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グランプリ・千葉2018

観戦記事

準決勝:川崎 慧太(東京) vs. Zhi, Yimin(中国)

伊藤 敦

 リミテッドの強者が強者たる所以は、セットが変わって環境が全く別のものになってしまったとしても、培ってきたリミテッドの基礎力自体は引き続き有効であるがゆえに、変わらず安定した成績を残せる点にある。

 川崎 慧太とヂィ・イーミン/Zhi, Yiminという、1年前にも『アモンケット』リミテッドのグランプリ・北京2017でともにトップ8に入っていたプレイヤー同士が今回再び同時にトップ8に入賞したという事実を見ても、異なる環境に通底したリミテッドの暗黙知が何かしら存在し、そしてそれを2人がしっかりと備えているということには、疑いを挟む余地はないだろう。

 それにしても、1年前は結局対戦せず仕舞いで特に接点のない2人が今度はこうして準決勝で激突するというのには、何となく運命の巡りあわせを感じさせるものがある。

 1年前、川崎は決勝戦まで進出するもケルヴィン・チュウ/Kelvin Chewに敗北し、準優勝止まりだった。ヂィもこれまでの2度のトップ8のときはいずれも準々決勝で敗退し、今回が3度目の正直で初めての準決勝進出である。

 であれば2人にはやはり、置き忘れたものを取りに行くために戦うという共通項がある。グランプリのトップ8はそれ自体ステータスではあるものの、そこからトロフィーを掲げるところまでの間には、実際にチャンピオンになったことがあるプレイヤーたちの言葉を読めばわかるように、体験として埋めがたい差があるだろうからだ。

 優勝という、最高の美酒を味わうために。川崎とヂィ、2人のリミテッド巧者が激突する。

 
川崎 慧太(写真左) vs. ヂィ・イーミン(写真右)
ゲーム1

 先手のヂィが《夜明けの司祭》から《オナッケのオーガ》と展開するのに対し、川崎は《前兆語り》からの《鏡像》で受けの構え。そこから4マナ目は互いにオープンで返したところで、ヂィの意を決した《信仰の伝令》プレイを川崎が《取り消し》でしっかりとキャッチする。

 さらに続く川崎の《噛みつきドレイク》こそ《ショック》で落としたヂィだったが、6マナに到達した川崎が満を持して送り出した《地平の識者》に対しては、土地を多めに引いていて受け札がなく、飛行4点クロックの定着を許してしまう。

 
ヂィ・イーミン

 どうにか《匪賊の斧》で地上戦線の突破を試みたいヂィだが、なおも川崎は《波濤牝馬》《機械職人の守護者》と並べ、付け入る隙が見当たらない。

 やがてライフ水準で逆転した川崎が《地平の識者》だけでなく地上クリーチャーたちも一緒にレッドゾーンに送り始めると、10枚以上の土地を引いて抵抗の余地のないヂィは次のゲームに進むことを選択した。

川崎 1-0 ヂィ

ゲーム2

 マリガンしたヂィだが、《オナッケのオーガ》をブロックした《波濤牝馬》に《苦悩火》を浴びせつつ《夜明けの司祭》《ゴブリンの扇動者》と展開して果敢に攻め立てる。

 川崎も《飛行の先駆者》《星学者》とブロッカーに立てるが、なおもヂィは《感電》で強引に道をこじ開け、ダメージを蓄積させる。

 
川崎 慧太

 とはいえ、激しく手札を消耗してまでライフを詰めるメリットはどこにあるのか……と川崎が怪訝に思い始めたところで、5マナに到達したヂィが送り出したのは《電光吠えのドラゴン》。これが切り札かと安心して《取り消し》を当てた川崎は、フルタップで《願いのジン》を着地させる。

 しかし、ヂィの本命は別にあった。返すターンにプレイされたのは《厄介なドラゴン》!

 《願いのジン》を生け贄に捧げるわけにもいかない川崎は、一気に残りライフ10点以下まで追いつめられてしまう。

 だがここで、川崎の願いをジンが聞き届けてくれた。《願いのジン》の能力起動で公開されたのは何と《騎士の勇気》! 6/6飛行になった《願いのジン》が5/5飛行を止めつつ脇にブロッカーを並べるという、完璧な対処を見せる。

 それでも、《敵意あるミノタウルス》とともに《厄介なドラゴン》をレッドゾーンに向かわせ、合わせ技で《願いのジン》を対処しようとするヂィだったが、ブロック前に川崎が《抗戦》をプレイすると、数秒後には全てを失ってしまうことが確定したヂィは潔く右手を差し出したのだった。

川崎 2-0 ヂィ

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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