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日本選手権2018
デッキテク:行弘 賢の「青単アグロ」
日本選手権2018、初日全勝は3名。その中に、あの男の姿があった。
ベテランプレイヤーと呼ばれる域に達していても、常に「攻め」のデッキ選択。挑戦者としての気概を忘れない。
それが行弘 賢というプレイヤーだ。
プラチナ・レベルで2不戦勝を持ち、しかも暫定日本代表キャプテンという立場でありながら、スタンダードのデッキ選択がまさかの青単アグロ。第3回戦のカバレージを読んだ読者諸賢も、度肝を抜かれたことだろう。
そのデッキ選択の裏には、どんな思考の閃きがあったのか。早速本人にインタビューしてみた。
行弘 賢 |
――今回行弘さんは青単アグロというMagic Online発祥のデッキを使用されていますが、どういった経緯でこのデッキ選択に至ったのでしょうか?
行弘「まず、環境に存在するデッキを一通り回したんですよ。そうしたら、『赤黒に有利』と言われているデッキも実は『赤黒にちょっとだけ、せいぜい6:4くらいで有利だけど、他のデッキに弱い』ことが多いということに気づいたんです。じゃあ、そもそもそんなデッキは使う意味があるのか?と思いまして」
――エスパーや王神、緑単など、赤黒以外のデッキもまだまだ意気軒昂な環境ですからね
行弘「で、『赤黒にちょっと不利だとしても他のデッキすべてに有利』というデッキはないのか?というところに行きついて、それって『青単アグロ』では?と思ってリーグで試してみたら、3勝2敗だったけど負けは赤黒だけで、しかも他の3勝はもう楽勝というくらい圧倒的に勝てたんです。赤黒以外の全部に勝てるなら使う価値があるな、と思ってこのデッキを選びました」
――青単アグロといえば「初動の1マナクリーチャーと《執着的探訪》のセットを引くかどうかに依存していて不安定」という印象があったのですが、そうでもないんでしょうか?
行弘「今のスタンダード環境はぶっちゃけ『1対1交換を繰り返してどちらがよりマナフラッドするか』といった攻防に終始することが多いのですが、その点このデッキはカウンターで相手と確実に1対1交換を繰り返すことができ、その上で《執着的探訪》と《航路の作成》でドローもできるので、意外と粘り強いデッキなんですよね。その上でブン回りもある、というのがこのデッキの魅力です。それに新しいデッキなので、まだ今だと対戦相手もこのデッキ相手のプレイングに慣れていないことが多いですね」
――Magic Onlineで流行しているリストと比べると、行弘さんのリストには《敏捷な妨害術師》がメインから採用されている点が特徴的ですね。これはどういった意図なんでしょうか?
行弘「これはこのデッキを試していて気付いたんですが、やはり交換を繰り返すだけだとジリ貧なことも多く、その点《敏捷な妨害術師》は瞬速でカウンターを構えながら出せる上に相手が無視できないほどに高いクロックなので、除去を当てざるを得ないカードなんですよ。ですがこの環境は3マナのクリーチャーにテンポ良く当てられる除去が意外とないですし、こちらが土地を起こすと《呪文貫き》や《潜水》、それでなくても《セイレーンの嵐鎮め》がすでに戦場にいるなどの裏目もあるので、エンド前に戦場に出たタイミングで除去を打たざるを得ない。そうなるとメインに安心して《大嵐のジン》を出せるようになる、というわけです。一方《排斥する魔道士》はこのデッキだと戻したものを出し直されるだけなので、あまり強くないな、と思って差し替えました」
――《ゴブリンの鎖回し》という裏目はあるように思いますが……
行弘「《ゴブリンの鎖回し》されるタイミングで出すことはありませんし、そもそもこのデッキが《ゴブリンの鎖回し》を通してしまうようなことはほぼないです(笑)」
――サイドの《中略》3枚もあまり見ない構成かなと思います。
行弘「サイド後に《強迫》を打ちこんでくる赤黒相手に安定するプランを考えた結果、『山盛りのカウンターでどれを抜かれても関係ないようにする』のが良いという結論に至りました。《霊気溶融》だと相手のブロッカーが残りますし、《反逆の先導者、チャンドラ》という裏目もありますからね」
――《魔術師の反駁》という実質《対抗呪文》が使えるのは魅力的ですよね。
行弘「そうですね。ウィザードはセイレーンの嵐鎮め》《マーフォークのペテン師》《遵法長、バラル》《敏捷な妨害術師》の12枚のみなので、そこまで安定して《対抗呪文》にできるわけではないですが、相手から見るとコストが軽くなる条件を見落としやすいですね。あと自分もよく忘れて残すマナを間違えて『あ、これ構えられてないやん』てなります(笑)。こうして考えると青のダブルシンボル以上のカードがどれも強いので、単色であることに対して十分なメリットがあるデッキだなと思いますね」
――このデッキを使うに際して気を付けた方が良いことは何かありますか?
行弘「土地が置けなくて《航路の作成》などによる土地ドローに賭けるかカウンターを構えるかの2択を迫られたとき、基本的にはドローを我慢してカウンターを構え続けた方が良いです。もちろんドローせざるを得ないシチュエーションもありますが、このデッキの場合は《再燃するフェニックス》など、通してしまった場合に取り返しがつかないことになるカードが多いので、手札のカウンターが尽きるまでは構えて、あとからドローで補充するといった手順の方がうまくいくことが多いですね」
――そういえばよく見るとこのデッキ、『ラヴニカのギルド』が発売されてスタンダードがローテーションしてもほぼそのままのコンセプトで使えそうですよね。
行弘「確かにそうですね。僕のリストだとメインはローテーション後に使えなくなるのが《這い寄る刃》《遵法長、バラル》《敏捷な妨害術師》《送還》の9枚のみで、《這い寄る刃》は『イクサラン』に《霧まといの川守り》がいるので、ローテ後に《ゴブリンの鎖回し》が使われるかわからないことを踏まえると、少し気が早いですが新環境でもチャンスがかなりありそうなデッキだと思います」
行弘「あとこのデッキを選んだ理由として、相手とのやりとりが多くプレイングがモロに出るデッキなので、とにかく使っていて楽しいというのがありますね。何をカウンターして何を出して何で殴って何でブロックするのか、ゲームプランを逐一考える必要があるので、マジックしてる感があります。プロプレイヤーといってもそういった部分は大切ですね」
――ありがとうございました。
コモンとアンコモンばかりのデッキと侮るなかれ。
行弘と青単アグロの快進撃に注目だ。
21 《島》
-土地(21)- 4 《セイレーンの嵐鎮め》 4 《這い寄る刃》 4 《マーフォークのペテン師》 2 《遵法長、バラル》 4 《大嵐のジン》 2 《敏捷な妨害術師》 -クリーチャー(20)- |
4 《執着的探訪》 2 《潜水》 2 《呪文貫き》 1 《送還》 3 《航路の作成》 3 《本質の散乱》 4 《魔術師の反駁》 -呪文(19)- |
4 《金剛牝馬》 3 《否認》 1 《本質の散乱》 1 《ジェイスの敗北》 2 《睡眠》 3 《中略》 1 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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