By 平林 和哉

　戦前は「ベスト８ラインは１敗１分け」ではないか、と思われたグランプリ・千葉2015だったが、蓋を開けてみれば１敗１分けが４人に２敗が４人。
　そしてベスト８の面々を見るに、巧者揃いの感を受ける。

　すでにグランプリベスト８経験を持つ松本、金。
　世界選手権優勝経験もある森、彌永。
　『モダンマスターズ 2015年版』が再録主体のセットだけあって、プレイヤーキャリアの長さが有利に働いたのかもしれない。

　ここでは2001年の日本選手権準優勝の金と、「モダン神」（だった）砂田の試合をお送りする。
　デッキの内容的には金が卓内で屈指の金属術アグロであり、砂田が黒緑アグロ。

　やや金に分がありそうなものだが、砂田にとってはトークン戦略よりはましな相手だろうし、おそらく先手ゲーになりそうなこのマッチで選択権を持つのは砂田。
　好勝負が期待できそうだ。

砂田 翔吾 vs. 金 民守

ゲーム１

　スイスラウンドで上位の砂田は当然の先手。
　金属術といえば《宮廷のホムンクルス》や《頭蓋囲い》を始めとした高速展開が勝ち筋なわけで、基本的にテンポを巡る攻防になると考えてもいい。
　つまりこの時点で砂田が若干リードしているわけだ。

　そして砂田の展開力は本物だった。

• 第１ターン《吸血鬼の裂断者》。
• 第２ターン《吸血鬼の裂断者》攻撃からの《薄暮狩りのコウモリ》狂喜（金ライフ20→18）。
• 第３ターン《幽霊の変わり身》(金ライフ18→14)。

　マナを使い切り全力で攻め立てる。

　この展開に微妙な手札をキープした金は付いていくことができない。
　《頭蓋囲い》こそ置いたものの後手に回っては効果が薄く、それ以前に白マナしか出ていない上にプレイできるクリーチャーを持っていないのだ。

　砂田は全員で突撃を仕掛けると、マナを全力で《幽霊の変わり身》へ（金ライフ14→６）。
　金は第４ターンを迎える前に窮地に陥ってしまう。

　せめてもの抵抗として《ダークスティールの城塞》の力を借り《錆びた秘宝》をプレイするのだが。
　砂田の手札から公開されたのは《変異原性の成長》。
　通った《吸血鬼の裂断者》にこれがプレイされると、《薄暮狩りのコウモリ》とあわせて金のライフはぴったり０に（金ライフ６→０）。

　砂田の鮮やかな５ターンキル。

砂田 １-０ 金

砂田 翔吾

ゲーム２

　初手を見て金がうめく。
　マナに過不足はない。色マナも《ダークスティールの城塞》もある。
　だが呪文が《鎌切り》《拘引》のみ。土地５枚という手札で、果たして砂田の猛攻を止めることができるのだろうか。

金 民守

......決断はキープ。

　砂田は再び《吸血鬼の裂断者》から。
　だが２ターン目には展開がなく、今度こそ金は《頭蓋囲い》《鎌切り》と並べる。

　しかし砂田の２マナはパスされたわけではなかった。
　《名も無き転置》が《鎌切り》の細菌・トークンに飛び、第３ターン《野生の末裔》をプレイ。
　１本目同様、第１ターンからマナを使い続ける猛攻が続く。

　金も《拘引》で《吸血鬼の裂断者》を止めはするのだが、砂田が《薄暮狩りのコウモリ》狂喜を追加した時点で、金の手札には土地が４枚。

　《戦慄の徒食者》が現れ《野生の末裔》が肥大化した時点で、金は自身の土地のみの手札を公開すると投了した。

砂田 ２-０ 金

　たとえ完成度が高くとも事故は避けられない。

　そして砂田の攻撃性はその緩みを逃さなかった。

　金を下し、砂田が準決勝に進出！