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グランプリ・京都2017

観戦記事

準々決勝:Roy Yang(カナダ) vs. William Jensen(アメリカ)

By 矢吹 哲也

 「マジックというゲームの頂の景色を余すところなく見せてくれている」と評されたプロツアー『戦乱のゼンディカー』のトップ8入賞者は、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo Da Rosa、ジョン・フィンケル/Jon Finkel、玉田 遼一、リッキー・チン/Ricky Chin、ポール・ディーン/Paul Dean、マーティン・ミュラー/Martin Müller、オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald、瀧村 和幸の8名であった。

 そして今大会グランプリ・京都2017のトップ8入賞者は、マーティン・ミュラー、矢田 和樹、パスカル・メイナード/Pascal Maynard、木原 惇希、ウィリアム・ジェンセン/William Jensen、ロイ・ヤン/Roy Yang、チー・ウェンタオ/Qi, Wentao、ジョン・フィンケルの8名である。

 「どちらの方が凄いか」という議論はさておき。このグランプリ・トップ8入賞者も「マジックというゲームの頂の景色を余すところなく見せてくれている」のは間違いない。

 4卓あるフィーチャー・テーブルのうち、ここで取り挙げるのは殿堂顕彰者ウィリアム・ジェンセンとカナダのロイ・ヤンの試合だ。ヤンは今回が自身初のグランプリ・トップ8入賞ということで、強者揃いの中で勝ち上がれたことに「幸運です」とはにかみ、笑顔を見せる。

 対面するジェンセンは、2敗と追い詰められたところから予選最終ラウンドを激戦の末に勝利し、もはや何度目かもわからないグランプリ・トップ8入賞を決めた。なおグランプリ優勝はこれまで5回を記録しており、ここでその数字をひとつ重ねれば、中村 修平や渡辺 雄也、カイ・ブッディ/Kai Buddeが持つ最多優勝記録まであとひとつに迫る。

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ロイ・ヤン(赤緑)vs. ウィリアム・ジェンセン(黒緑)

 最初に動いたのは後手のジェンセンだった。彼が2ターン目《廃墟ネズミ》を繰り出すと、ヤンは返しに《棘モロク》を展開。《廃墟ネズミ》による攻撃を受けたヤンは続けて《マナリス》を設置後《苦しめる声》を唱え、果敢の力を得た《棘モロク》でジェンセンに4点の反撃を与える。

 そしてジェンセンが《オアシスの祭儀師》を繰り出してターンを返したそのとき、ヤンは迎えたターンに《蝗の神》を出現させた。

 しかしジェンセンの返しは完璧だった。《先導》を《廃墟ネズミ》に唱えると、ブロックを強制してこれを退けたのだ。

 ヤンは豊富なマナを駆使して《ロナスの重鎮》と《戦闘の祝賀者》を繰り出し戦線を作り直した。そして《選別ワーム》で守りを固めたジェンセンへ総攻撃を仕掛ける。

 ヤンは《同期した一撃》で《ロナスの重鎮》と《棘モロク》を強化すると、「督励」も使用して攻撃を宣言。《選別ワーム》を5/5の《ロナスの重鎮》へ、《オアシスの祭儀師》を《戦闘の祝賀者》へ向かわせたジェンセンだが、《マグマのしぶき》によるダメージで《選別ワーム》を相討ちに取られ、そして残りライフはわずか1点に。

 しかしここからジェンセンの猛反撃が始まる。《猛り狂うカバ》で盤面を制圧した彼は、続くターンに《ケンラの永遠衆》、《よろけ腐り獣》と展開。《ハシェプのオアシス》も消費してジェンセンの守りを突破しようとするヤンの攻撃を、《超常的耐久力》を駆使して防ぐ。そして《猛り狂うカバ》による攻撃で、ヤンも追い詰められることになった。

 最後の1点を削る手段は、ヤンのもとにもたらされなかった。


ヤンの攻撃をしっかりと受け切り、ゲームを先取するジェンセン。

 第2ゲームは両者とも初手をしばらく睨み、ヤンが「Mulligan」と宣言するとジェンセンも「Me too」と初手をライブラリーへ送る。続く6枚をキープした両者は占術で見たカードもライブラリー・トップへ置き、ゲームを開始した。

 ヤンが《果敢なケンラ》で口火を切ると、3ターン連続で《》を並べたジェンセンは《忌まわしい生き残り》を展開。対するヤンは《》、《》、《》と並ぶ土地から《棘モロク》を盤面に追加する。

 4ターン目も《》を置いたジェンセンは、《よろけ腐り獣》でヤンの攻勢を受け止めようとするが、《マグマのしぶき》と《待ち伏せ》がジェンセンの盤面を崩壊させ、彼のライフは早くも残り11点に落ち込んだ。

 しかし5ターン目、再度《》を置いたジェンセンの手札からは《イフニルの魔神》が。それでもヤンは2枚目の《待ち伏せ》を放ち、追撃の手を緩めない。

 ようやく緑マナを手に入れたジェンセンは《オアシスの祭儀師》から《採石場の運び屋》と展開を進めると、対するヤンは《火付け射手》、そして《戦闘の祝賀者》を戦場へ。ジェンセンは《毒の責め苦》でそれを退場させ、《採石場の運び屋》での反撃を加える。

 これをダブル・ブロックで相討ちに取ったヤンだが、ジェンセンの盤面には《選別ワーム》が追加された。ヤンは《蓋世の誉れ》でそれを退場させると、ついに《蝗の神》を引き込んだ。

 ジェンセンは《オベリスクの蜘蛛》で《蝗の神》の攻撃を一度防いたものの。神は次々と昆虫を生み出し、手を付けられなくなるまでに時間はかからなかった。


除去が飛び交う消耗戦を制すヤン。

 迎えた最終ゲーム、両者キープで決戦が始まると、ジェンセンが2ターン目《不憫なラクダ》、3ターン目《忌まわしい生き残り》を繰り出し、対するヤンは......ヤンは、土地が2枚で止まってしまった。

 それでも《火付け射手》、《ロナスの重鎮》と序盤の戦線は築いたヤンだが、ジェンセンは《オアシスの祭儀師》で生み出せるマナの差を開いていく。

 ヤンは《苦しめる声》で3枚目の土地を引き込み、《ロナスの重鎮》を「督励」して攻撃。だがジェンセンは早くも《猛り狂うカバ》を戦線に追加した。

 その後4枚目の土地も引き込めたヤンは《火付け射手》と《苦刃の戦士》を追加する。しかし続くターン、ジェンセンの盤面には2体目の《猛り狂うカバ》が着地した。

重量級のクリーチャーが厚い壁となってヤンの前に立ちはだかる。

 それでもヤンは臆さず全軍で攻撃。《苦刃の戦士》を「督励」して接死をつけるとすかさず《待ち伏せ》を放ち、《猛り狂うカバ》を1体除去。ジェンセンのライフを残りひと桁まで脅かす。ジェンセンは《華麗な苦悶》で《火付け射手》と《ロナスの重鎮》へ-1/-1カウンターを置くと、《猛り狂うカバ》で反撃し、ヤンのライフも壁際に追い込んだ。

 その後《採石場の運び屋》の効果で《ロナスの重鎮》に置かれた-1/-1カウンターを増やされてこれを失ったヤンは、最後の攻撃を敢行する。手札は今引いた1枚のみ。ジェンセンがどちらもブロックしたことを確認すると、ヤンは手札の《》を見せて握手を求めたのだった。

ヤン 1-2 ジェンセン

ウィリアム・ジェンセンがロイ・ヤンを2勝1敗で下し、準決勝へ!
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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