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グランプリ神戸11
Round 14: 八十岡 翔太(東京) vs. 中村 修平(大阪)
By Kenji Tsumura
勝てばトップ8、負ければ目なしという、所謂「崖」ラインで対峙することとなった二人のプレイヤー・オブ・ザ・イヤー(PoY)。
2006年度のPoYである八十岡は何年も使いこんでいる「フェアリー」を、今回のグランプリに向けて脳内で改良してきたようだ。実際の練習時間は0だということだが、サイドボードには《ファイレクシアの十字軍》のような独創的なカードが多く仕込まれており、その影響がどう出るかにも注目だ。
対するは2008年度PoYの中村。世界各国を飛び回る中村は、その国際色豊かな交友関係を活かし、日本勢だけでなく、チェコのMartin Juzaたちとも調整を重ね、エクステンデッド版の「Caw-Blade」を作り上げ、ここまで健闘を続けている。
ここで待望の白マナである《秘教の門》を引いた中村は、青マナ1つを浮かせて《石鍛冶の神秘家》をキャスト。これは八十岡の《マナ漏出》に阻まれるが、余った青マナで《定業》を唱え、手札の充実を図る。
八十岡も3ターン目にして、ようやく能動的に動く。《人里離れた谷間》で《ヴェンディリオン三人衆》を公開し、中村のドロー後にこれをキャストした。それによって露になった中村の手札は、《饗宴と飢餓の剣》×2、《精神を刻む者、ジェイス》《変わり谷》《平地》。
ここから《精神を刻む者、ジェイス》がライブラリーの底に送られるが、八十岡がフルタップの間に《饗宴と飢餓の剣》を通しておく。
八十岡は《ヴェンディリオン三人衆》でアタックの後に《地盤の際》をセットし、中村の《変わり谷》+《饗宴と飢餓の剣》プランを容易には許さない。
これを受け中村は《饗宴と飢餓の剣》を付けずに、《変わり谷》を起動して普通にアタック。地味ながらコツコツとダメージを積み重ねる。
相手の攻め手をうまく抑え込んだ形の八十岡は、《思考囲い》で手札をも攻める。中村は《マナ漏出》でこれに応える。八十岡は3マナを支払うこともできたのだが、《地盤の際》が使えなくなることを考慮して、この《マナ漏出》を《呪文づまりのスプライト》でカウンターした。
再び公開された中村の手札は、2枚目の《饗宴と飢餓の剣》と《平地》のみ。当然《饗宴と飢餓の剣》が取り除かれ、手札に有効牌がなくなってしまった中村は、《変わり谷》2枚を起動し、アタックを続ける。
八十岡も《ヴェンディリオン三人衆》と《呪文づまりのスプライト》でアタックしただけでターンを終える。互いのライフはともに10だ。
何かしら効果的なカードを引いた様子の中村は、このターンは《変わり谷》の起動を1体だけに留める。八十岡はそれを意に介した様子もなくアタックを決行。ここで中村が自身の《ヴェンディリオン三人衆》をキャストする。もしもカウンターされなければ、八十岡のダメージクロックは大幅に減少し、さらに手札を確認できる重要な一手だ。だが八十岡は《謎めいた命令》をもってこれを却下。ついでに中村の《天界の列柱》をバウンスし、中村の行動回数に制限をつける。
中村はトップデックした《石鍛冶の神秘家》を戦場に加えるが、前のターンにバウンスされた《天界の列柱》をセットランドすると、手札は0枚。
次のターンの中村のアップキープに唱えられた《霧縛りの徒党》に対し、対抗策を持たない中村は投了を宣言。
八十岡 1-0 中村
中村もなんとか《平地》を引き込み、《石鍛冶の神秘家》からの逆転を狙うのだが、いかんせん土地の総数に差がありすぎて思うように動けない。
八十岡は2枚の《コジレックの審問》で中村の《マナ漏出》と《石鍛冶の神秘家》を奪い去り、戦場にいた《石鍛冶の神秘家》も《誘惑蒔き》で奪い取る。
《変わり谷》に《饗宴と飢餓の剣》を付けて攻撃を続ける中村だが、裏切った《石鍛冶の神秘家》や《誘惑蒔き》にチャンプブロックされ、攻撃が一切通らない。
そしてその間にも八十岡の《ファイレクシアの十字軍》が中村を蝕み、毒カウンターは早くも6つに。
ここで追加の《ファイレクシアの十字軍》をキャストし、ゲームを決めにかかる八十岡。ブロッカーとして《変わり谷》と《忍び寄るタール坑》を用意しており、盤石の態勢を作り上げる。中村はどうしても《ファイレクシアの十字軍》2匹を対処することができない。
中村も《変わり谷》でチャンプブロックして時間を稼ぐものの、間もなくして、八十岡の秘密兵器が、主の12回目のグランプリトップ8を決めた。
八十岡 2-0 中村 《ファイレクシアの十字軍》について二人が試合後に話し合っていたので、そちらも記載しておこう。 中村 「Caw-Blade相手に本当に《ファイレクシアの十字軍》入れるの?《誘惑蒔き》で取られたらきつくない?」 八十岡 「《ファイレクシアの十字軍》のいいところは《誘惑蒔き》で取られても被害が少ないとこなんだよ。仮に1匹取られたとしても、そっちの《ファイレクシアの十字軍》は感染のせいでほとんどアタッカーの役割しないじゃん。」
Game 1
ダイスロールの結果、先攻は中村。今日のダイスロールにここまで全敗の八十岡は、さすがに不満を隠せないようで、少しばかり文句を言いながら初手を吟味する。 すぐさまマリガンを宣言した中村に対し、八十岡はまずまずの7枚をキープ。 八十岡 「先手くれたら7枚引き直していいよ(笑)」 などと和やかに会話をする二人ではあったが、中村が6枚の初手をキープし、一端ゲームが始めると空気は一変。お互いに真剣モードに切り替わる。 《変わり谷》からゲームを始めた中村は、2ターン目には《島》を置いて、早速《変わり谷》を起動してアタックを開始する。 八十岡は《闇滑りの岸》、《沈んだ廃墟》と並べ、静かにターンを返す。中村 修平 |
サイドボーディング
注目は八十岡が行ったサイドボーディングだ。相手の《テューンの戦僧》なども考慮し、《苦花》4枚全てをサイドアウトし、《ファイレクシアの十字軍》を投入したのだ。 エクステンデッドではあまり見かけることのないクリーチャーだが、「フェアリー」デッキの核とも言える《苦花》と入れ替えられたこのカードは、はたしてどれほどの活躍を見せてくれるのか?Game 2
再び中村の先攻でゲームが開始するが、今度は八十岡がワンマリガン。お互いに土地を置きあうだけのドローゴ―の展開が続くが、中村の土地が《島》《変わり谷》×3と色マナに不安の残るスタートとなる。無色マナを起こしていてもブラフにもならないので、またも序盤から積極的に《変わり谷》で攻撃を仕掛ける中村。 八十岡も自身の《変わり谷》でこれを相打ちとし、ダメージを最小限に食い止めつつ、中村が久しぶりに置いた有色ランドである《天界の列柱》は即座に《地盤の際》で破壊と、1本目同様、中村に楽をさせない。 土地が3枚しかない中村は、仕方なしに、といった様子でフルタップで《饗宴と飢餓の剣》をキャスト。 これは無事に着地したのだが、返しのターンで八十岡の必殺兵器、《ファイレクシアの十字軍》が戦場に現れてしまう。八十岡 翔太 | |
八十岡 2-0 中村 《ファイレクシアの十字軍》について二人が試合後に話し合っていたので、そちらも記載しておこう。 中村 「Caw-Blade相手に本当に《ファイレクシアの十字軍》入れるの?《誘惑蒔き》で取られたらきつくない?」 八十岡 「《ファイレクシアの十字軍》のいいところは《誘惑蒔き》で取られても被害が少ないとこなんだよ。仮に1匹取られたとしても、そっちの《ファイレクシアの十字軍》は感染のせいでほとんどアタッカーの役割しないじゃん。」
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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