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日本選手権2018
年間プレインズウォーカー・ポイント最上位者インタビュー:名出 和貴 〜海外グランプリ行脚で次のレベルへ〜
プレインズウォーカー・ポイントの多寡は、そのシーズンのマジックのイベントへの参加度合を示す指標となる。
ゆえに、特に上位の恩恵があるわけではないとはいえ。最も多くプレインズウォーカー・ポイントを稼いだ者とはすなわち、「最も精力的にマジックを楽しんだ者」と言って差し支えないだろう。
その枠に名を連ねていたのは昨年は宇都宮 巧だったが、今年は別のプレイヤーの名前があった。
しかもそのプレイヤーのポイントは、ほとんどが海外グランプリへの参加によって獲得したものだというのだ。
というわけで、2017-18シーズン獲得=6349ポイント。世界を飛び回るゴールドレベルプロ・齋藤 友晴を2位に抑え、最も多くのプレインズウォーカー・ポイントを稼いだシルバーレベルプロ・名出 和貴に話を聞いてみた。
名出 和貴 |
どれだけ負けても参加し続ける気力が大事
――名出さんはこのシーズン、何回くらいグランプリに出場されたんでしょうか?
名出「16~18回くらいですかね……? 3分の2くらい初日落ちしてるので恥ずかしい数字でもあるんですが(笑) 内訳はほとんどが行き慣れたアメリカのグランプリで、あとはアジアと、1回だけマドリードにも行きましたね。1か月間アメリカに滞在して、毎週開かれるアメリカ各地のグランプリに飛行機で向かう、みたいな生活をしていた月もありました」
――本当にすごいですね。そうした生活をするために一番必要なものは何だと思いますか?
名出「何をおいてもまずは気力ですね。どれだけ負けても参加し続ける気力と言いますか……頑張っても、やっぱり成績には波ができるんですよ。それにフォーマットや時期によって、十分練習できるグランプリもあればぶっつけで臨まざるをえないグランプリもありますし」
――そうした生活において、ひとつひとつのグランプリに参加するということはどういった位置づけになるんでしょうか?
名出「もうほとんど土日に草の根大会に出るような感覚ですね(笑) それと、目標とするグランプリの練習をそれとはまた別のグランプリでやっている、というような部分もあります。本番に勝る練習はありませんから」
――昨シーズンは努力の甲斐あって、終盤にシルバーレベルにも到達されましたね。
名出「ですね。マジック25周年記念プロツアーの権利も得られた状態だったんですが、残念ながら直前すぎてチームが組めずに出られずじまいでした。2人目は見つかるものの、3人目が見つかる前に他のところに捕まえられてしまうパターンが続いて……最後はプロツアー前日に5組目の2人目をブラジルの2人組に取られて終了しました(笑)」
バブルマッチでも普段通りのプレイができるようになった
――海外グランプリに参加し続けたことで成長した部分はありますか?
名出「航空券やホテルの取り忘れとかグランプリ参加受付のし忘れとか、あとはバゲージロストなど、海外でのイレギュラーな事態への対応には慣れっこになりましたね(笑)」
――マジック的にはいかがでしょう?
名出「そうですね……毎日少しずつ成長を積み重ねている感覚なのでそうわかりやすい話でもないですが、強いて言えば賞金や権利がかかったバブルマッチでも特に緊張をせずに普段通りのプレイができるようになったというのはあると思います。慣れすぎて腑抜けてしまう部分もあるので適度な緊張はやはり必要かなとは思いますが、たとえばグランプリの上位入賞で初めてプロツアーに出場するようなプレイヤーと比べれば、明確にアドバンテージがあると思いますね」
名出「それと1年前と比べて平均で1勝分くらい上乗せで勝てるようになっているので、実力が付いていってるんだなぁという感覚はあります。ブロンズのころは勝てなかったPTQ(プロツアー予選)も勝てるようになって、不遜な言い方ですが『このランクのプレイヤー相手なら勝てるだろうな』と思えるようになりました。まあその分、ゴールドレベル以上のプレイヤーのプレイを見れば見るほど『バケモノだな』と思うようになりましたが……特に渡辺 雄也さんや八十岡 翔太さんなど、長年プラチナプロを維持している方々は総じて凄まじいですね」
――具体的にどういった部分がすごいのでしょうか?
名出「『何もかも』ですね。デッキ構築、プレイング、コンバット、ドラフトのピックなど……局面に対する答えの出し方が、速度も含めて桁違いなんですよ。僕なんかだと1から考えるところが、たぶんことごとくセオリーになってるんでしょうね。そうしたセオリー化した引き出しの量が全然違うんです。自分で引き出しを増やそうと努力するたび、どれだけ差があるんだろうと実感しますよ」
ゴールドレベルへ向けて
――昨シーズンの始まりに『このシーズンで結果を残せるかどうかが勝負』という話を個人的にお聞きしたのを覚えているんですが、この1年は目標達成度的にはどうだったんでしょうか?
名出「シルバーレベルに到達した上でグランプリ併催のPTQを突破して次の2つのプロツアーの権利がある状態なので、本当にギリギリ及第点といった感じでしたね。他方で、シルバーレベルに到達したことはたまたまだとは思っていなくて、しっかりとその実力が付いたからだと考えています」
――となると今シーズンの目標はゴールドレベルですね。引き続きグランプリ行脚は行っていくのでしょうか?
名出「ですね。今シーズンからプロポイントの集計がサイクル制に代わって年間のグランプリキャップが増えるので、私のようにヒットを連打してプロポイントを稼ぐスタイルの人にとっては追い風というのもあります。ただプロツアーの回数が増えるという発表もあったことですし、その分グランプリへの参加回数はなるべく減らしたいですね。初日落ちが多いからたくさん参加する羽目になるわけで、毎回2~3点のプロポイントが獲得できるならこんなに出る必要もないので(笑)。とはいえ、ゴールドの実力はまだないと自分でもはっきりわかるので、引き続きそれに値する実力を付けながら、結果を出していきたいと考えています」
――ありがとうございました。
「ゴールドレベルになる」だけでなく、「ゴールドレベルにふさわしい実力を付ける」ことも目標だという名出。
マジック修行も兼ねたグランプリ行脚の旅は、今シーズンも続行予定のようだ。
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