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グランプリ・名古屋2018

観戦記事

決勝:チーム行弘/佐藤/山本 vs. チーム細川/三原/清水

Hiroshi Okubo

 名古屋に桶狭間あり。

 尾張の小大名・織田信長が、名古屋は桶狭間にて駿河の有力者だった今川義元を破り、その名を全国に轟かせるきっかけとなった「桶狭間の戦い」。日本の歴史を語る上で欠かすことのできない、あまりにも有名なその戦乱の舞台で、新たな闘争の歴史が刻まれようとしていた。

 ――桶狭間で戦った織田信長と今川義元然り。懸かっているものの違いはあれど、人の世は往々にして戦いと共にある。

 これはグランプリ・名古屋2018、その決勝の物語だ。

 
行弘 賢/佐藤 レイ/山本 賢太郎

 ここまでの激闘を勝ち上がり、決勝戦へと足を踏み入れたのは行弘 賢佐藤 レイ、そして山本 賢太郎だ。

 全員がプロシーンの最前線を駆け抜けるスターであり、そして全員がそれぞれグランプリでの戴冠経験を持つ。今や、彼らについてまったく知らないというマジックプレイヤーを探す方が困難かもしれない。今回のグランプリに参加した1992名による参加チームを見渡しても、彼らほどの選り抜きの精鋭を揃えたチームはそうそう見つからないだろう。

 
細川 侑也/三原 槙仁/清水 直樹

 相対するは細川 侑也三原 槙仁清水 直樹。

 関東屈指の強豪プレイヤーであり、自身もライターとしてマジックコミュニティを盛り上げる細川、言わずと知れた殿堂顕彰者である三原、そしてプロツアーでの上位入賞経験を持つ清水による実力派チームである。個々人の力も十分かつ、グランプリ参加に向けて綿密な練習を行ってきたと語り、決勝の舞台でその集大成を発揮せんと気を張って対戦席に着く。

 ここにいるのは、14回戦の長い戦いを勝ち抜き、強豪同士の準決勝を抜けて決勝の舞台へとたどり着いた6人だ。チームの総合的な実力が試されるチームリミテッドにおいて、運や勢いといった言葉で彼らの重ねてきた勝利を説明することは不可能に近い。

 ここまで勝ち進んできた彼らが追い求める理想は、グランプリ優勝の栄冠のみ。そしてその理想を叶える資格はどちらにも十分にある。

 この日、この名古屋の地で最後に行われる戦いは、それぞれの抱く理想を現実にする最終行程だ。

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A席:行弘 賢 vs. 細川 侑也

「当たったのが俺でよかった」

 最初に行弘 賢と細川 侑也のマッチアップを見ていこう。先攻の細川のファーストアクションは《ディミーアのロケット》。2ターン目に《家門のギルド魔道士》から動き出していた行弘には後れを取る形となったが、ディミーア・コントロールを組み上げた細川にとって、3ターン目にマナを伸ばして未来への布石を打つのは決して無意味な選択ではない。

 続いて《ディミーアの密告者》を呼び出した行弘だったが、返す細川の《賽銭ガニ》を前にすると一度は足を止めざるを得ず、邪魔な壁を退けようと《賽銭ガニ》へ《嵐の行使》を差し向ける。

 
細川 侑也

 だが、細川にとっても《賽銭ガニ》は地上の戦線を維持するための重要なクリーチャーであり、簡単に死なせるわけにはいかない。自らの《賽銭ガニ》に対して《原因不明の消失》を唱えて戦場から避難させ、猪口才な《家門のギルド魔道士》は《捕獲球》で無力化する。

 そう、ここまでは一進一退の攻防だった。しかし、行弘が6枚の土地をタップしてプレイしたクリーチャーが形勢を一気に傾ける。

 現れたのは《街見張りのスフィンクス》。このフィニッシャー級のクリーチャーの登場に細川は後手に回らざるを得なくなり、《発見 // 発散》を駆使して回答を探しに行くのだが、望みは叶わず。行弘が《街見張りのスフィンクス》を横向きにするにつれ細川の命が刈り取られていき、第1ゲームは速やかに幕を閉じることとなった。

 続く第2ゲームでは細川も序盤からアグレッシブに動く。2ターン目に《夜帷のスプライト》、3ターン目に《闇刃の工作員》とクリーチャーを展開していく。しかし行弘も負けてはおらず、《夜帷のスプライト》にはタッチしていた《死の重み》を、《闇刃の工作員》には《嵐の行使》をぶつけ、盤面をイーブンに戻す。

 しかし、細川の次なる手には行弘も頭を抱えることとなる。現れたのは《クロールの群れ》。この飛行による4点クロックは間断なく行弘を締め上げていき、先ほどの第1ゲームを決めた《街見張りのスフィンクス》も《捕獲球》によって除去され、ライフはデッドゾーンへと突入していく。

 
行弘 賢

 だが、やがて細川の手札が尽きると話は変わってくる。行弘は《名声の代価》で《クロールの群れ》を除去し、続けて《クロールの群れ》を受けることのできる強力なシステムクリーチャー、《つぶやく神秘家》をプレイする。

 ここまでのゲームで《静電場》をプレイしていたこともあって、わずかではあるが着実に細川のライフを削ることに成功していた行弘。返す細川が新たな脅威を展開できずにいる隙に一気に攻勢を仕掛け、第1ゲームに続いて第2ゲームも制した。

行弘 2-0 細川

 

細川「行弘のデッキ、強すぎるよ。当たったのが俺でよかった」

 ゲームが終わった直後、自嘲気味に笑いながら細川はそう語った。事実、行弘の操るイゼットデッキは卓の中でも頭一つ抜けた強さであり、はたして相対するのが誰であったとしても苦戦を強いられることは必至だっただろう。ましてや行弘はデッキ構築の際にチームメイトたちとドラフトの情報共有をする過程で、対戦相手である細川はもちろんのこと、三原や清水のデッキまでを全て完璧に予想しきっていたのだ。

 ゆえに行弘は細川のデッキがディミーアであると踏んだうえでデッキを構築し、実際に寸分も読みを外すことなく勝ち切った。これが三原相手ならばボロス対策を、清水相手であればゴルガリ対策をデッキに搭載したであろうことを考えると、もはや行弘は真っ当に戦って勝てる相手ではなかったのかもしれない。細川の言葉は、この決勝卓における行弘 賢という絶対的な存在を表す的確な表現だったと言えるだろう。

 もちろん細川とて最初から負けるつもりで戦いに臨んだわけでも、敗北が悔しくないわけでもない。しかしそれ以上に、自らの友人であり、そして自らの遥か前方を――世界でも指折りのプロとして活躍するプラチナレベル・プロ、行弘 賢と対等の舞台で戦ったことは、細川にとって間違いなく意義深い体験だったに違いない。

 そして何より細川は、今日ここまでともに戦ってきた仲間たちを信じていた。試合前には「このチームを組めてよかった。俺一人じゃここまで来ることはできなかった」と語り、チームメイトの強さを誰よりも理解していた。

 だからこそ安心して、知己の友人である行弘に全力で向かい合い、打ち倒され――

 そして自らの敗北を受け入れた上で、「俺でよかった」という言葉を残せたのだ。

 

C席:山本 賢太郎 vs. 清水 直樹

「とはいえ、奴らは怪物」

 清水がゲームに敗北し、煮え湯を飲まされたときの台詞「ちくしょー、なんでだー!」は、いつしか清水 直樹の代名詞と呼ばれるようになっていた。清水を取り巻く友人たちもそのミームを楽しんでいるし、当の本人も通称「ちくなん」いじりに満更ではない気持ちを抱いているというのは事実かもしれない。

 しかし、清水はこれまで幾度となく受け入れがたい敗北に歯噛みしてきて、そうして積み上げられてきたものこそが彼の代名詞である「ちくしょー、なんでだー!」であることを忘れてはならない。彼は勝ってきたし、負けてきた。それでもなお打ちのめされることなく挑戦を続けてきたから、これまでの――そして今の清水があるのだ。

 そしてそんな挑戦を続けてきた清水には、過去にプロツアーでベスト4に進出した経験もあり、然してそのマジックキャリアゆえに、プロシーンの最前線をひた走る山本らの強さを身に染みて知っている。殊にチームドラフトという競技は顕著に実力が試されるゲームであり、起こるべきことは必ず起こると考えるべきだ。まぐれや小細工が通用しない領域は、確かに存在するのだから。

 だからこそ。デッキ構築の最中、デッキがなかなか思う形にまとまらずに嘆いていたチームメイトが何の気なしに漏らした「相手のデッキも強くないかも」という希望的観測に対しても、清水はそっと言葉を継いだ。

清水「とはいえ、奴らは怪物」

 ある意味、誰よりも「敗北の姿」をフォーカスされてきた清水は、決して気を抜かない。それはいつでもすぐ近くで、自分を引きずり込もうと息を潜めているのだから。

 清水は目の前の怪物――山本 賢太郎を見据え、怪物狩りに挑む。

 
清水 直樹

 清水が《雇われた毒殺者》、《絡み爪のイトグモ》と序盤からクリーチャーを展開し、山本も1マリガンながら《光胞子のシャーマン》と《オクランの暗殺者》を合わせる。しかし清水も《地底街の反乱》で山本のブロッカーを排除しつつライフを削り始めていく。

 さらに清水は《泥棒ネズミ》を展開し、山本の選択肢を着実に狭めながら《冷酷なゴルゴン》と《背骨ムカデ》の2体を並べ、じわじわとゲームを掌握する。防戦一方に回ってしまった山本は不運にもドローも噛み合わず、初戦は清水に白星を明け渡すこととなった。

 
山本 賢太郎

 しかし、第2ゲームはしっかりと7枚の手札をキープできた山本のペースだった。お互い遅めのデッキであると判断してか、ファーストアクションで《概念の雨》をプレイして堅実にアドバンテージを得る山本に、清水は《冷酷なゴルゴン》2体を並べて様子を見る。

 そんな清水の前に、山本は《気前のいい野良猫》、《落とし格子の蔦》、《張り出し櫓のコウモリ》、《包囲ワーム》と次々にクリーチャーを並べていく。逆に清水は《冷酷なゴルゴン》から後続が続かず、かろうじて接死で山本を牽制できているだけだった。

 だが、そんな膠着状態も長くは続かない。山本は十分に清水を殴り切れるだけの戦力を揃えると、手札に温存していた除去で《冷酷なゴルゴン》2体を処理。続いてクリーチャーの群れで清水を襲い、ゲームカウントを取り戻した。

 

 山本と清水の第2ゲームが終わったのと時を同じくして、行弘と細川のマッチが終了し、それぞれがチームメイトに「ここ(A席)は勝った」「すみません、負けました」と結果を告げた。しかしながら、それを受けても山本と清水は気を緩めることも揺らぐこともなく、ただ淡々と自らの役目を果たさんと緊張の糸を張り詰める。

 ここで放送の都合もあり、カバレージスタッフから「可能ならここからは1卓ずつフィーチャーしたい」というオファーが告げられる。清水と山本の2人はそれに快諾を示し、ひとまず試合の決着を未来に預けて、B席で戦う佐藤 レイと三原 槙仁を見守ることにした。

山本 1-1 清水

 

B席:佐藤 レイ vs. 三原 槙仁

「想像の3倍は強いよ」

 昨シーズン、ノンレベルから一躍プラチナレベル・プロへと昇りつめた佐藤 レイは、まさにマジック界の新たなスターの1人だ。佐藤のキャリア自体は決して短くはないのだが、グランプリやプロツアーでの上位入賞など、分かりやすく脚光を浴びる機会が多かったかと言うとそうでもない。やはり昨年のグランプリ・香港2017での優勝をきっかけに彼の存在を知ったという方も多いことだろう。

 そんな佐藤と決勝の舞台で覇を競うこととなった、言わずと知れたプロツアー殿堂顕彰者・三原 槙仁は、決勝の直前にトイレで佐藤たちとすれ違った際にこう告げていた。

三原「僕のデッキ、想像の3倍は強いよ」

 試合前から対戦相手のチームへと自らのデッキの完成度を誇る。宣戦布告とも取られかねない大胆不敵な行いだが、ともすれば三原なりに自らを追い込む儀式であったのかもしれない。プロツアー殿堂顕彰者でありベテランの三原からしてみても、行弘に山本、そして佐藤たちは、間違いなくマジックの次代を担う存在だ。そんな彼らに対し、思うところがあるのだろう。

 その胸中に秘められたものは三原本人にしか分からないことだが、少なくとも明らかなことが一つある。

 三原は佐藤に全身全霊を持って当たる。そしてそれは、佐藤がこの先プロとして戦っていく中で、いつか必ず超えていかねばならない壁であるということだ。

 
三原 槙仁

 貫禄を見せつけるかのごとく、三原はまず第1ゲームを先取する。《天空の斥候》、《空騎士の軍団兵》、《パルヘリオンの巡視兵》と軽快に動き出し、制空権を取って佐藤のライフを詰めていく。

 佐藤はかろうじて《正義の一撃》で《空騎士の軍団兵》を除去するが、他に除去を引くことができないまま三原の飛行ビートにされるがままのターンが続くこととなる。先手でマナ・カーブ通りにしっかりと動くボロスに、除去を引かずクリーチャーも並ばないセレズニアが勝てる道理はなく、佐藤は早くもマッチに王手をかけられることとなった。

 だが、佐藤も第2ゲームでは先刻のような楽をさせることはない。《ヴァーナーディーの盾仲間》から動き出した佐藤は続けて《レーデヴの勇者》、《議事会の騎兵》を展開し、次々にクリーチャーをレッドゾーンに送り込んでいく。

 三原はこの中でも最も厄介なクリーチャーである《議事会の騎兵》こそ《光明の縛め》で除去するも、プレイするクリーチャーは《松明の急使》や《ボロスの挑戦者》と佐藤のクリーチャーにサイズ負けしておりいまいちパッとせず、しかも土地が3枚で止まってしまったことで佐藤のクリーチャーたちを前に立ち往生を余儀なくされていた。

 やがて佐藤が《鋼胴の甲虫》で戦線を強化し、《議事会のギルド魔道士》までをも呼び出すと、ゲームカウントは1-1に戻ることとなる。

 そしてすでにマッチを終えた行弘と細川、そして山本と清水も隣で見守る中、決勝の趨勢の懸かった運命の第3ゲームが幕を開けることとなる。

 
佐藤 レイ

 先攻の三原は7枚の手札をキープするや《軍勢のギルド魔道士》をプレイし、返す佐藤が《ヴァーナーディーの盾仲間》で応じると三原がアタックを仕掛けてくる。ライフに変動がない状態で、システムクリーチャーである《軍勢のギルド魔道士》が相打ち覚悟でアタックを仕掛けてくるというのはいかにも怪しいアタックだが、佐藤は隣にいる行弘に相談しながら恐る恐るブロックに向かわせる。

 行弘の読みでは「コンバットトリックを使いたい」か「コンバットトリック読みでブロックをしないと踏んでのアタック」のどちらかで、後者の場合はブロックし得、前者であってもここでコンバットトリックを使ってもらえるのは後々の展開で楽になるのでブロック以外の選択はないという状態。結果はどうやら後者だったようで、佐藤にとってはやや優位なブロックが成立することとなる。

 しかし三原も佐藤がこの程度の揺さぶりに動じないことは織り込み済みだ。《刃の教官》をプレイして佐藤の表情を伺う。対し、佐藤と行弘は声を合わせて「で、《空騎士の軍団兵》だ」と辟易する。

 想像通り、三原は続くターンに《空騎士の軍団兵》をプレイし、《刃の教官》とともにレッドゾーンへ送り込む。教導によって3/3になった《空騎士の軍団兵》が佐藤のライフを減らすも、《刃の教官》はしっかりと先のターンにプレイしていた《レーデヴの勇者》でブロックして相打ちにする。

 しかし、想像通りだったからといって楽な展開ではない。手札に《空騎士の軍団兵》を対処する術はなかったため、《スマーラの森整形師》で回答を探しに行くが――

佐藤「ヤバい、ふざけてる」

 十分な数のクリーチャーとエンチャントカウントが用意されているはずの佐藤だったが、ライブラリーの上4枚はすべてハズレ。この《スマーラの森整形師》で何の成果も挙げることのできなかったことでただテンポ面で損をすることになってしまい、行弘とともに苦い顔を浮かべることとなった。

 返す三原はこれを攻撃の好機と見て、《空騎士の軍団兵》に《狂った怒り》をエンチャント。飛行5点クロックが生まれ、佐藤は青ざめることとなる。続く第2メインに《気難しいゴブリン》を展開され、《スマーラの森整形師》でアタックに行く機会もなくなってしまったことでダメージレースを挑む術もなくなってしまう。序盤は完全に三原のペースだ。

 佐藤はひとまずドローし、行弘に何かを耳打ちする。何かできることがあるのか? 怪訝な顔で見つめる三原に、細川が「《秋の騎士》かも」と話す。

 少考し、プレイの道筋を立てた佐藤は細川の推察通り《秋の騎士》をプレイ。その《帰化》モードで《空騎士の軍団兵》に貼られた《狂った怒り》を剥がす。さらに残ったマナで《希望の夜明け》を設置し、三原へとターンを返した。

 《空騎士の軍団兵》はサイズダウンしてしまったが、三原がやることは変わらない。第1メインフェイズで容赦なく《押し入る荷役獣》を追加し、佐藤のブロッカーを排除して全軍攻撃。悲鳴を上げる佐藤のライフは7まで削られ、三原目線ではいよいよマッチの終焉が見えてきた。

 だが、返す佐藤はまさかのドローゴー。たしかに《秋の騎士》と《スマーラの森整形師》、そして《希望の夜明け》で出てくるトークンによってライフを守ること自体はできるが、佐藤の手札はまだ尽きてはおらず、あまりにもきな臭い。かといって三原が攻撃しない手はないのだが、佐藤は三原の攻撃宣言を聞き届けると改めて手札を確認し、あらかじめ決めていた起死回生の一手を打つ。

 まずは《希望の夜明け》の起動型能力でトークンを出し、《押し入る荷役獣》をブロック。さらにクリーチャーをタップして召集コストを支払っての《群れの好意》!

 これには三原チームのメンバーも息を呑む。絆魂によってライフを回復した佐藤は《希望の夜明け》によってカードを引いた上でこのターンの戦闘の損失を取り戻し、続くターンには《ケンタウルスの仲裁者》でさらにライフを回復。

 これまで《空騎士の軍団兵》で地道に削ってきたライフを再び削りなおさなくてはならなくなった三原。仕方なしに戦闘を続けるが、佐藤は《押し潰す梢》でついに《空騎士の軍団兵》をも除去する。

 長くシビアな展開が続いたが、ようやく佐藤が盤石な盤面を築いた。行弘、山本と負け筋を確認し、万が一に備えて《轟音のクラリオン》をケアしつつ三原を強襲する。やがて三原が最後のドローを確認すると、見事な逆転劇を演じた佐藤に右手を差し出して、グランプリ・名古屋2018の決勝戦の優勝チームを称えた。

佐藤 2-1 三原


 桶狭間で戦った織田信長と今川義元然り。懸かっているものの違いはあれど、人の世は往々にして戦いとともにある。その是非について語る言葉は持たないが、「闘争」の意味と理由について、形而上的な観念にまで押し広げた上で解釈することならばできる。すなわち人が理想を叶える行為には戦いが伴うのだろう。それは打倒すべき相手がいることもあれば、戦うべきは己が自身ということもある。

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 今、遠い過去と遠い未来の中間地点で一つの戦いが終わった。仲間たちと勝利の喜びを分かち合う彼らは、きっとこれからも多くの戦いを繰り広げ、そして多くの理想を叶えていくのだろう。

 さあ、我々も戦いに出よう。時代も信念も国境も超えて。胸に抱いた理想が我々を繋げてくれる。貪欲に、勝利という手段で自らを満たそう。

 その意義は、彼らの充足した表情に学ぶことができるはずだ。

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行弘 賢/佐藤 レイ/山本 賢太郎、グランプリ・名古屋2018優勝おめでとう!
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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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