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グランプリ・神戸2014

観戦記事

第9回戦:藤本 洋介(千葉) vs. 廣澤 遊太(東京)

By 矢吹 哲也

 初日最終ラウンドとなる第9回戦。フィーチャー・マッチ・エリアの4卓ともすべて全勝者同士の戦いが繰り広げられる。

「今日ダイス全敗なんですよね」1と1の「2」という最悪の目を引いた藤本が笑みを浮かべ皮肉っぽくつぶやくと、「それでここまで全勝なら後手取ったほうが強いんじゃ?」と廣澤も和やかに応じる。

 2日目進出は決まっているが、その上を目指す両者にとってはひとつでも多く勝ちたいところ。華の全勝対決を制するのは果たして。


左:藤本 洋介(千葉) 右:廣澤 遊太(東京)

それぞれのデッキ

 藤本が選択したのは、今大会でも多くの人気を集めているであろう「親和」。「攻めるデッキが好き」と語る藤本だが、しかしデッキの不安定さやサイド後の厳しさにギリギリまで悩んだそうだ。最終的に友人の活躍に後押しされて下した彼の決断は、少なくともここまでは成功を収めている。

 一方の廣澤は白青2色のテンポ・デッキ。「刺さる相手が多い《地盤の際》を4枚使いたかった」と、彼はその選択理由を語る。また、メインとサイドともに扱いやすくミスを起こしにくいカードで構成されており、サイド後は様々なデッキに「丸く」立ち回れるのが魅力だという。

試合展開


藤本 洋介

 ここまで全勝と少なからず幸運に恵まれてきたはずの両者だが、第1ゲームから共にダブルマリガンと「不運」に襲われた。

 藤本は《バネ葉の太鼓》2枚と《オパールのモックス》から始めるものの、「実」が少ない立ち上がり。

 一方の廣澤はゲーム序盤は2枚で止まる土地に悩まされたが、《呪文嵌め》2枚で藤本の《電結の荒廃者》と《鋼の監視者》を続けて退ける。さらに続く《頭蓋囲い》も《瞬唱の魔道士》で「フラッシュバック」した《呪文嵌め》でシャットアウトというビッグ・アクション。

 これには思わず「厳しいー」と漏らす藤本。強いところをドローしているが、それに廣澤の動きが噛み合ってしまった。

効果抜群の3連発。

 序盤の動きを完全に防がれた藤本は、それでも1/1クリーチャーの群れで攻撃を続けるが、やがて土地を引き込んだ廣澤が《修復の天使》を軸に守りを固めると、藤本はそこを突破する術を持てないままカードを片付けることになった。

「やっぱりツライ。これまでコントロール系に当たって来なかったのは幸運でした」とサイドボード中の藤本がぽつり。

「さすがに有利かな」と廣澤も同意する。


廣澤 遊太

 続く2ゲーム目もマリガンに見舞われた藤本。マリガン後の6枚にも苦悶の表情。

 熟考の末にキープを選択した彼は、1ターン目《ダークスティールの城塞》から《大霊堂のスカージ》、続けて《バネ葉の太鼓》から《信号の邪魔者》と展開。

 しかし《血染めの月》には《無効》を合わせられ、その後《呪文滑り》と《アーティファクトの魂込め》を通した返しの《至高の評決》に天を仰ぐ。

 それでも負けじと《電結の荒廃者》と《頭蓋囲い》で盤面の再構築にかかる藤本。廣澤のマナがほとんど寝ているタイミングで意を決して《墨蛾の生息地》をクリーチャー化し、《頭蓋囲い》の装備と《電結の荒廃者》の能力を合わせて致死量の毒を生み出そうとしたが、この試合の廣澤はあらゆる対策を持っていたのだった。

藤本 0-2 廣澤

「あれだけ《呪文嵌め》が刺さったらもう」試合を観戦していた友人と共に「笑うしかない」と感想を述べた藤本。これから先の戦いに不安を見せつつも、しかし戦意は衰えない。

「明日も頑張りましょう」両者は長い1日の疲れを見せず笑顔で明日の健闘を祈り合うと、フィーチャー・マッチ・エリアを後にするのだった。

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