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日本選手権2018

観戦記事

第13回戦:朴 高志(愛知) vs. 矢田 和樹(神奈川)

伊藤 敦

 日本選手権2018、スイスラウンド最終戦。

 トップ8のボーダーラインは2敗のオポネント勝負という過酷な状況の中で、トップ8の椅子をかけて6つの対戦が行われることとなった。

 そのうちの1つが、グランプリ・名古屋2014で準優勝した経験を持つ朴 高志と、グランプリ・東京2016でトップ8に入ったことのある矢田 和樹という、グランプリトップ8経験者同士のマッチアップだ。

「ここまで来たら何かもらえるのがとりあえず確定っていうのが嬉しいですよね。参加費もそこそこしますから」

 勝った方がほぼトップ8。しかし負ければすべてを失ういわゆる「バブルマッチ」と呼ばれる戦いを前にしても、いつも通り饒舌な朴は緊張した様子を見せない。

 デッキはトップメタ、赤黒アグロの同型対決。さらなる高みへと挑戦する権利を得るのは、はたしてどちらか。

 
朴 高志 vs. 矢田 和樹
ゲーム1

 先手は取ったのは朴で、お互い7枚キープ。しかしゲームが開始すると、赤黒対決にしては珍しい状況が発生する。互いに3ターン目まで土地を置くだけで、何もアクションがなかったのだ。

 もちろんどちらもマナベースに問題を抱えているわけではない。ということは、当然朴はあのカードを持っている。

 反逆の先導者、チャンドラ。赤黒同型対決のメイン戦において、カード1枚で対処する手段が基本的にはないプレインズウォーカーの先出しは、言うまでもなく脅威となる。

「うーん、難しいなー……」

 悩んだ末、[+1]でマナを出した朴は《ボーマットの急使》を出してアタック。これを矢田はスルーすると、返しでこちらも《反逆の先導者、チャンドラ》[+1](マナ能力)から、《屑鉄場のたかり屋》でターンエンド。ゲームは互いに《反逆の先導者、チャンドラ》を出し合う、予想外の空中戦に突入する。

 とはいえこうなると先手の朴の側にテンポ面での利がある。まずは準備とばかりに[+1]でマナを出して《削剥》から《再燃するフェニックス》。プレインズウォーカーによるマナブーストを最大限活用して、矢田にプレッシャーをかけていく。

 一方対する矢田も、朴の《反逆の先導者、チャンドラ》に2ターン後の「奥義」が見えている以上、黙って見ているわけにもいかない。[+1]でマナを出して《無許可の分解》を《再燃するフェニックス》に打ち込んでから、《ゴブリンの鎖回し》でエレメンタル・トークンと《ボーマットの急使》を一掃。クリーチャーを薙ぎ払いつつ、朴の《反逆の先導者、チャンドラ》の忠誠度を削りにかかる。

 しかし、ここで朴は[-3]で《ゴブリンの鎖回し》を落としつつ、熱烈の神ハゾレトをプレイ! さらに《ボーマットの急使》を送り出してセットランド、手札を使いきると、速攻アタックでついに矢田の《反逆の先導者、チャンドラ》を落とすことに成功する。

 赤黒同型戦のメインで稼働を始めてしまった《熱烈の神ハゾレト》に対する根本的な対処手段は皆無に等しい。しかも使えるマナが減ってしまった矢田はひとまず《ピア・ナラー》で一息つきにかかるのだが、なおも朴はトップデッキした《削剥》を《ピア・ナラー》に打ち込むと、《ボーマットの急使》と《熱烈の神ハゾレト》で2体を攻撃に向かわせる。矢田は飛行機械・トークンで《熱烈の神ハゾレト》をチャンプブロックするが、朴が第2メインに《ボーマットの急使》を起動すると、補充された2枚の手札の中からさらに《ピア・ナラー》が戦線に追加される。

 
矢田 和樹

 ここで矢田もようやく熱烈の神ハゾレトを出し、《屑鉄場のたかり屋》と合わせて朴の《反逆の先導者、チャンドラ》へと攻めかかるが、直前に出た《ピア・ナラー》がしっかりと受ける。

 そして朴のターン。《反逆の先導者、チャンドラ》[+1]で2点、《熱烈の神ハゾレト》の能力で手札を捨てて2点、さらに《熱烈の神ハゾレト》の攻撃で矢田のライフは残り6点。ダメ押しに朴が戦線に追加したのは《ゴブリンの鎖回し》。

 《熱烈の神ハゾレト》への対処手段がない以上、矢田は残り3ターンの命。そもそも《熱烈の神ハゾレト》は《熱烈の神ハゾレト》で止めないとリソースが削られるだけなので殴り返しもできない。冷静に状況を分析した矢田は、「負けました」と宣言して2ゲーム目に移ることを選択した。

朴 1-0 矢田

ゲーム2

 矢田が《キランの真意号》スタートから《ピア・ナラー》で攻め立てようとするも、ここで朴が「待った」をかける。飛行機械・トークンを生成する誘発型能力にスタックして《ピア・ナラー》本体に《チャンドラの敗北》を当てることによって「搭乗」を防ぐ好プレイで、ライフを温存したのだ。

 さらに返すターン、朴は《大災厄》で手札破壊のモードを選択。1ゲーム目のような先手4ターン目《反逆の先導者、チャンドラ》の展開を咎めにいく。

 公開された矢田の手札は《ウルザの後継、カーン》《ゴブリンの鎖回し》《削剥》と《泥濘の峡谷》。場は《》《》《》で、いずれにせよこのままでは能動的なアクションはとれないものの、アンタップインの土地を引かれてもし出ると詰んでしまう《ウルザの後継、カーン》を追放。矢田のドローは《》で《ゴブリンの鎖回し》は結局出てしまうものの、最悪の事態は防げたことで朴は「仕方ないな」と笑う余裕がある。

 
朴 高志

 そしてこの《ゴブリンの鎖回し》が《チャンドラの敗北》で退場すると、矢田の攻め手が尽きてしまう。《泥濘の峡谷》を「サイクリング」するものの、「搭乗」元のない《キランの真意号》を寂しく棒立ちさせたままターンを返すしかない。

 となれば、今度は朴が攻めるターン。まずは挨拶代わりの《ゴブリンの鎖回し》、そして続くターンには《栄光をもたらすもの》! 矢田が《チャンドラの敗北》を持っているなら最高の当てどころだが、《ゴブリンの鎖回し》こそ《削剥》されるものの、《栄光をもたらすもの》は五体満足で4点ずつ矢田のライフを削っていく。

 好機と見た朴はさらに《再燃するフェニックス》を展開。矢田もここでようやく《栄光をもたらすもの》を出し、《キランの真意号》と合わせてブロッカーに立てるが、ブロックに入れるのはどちらか1体のみという状況。

 しかもここで朴は2体目の《栄光をもたらすもの》!!

 飛行クリーチャー3体のアタックに対し、矢田は《キランの真意号》で《栄光をもたらすもの》をブロックするものの、残りライフは3点。

 2枚目の《キランの真意号》を出し直したが、朴が《栄光をもたらすもの》と《再燃するフェニックス》を横にタップする素振りを見せると、すぐさま「ありがとうございました」と投了を宣言した。

朴 2-0 矢田

「《再燃するフェニックス》を引けていたのがツイてましたね、このマッチでは最強ですから」

矢田「頑張ってください」

「ありがとうございます、頑張ります!」

 朴 高志、トップ8へ!

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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