By Masashi Koyama

　数多のプロ・プレイヤーたちが予選ラウンドで姿を消していく中、準々決勝に歩みを進めたゴールド・レベル・プロがいた。

　地元香港のヤン・ウィン=チャン/Yam, Wing Chun。自身２度目となるグランプリ決勝プレイオフを決め、虎視眈々と初戴冠を狙う。

　対するは青緑のカラーコンビネーションでレア満載の超強力デッキを組み上げてきた新鋭リム・ヴィクトリアーノ/Lim, Victoriano。

　お互いに「Good Luck」と声をかけ、栄光のプレイオフが開始された。

リム・ヴィクトリアーノ(写真左) vs. ヤン・ウィン=チャン(写真右)

ゲーム１

　ファーストアクションは後手ヤンの《フェアリーの悪党》から《ドラゴンの餌》《結束した構築物》という３ターン連続でクリーチャー展開という流れ。

　これに対しリムは《イェヴァの腕力魔道士》に《層雲歩み》をエンチャントする。

　着実にダメージを重ねていきたいヤンは《分離主義者の虚空魔道士》を唱えるが、これが《意思の激突》され、返すターンにリムがおもむろに唱えたのは《辺境地の巨人》！

　これが高名になってしまうとどうしようもないヤンは《辺境地の巨人》の攻撃を《結束した構築物》でチャンプブロックして墓地に送り込むと《スカーブの大巨人》を召喚することで地上を止め、《辺境地の巨人》と相討つことに成功する。

　だが、リムが《ラノワールの共感者》《ドゥイネンの精鋭》と追加するのに対し、ヤンが呼び出すのは《飛空士志願者》とサイズが心許ない生物ばかりだ。

　一方手札が手札が充実しているリムはさらなる《ラノワールの共感者》から《屑肌のドレイク》と一度取ったマウントを確固たるものにしていく。

　現状２/２というサイズが超えられないヤンはトークンたちで順次相討ちは取るものの、リソースが枯渇していく。

　追加のブロッカーを引けないヤンは、《眠りへの誘い》で《フェアリーの悪党》を失うと、早々に手札を畳んだのだった

リム 1-0 ヤン

ゲーム２

　お互いにマリガンなくゲームが始まるが、リムが２ターン目に《ヴリンの神童、ジェイス》を召喚し、ゲームはいきなり山場を迎える。

　ゲームが長引けば長引くほど不利になるヤンは《飛行機械技師》《飛空士志願者》を連続で呼び出し空からのダメージレースを仕掛けるが、リムの呼び出した《絡み爪のイトグモ》《塔の霊》で１/１トークンたちによる攻勢は完全にストップしてしまう。

　そして、《ヴリンの神童、ジェイス》で手札を整えたリムは５ターン目に《辺境地の巨人》を降臨させ、さらに続くターンには《ヴリンの神童、ジェイス》が《束縛なきテレパス、ジェイス》へと変身を遂げる。

　ヤンは《辺境地の巨人》こそ《閉所恐怖症》で対処するものの、いかんせん最大のガンである《束縛なきテレパス、ジェイス》に根本的に対処ができていない。

　なんとかリムの防御網をこじ開けたいヤンはここで《飛行機械の諜報網》を唱え、飛行機械・トークンを毎ターン生み出していくことで活路を見出そうとする。

　一方、これを見たリムは《森林の怒声吠え》から《絡み爪のイトグモ》でジェイスの守りを固めに入り、５体目のトークンが並んだところでリムは完全に攻撃の手を止めて《束縛なきテレパス、ジェイス》の奥義を目指すことに注力する決意を固める。

　そして、ヤンが攻撃に迎えないまま、ついに《束縛なきテレパス、ジェイス》がその力を解き放つ。

　こうなってしまうと、リムの全ての呪文がライブラリーアウトへと直結してしまうヤンは早くリムのライフを削りに行きたいところであるが、いかんせんリムの守りが堅すぎる。

　２枚目の《分離主義者の虚空魔道士》による《分離主義者の虚空魔道士》の循環こそ《溶鉄の渦》の能力で防ぐものの、リムの下には一方的に飛行機械・トークンを討ち取れるブロッカーが４体おり、ダメージレースを仕掛けることができない。

強力レア満載のデッキを操るリム・ヴィクトリアーノ

　そしてリムは《ファリカの信奉者》《意思の激突》と唱え、一気にヤンのライブラリーを10枚まで削り取る。

　こうなってくるとヤンにとって《飛行機械の諜報網》のドローすら致命的な状況だが、頭数を減らしながらでもアタックせざるを得ない。

　リムが土地を引くターンが続き、なんとかライフを７まで落とし込むことはできたが、祈るようにターンを返すヤンにリムが提示したのは《群れの結集》と、それにより手に入れた《ドゥイネンの精鋭》だった。

リム 2-0 ヤン

リム・ヴィクトリアーノ/Lim Victorianoが準決勝進出！