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グランプリ・静岡2017秋
ジャッジインタビュー――名スコアキーパー・大竹 賢明
By Genki Moriyasu
「心配性な人が向いてると思います。」 大竹さんが語るスコアキーパーの素質とは。
カバレージブースにお越しいただいたのは、ジャッジの間では名の知れたスコアキーパーとしても活躍されている大竹 賢明さん。
今日はプロツアー予選のヘッドジャッジとして動いてる中で、時間を作っていただきました。
「大竹さんについて」。
「スコアキーパーについて」。
そして「これまでと今後について」のお話を伺いました。
――よろしくお願いします。最初に、大竹さんのことを知らない方へ、改めて自己紹介と経歴を教えていただけますか。
大竹「よろしくお願いします。大竹です。グランプリ・横浜2010ではじめてジャッジをして、約7年くらいジャッジをしています。
ジャッジをはじめたきっかけとしては、それまで地方でプレイヤーをしていたのですが、東京に来て『これは、勝てないぞ』となりまして。
プレイヤー以外にもマジックに携われるものがないかなと考えていたら、ジャッジというものがあるのを知りました。
それで、行きつけのショップのスタッフさんにどういったらなれるますか? と聞いたら、『今度グランプリ・横浜(2010)があるからヘッドジャッジの人にメールしてみたら?』と言われたこと、ですね。」
大竹「もっとはじめ、マジックをやりはじめたのは、15歳ころですね。枠が新しくなった、『ミラディン』が出たときくらいですね。電結親和やべーってやつです。それで『神河物語』が出て、トラウマタイズ(《心の傷跡》)でライブラリーアウトさせるデッキを作って、ボコボコにされてました。」
――グランプリで初ジャッジというのも凄い経歴ですね。
大竹「そうですね、グランプリで初ジャッジというの初めてだと思いますよ。
やっぱりグランプリでジャッジやりたいという人って、ジャッジのメンター(先生となる人)にある程度教えられてくるじゃないですか。
まる裸で、ぼーん!と投げ出されました。それで、サイドイベント(8人構築)で九州の大林さんという人がついてくれて。いろいろノウハウを教えてくれたんです。
今、どこに住んでいるの?と聞かれたので、東京です。ってこたえたら、『東京なら良いやついるよ。』って紹介してくれたのが、梅咲さんだったんです。
ジャッジの世界に入って最初に、メンターだったら、この人が良いよって勧められたんですね」
――今回はプレイヤーとしてもグランプリ本戦に参加されていた梅咲さんの名前が挙がりましたね。
先日の梅咲さんへの日本選手権でのインタビューでは、大竹さんにも触れられていました。
グランプリ・横浜2010から日本選手権2011までの期間はどのように過ごされていたんですか?
大竹「関東のいろんな大会にジャッジとして行って、勉強しました。
当時は中規模の草の根(イベント)もとても多かったので。特定の大会に属するというよりは、本当にいろんな大会に行って勉強しました。」
――経験を積んで、日本選手権2011では新人のスコアキーパーとして参加された。ということなんですね。
この「スコアキーパー」という役職、よく分からないと考えてしまうプレイヤーも多いと思うのですが、どういった役職なんでしょうか?
大竹「簡単に言うと、大会を円滑に運営するための裏方のまとめ役です。
ヘッドジャッジはトーナメントのまとめ役。スコアキーパーは、実務のまとめ役。といったところです。
プレイヤーのスコア(成績)を間違えないようにキープしたり、間違えたときにすぐに正しく修正できるようにする役職ですね。
ちょっと説明が難しいですね。簡単に『スコアキーパーって何』ってうまく言えないです。」
――大竹さんはそうしたスコアキーパーをされるのをご自身で希望されているんですよね。
大竹「そうですね。自分でやりたいと言って、やっています。
舞台の裏方みたいの、凄い好きなんですよね。
表立たないで支える方に回りたいっていう気持ちがまずありますね。
それと、仕事内容として『素早く的確にスコアをソフトに打ち込む』というのが、ゲームしてるみたいで楽しくやってます。」
――日本選手権2011での新人のスコアキーパーから、先日主席のスコアキーパーをされた日本選手権2017までの間の6年間。
楽しくスコアキーピングをされ続けてきたということですが、大竹さんから見て、どういった6年でしたか?
大竹「1000人~2000人規模の大きい大会......グランプリですね。これを回すという経験を定期的に積ませていただきました。
草の根大会だと100人規模なので、やっぱりグランプリのオペレーションとは違うんですよね。
年に3回4回しかないようなグランプリ専用のオペレーション。これをガッツリ学べたのは大きいと思います。
『君しかできないよ』と言われるような技術を、獲得できました。それこそ、6年もやってますしね。」
――大竹さんから見て、この6年でグランプリはどのような変化を迎えましたか?
大竹「やっぱりプレイヤーの数がなにより増えましたね。
1000人切ってることは普通だったのが、いまや2000人いかないと少ない。と言われてしまいますね。
その分、プレイヤーの幅も広がったと思います。
カジュアルな人も来てくれるようになって、そしてそれはちょっと誤りや戸惑いが起きてしまうような人たちが増えました。
ただこれはジャッジ側も変化を迎えていました。
ジャッジの数も今より全然少なかったので、そうした人たちのサポートが以前はもれていたんですけど、今は支援できるようになってきたのかなと思います。」
――ジャッジになりたいという人も増えてきてるということですね。
少しスコアキーパーの話に戻させていただいて、スコアキーパーに向いている人ってどういう人ですか?
大竹「向いている人はですね、心配性な人が向いてると思います。
やっぱり人はちょっとしたミスがあると思うんですけど、落ち込むのじゃなくて、次はどうしたら失敗しないかな。どうしたらより良くなるかな。と、自分で気づける人ですかね。
自分が臆病というところがあるんです。『間違えたら嫌だなあ』ってリストのチェックがダブルチェックになり、ダブルチェックでも不安なときはトリプルチェックになったりします。
間違いが起きないように先手先手を打とうとする人が良いかな、というところですかね。」
――トラブルができるだけないように。と動いてきていただいてると思うんですが、特徴的だったトラブルってありますか?
大竹「6年やってるので、いろいろありますよ(笑)。言えないことも、たくさん。
言えるところだと、『そのプレイヤーのグランプリ2日目進出がかかったバブル・マッチ開始時、間違えてドロップさせてしまっていたとき』。とかですかね。
処理を間違えてたから、Bye(不戦勝)あげるよ。というわけにもいかないじゃないですか。
だからマッチポイントを見て、当たるべきラインを探して差し込んで。
ただ、そうすると差し込まれたところの人が今度抜けるじゃないですか。その人を改めて別のところに差し込んで。とトコロテン式にやりました。
自分の卓の隣のテーブルがまるまるジャッジに呼ばれて解散したり移動してたりすると、そういうことだと思ってください(笑)。
グランプリが分割トーナメントだった時代のときに、2日目開始時に統合できないことがあったりもしました。」
――プレイヤーの移動はときどき見かけますよね。トーナメントとしての正常な進行をするために動いてくださってるわけですね。
トラブルの経験とは逆に、自分たちの働きで「トラブルを回避できた」というような思い出ってありますか?
大竹「いまグランプリのスコアキーパーって複数人いて、運営ソフトの1工程ごとにバックアップをとってるんです。
トーナメントを作ったらバックアップ。結果を入れたらバックアップ。印刷したらバックアップ。と。
何かソフト上のトラブルが起こっても、1工程戻れば復旧できるようにしてるんです。」
――いまプレイヤーが安心してグランプリに参加できるのは、そうしたスコアキーパーのみなさんの保守があってこそなんですね。
役割分担はチームで動いていることの良さでもあるわけですね。
ヘッドジャッジをよく務められている梅咲さんは、大竹さんから見てどのような人ですか?
大竹「最初は厳しい先輩。でした。
今は完全に、友人ですね。楽しいお兄さん。みたいな感じですね。一緒に遊びにも行きます。
ジャッジ活動をするときは、僕のジャッジ・スタイル、梅咲さんのジャッジ・スタイルの違う面もあったりします。
姿勢が違うときはディスカッションもできますしね。
僕、長男なんですが、本当に自分にとって、気の良いお兄さんって感じです。」
――大竹さんは交流関係も広い印象がありますね。
大竹「スコアキーパーしてると、いろんなジャッジが話しかけてきてくれるので、そうですね。
そのなかでもやっぱり仲の良いジャッジはいて、最近ずっと一緒にいるなって思うのは、レベル2ジャッジの伊東太郎ですね。
あとは関東も多いですが、全国津々浦々ですね。井谷さん、瀬野さん、若松さん、藤井さん、もちろんさっき話に挙げた大林さんもですね。」
――グランプリだけではないですし、休日ではジャッジとしてスコアキーパーとして全国各所に行かれるわけですね。
休息するタイミングが限られそうなのですが、平日のお仕事との両立はどのようにされてるのでしょうか?
大竹「ジャッジは趣味なので、休息するためにしています。
プレイヤーが休息日として大会に出て参加するように、ジャッジは大会を運営するのが趣味なんです。
逆に休日、予定がはいってないと不安になりますよ。あれ、この大会行かなくてよかったんだっけ?みたいな。」
――スコアキーパーの資質、心配性のところですね。(笑)
大竹「本当ですね(笑)」
――大竹さんはスコアキーパーはこれからも継続されるのでしょうか?
大竹「そうですね。具体的なビジョンがあるというわけではないのですが、できる限り続けたいと思います。
でも後進が育っていかない、育てる場所がなかなかないというのも今の悩みですね。しかし振り返ると6年って長いですね。
当時、新しいやつって言われてた僕の世代のジャッジって、川添くんと、このあいだレベル3ジャッジになった長島さんと僕の3人しかおらんぞ。って時代だったんですよ。
それが中堅どころか......ってやつですね、時は残酷ですよ(笑)」
――グランプリを円滑に進めてくれるスコアキーパーの後進が育ちにくいというのは、業界全体で考えてゆかないといけない問題のようですね。
本日はお忙しい中お話ししていただき、ありがとうございました。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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