つに》 1 《無礼の罰》 2 《アガディームの覚醒》 4 《物語への没入》 -呪文(20)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 3 《スカイクレイブの影》 2 《塵へのしがみつき》 2 《死の重み》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《本質の散乱》 1 《否認》 1 《神秘の論争》 3 《激しい恐怖》 -サイドボード(14)- |
試合展開
このマッチアップは、マジックの古典的な対立軸の1つである「力vs技」の様相となった。ハッシェンビスの「ローグ」デッキはマナとシナジーを効率的に使い、一方のコワルスキは《アールンドの天啓》や《キオーラ、海神を打ち倒す》、《嘘の神、ヴァルキー》といったボム・カード、そしてそれらのうち少なくとも2枚を展開できる《出現の根本原理》の力を叩きつける。
だがしかし、その力と引き換えに、「スゥルタイ根本原理」は最初の数ターンを土地のタップ・インやマナ加速呪文に費やさなければならない。それは「ローグ」デッキのような戦略に対して大きな隙を作ることになり、第1マッチはハッシェンビスが「ローグ」デッキの能力を遺憾なく発揮することになった。コワルスキがマナを加速する中でハッシェンビスは《マーフォークの風泥棒》と《空飛ぶ思考盗み》でコワルスキのライブラリーを切削し始め、コワルスキがゲームを終わらせる強力な呪文の準備を整える頃にはハッシェンビスの方も《湖での水難》の準備を整えた。そしてコワルスキが絶対に通さなければならない《影の評決》を打ち消すと、第1ゲームを奪った。
第2ゲームは「ローグ」デッキの効率の良さが身にしみる展開となった。ハッシェンビスはわずか2ターンで《盗賊ギルドの処罰者》2体の展開とコワルスキが唱えた《海の神のお告げ》を《神秘の論争》で弾くという動きをやってのけたのだ。そして1ターン後、コワルスキの墓地に8枚目のカードが置かれると、《盗賊ギルドの処罰者》たちは合わせて6点もの攻撃を繰り出すようになった。さらに《スカイクレイブの影》が盤面に加わると、その速度にコワルスキは到底ついていけなかった。
こうして、ハッシェンビスはチャンピオンシップ王者のタイトル獲得まであと1マッチに迫った。
第2マッチはコワルスキにとって良い滑り出しだった。ハッシェンビスは序盤に《盗賊ギルドの処罰者》を展開したものの、《嘘の神、ヴァルキー》によって《遺跡ガニ》が追放され、コワルスキは墓地を空にしながら「ローグ」デッキと対峙することができた。
しかし運命はハッシェンビスに微笑んだ。《盗賊ギルドの処罰者》をもう1枚引き込んだ彼は盤面に追加の脅威を繰り出しつつ手札の《物語への没入》のコストを下げることに成功し、戦況を一変させたのだ。
そこからはハッシェンビスもコワルスキの動きについていけるだけの燃料を手に入れ、コワルスキは《出現の根本原理》を唱えられるマナは揃えたものの、《軽蔑的な一撃》や《湖での水難》を乗り越えて解決させることはできなかった。さらなる防御手段を引き込んだハッシェンビス自身も、この大舞台で危険なスゥルタイ・デッキを相手にこれだけスムーズに事を運んでいることが信じられないという風に首を振るのであった。
ハッシェンビスにとって、負けて当然と思う大会だったに違いない。その彼が予選ラウンドで最後の無敗プレイヤーになるまで勝ち続け、トップ8ラウンドでは1マッチも落としていない。まさかこのまま、トップ8ラウンド4戦全勝でタイトル獲得を果たすのだろうか?
それは決して簡単なことではないはずだ。
コワルスキは《強迫》で口火を切り、ハッシェンビスは《スカイクレイブの影》を展開して攻撃を開始する。コワルスキはハッシェンビスの戦列に続く脅威を除去呪文で対処し、《エシカの戦車》を設置して盤面を安定させた。その後は《スカイクレイブの影》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》の攻撃が交わされ、やがてハッシェンビスの残りライフが7点、コワルスキはわずか4点まで落ち込んでいった。ハッシェンビスは積極的にカードを展開するが、《影の評決》が《空を放浪するもの、ヨーリオン》以外のすべてを一掃し、残った《空を放浪するもの、ヨーリオン》の攻撃でハッシェンビスの残りライフは3点となった。
ハッシェンビスにとって負けて当然と思われる大会で、しかし実際にはこの週末を通して彼はほとんど敗北しなかった。《空飛ぶ思考盗み》を引き込んだ彼は別の《スカイクレイブの影》とともに盤面を立て直し、コワルスキのライフを残り2点まで追い詰める。コワルスキに残されたドロー・ステップはあと1回。
こうしてハッシェンビスは最後まで走り切り、マジック界と自分自身に驚きをもたらしたのだった。『カルドハイム』チャンピオンシップ優勝おめでとう!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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