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グランプリ・京都2013

観戦記事

決勝:チーム Hron/Hayne/Hoaen vs. チーム 三原/板東/山本

By Tesuya Yabuki

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 アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayne、リッチ・ホーエン/Rich Hoaen、マイク・フロン/Mike Hron。

 三原 槙仁、板東 潤一郎、山本 賢太郎。

 スター揃いの今大会でも、この6人はひと際注目を受けてきた。もはやここで彼らの経歴や強さを改めて語っても、それは野暮というものだ。

 我々は、ただ見届けよう。

 ここ京都の地で、6年ぶりに新たな神話が生まれる瞬間を。

 何度となくフィーチャー・エリアでスポットを浴び、強敵を撃破してきた彼らなら、きっと見せてくれる。

 神々も震えるほどの、極上の決勝を。


リッチ・ホーエン vs. 板東 潤一郎


リッチ・ホーエン/Rich Hoaen

「Good luck」と差し出されたホーエンの右手を板東が握り、ゲームが始まった。

 《死呻きの略奪者》から《悪魔の皮のミノタウルス》、さらに《不機嫌なサイクロプス》と軽快なスタートを切ったホーエン。板東も《国境地帯のミノタウルス》と《食餌の時間》で戦線を押し返すが、ホーエンはなおも突撃の構えを崩さない。

 そこへ突き刺さる《統率の取れた突撃》。ホーエンの《不機嫌なサイクロプス》が一方的に落とされ、板東の戦場に《巨体の狐》が追加されると、ホーエンにそれを越える手段は残されていなかった。


板東 潤一郎

 第2ゲームは板東が重い手札をマリガン。マリガン後の6枚も大きな変化はなく、初動が遅れてしまう。一方ホーエンは、《火飲みのサテュロス》から第1ゲーム同様に攻めていく。

 このまま重い手札を抱えて倒れるかと思われた板東だが、4ターン目、《世界を喰らう者、ポルクラノス》が駆けつける。

 大怪物の襲来に肩をすくめるホーエン。《一口の草毒》でこれを対処する頃には、ライフが追い詰められてしまう。

 とはいえ板東のライフも危険域だ。《世界を喰らう者、ポルクラノス》が退場した今、板東を守るブロッカーは1体。ホーエンの側には《パーフォロスの使者》と《不機嫌なサイクロプス》。どちらもダメージを通すことに長けているが、ホーエンは《不機嫌なサイクロプス》の方に《ドラゴンのマントル》をつけ、2体で攻撃。通れば致死量。それを断ち切れるのは――

 果敢に突撃するホーエンの軍勢を止めたのもまた、「突撃」であった。

ホーエン 0-2 板東

アレクサンダー・ヘイン vs. 山本 賢太郎

 初動《乳白色の一角獣》から《死者の神、エレボス》と、比較的ゆったりとしたスタートのヘイン。対する山本は、《トリトンの財宝狩り》へ次々とエンチャントを貼り付けていく。これには《航海の終わり》を当てたヘインだが、続く山本の《信条の戦士》へ撃ち込んだ《ファリカの療法》は、《迷宮での迷子》で誘発した「英雄的」によりかわされる。

 残った《信条の戦士》に、《タッサの試練》をつける山本。1回の攻撃で試練を達成し2ドロー。

 ヘインはこれも《捕海》で対処し大きく攻め込まれることは防ぐものの、肝心の攻め手がない。山本の《彼方の工作員》がライフを詰めてくる中《死者の神、エレボス》の能力でドローを増やしても、状況は好転しなかった。


山本 賢太郎

 2ゲーム目も《トリトンの財宝狩り》を中心に盤面を作る山本。ヘインは《葉冠のドライアド》から《難破船の歌い手》、《蘇りし者の密集軍》、《地平線のキマイラ》と横に並べていく。

 3枚搭載された《液態化》を用いて、数は少ない攻め手を確実に通していく山本。

 戦線を横に広げ、山本の攻撃力に食らいつくヘイン。

 息の詰まるライフレースを制したのは、《地平線のキマイラ》と《ファリカの療法》という、小さいながらもライフ回復手段を有するヘインだった。


アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayne

 この時点で板東の勝利が決まっており、次のゲームを山本が取ればチーム三原/板東/山本の優勝が決まる。

 だが、しかし。テーロスの神々のきまぐれか、ここへきて悲劇が山本を襲う。

 山本、痛恨のダブルマリガン。その後のドローも展望を開くものではなく、ついに呪文を唱えられないまま、山本は三原にすべてを託した。

「三原さん、任せます」

 その声を受け、軽く頷く三原。それぞれのチームメイトが、フロンと三原の席に集まった。

ヘイン 2-1 山本

マイク・フロン vs. 三原 槙仁


マイク・フロン/Mike Hron

 1ゲーム目はフロンが序盤から強烈なプレッシャーをかける展開。2ターン目に《恩寵の重装歩兵》を繰り出すと、3ターン目《残忍な発動》で早くも4/5で攻撃。ここへ《天馬の乗り手》が加わり、続くターンに《不屈の猛攻》の黄金パターン。軽めの除去が手札になく、展開も芳しくない三原はたまらず投了。

 2ゲーム目は三原から仕掛けていく。2ターン目《思考囲い》で《天馬の乗り手》を落とし、フロンの展開を阻害。


天馬の乗り手》を指定する三原 槙仁

 その隙に軽量クリーチャーを並べ、《運命の三人組》、《メレティスのダクソス》とレアを続けさせる。

 フロンは《メレティスのダクソス》を止めに入るものの、《戦識の武勇》、《エレボスの加護》とことごとく戦闘を生き延びてしまう。打点は低くともしっかりとダメージを稼いだ三原は、守りから攻めに転じたフロンとのダメージレースも制し、勝負をイーブンへ戻した。

 3ゲーム目に向けて入念にシャッフルを行う三原の隣で、ダブルマリガンに見舞われた山本がヘインに屈する。

 この瞬間、すべてが次のゲームにかかることになった。

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 それぞれのチームメイトの視線が、想いが、最終ゲームに注がれる。

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 《葉冠のドライアド》、《旅する哲人》、《英雄の記録者》とテンポ良く展開するフロン。《戦識の武勇》も積極的に使い、プレッシャーをかけていく。

 ところが、三原が祈るように繰り出した《先見のキマイラ》を前にフロンの軍勢は足止めをくらい、ここで攻守が逆転する。

 《先見のキマイラ》で攻撃後、もう1枚追加する三原。フロンは盤面に《ケンタウルスの戦上手》を追加してエンド。この時点でお互いのライフはフロン17点、三原13点。フロンに3/4飛行持ちを対処する手段はないものの、2体とも攻撃に向かえば反撃は必至だ。

 熟考する三原。やがて《災いの印》を片方の《先見のキマイラ》に2枚貼り、意を決したように2体とも攻撃に向かわせた。フロンはエンチャントのついた方を《葉冠のドライアド》でチャンプ・ブロック。フロンのライフは14点。飛行を止めることもできなくなった。

 次に熟考するのはフロン。チームメイトと言葉を交わし、こちらも全軍で攻撃。三原のライフは残り8点に。

 返しのターン、三原が勝負に出る。エンチャントでパワーを上げた《先見のキマイラ》に《洞窟のランパード》を「授与」し、1体で攻撃。ブロッカーを残しつつ、フロンの残り時間をあと1ターンにする。

 運命のラスト・ターン。フロンのドローは《平地》。そして手札から――

 《神々の思し召し》を受けた《ケンタウルスの戦上手》が、フロンの軍勢が、そしてフロン、ヘイン、ホーエンの3人が、真の英雄となった瞬間だった。

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Congratulations to Team Hron/Hayne/Hoaen, the Grand Prix-Kyoto 2013 Champions!
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