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グランプリ・神戸2014
Deck Tech: 後藤祐征のタルモバーン親和
by 中村 修平
このデッキは面白い。
筆者も初めは、このグランプリでどこのテーブルにでもいる、いわゆる親和デッキだと思っていた。
しかし勝ちを積み重ねる毎にどうもそうではないらしい。
親和が親和として成り立っているアーティファクト・クリーチャー、《電結の荒廃者》や《刻まれた勇者》を全く見ないのだ。
代わりに見るのが《思考囲い》《感電破》《爆片破》に《アーティファクトの魂込め》といったカード。
どれも親和の定番といえるパーツなのだが、通常、親和ではデッキ内のアーティファクト比率を高めないと機能しないため、これらのカードは「必要ではあるが、デッキの廻りを阻害する不純物」なのでなるべく枚数を抑える傾向にあるはずなのに...
もしかして主と従が逆転している?
極めつけがメインボードに《タルモゴイフ》!?
デッキリストを見て納得した。
これはもはや親和ではなく、別の何かと言うべきだ。
ということでこのデッキを何と呼べばよいのか。
英語版カバレージライターのジョシュ・ベネットもこのデッキを気に入っていてインタビューを取りたいというので、それに同行する形で、デザイナー兼使用者の後藤祐征に聞いてみることにした。
プロツアー・パリ2011でトップ8入賞、グランプリ・マニラ2010チャンピオンの中田直樹も最大の信頼を置く
ジョシュ
第12ラウンド終了時で現在1敗ですね、あとトップ8まで2つかな? ちょっと緊張してる?
後藤
はい、とても緊張してますね。というか朝から緊張しっぱなしです。
中村
デッキについてですが、たしか初日終了時点でちょっと話した時に、このデッキは「タルモバーン」だと仰ってましたが。
後藤
そうです。
親和というよりは本体狙いのデッキで、殴るのは1回だけ、残りは火力で、って試合がほとんどです。ジョシュ
ということは、例えば対戦相手も親和と勘違いしてくれて、勝手にライフを減らしてくれたケースが多かった?
後藤
よく土地をアンタップ・インして2点払ってくれてます。
一度なんて対戦相手がフェッチランドで1点、ショックインで2点、《四肢切断》で4点もらってくれて、《爆片破》×2、《感電破》っていう(削りきった)ゲームもありましたよ。
ジョシュ
ちなみにこれも火力だよね?(《アーティファクトの魂込め》を指しながら)
後藤
それは青い《ボール・ライトニング》です。
これを聞いてジョシュ大喜び。
後藤によると、さすがに皆このカードはケアしてくるので、「出したそのターン分の仕事しかしない」と割り切って使っているらしい。
そこで少し気になったことが...
ジョシュ
このデッキを見ていると典型的な親和カードのほとんどが抜けていて、ただ《頭蓋囲い》だけが残っているようだけど、この《頭蓋囲い》はこのデッキだと何点くらいのダメージ期待値なの?
後藤
中村さんが初日のフィーチャーマッチでボソっと言ったように(聞かれてた!)、だいたい《骨断ちの矛槍》です。
大きい時で5点くらいなので、2〜5点ということで...ジョシュ
最後に土地について、14枚とちょっと少なすぎるように見えるのだけど、このグランプリでどれくらいの頻度でマリガンした?
後藤
練習時と比べてグランプリではマリガンが重なってて、だいたい今のところ7割くらいでマリガンしてますね。
調整段階では《思考囲い》の部分が《ギタクシア派の調査》だったのですが、《思考囲い》にしても廻ったのとカードパワーを優先して、この構成になりました。
それにデッキ全体が最高で2マナまでと軽いので、それほど苦にはならないのもこのデッキの長所だと思います。
ここでジョシュのインタビューは終了、個人的に聞きたかったデッキの調整過程についても聞いてみた。
後藤
デッキ的には特にこれだっていうのはなくて、色々使ってみた結果やっぱり親和がメインでは強くて。それだったら「サイドボード後をやろうぜ」って風になったんですよね。
なるほど、たしかにデッキ自体が親和のサイドボード後と言われるとしっくりくる。
後藤
それと周囲が「風景の変容」を使っていたというのが大きいですね。
相手がコンボデッキだからスピード重視で組まないといけないから、その中で火力で焼くという方針が決まり、《電解》に1/1が泣かされることが多いから、そうならないように1/1が並ばないデッキ、というように組んでいったらこうした形になりました。
「アーティファクト破壊カードでなるべく死なない親和デッキ」というコンセプトからスタートして、かなり良いデッキに仕上がったと思います。
当然上位4種のデッキに対しての対策を取った上で、神戸で猛威を振るっている「風景の変容」にも勝てるように作ってある。勝つべくして勝ったということか。
残るはあと3ラウンド、2勝1敗以上でトップ8。ぜひ決勝で見てみたい。
4 《ちらつき蛾の生息地》 4 《ダークスティールの城塞》 4 《空僻地》 2 《マナの合流点》 -土地(14)- 4 《メムナイト》 4 《羽ばたき飛行機械》 4 《タルモゴイフ》 4 《大霊堂のスカージ》 -クリーチャー(16)- |
4 《オパールのモックス》 4 《彩色の星》 4 《感電破》 4 《バネ葉の太鼓》 2 《思考囲い》 4 《頭蓋囲い》 4 《アーティファクトの魂込め》 4 《爆片破》 -呪文(30)- |
2 《摩耗 // 損耗》 2 《流刑への道》 2 《陽光の呪文爆弾》 1 《思考囲い》 2 《古えの遺恨》 2 《呪文滑り》 2 《鞭打ち炎》 2 《エイヴンの思考検閲者》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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