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グランプリ・静岡2017春

戦略記事

デッキテク:松田 幸雄の「黒単ジャパニーズトラディショナルスナック」

By Hiroshi Okubo

 上位卓を眺めていると、衝撃的なデッキが目に飛び込んできた。

 そこではゾンビが、霊基体が、吸血鬼が、戦場と墓地とを慌ただしげに跳ね回っていた。

 そして何より目を惹いたのが――並べられている土地が《》のみだったことだ。


 プレイヤーの名は松田 幸雄(東京)。「中野の最終兵器」と称され、自由奔放なオリジナルデッキを構築するデッキビルダーとして知られる彼は、このグランプリ・静岡2017春の会場にも独特のデッキを持ち込んだようだ。

 はたして彼はこのイベントにどのようなデッキを持ち込んだのか? さっそく話を伺った。

matsuda1.jpg

――「以前も黒単コントロール(※参考:本人のデッキテク)を使用されてましたが、今回も黒単なんですね。あまりそういったイメージはなかったのですが、もしかして松田さんは黒単がお好きなんですか?」

松田「黒単は駄菓子ゆえ」

――「なるほど、黒単にはさながら駄菓子のように一部の熱狂的なファンも存在するが、だからといってそのデッキ選択が必ずしも個人のイデオロギーに立脚するとは言い切れず、常に取り得る選択肢のひとつとして漫然とそこに存在しているものであると。今回は『このデッキを長く調整していたこと』と、『このデッキのメタゲーム上での相対的な立ち位置は悪くない』という2点のメリットから『黒単コントロール』を選択し、関東のマジック界隈で『黒単のGuru』として知られる中野 彰教氏をオブザーバーとして客観的な意見も取り入れつつデッキの細部に変更を加えていったわけですね」

松田15うま○棒コンビは駄菓子界の王様」

――「アドバンテージ源でありキーカードの《豪華の王、ゴンティ》に加えて速攻持ちのクリーチャーである《不死の援護者、ヤヘンニ》を採用し、攻撃的なアプローチも取れるようになっていると。自由市場経済的観点からこれらのカードをおよそ『○まい棒』15本分のカードパワーに相当すると仮定し、『15う○い棒コンビ』として中軸に据えたことによって現在環境で主流となっている『4色サヒーリコンボ』などのプレインズウォーカー戦略に対しても盤面で押していけるということですか」

松田「《墓所破り》は......キー

――「たしかに《墓所破り》は『共鳴者』としてデッキ内のあらゆる墓地利用シナジーをまとめ上げる接着剤、あるいは起爆剤の役割を果たしつつ、自己完結した能力を持つシステムクリーチャーであり、アドバンテージ獲得エンジンにもなるパワーカードですね。これ単体でも十分においしく、他のお菓子やジュースと組み合わせることでパーティー気分を味わわせてくれるポッ○ーになぞらえているというわけですか。おまけに1マナ1/1ですし、どう見ても○ッキーですね」

松田「《無情な死者》はかっぱえ○せんで《憑依された死体》は......

――「やめられない止まらない! 序盤は威迫クロック兼しぶといブロッカーとして君臨しながら、中盤以降は《不死の援護者、ヤヘンニ》と組み合わせることによって任意のタイミングで死亡誘発型能力を誘発させ、ゲーム全体を通して活躍してくれるという不朽の駄菓子......もとい、カードであると。そして《憑依された死体》は墓地利用デッキであれば採用されていて当然、このデッキで最も重要な位置を占める1枚であることから、たしかに調味料の一部と呼んでも過言ではないですね。では、《最後の望み、リリアナ》は何ですか?」

松田フォアグラ

――「えっ?」

松田フォアグラ

――「......つまり《最後の望み、リリアナ》は現在のような攻撃的な構成では贅沢品と言えなくもないが、デッキの方向性にも合っているし、《豪華の王、ゴンティ》を使い回したり、『マルドゥ機体』や『黒緑《巻きつき蛇》』などに対して役割を持つことができるため、時として3マナのソーサリーとして運用するなど割り切った使い方が主になってくるということですか。ただ、デッキ全体がシナジーに寄っていてカードパワーで押していく戦略が採れないために、こういった1枚でデッキの力を底上げしてくれるカードは貴重で、あまり好みではないが抜くに抜けないと」

matsuda2.jpg

松田「除去は炭酸の抜けたコーラだけどね......」

――「黒単であるがゆえのデメリットとして、環境最強の除去である《無許可の分解》や《蓄霊稲妻》を採用できないという側面はあるものの、《殺害》や《闇の掌握》といったインスタント除去や《破滅の道》などの汎用性の高い除去があり、これらは『マルドゥ機体』や『黒緑《巻きつき蛇》』、『4色サヒーリコンボ』といった環境のトップメタにも有効であることから役割はきちんと果たせているし、1ターン目に《墓所破り》、2ターン目にアンタップインしながら《墓所破り》の能力起動を目指すデッキだから黒単で構築することは譲れないですよね。本日はありがとうございました! このあともがんばってください!」


 松田 幸雄の「黒単ジャパニーズトラディショナルスナック」。《豪華の王、ゴンティ》と《不死の援護者、ヤヘンニ》を主軸に据えた斬新なこのデッキにどこか懐かしい感覚を覚えるのは、黒単というカラーリングがゆえか、あるいはまったく別の理由か。

 インタビュー時点で彼は11勝2敗という好成績を記録していた。手札・戦場・墓地と全てのリソースを使い切る快感は得も知れぬ。黒単ファンならずとも一度は回してみたい一品だ。

松田 幸雄 - 「黒単ジャパニーズトラディショナルスナック」
グランプリ・静岡2017春 / スタンダード (2017年3月18~19日)[MO] [ARENA]
23 《
2 《荒廃した湿原

-土地(25)-

4 《墓所破り
3 《無情な死者
2 《才気ある霊基体
2 《不死の援護者、ヤヘンニ
3 《豪華の王、ゴンティ
2 《憑依された死体
1 《ヴォルダーレンの下層民

-クリーチャー(17)-
4 《致命的な一押し
4 《闇の掌握
2 《殺害
2 《破滅の道
1 《闇の救済
3 《最後の望み、リリアナ
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス

-呪文(18)-
4 《屑鉄場のたかり屋
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
2 《精神壊しの悪魔
2 《集団的蛮行
2 《精神背信
2 《破滅の道
1 《領事の旗艦、スカイソブリン

-サイドボード(15)-
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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