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グランプリ・千葉2018
マジックよ!彼らが若き世代だ!「チーム宇都宮・岡井・吉野」インタビュー
マジック25周年記念プロツアーのRPTQ(プロツアー地域予選)を勝ち抜いた日本チームの1つに、構成メンバーの平均年齢が極端に若いチームがあった。
宇都宮 巧、岡井 俊樹、吉野 高平のチームだ。
(1995年生まれ 吉野) |
(1995年生まれ 宇都宮) |
(1996年生まれ 岡井) |
トッププレイヤーたちが高年齢化を憂うなかで旋風のように現れた、「マジックよりも若い」学生プレイヤーたち。
そんな彼らのプロツアー出場権利獲得が今回フロック(まぐれ当たりの幸運)でないことは、個々の戦績からも明らかだ。
宇都宮はプロツアー『ドミナリア』、岡井はプロツアー『イクサランの相克』、吉野はプロツアー『イクサラン』。
直近3回のプロツアーではそれぞれが出場権利を獲得し、順繰りに参加しているのだ。
他にも宇都宮は過去「年間プレインズウォーカー・ポイント最上位者」という記録も持っている。
岡井も「神決定戦・スタンダード神」というタイトルをホールドしており、彼らが日本を代表する若きプレイヤーであることに疑いの余地はない。
吉野もすでにショップ・東京MTGからスポンサードを受けている立場としてマジックに関わっている。
若手不足が嘆かれるなか、力強く芽吹いた若き世代の力。彼らはどのようにして「現れた」のか。
3人に「マジックを知ったきっかけ」から「いま目指しているもの」までを伺った。
――よろしくお願いします。皆さんの世代だとゲーマーの人たちでも「マジックをしている人たちがメイン」という感じではなかったと思います。マジックをはじめたきっかけは何だったのですか?
宇都宮「最初は他のゲームをやっていたんですが、いま『マジックが熱い』というのは近隣のグループでも話題になっていて。前々回の神戸(グランプリ・神戸2015)のころに、『グランプリ』という大きい大会があると聞いて参加したんですが、初日バブルマッチで負けたのが悔しくて。元々競技志向でもあったので、そこからのめりこみましたね。マジックは競技大会の制度が整っているのは、とても魅力的でしたね」
岡井「タルキール(・ブロック)のころですが僕も最初は別のゲームをやっていました。ただ数か月目くらいのときに『マジックで原根健太が勝っているぞ』という話が流れてきて。もともと別のゲームでも有名な人だったのと、マジック熱というものがいくつかの別ゲームのコミュニティでも話題になっていましたね。せっかくならやってるみるか、と始めました。ただ一緒のころに始めた人も多かったんですが、続かなかった人も多いイメージです」
吉野「僕もタルキールのころです。他の別ゲームをあらかた手を出していて、マジックには憧れがありました。大学入学してから、高校時代の友人が誘ってくれてました。グランプリ・千葉2015が初参加で、最大なんだよという触れ込みでした。海外グランプリなどにも参加するようになっていきました」
――3人とも元々競技性の高いゲームになじみがあったということで、「競技マジックからの参入」という形になったのですね。チームメンバーとしても元々別のゲームでの知り合いだったのでしょうか?
宇都宮「いえ。マジックをはじめてから、大会で当たるようになったのがきっかけです。特に吉野君とは何度も当たる中で仲良くなっていきました。岡井君は(晴れる屋主催)『神挑戦者決定戦』の7戦全勝ラインというところで当たって、そこで共通の知り合いがいることや、年が同じということもあって仲良くなりました」
吉野「同年代で気兼ねなく話せるメンバーですね。ずっと宇都宮君、岡井君の2人とは組んでみたいと思ってました。この3人で結果を残すということをしてみたいですね」
――同じ熱意を持つ同年代のプレイヤーがいると嬉しくなるのはどの世代でも同じですね。チームの中でのキャプテンを置くなど明確な役割分担はされているのですか?
岡井「明確なキャプテンや指揮者とかは、置いてないですね。ゲーム中も助言的に喋るのは、宇都宮君が多いかなくらいです。僕が、自分のゲームを進めながら横を見るというようなマルチタスクが苦手でバグる自覚があるので黙ってます。(笑)僕がすでにゲームを終えて、隣の3ゲーム目とか見る、とかならまた違うのかもしれませんが」
――岡井さんはこれまでのインタビューなどからも言語化が得意なイメージがあるので、少し意外な回答です。今回のチーム結成はいつごろ決まりましたか?
宇都宮「今回のRPTQのために組みました。普段はそれぞれコミュニティが違いますね。『僕の人脈で一番強い2人』を選べたという感覚です。特に吉野君とは早々に意思一致して、3人目を探そうという形で岡井君を誘いました。岡井君がプロツアーに行くという時期だったので、吉野君がPPTQ(プロツアー予備予選)抜けて、席を用意して帰国を待つというような形でした。(笑)」
岡井「声自体はプロツアー出場の前にかけてもらっていて。ただプロツアー会場で見つかるかなという考えもあったので、最初は保留していたんです。ただやっぱりレベル・プロのような人たちはチームが決まるのも早くて、組めませんでした。で、帰ってくるころには宇都宮さんたちから『参加権利もついてるよ』という誘い文句を改めて受けて、という形ですね」
――宇都宮さん、吉野さんの2人組に岡井さんが合流というような形だったのですね。練習はどのような形だったのでしょうか?
宇都宮「Magic Onlineが中心でしたね。元々集まってやるという風にもしていたんですが、参加者が固定されるとメタの流れや互いのプレイング的・構築的な思考も読めるようになってきて、練習としては歪みが出てきたなというように感じたので。Magic Onlineでそれぞれ練習して、SNSなどで情報をとりかわすというような形です」
吉野「僕自身はほとんどコミュニティに参加・所属している形ではないので、Magic Onlineが中心です。自分は、岡井さんが言うには(特にスタンダードに関しては)ある程度の理論づけをしたあとは『感覚派』としてデッキを組んだりまわしたりする立ち位置なので、そのあたりで気の合う人、考えの合う人でないと難しいのかなという思いもあります。地域のメタゲームにとらわれないという点でも、Magic Onlineは優秀だと考えています」
――Magic Online導入は時間的な効率を求めて、という点もあると思います。
――「学生プレイヤー」として学業とマジックを両立するための努力などはされていますか?
宇都宮「マジックのおかげで、だいぶ破綻しかけていますよ(笑)。ノートパソコンがあれば大学でもMOができるので、うまいこと時間を作ってという形ですね」
岡井「実は今までは比較的マジックに割ける時間があったんですが、ちょっと今は学校の試験などが重なっていて時間を確保するのが難しいというのが正直なところです。1回ぐらい破綻してみるのも楽しいかもしれないです。冗談です(笑)」
吉野「大学の友人に『頼っている』部分が多いです(笑)。海外GPのために授業に出られないという機会も増えて、教授にお土産を持っていくなどして、仲良くさせてもらってます」
――思ったよりピーキーな両立の仕方でした(笑)。
――将来像という話のなかで、マジック的に目指している人や目指しているものはありますか?
宇都宮「普段お世話になっているので、原根さんへの尊敬はあります。ただ目指すものとしては『プロツアーの継続参戦』ですね。やっぱり一度行って、強いプレイヤーたちに囲まれマジックに集中できて、とても素晴らしい環境だと感じました。いつでも行けるというようなプレイヤーになりたいです」
岡井「誰か特定の人、というのはいないですね。自身の話としては、やっぱりプロツアーには出続けたいですね」
吉野「マジックをどこまでやるのか。というのを今シーズンから頑張って、どのレベルまでいけるのか。ブロンズ・レベルプロになるというのが最低限のラインだと考えてました。点数的にはいまシルバー・レベルプロも見えてきていて、本格的にプロ活動を検討しはじめているところです。いま学生として全力で関われる期間なので、全力で臨んでみようと思っています」
――ありがとうございました。25周年プロツアー、ご活躍できるよう応援しています。
元々は別のゲームからはじめたという宇都宮たちだが、マジックの競技性の高さに「ハマった」ようだ。
特にプロツアーといったハイレベルな大会が持つ大舞台という性質は、勝負に飢える若きプレイヤーたちが最も求めるところ、として認識されているらしい。
マジックは25周年を迎えた。
マジックより後に生まれた彼ら若きプレイヤーたちがこれからも増え続けてくれれば、マジックは30周年、50周年と続いていけるだろう。
マジックの未来をその双肩にのせてほしい……とまで大仰なことは記せないが、マジックの未来を創るのは間違いなく彼ら若きプレイヤーの一人ひとりだ。
25周年プロツアーという節目となる大会での飛躍をあらためて応援したい。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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