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グランプリ神戸11

準々決勝: 三原 槙仁(千葉) vs. Martin Juza(チェコ)
「固定観念」という言葉がある。
手元の辞書にはこう書いてある。「ある人の心中に潜在して、つねに念頭を離れず、外界の動きや状況の変化によっても変革することが困難である考え。」
マジックというゲームにおいては、しばしばこの「固定観念」がデッキ構築の邪魔をする。例えば、「装備品はクリーチャーデッキ専用である」「フェアリーには《マナ漏出》が必ず入る」「《定業》は青いデッキには必ず4枚入る」といったものだ。
しかし、えてしてブレイクスルーというのはこの「固定観念」を打ち破ったときに発生する。
「まさか《永劫の年代史家》が《ロクソドンの戦槌》を担いで攻撃してくるなんて思わなかった」
「まさかフェアリーデッキが《マナ漏出》を採用していないとは思わず、3マナを払えるまで我慢してしまった」
「《定業》は、調整の結果2枚がベストな枚数であるとわかった」
これらはほんの例でしかないが、「勝ったデッキ」の工夫たちである。およそ、勝つデッキ、すごいデッキというのはこういった固定観念を打ち破った何かを持っていることが多い。
さて、「世界王者」「千葉の魔王」は、一体どんな「固定観念」を破ったのか。
それは、デッキの枚数である。
![]() | |
| (見た目は普通の枚数だが・・・) | |
Game 1
さて、このマッチアップで互いに目指すものは何か。 三原は土地を並べて《風景の変容》を唱えて勝つという、非常に単純な目標である。 一方のJuzaは、三原の土地が伸びる前に《饗宴と飢餓の剣》+クリーチャーという状況を作り上げ、攻撃しながら《謎めいた命令》などのカウンター呪文を駆使して三原の勝ち手段を奪うということだ。 もちろんお互いにそれは承知。三原は妨害手段には乏しいので、三原の動きをJuzaがどこまで抑えられるかがキーになるだろう。 先攻の三原は《海辺の城塞》《つぶやき林》というゆっくりとした立ち上がり。 それに《石鍛冶の神秘家》→《饗宴と飢餓の剣》で答えるJuza。まずはJuzaが目標に一歩前進といったところだ。 だが三原も勿論、ここから自分の目標へと進んでいく。《魔力変》から土地を引き込み、更に《探検》《不屈の自然》で一気に自分の土地を「5」とする。実に、まだ3ターン目。 Juzaの3ターン目。3枚目の土地を置き、ターンを返す。勿論、カウンターを構えながら《石鍛冶の神秘家》で〈剣〉を出す狙いだ。 Juzaの伝家の宝刀に対する手段が現状ない三原は、《定業》でその解決を求めるとライブラリートップに《謎めいた命令》を残し、《魔力変》と4マナを立ててターンを返した。ライブラリトップに残した理由は、《ヴェンディリオン三人衆》をケアしてのことだろう。 土地が5枚で止まった三原に対し、これを一つの好機とみたJuza。 仮に失敗してしまっても土地が6枚ならば、《虹色の前兆》と《風景の変容》をそろえられていない限りは大丈夫。そう考えたか、〈剣〉を《石鍛冶》に装備させたうえでこれをレッドゾーンへ送り込む。黙っていては相手の土地が起きてしまって行動が阻害される三原は予定通り、《魔力変》→《謎めいた命令》で覆す。 驚くべきことに、戦闘後、Juzaは《天界の列柱》をセットする。これしか土地がなかったのだ。 先ほどの若干無理攻めにも見える攻撃は、ほかに選択肢がなかったことを意味する。結果、立っている土地は、青マナがひとつ分のみ。 三原がこの好機を見逃すはずはなかった。 土地を6枚とし・・・
《虹色の前兆》+《風景の変容》。
魔王の領地が、一瞬にして怒り狂う火山へとその姿を変えた。Juza為す術なし。
三原 1-0 Juza
Juzaは親日家である。
今回の延期を受けても、Juzaはこの神戸を訪れた。中村 修平と数日を日本で過ごし、すっかりお気に入りとなったものがテーブルに置かれている
謎の白い液体。その正体は?
Juza 「チェコではこんなおいしい飲み物はないよ」
「青白」をプレイする彼にとって、すっかりラッキーアイテムとなっているようだが、果たしてその加護は魔王に通用するのか。
Game 2
![]() |
| Martin Juza |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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