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グランプリ・京都2017

観戦記事

第9回戦:Marijn Lybaert(ベルギー) vs. Marcio Carvalho(ポルトガル)

By 矢吹 哲也

 翌週にプロツアーを控える今大会には世界中から強豪が集まり、普段の日本のグランプリと比較して極めて過酷な戦いになっている。

 その中で行われた、初日全勝をかけた最終戦フィーチャー・マッチ。テーブルで対面する両者は、輝かしい戦績を持つ古豪と現役最高峰だった。

 マリーン・リバート/Marijn Lybaertは、グランプリ・トップ8入賞3回、プロツアー・トップ8入賞4回を誇るベルギーの強豪だ。およそ10年前にプロ・シーンへ現れ、その後ベルギーのマジック・プレイヤーの評価を一変させた先駆者的存在と言える。最近はプロ・シーンの最前線で彼の名を見ることは少なくなったものの、直近ではワールド・マジック・カップ2013にて、ベルギー代表の一員としてチームのトップ8入賞に貢献している。

 マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoもプロツアー出場回数やプレイ歴などはリバートに近いが、彼は今まさにプレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースの先頭を走る現役最高のプレイヤーのひとりだ。昨シーズンは「ドラフト・マスター」のタイトルを獲得し、世界王者となるまであと一歩のところまで迫った。得意のドラフトは明日だが、初日のシールドデッキでもここまで無敗の圧倒的なパフォーマンスを見せている。

それぞれのデッキ

 カルヴァリョが「全くもって素晴らしい」と評するカード・プールから組み上げたのは、赤黒のレア満載デッキ。《蠍の神》をはじめとして5枚もの強力なレアを詰め込んだこのデッキは、ここまでの8回戦で当たった相手を次々と撃破してきた。

 対するリバートは赤青の2色で、《砂かけ獣》や《抑え難い渇き》の「砂漠」シナジーと火力やバウンス呪文でテンポを取って戦うデッキに仕上げている。こちらもここまで全勝とはいえ、カルヴァリョの強力なレア攻勢を食い止めるられるかどうかが焦点となるだろう。

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マリーン・リバート(赤青) vs. マルシオ・カルヴァリョ(赤黒)

 リバートは初手を見るなりマリガンを選択。6枚となった手札にも眉を寄せたがこれをキープしてゲームは始まった。

 初動はカルヴァリョ。《ケンラの永遠衆》を繰り出すと、リバートは《戦場のゴミあさり》で応戦。《熱烈の苦悶術師》を追加したカルヴァリョに対して、リバートはそこへ《抑え難い渇き》を貼ると、続く《前線の壊滅者》も2枚目の《抑え難い渇き》で封殺する。

 だがカルヴァリョの攻勢は止まらない。《血怒りの喧嘩屋》を追加すると攻撃を仕掛け、リバートの盤面に残る《戦場のゴミあさり》と《ケンラの永遠衆》との相打ちを取る。《熱烈の苦悶術師》を展開したリバートに対し、カルヴァリョは《心臓貫きのマンティコア》で《抑え難い渇き》に封じられていたクリーチャーを飛ばして道を開け、リバートのライフを残り11点とする。

 《縞カワヘビ》で防御に入ったリバートだが、猛攻を受けた上に《火をつける怒り》を撃たれ、カルヴァリョの戦力を削ることもできなかった。「オーケー」と笑い声をひとつ上げると、リバートはカードを片付けた。


リバートの繰り出す除去を意に介さず、厚みのある攻撃を繰り出すカルヴァリョ。

 サイドボーディングを終え第2ゲームを開始しようとする両者のもとへ、カバレージ班のスタッフが現れ、1枚のプリントを置いていった。そちらへ目をやったふたりは、忍び笑いを漏らす。そこには「この試合に勝った方(初日全勝者)は、カバレージ・ブースまでお越しください」とあった。

「君だね」とリバートはカルヴァリョへ声をかけ、

「そうなるといいね」とカルヴァリョは応じた。

 第2ゲームは両者とも2ターン目のアクションがなかったが、3ターン目にカルヴァリョが《熱烈の苦悶術師》を繰り出すと、リバートは《砂かけ獣》でそれを除去しつつ盤面の優位を取る。《屍肉の金切り声上げ》を展開したカルヴァリョに対し、リバートは《砂かけ獣》で攻撃に向かい、それを相討ちに取った。

 そして迎えたカルヴァリョの5ターン目、彼の手札から神が舞い降りた。

 テキストを確認するリバートに対し「もし土地4枚で止まってるならキツイって書いてあるよ」と笑うカルヴァリョ。《徙家》で手札に戻されながら《熱烈の苦悶術師》を展開されても、余裕の笑みでこちらも再展開。

 しかしその笑みは、次の瞬間に消えることになる。

 一転、この恐るべき脅威はカルヴァリョの方へ牙を剥いた。

 しかし彼は《翦草》でリバートの《熱烈の苦悶術師》を除去しつつ奪われた《蠍の神》のサイズを下げ、《血怒りの喧嘩屋》を展開。これで返しの大打撃を防ぐと、迎えたターンに《心臓貫きのマンティコア》で《血怒りの喧嘩屋》を投げ飛ばし、《蠍の神》を取り戻した。

 しかしリバートはカルヴァリョの手札に戻った《蠍の神》を《忘妻》で捨てさせ、これで神の脅威は去った。反撃に転じたリバートは《前線の壊滅者》と《砂かけ獣》で畳み掛ける。

 こうなると、カルヴァリョの側は苦しい。頼みの除去や盤面をひっくり返すレアは引けず、やがて彼は肩をすくめてカードを片付けた。


恐るべき神をも手懐け、リバートがゲームを取り返す。

 第3ゲーム、またもマリガンを喫したリバートに対し、カルヴァリョは《廃墟ネズミ》、《熱烈の苦悶術師》と素早い展開。《苦しめる声》で手札を整えにいくリバートだが、対抗する戦力を繰り出せない。

 さらに《屍肉の金切り声上げ》を盤面に追加するカルヴァリョは、《発射》で《熱烈の苦悶術師》を失ったものの、攻勢を続ける。リバートのライフは残り11点となり、次のターンにはそれが7点へ落ち込んだ。

 《至高の意志》で土地を引き込んだリバートは、《砂かけ獣》でなんとか盤面を食い止めた。一方のカルヴァリョは、ここに来て追加の脅威を繰り出せない。

 リバートは《前線の壊滅者》を盤面へ送り出し、反撃の狼煙を上げた。しかしこの時点で残りライフは6点。しかもカルヴァリョの盤面には《忘れられた王族の壁》と「砂漠」があり、猶予はそこまで長くない。

 だがリバートはそれを《抑え難い渇き》で防ぐと、続くカルヴァリョの《遺棄地の恐怖》にも《相殺の風》を当ててシャット・アウト。《打擲場のマンティコア》を追加したリバートは反撃を続け、カルヴァリョのライフを残り11点に。

 勝負は決したと思われたが、ここでカルヴァリョが底力を見せた。彼は《翦草 // 除根》を引き込むと、「余波」まで一気に使ってリバートの軍勢を一掃。そして攻め手を失ったリバートに対してゾンビの軍勢を立て直したカルヴァリョは、わずかに残るリバートのライフを刈り取り、差し出された右手をしっかりと握り返したのだった。

リバート 1-2 カルヴァリョ

マルシオ・カルヴァリョが、グランプリ・京都2017初日全勝を達成!
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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