By 宮川 貴浩

　第12回戦には、日本選手権2003優勝、プロツアー・サンファン2010ベスト8、世界選手権2007ベスト４など数々の輝かしい実績をもつ古豪、大塚が登場した。使用するのは、玄人好みの《先祖の結集》デッキ。

　対する齋藤も、グランプリ・新潟2009でベスト８に入った経験のある強豪。選択したのは赤緑上陸デッキだ。魅力は、回ればどこからでも勝てる爆発力があることだと語る。

　マジックとともに長きを歩んできた二人は、どんな熟練の技を披露してくれるのだろうか。

大舞台でも落ち着いた様子の両雄。スイッチが入るのはどのタイミングか。

ゲーム１

　《鎌豹》でスタートする齋藤に、大塚がブロッカーの《シディシの信者》で応じ、試合は始まった。

　齋藤は《僧院の速槍》を戦場に送り出し、上陸した《鎌豹》とあわせて攻撃を開始するが、《シディシの信者》の前に思ったようにライフを削れない。

　大塚は《エルフの幻想家》でゆっくりとドローを進め、齋藤も長くなりそうな戦いに《棲み家の防御者》を変異でプレイして備えた。

　先に仕掛けたのは、齋藤。フェッチランドで《鎌豹》の上陸を２回誘発させ、２枚目の《僧院の速槍》を追加、さらには果敢を誘発させながら《タイタンの力》を唱え、一気に打点を上げる。そして、《棲み家の防御者》を「大変異」させ、《タイタンの力》を回収した。

　これに対し、大塚はブロック前に《集合した中隊》をキャストし、《シディシの信者》と《ナントゥーコの鞘虫》という素晴らしい戦力を得た。《シディシの信者》の濫用能力で《エルフの幻想家》が生け贄に捧げられ、齋藤の《棲み家の防御者》は手札に戻る。そして、《僧院の速槍》は自身の能力で大きくなった《ナントゥーコの鞘虫》によって討ち取る。

猛攻にも焦りを見せず、着実に戦力を充実させていく大塚

　齋藤は２体の《棲み家の防御者》を表と裏で出し戦力の立て直しを図るが、大塚のさらなる《集合した中隊》が《ズーラポートの殺し屋》と《地下墓地の選別者》をもたらし、戦場を固めていく。そして《ヴリンの神童、ジェイス》までもが着地すると、齋藤は《ナントゥーコの鞘虫》をチャンプブロックするしかなくなっていく。

　齋藤は《タイタンの力》の占術で必死に回答を探しながら２体の《棲み家の防御者》で大塚のライフを８まで減らすが、大塚はついに《先祖の結集》をキャスト。

　戻って来た《シディシの信者》でクリーチャーは手札に戻され、《ナントゥーコの鞘虫》はとてつもなく大きくなり、《ズーラポートの殺し屋》にライフを吸われ......齋藤は速やかに投了した。

大塚 1-0 齋藤

ゲーム２

　サイドボードをやや悩んだ齋藤は、今回は《噛み付きナーリッド》でスタート。大塚は《アラシンの僧侶》でこれを受け止める態勢に入った。

　《地下墓地の選別者》でさらに盤面を固めようとする大塚に対し、齋藤は《わめき騒ぐマンドリル》で攻勢をかける。

　次いで齋藤が《地下墓地の選別者》に《焙り焼き》を撃ったところで、大塚は少し考え、《吹きさらしの荒野》から慎重に《大草原の川》を持ってくる。そして、《集合した中隊》を唱えた。

　しかし、めくれたのは《アラシンの僧侶》１体のみ。これを見た斎藤は、《噛み付きナーリッド》と《わめき騒ぐマンドリル》で軽快にアタックする。

　大塚は《地下墓地の選別者》を出し、《シディシの信者》の濫用と、占術をからめたチャンプブロックでこの状況を凌ごうとする。そして、出し直された《わめき騒ぐマンドリル》のアタックにあわせて、２枚目の《集合した中隊》を唱えた。

　今度は《ズーラポートの殺し屋》、《シディシの信者》ときっちり主戦力が呼び出され、これには齋藤も「うーん」と首をかしげた。幾度となく手札に戻ってくる《わめき騒ぐマンドリル》はアタックを通してもらえず、《ズーラポートの殺し屋》がライフを、《地下墓地の選別者》が潜在的なアドバンテージを大塚にもたらしていく。

　ここで齋藤は《雷破の執政》を戦場に送り、角度を変えた攻めを図る。さらに《強大化》が唱えらえると、思わず大塚の口から「死ぬ？」と言葉が漏れた。齋藤の答えは――「死にません」

「《ティムールの激闘》、あったらよかったんですけどね」と齋藤

　実はこの時、齋藤は《龍詞の咆哮》と《強大化》を持っており、《ティムールの激闘》さえあれば、21点ある大塚のライフを一気に０にできたのだ。互いにそれを見据えてのこのやり取り。両者のゲームへの理解度の高さがうかがえる。

　これが、齋藤が一撃必殺を決める唯一のチャンスだった。大塚が逆に必殺の《先祖の結集》を唱えると、それがそのまま決着のゴングとなった。

大塚 2-0 齋藤