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グランプリ・広島11
(週刊連載)第76回:グランプリ・広島直前! メタゲーム・主要デッキ分析(津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズより)
読み物
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2011.10.27
第76回:グランプリ・広島直前! メタゲーム・主要デッキ分析
こんにちはー。
今週末はいよいよグランプリ・広島です。優柔不断な僕は、まだデッキが決まっていない現状なんですが、みなさんは満足のいく調整ができていますでしょうか?
今回のグランプリは僕の愛する地元・広島で行われるということで、みなさんには大会だけでなく、日本三景である宮島の風景だったり、広島名物の牡蠣やお好み焼きをぜひ堪能していただければと思います。
広島駅横や、会場内にもお好み焼き屋さんがありますし、会場からタクシーで15分ほどの距離に「本通り」という広島で一番大きなショッピングモールもあるので、お時間が許すようであればその辺りにも足を運んでみてほしいですね。
ちなみに僕がよく行っていた「はな」というお好み焼き屋さんが、会場から歩いて15~20分ほどの距離にあるので、グランプリが終わった後にでもぜひ立ち寄ってみてください。
さて、地元の紹介はこの辺にして、そろそろ最新のメタゲームをチェックしていきましょう。可能な限り今週の記事だけでグランプリ・広島への理解度を高めていただけるように努力したつもりですが、デッキ数が多いこともあり、お手数ですが先週までの記事も合わせて読んでいただけると、環境への理解がより一層深まるかと思います。
また、今週は以下のトーナメントのデッキリストを参考にさせていただきました。
それでは、グランプリ・広島前の総復習に移りましょう。現在のメタゲームを簡潔にまとめると、以下のようなものになります。
Tier1
- 「緑単タッチ赤」
Tier2
- 「青黒コントロール」
- 「太陽拳」
- 「赤単」
- 「緑白ビートダウン」
- 「青白ビートダウン」
- 「黒単感染」
- 「赤緑《ケッシグの狼の地》」
見やすいように、一応Tier1と2に分類しましたが、上記のデッキはどれも当たる数が非常に多く、メタゲームは混沌としています。
「緑単タッチ赤」
グランプリ・ブリスベン直後は、「青黒コントロール」の一強状態と言っても差し支えのないような状況でしたが、時間の経過と共に対策が進み、徐々に数を減らしてきた印象です。その代わりに頂点に立ったのが第73回に紹介した「緑単タッチ赤」、いわゆる日本式で、他のデッキに比べ、このデッキだけダントツで数が多いです。
これは《ダングローブの長老》が「青黒コントロール」を筆頭とした、多くのデッキ相手に強いことが理由として考えられますが、もうひとつの理由として、グランプリブリスベンにてナック(中村 修平)さんとMartin Juzaがこのデッキを使用したことが挙げられるでしょう。
たまに海外の掲示板を見るのですが、そこで「修平とJuzaが使ったのなら強いに違いない」という意見をいくつか目にしましたし、「StarCityGames・オープントーナメント」でこのアーキタイプがワンツーフィニッシュを飾ったのも、グランプリ・ブリスベンの翌週のことでした。
20 《森》 1 《山》 1 《ケッシグの狼の地》 2 《墨蛾の生息地》 -土地(24)- 4 《極楽鳥》 1 《ラノワールのエルフ》 4 《ダングローブの長老》 4 《真面目な身代わり》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《酸のスライム》 4 《原始のタイタン》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(20)- |
4 《不屈の自然》 3 《内にいる獣》 3 《緑の太陽の頂点》 2 《殴打頭蓋》 4 《原初の狩人、ガラク》 -呪文(16)- |
1 《ヴィリジアンの堕落者》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《解放の樹》 1 《ワームとぐろエンジン》 2 《古えの遺恨》 2 《電弧の痕跡》 2 《冒涜の行動》 2 《饗宴と飢餓の剣》 1 《情け知らずのガラク》 1 《解放された者、カーン》 1 《墨蛾の生息地》 -サイドボード(15)- |
以前紹介したリストとあまり大きな差はありませんが、あの時と大きく異なるのは、このデッキの存在がみなに知られていることでしょう。
それにより、環境の《ミラディンの十字軍》や《幽霊街》の使用率が以前よりも大幅に高まっていますし、「青黒コントロール」の除去も、以前なら《破滅の刃》4枚に1~2枚の《喉首狙い》か《四肢切断》というラインナップから、《ゲスの評決》や《飢えへの貢ぎ物》のような、《ダングローブの長老》に効くものへと移り変わってきています。
~対策の対策~
《ゲスの評決》や《飢えへの貢ぎ物》は、対処のしようもあまりないですし気にかけなくてもいいですが、他の2枚は事情が異なります。特に《ミラディンの十字軍》は本当に致命的と言ってもいいくらいで、メインボードでは愚直に殴りあうくらいしか道はありません。
一応《真面目な身代わり》や《墨蛾の生息地》でのチャンプブロックはできますし、《ワームとぐろエンジン》ならば殴り勝つことも可能でしょうが、しかしながら、基本的には5ターンほどで負けてしまうので、サイドボードには対策は必須です。
《ミラディンの十字軍》を最も効果的に対処できるのは、サブカラーである赤の火力になりますが、その中でもお勧めなのが《電弧の痕跡》です。
下で紹介する「緑白/青白"人間"ビートダウン」系のデッキには安定して2対1交換を取ることができますし、《ミラディンの十字軍》の多い現状ならば、僕は4枚の《電弧の痕跡》の採用を強くお勧めします。
《冒涜の行動》も同じような役割を担ってくれるのですが、《電弧の痕跡》とは違い、多少扱いが難しいです。例えば初手に《冒涜の行動》がなかった場合、こちらはいつも通り全力で展開して《ミラディンの十字軍》に対抗することになるのですが、この場合手札を全て使い切った後に《冒涜の行動》を引いてしまう、という最悪のケースが考えられます。
こうなってしまうと自軍はほぼ間違いなく全滅してしまうので、展開の仕方に気をつける必要が出てきます。もちろん、初手から《冒涜の行動》があれば、序盤~中盤戦の展開を考えるのは容易ですし、《冒涜の行動》には《刃砦の英雄》や《天使の運命》付きのクリーチャーを除去できるというメリットもありますので、この辺はご自身の手で調整してみてください。
どっちつかずの結論になってしまいましたが、少なくとも、最低でも3~4枚の《ミラディンの十字軍》対策は用意しておきましょう。
《幽霊街》に関しては、《ケッシグの狼の地》と《山》の枚数を増やすしかないでしょう。すなわち《森》を削るか、単純に土地を増やすかですね。
これ以上《森》を削ると《ダングローブの長老》が弱体化してしまうことが懸念されますが、MOプレイヤーの多くは18~19枚の《森》でもきちんと結果を残していますし、それくらいに《幽霊街》の使用率は高いので、これは仕方のない変更と言えます。それに《真面目な身代わり》と《不屈の自然》を4枚ずつ採用したこのリストであれば、18枚程度の《森》でも十分に《ダングローブの長老》はその力を発揮できますしね。
《山》は1枚のままで、《ケッシグの狼の地》だけ増やせばいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、そうすると《ケッシグの狼の地》ではなく《山》を狙われた時に、《極楽鳥》からしか《ケッシグの狼の地》を起動できなくなってしまうので、できることなら《山》も増やすのが理想ですね。
「青黒コントロール」
9 《島》 5 《沼》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 3 《ネファリアの溺墓》 2 《幽霊街》 -土地(27)- 4 《瞬唱の魔道士》 1 《聖別されたスフィンクス》 1 《墓所のタイタン》 -クリーチャー(6)- |
2 《肉体のねじ切り》 4 《マナ漏出》 4 《熟慮》 3 《破滅の刃》 1 《分散》 1 《否認》 4 《雲散霧消》 4 《禁忌の錬金術》 1 《飢えへの貢ぎ物》 1 《忌むべき者の軍団》 1 《黒の太陽の頂点》 1 《解放された者、カーン》 -呪文(27)- |
3 《幻影の像》 1 《ワームとぐろエンジン》 3 《虚無の呪文爆弾》 1 《肉体のねじ切り》 2 《漸増爆弾》 1 《破滅の刃》 1 《否認》 1 《飢えへの貢ぎ物》 1 《黒の太陽の頂点》 1 《ネファリアの溺墓》 -サイドボード(15)- |
グランプリ・ブリスベンを制した「青黒コントロール」。冒頭でも述べたように、グランプリ・ブリスベン直後は圧倒的な勝ち頭でしたが、時間が経つにつれ、みながこのデッキとの戦い方を覚えたり、このデッキに強い《ダングローブの長老》や《ミラディンの十字軍》が増えてきたりと、「青黒コントロール」にも変化が求められるようになりました。
それは「呪禁」や「プロテクション(黒)」付きのクリーチャーでも除去できる《飢えへの貢ぎ物》を採用する分かりやすいようなものから、《忌むべき者の軍団》や《解放された者、カーン》のようにフィニッシャーの変化など、多岐に渡ります。
グランプリ優勝者と75枚同じリストで勝っているプレイヤーもまだまだいますが、やはりどんなデッキであれ、75枚全てを知られているというのは大きなデメリットであり、多少なりともリストを変えた方が、相手の裏をかけていいと思います。これは第38回でお伝えした、「デッキリストを知ること」と関連性があるので、お時間がある方はそちらも読んでみていただけると幸いです。
少し脱線してしまいましたが、日々切磋琢磨を繰り返し、いくつかの進化を遂げたこのリストで最も目を引くのは、フィニッシャーの変更でしょう。
《解放された者、カーン》は言うに及ばず対コントロールで圧倒的な制圧力を誇りますし、《ワームとぐろエンジン》ですら後腐れなく追放できるパーマネント対応能力も頼りになります。
そして《忌むべき者の軍団》は、《墓所のタイタン》すら上回る、一撃で26点という驚異のフィニッシャーカードの新顔です。少し重いのでカウンターされやすくはありますが、相手に《ネファリアの溺墓》を起動される中で、突然勝ち筋が生まれるのは素晴らしいですし、膠着している時に、自分を対象に《ネファリアの溺墓》を起動する最高の動機にもなります。
なべ君(渡辺 雄也)は《ダングローブの長老》に強い軽いフィニッシャーということで、サイドボードに《血統の守り手》を推していたので、これもぜひ試してほしいテクニックですね。
他にも対コントロール戦でライブラリーアウト戦略を加速させる《記憶の熟達者、ジェイス》だったり、ライブラリーアウト対策に《不死の霊薬》+《埋没した廃墟》を入れているリストも見受けられますし、今のコントロール対決はライブラリーアウト戦略を軸にまわっていることは揺るぎのない事実です。
そして、それを最もよく表しているのは次のリストでしょう。
「太陽拳」
3 《平地》 2 《島》 3 《沼》 4 《氷河の城砦》 3 《金属海の沿岸》 4 《闇滑りの岸》 2 《水没した地下墓地》 4 《孤立した礼拝堂》 1 《幽霊街》 1 《ネファリアの溺墓》 -土地(27)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《聖別されたスフィンクス》 2 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(6)- |
4 《マナ漏出》 4 《破滅の刃》 3 《熟慮》 1 《漸増爆弾》 4 《雲散霧消》 4 《禁忌の錬金術》 3 《忘却の輪》 2 《審判の日》 1 《堀葬の儀式》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(28)- |
1 《幻影の像》 2 《ワームとぐろエンジン》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《存在の破棄》 2 《機を見た援軍》 2 《審判の日》 1 《漸増爆弾》 3 《ネファリアの溺墓》 2 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
この「太陽拳」は第74回で紹介した一般的なものとは違い、メインから土地を《ネファリアの溺墓》含む27枚と多めに採用した上で、サイドボードにさらに5枚もの土地が控えています。その5枚が《ネファリアの溺墓》3枚、《幽霊街》2枚という構成を見れば分かるように、これは明らかに前述の「ライブラリーアウト戦略」を巡る攻防を意識したものです。
サイド後に32枚まで土地を増やすのかまでは分からずじまいでしたが、おそらく何枚かの《平地》と、《破滅の刃》や《審判の日》のような除去を抜き、30枚前後にするのでしょう。
コントロール対決で最も重要なファクターが、「土地の置きあい」であり、なおかつ《ネファリアの溺墓》のおかげでそれが勝ち手段にまでなるということで可能となった、画期的なアイディアと言えますね。
貴重なサイドボードの枠を5枚も割いてまでする価値があるかどうか、という疑問については、JB(坂東 潤一郎)さんの優勝という結果が証明してくれていますし、「太陽拳」デッキだけに限らず、コントロールデッキを使うみなさんは、《ネファリアの溺墓》の存在を意識してデッキを作るようにしてほしいですね。
ここからはビートダウンデッキを見ていきましょう。まずはいつの時代も変わらぬ活躍を見せる「赤単」から。
「赤単スライ」
23 《山》 -土地(23)- 4 《渋面の溶岩使い》 4 《流城の貴族》 2 《トゲ撃ちの古老》 4 《嵐血の狂戦士》 4 《チャンドラのフェニックス》 -クリーチャー(18)- |
4 《霊炎》 4 《火葬》 4 《燃え上がる憤怒の祭殿》 4 《電位の負荷》 3 《槌のコス》 -呪文(19)- |
4 《ヴァルショクの難民》 3 《躁の蛮人》 2 《オキシド峠の英雄》 3 《四肢切断》 3 《裏切りの血》 -サイドボード(15)- |
火力が少し弱いことを除けば、それ以外のパーツはきっちりと精鋭が揃っています。《燃え上がる憤怒の祭殿》がどのデッキ相手にも強いですし、特に「青黒コントロール」にはそれ1枚で勝ててしまうほどのカードパワーがあるので、「青黒コントロール」キラーとして以前よりも数が増えたという印象です。
もちろん、「青黒コントロール」耐性だけではなく、他のデッキ相手にも渡りあえるようにできています。《極楽鳥》を狙い撃ちにする《渋面の溶岩使い》と《トゲ撃ちの古老》に加え、ご丁寧にフラッシュバックまで付いている《霊炎》と、緑のデッキ相手には相手の初速を殺して勝負していく形になっていますね。
対コントロールは序盤から積極的に攻めていき、相手が《審判の日》のような大振りのスペルを唱えたところを《槌のコス》で仕留めるのが理想の展開です。
メインアタッカーである《流城の貴族》《嵐血の狂戦士》《チャンドラのフェニックス》が相手のデッキに左右されることなく安定したパフォーマンスを発揮してくれますし、隙の少ないデッキなので、グランプリ本戦でもそれなりの数がいると予想されます。
《稲妻》があった以前と比べると、どうしても弱さが目立ってしまう火力に関しても、3マナには《電位の負荷》があります。
《流城の貴族》や《嵐血の狂戦士》、さらには《燃え上がる憤怒の祭殿》、《槌のコス》と非常に良い相性を見せますね。
そして、このリストには入っていないものの、《硫黄の流弾》や《はらわた撃ち》など、決して恵まれていないわけではありません。《槌のコス》を3枚以上採用したリストであれば、マイナス2の能力と相性の良い《小悪魔の遊び》を入れても面白いでしょう。
「緑白"人間"ビートダウン」
7 《平地》 4 《森》 4 《剃刀境の茂み》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《ガヴォニーの居住区》 -土地(23)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 4 《教区の勇者》 4 《先兵の精鋭》 4 《アヴァブルックの町長》 4 《ミラディンの十字軍》 4 《刃の接合者》 4 《刃砦の英雄》 2 《霊誉の僧兵》 -クリーチャー(30)- |
4 《忘却の輪》 3 《情け知らずのガラク》 -呪文(7)- |
4 《レオニンの裁き人》 2 《外科的摘出》 2 《存在の破棄》 4 《機を見た援軍》 3 《忠実な軍勢の祭殿》 -サイドボード(15)- |
ここ何日かで、《金屑の嵐》を擁する「赤緑《ケッシグの狼の地》」(参考:第73回の記事)が減り、除去手段に乏しい「緑単タッチ赤」が増えるに連れて、白いビートダウンデッキの隆盛が目立ち始めました。
「白単」「青白」「緑白」と、様々なバージョンがあるのですが、今回はMOで比較的数の多い「緑白」と「青白」を紹介させていただきます。
最近のトレンドは「人間」クリーチャーをフィーチャーしたものが多く、それは「緑白」「青白」のどちらのバージョンにも共通しています。
即座に対処しなければそれだけでゲームが終わってしまう、白いビートダウンの代名詞、《刃砦の英雄》はもちろんのこと、1ターン目に出れば驚異の成長力を見せる《教区の勇者》、「緑単タッチ赤」や「青黒コントロール」に劇的な1枚である《ミラディンの十字軍》と、これらは2色目を問わず、「人間」デッキの主力たちです。
緑の特色は、生きる《栄光の頌歌》こと《アヴァブルックの町長》が使えることと、ただでさえ動きの速いこのデッキをさらに加速させる《アヴァシンの巡礼者》、そして終盤以降の息切れを防ぐ《ガヴォニーの居住区》になります。
先週お伝えしたような、プレインズウォーカーを多めに入れるチューンも可能ですし、このリストのように《情け知らずのガラク》だけでも入れておけば、「緑単タッチ赤」などの《原初の狩人、ガラク》を牽制できます。環境に《極楽鳥》が増えれば増えるほど、《情け知らずのガラク》の強さも増すので、《極楽鳥》4枚、《原初の狩人、ガラク》4枚の入った「緑単タッチ赤」が大流行中の今なら、《情け知らずのガラク》を採用できることも、緑の大きな魅力と言えるでしょう。
お次はほぼ純正の「白単」に少しだけ青を足した「青白」バージョンを。
「青白"人間"ビートダウン」
11 《平地》 4 《氷河の城砦》 4 《金属海の沿岸》 3 《ムーアランドの憑依地》 2 《幽霊街》 -土地(24)- 4 《教区の勇者》 4 《先兵の精鋭》 2 《宿命の旅人》 4 《堂々たる撤廃者》 4 《ミラディンの十字軍》 2 《悪鬼の狩人》 2 《聖トラフトの霊》 4 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(26)- |
4 《清浄の名誉》 3 《忘却の輪》 3 《天使の運命》 -呪文(10)- |
2 《外科的摘出》 3 《否認》 2 《天界の粛清》 1 《存在の破棄》 4 《機を見た援軍》 3 《忠実な軍勢の祭殿》 -サイドボード(15)- |
「青白」バージョンの特徴は、メインにはカウンターが入っていないにも関わらず、対処の難しい小賢しい攻めにあります。
単純な攻撃力という面では、「緑白」の項目で紹介した面子の足元にも及びませんが、《堂々たる撤廃者》は特に要注目の1枚です。
「緑単タッチ赤」と「赤緑《ケッシグの狼の地》」、そして「青黒コントロール」などを意識すると、コントロールデッキは必然的にカウンターを多く入れざるをえません。そんな状況の中で、先手2ターン目ならばカウンターされることなく颯爽と戦場に登場する《堂々たる撤廃者》は、コントロールデッキに終わりを告げるだけの力があります。
例え《破滅の刃》などですぐさま対処されようとも、返しのターンは《ミラディンの十字軍》でも《聖トラフトの霊》でも何でも通るので、十分に仕事をしてくれていると言えます。
一見効果のなさそうな「緑単タッチ赤」に対しても、《内にいる獣》をこちらのターンにキャストされなくなるため、《天使の運命》を躊躇いなくキャストできるようになるので、全くの無駄カードにならないのも評価できます。
「緑白」だと、マナベース的に2ターン目に呼べないことが多いので不採用となっているのですが、《清浄の名誉》まで入れられるほどに白に寄せた「青白」なら問題ありません。それによって生まれたマナベースの余裕を加味し、《幽霊街》が採用できるのも青の強みでしょうか。
新顔の《悪鬼の狩人》も、クリーチャー除去兼ダメージ源やブロッカーとしての役割を果たす便利なカード。《清浄の名誉》《天使の運命》《ムーアランドの憑依地》を擁するこのデッキだと、除去をクリーチャーでまかなえるのは嬉しいですね。
以前にも言いましたが、《審判の日》や《黒の太陽の頂点》のような全体除去だけがきつい状況であれば、《悪鬼の狩人》で自分のクリーチャーを隠しておくことで、攻撃を持続させることができるのは覚えておきましょう。
メインで唯一の青い呪文である《聖トラフトの霊》も、このデッキの魅力のひとつです。単体除去の一切効かないこのクリーチャーは、《天使の運命》の対象にうってつけですし、単体でも最後の一押しにもってこいの1枚。
序盤から相手にブロッカーがいると、真価を発揮しづらいため、環境にビートダウンが多いと3~4枚の採用は難しいでしょうが、単体除去が多いメタゲームであれば、《聖トラフトの霊》4枚、《天使の運命》4枚というアプローチも面白いと思います。
「緑白」は《ガヴォニーの居住区》で後半の息切れを防ぎますが、「青白」にも《ムーアランドの憑依地》があります。「緑白」の《ガヴォニーの居住区》がクリーチャー同士のぶつかり合いに強いのに対し、《ムーアランドの憑依地》は除去に強く、《清浄の名誉》と《天使の運命》のバックアップがあれば、全体除去を撃たれた後でも、高い打点を維持できるのが特徴的ですね。
そして青にはカウンターという緑にはない大きな利点があります。このリストには3枚の《否認》しか採用されていませんが、《瞬間凍結》や《マナ漏出》も候補に挙がるでしょう。しかしこれだけ「緑単タッチ赤」が流行っているにも関わらずそれらを入れていないということは、逆説的に、採用しなくとも勝てるからかもしれませんね。
どちらのバージョンにも共通するサイドボードが、《忠実な軍勢の祭殿》《機を見た援軍》《外科的摘出》の3種類。
《忠実な軍勢の祭殿》は、「赤単」の《燃え上がる憤怒の祭殿》と同じく、コントロールデッキ相手全般に強いですし、全体除去への耐性を著しく上昇させるこのデッキにピッタリの1枚です。ある程度白を濃くしなければ採用できませんが、白の濃いバージョンなら問答無用で入る類いのカードでしょう。
《機を見た援軍》は言うまでもなく「赤単」対策で、《外科的摘出》は、相手の《瞬唱の魔道士》が墓地のカードを対象に取ったところで使えば劇的な場面を演出できます。単純に《審判の日》などを抜くだけでも効果は大きいでしょうね。
「黒単感染」
21 《沼》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(25)- 4 《疫病のとげ刺し》 2 《呪文滑り》 4 《ファイレクシアの十字軍》 4 《囁く死霊》 2 《荒廃のドラゴン、スキジリクス》 -クリーチャー(16)- |
3 《蔑み》 3 《悪性の傷》 2 《破滅の刃》 1 《夜の犠牲》 1 《伝染病の留め金》 3 《テゼレットの計略》 4 《鞭打ち悶え》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(19)- |
1 《ファイレクシアの変形者》 3 《虚無の呪文爆弾》 1 《悪性の傷》 2 《困窮》 1 《ミミックの大桶》 1 《転倒の磁石》 1 《血統の切断》 2 《死後の一突き》 3 《黒の太陽の頂点》 -サイドボード(15)- |
「青黒コントロール」の流行に伴い数を増やしてきたのがこの「黒単感染」です。これは主に「青黒コントロール」の除去が《破滅の刃》に固定されていたことに着眼したチョイスで、主力クリーチャーのほとんどには、《破滅の刃》は効きません。
これだけでも「青黒コントロール」には優位に試合を運べますし、それに拍車をかけるのが《伝染病の留め金》や《ヴェールのリリアナ》のような「青黒コントロール」が苦手とする非クリーチャー・パーマネントたちです。
このリストには1枚しか入っていませんが、《伝染病の留め金》はマナクリーチャーを除去できる優良「増幅」カードです。《悪性の傷》と合わせて、「赤単」のように、タフネス1のクリーチャーに自然と強い構成になっていますね。
「黒単」であることの強みは、《鞭打ち悶え》を筆頭に、《困窮》や《夜の犠牲》のような黒マナシンボルの濃いカードを無理なくデッキに加えられるところでしょうか。
「青黒テゼレイター」などに入っていることもある《困窮》はともかくとして、今まであまり見かけることのなかった《夜の犠牲》は、今後要注目の除去カード。
今のメタゲームであれば、除去できないクリーチャーはいないと言っても過言ではありませんからね。
少し話が前後してしまいますが、このデッキの内に《破滅の刃》が効くクリーチャーは、2枚の《呪文滑り》と4枚の《墨蛾の生息地》の計6枚だけになっています。《墨蛾の生息地》は「感染」デッキなので当然の選択として、一方の《呪文滑り》はどういった用途で使うのでしょうか。
まず真っ先に思い付くのが、このデッキに多くのタフネス1クリーチャーが含まれているので、主に「赤単」の除去からそれらを守るためでしょう。
次に、現環境で最もポピュラーな「緑単タッチ赤」が《内にいる獣》くらいしか除去を持っていないことが挙げられます。これはつまるところ、《呪文滑り》さえ戦場にいれば、《鞭打ち悶え》を付けてアタックしたり、《荒廃のドラゴン、スキジリクス》を出して「速攻」でアタック、というような大振りな動きですらほとんど妨害されなくなるということです。感覚としては、先程紹介した「青白"人間"ビートダウン」の《堂々たる撤廃者》のようなイメージでしょうか。
MO上でかなりの勢いで勝ち星を重ねているこのデッキは、グランプリ・広島でも注目のデッキですね。
今週は以上になります。
今週紹介したデッキは単純なデッキパワーも高いですし、《金屑の嵐》のない「緑単タッチ赤」の隆盛に伴い増加した「緑白/青白人間ビートダウン」や、「青黒コントロール」を猛烈に意識した「黒単感染」など、どのデッキにも勝っている理由がちゃんとあります。
今週紹介できなかったもの以外にも、「青黒テゼレイター」、「《出産の殻》」や「白単《鍛えられた鋼》」などが虎視眈々と上位を狙っています。
グランプリ自体はもちろんのことながら、冒頭で述べた通り、広島という地域も楽しんでいただければ幸いです。全国展開している「アンデルセン」というお店の1号店も実は広島にあるんですよ!・・・っと先週テレビでPerfume(広島県出身)が言ってました。実はそれまで知らなかったのは胸にしまっておいてください(笑)
それでは、広島でお会いしましょうー!
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