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マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2023
トップ32決めマッチ:peppe vs. 萩原 悠生 ~優先権チェックはMTGアリーナの嗜み~
578人の参加者も、初日のスイスドロー9回戦を経て64人にまで絞られた。初日の通過ラインは6勝3敗のオポネント上位だったが、ここからは初日の成績に関係なくたった1回のマッチ敗北でトーナメントから退場となる、仁義なきシングルエリミネーションだ。
そんな2日目の開幕からフィーチャーマッチに選ばれたpeppeのデッキは、初日で唯一9勝0敗という見事な成績を残した「エスパー・ミッドレンジ」。
対する萩原のデッキは「5色ランプ」。それも前週に活躍した《アラーラへの侵攻》型ではなく、《ゼンディカーへの侵攻》を主軸にした前環境から続投の堅実なランプ型。とはいえ『エルドレインの森』からの新戦力も早速取り入れており、練り上げられたデッキであることが窺える。
萩原は2日目進出者の中では最下位の64位通過なので6勝3敗、初日の星勘定でいえばpeppeは3勝分も差がある相手であり、しかもここから1ゲーム目は全マッチ後手スタートというハンデもあるが、はたして番狂わせなるか。
ゲーム 1
先攻で《敬虔な新米、デニック》《婚礼の発表》と好調なスタートを切ったpeppeに対して、萩原も《豆の木をのぼれ》を挟みつつの《骨化》で《敬虔な新米、デニック》を処理し、序盤のライフ損失を抑えにいく。
そして4ターン目を迎えたpeppeが4マナ目を置けずターンを返したところで、《装飾庭園を踏み歩くもの》と《ゼンディカーへの侵攻》を抱えた萩原はアクションを止めて考えている様子。
リストは公開制。peppeのメインに《かき消し》は3枚。ひとまず第2メインに移ろうとしてみるとラグがあり、peppeの側に優先権が移った感じがある。
ということは、peppeの手札には「スタックが空でも唱えられる」「3マナ以下のインスタントが最低1枚は存在する」……リアルの対戦では使えない、MTGアリーナならではの仕様を逆手に取った手札チェック方法だ。
可能性が高いのは《切り崩し》《喉首狙い》か、《忠義の徳目》の出来事側を構えていること。だがpeppe側の土地が詰まっている現状、《かき消し》があるなら何であれマナ加速に対しては使ってくるだろうということで、萩原が選択したのは《装飾庭園を踏み歩くもの》。そしてこれが見事にpeppeの《かき消し》を釣り出し、立ち回りの上手さを示した萩原はドヤ顔で(※筆者の妄想)4マナ目を置いてターンを終える。
だがpeppeも返すターンに4マナ目の土地を引き込むと、4マナ立たせてターンエンド。萩原は前のターンに温存した《ゼンディカーへの侵攻》を目論見通りに通すことに成功するのだが、追加の土地は引けておらず、6マナフルタップの状態でターンを返さざるをえない。
するとそのエンドに、peppeの《放浪皇》が着地する!
エンド前の「+1」とメインの「+1」で《婚礼の発表》からの人間・トークンを強化し、一気に6点が叩き込まれて萩原のライフは既に残り9点。さらになおもpeppeは4マナを構え続ける。
それでも、返すターンにも7マナ目が引けなかった萩原は《装飾庭園を踏み歩くもの》を送り込んでどうにか7マナ目を確保しつつブロッカーを立てるのだが。
エンド前にpeppeが《忠義の徳目》の出来事側で騎士・トークンを生成しつつ《喉首狙い》で《装飾庭園を踏み歩くもの》を排除すると、peppeのターンを待たずして敗北が確定したことを悟った萩原は即座に投了ボタンを押し、ジェイスのアバターを爆発させたのだった。
peppe 1-0 萩原
ゲーム 2
3色サイクリング土地を立て続けにセットする立ち上がりの萩原に対し、peppeの《敬虔な新米、デニック》が再びゲーム開始の狼煙をあげる。一方、萩原は《豆の木をのぼれ》からなおも3枚目のタップイン処理で力を溜める。
返すpeppeは萩原の4マナ目に備えて3マナを立たせてターンエンド。萩原は再び第1メインをパスし、peppeに優先権が移ったのを確認する。つまり1ゲーム目と同様、peppeの手札には「スタックが空でも唱えられる」「3マナ以下のインスタントが最低1枚は存在する」……だがこの方法では《かき消し》の有無までは、萩原が何か呪文を唱えてみるまではわからない。ゆえに問題は再び、《ゼンディカーへの侵攻》を飛び込ませるか否か。
先ほどと異なるのは、萩原の手札にあるのが《装飾庭園を踏み歩くもの》ではなく《力線の束縛》だということ。つまりこのターン、他の選択肢で《かき消し》を使わせることはできない。少考ののち、萩原はこのまま《敬虔な新米、デニック》に《力線の束縛》を使わされるよりは……と《ゼンディカーへの侵攻》をキャスト。そしてこれが通る!
一方、強気に最も厳しい選択肢を通されてしまったpeppeだが、エンド前に《忠義の徳目》の出来事側で騎士・トークンを生成すると、自ターンに土地を置いて4マナ構えてターンエンド。さらに続く萩原の《群れの渡り》ハードキャストに対しては1ターン遅れでトップした《かき消し》で打ち消しつつ、なおもエンド前に《忠義の徳目》の出来事側で騎士・トークンを生成。続くターンの一斉攻撃で、萩原のライフを残り8点まで追い詰めることに成功する。
しかもそれに加えて5マナから《忠義の徳目》を設置し、全体強化で萩原にアクションを迫る。
だが、返す萩原のアクションは。
ここで《喉首狙い》が引けていないpeppeは攻撃の手を止めざるをえない。やむなく2枚目の《忠義の徳目》を設置して盤面の強化に努めようとするのだが、萩原が構えた1マナから《耐え抜くもの、母聖樹》を「魂力」すると、二段強化プランは不発に終わってしまう。
さらに返すターン、萩原が《偉大なる統一者、アトラクサ》の攻撃で7点ゲインしてから唱えたのは《太陽降下》!
一気に窮地を脱した格好の萩原。《豆の木をのぼれ》が絶え間なく手札を供給している以上、息切れの心配も一切ない。余ったマナから《装飾庭園を踏み歩くもの》をも送り出し、あとはゲームをどう畳むかというところ。
その証拠に、返すターンにpeppeが《英雄の公有地》構えで繰り出した《黙示録、シェオルドレッド》も、《骨化》と《力線の束縛》で悠々と対処。培養器・トークンもファイレクシアンへと変身させてレッドゾーンへと送り込み、《ゼンディカーへの侵攻》を《覚醒したスカイクレイブ》へと変身させる。そこからダメ押しに《沈黙を破る者、スラーン》までも繰り出しておきながら、それでもなお、萩原の手札は6枚とパンパンだ。
peppeも《力線の束縛》を《邪悪を打ち砕く》して追放されていた《黙示録、シェオルドレッド》を戦場に戻し、再び《英雄の公有地》を構えて《豆の木をのぼれ》が強制ドローであることからのライフルーズ勝ちにわずかな勝ち筋を見出そうとするのだが、2セット目の《骨化》+《力線の束縛》を前にしては、さすがにアバターを爆発させる以外にできることはないのだった。
peppe 1-1 萩原
ゲーム 3
先攻のpeppeがマリガンスタートながらも萩原の後攻2ターン目の《アイレンクラッグ》を《かき消し》し、3ターン目に早くも《策謀の予見者、ラフィーン》を着地させる立ち上がり。
対する萩原は《装飾庭園を踏み歩くもの》でマナ加速。さらに続くターン、4マナオープンのpeppeに対してなおも2枚目の《装飾庭園を踏み歩くもの》を着地させ、次のターンからは2体の4/4警戒で《策謀の予見者、ラフィーン》とダメージレースするぞという構えを見せる。
だがここで、エンド前の《放浪皇》の「ー1」で「警戒」持ちの侍・トークンを生成したpeppeが、返すターンに「+1」と《策謀の予見者、ラフィーン》の攻撃時の「謀議」でトークンを5/5にまで育てあげると、一足先の6点アタックで萩原のライフは早くも13点。
このままだとダメージレースにならない萩原は、やむなく「警戒」持ちの《装飾庭園を踏み歩くもの》2体で《放浪皇》に攻撃。1体は侍・トークンにブロックされ一方的にやられるも、《放浪皇》だけはどうにか処理する。
そして第2メインに《太陽降下》を唱える……だが、これには《否認》が突き刺さる!
返す《策謀の予見者、ラフィーン》と侍・トークンの攻撃は《装飾庭園を踏み歩くもの》のチャンプブロックに阻まれるが、この間にもpeppeの手札は度重なる「謀議」でどんどんと充実していく。
他方、2枚引いてしまった《ミレックス》で白トリプルシンボルが出せず苦しむ萩原は、《豆の木をのぼれ》を設置してから2枚目の《太陽降下》を唱えるのだが、これにも《軽蔑的な一撃》が当たり、返すアタックでついに残りライフは3点まで追い詰められる。
それでもメインで唱えた《力線の束縛》で《策謀の予見者、ラフィーン》を追放し、《群れの渡り》の起動型能力と2枚目の《力線の束縛》を構えることで、どうにかしのげそうなところまでたどり着いた萩原だったが。
エンド前の《邪悪を打ち砕く》で《策謀の予見者、ラフィーン》を追放している《力線の束縛》を対象にとられたところで、萩原がスタックで唱えた2枚目の《力線の束縛》に対してpeppeが唱えたのは、ダメ押しの《軽蔑的な一撃》!!
そして最後の頼みの綱、《豆の木をのぼれ》のドローはこの局面で唯一の解答、3枚目の《力線の束縛》……ではなかったのだった。
peppe 2-1 萩原
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