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グランプリ・北京2018
第4回戦:Kelvin Chew(シンガポール) vs. 渡辺 雄也(東京)
『ドミナリア』発売後、初めての個人戦グランプリとなったグランプリ・北京2018の第4回戦では、「伝説」と呼ぶにふさわしいふたりの英雄が相対することとなった。
渡辺 雄也
もはや読者諸氏には紹介するまでもないだろうか。2度のプレイヤー・オブ・ザ・イヤー獲得、史上最多タイのグランプリ7勝、そして「Musashi」でのチームシリーズ制覇……とその実績を挙げるのに枚挙にいとまがない、日本が誇る世界のトッププレイヤーだ。
今シーズンも順調にプロ・ポイントを重ね、シーズンの半分を終えた現段階で39点と、傑物は日本のトップをひた走っている。
ケルヴィン・チュウ
シンガポールの雄は昨年のグランプリ・北京2017でプレミア・イベント初戴冠を果たし、その勢いでプラチナ・プロに昇りつめた。アジアのトッププレイヤーとして世界選手権2017にも出場を果たし、今期は更なる飛躍を目指し戦いを続けている。
「伝説の結集」
その言葉を冠する『ドミナリア』の物語にも負けない「英雄譚」が幕を開けた――
ゲーム1
先手渡辺が《秘宝を追う者》から《アヴナントの罠師》《エイスサーの滑空機》という立ち上がり。
後手を選択したチュウは《アヴナントの罠師》を《氷結》で、《秘宝を追う者》を《シヴの火》で捌いていくが、渡辺は《ペガサスの駿馬》と航空戦力を続けて展開し攻める陣形を崩さない。
チュウは《雲読みスフィンクス》を2連打! 攻め手を継続したい渡辺は《騎兵呼集》で横に戦線を拡大すると、マジック黎明期から現在に至るまで空を支配する存在で有り続ける《セラの天使》を並べるが、これも《氷結》で対処されてしまう。
いったん渡辺の攻勢が落ち着いたところで、チュウは《逃亡者、梅澤哲子》と《暴れ回るサイクロプス》で攻める機会を伺う。渡辺は《巨大戦車》から《アカデミーの修士魔道士》と続け、戦闘で《巨大戦車》と《雲読みスフィンクス》1体を相討ちに取るが、チュウは《燃えがらの風、エイデリズ》と《暴れ回るサイクロプス》の再展開で突破の糸口を与えない。
渡辺は《アルガイヴ国家執事、ベイルド》を追加するが、サイズで上回る中の軍団を前にたじろぐのみだ。
盤面のクリーチャーサイズで上回るチュウは渡辺の攻撃をストップし、《逃亡者、梅澤哲子》と《這い回る偵察機》で徐々にダメージを与え始める。
渡辺はチュウの《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》こそ《中略》するものの、チュウの堅固な盤面に楔を打ち込み得るカードを続けることができない。
やがてチュウは《馬上槍》をプレイし、《燃えがらの風、エイデリズ》に装備し、攻撃。ここでダメージレースが渡辺12、チュウ14と逆転する。
《馬上槍》により不利な戦闘をせざる得ない渡辺の軍勢は1体、また1体と姿を消していき、渡辺はこの戦況を覆すカードを引き込むことができなかった。
チュウ 1-0 渡辺
ゲーム2
先手を選んだ渡辺は最初の7枚を見ると苦笑いをこぼしそのままライブラリーへ戻す。
続く6枚を1枚ずつ慎重に手に取ると思わず天を仰ぐ。その中には土地がわずかに1枚……!
結果、ダブルマリガンを選択した渡辺は《善意の騎士》から《エイスサーの滑空機》とそのディスアドバンテージを感じさせない立ち上がりを見せ、チュウに襲いかかっていく。
チュウが《島》3枚に《平地》1枚を並べたターン、渡辺は1ゲーム目で見た《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》を警戒して1ターン攻撃を中断する。
果たしてチュウの手札に《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》の姿はなく、ブロッカーを召喚することなく《エイスサーの滑空機》を《氷結》し渡辺の攻撃を押しとどめるのみ。
渡辺は《真珠三叉矛の歩哨》でこの《エイスサーの滑空機》を蘇らせると、《アヴナントの罠師》を並べ、チュウがプレイした《冷水カミツキガメ》にもひるまず全軍で攻撃を加える。
チュウは3枚のカードアドバンテージこそあるものの、6ターン目に至るまで赤マナ源を引けておらず、ぎこちない挙動にとどまっており、この渡辺の攻撃で一気にライフが一桁まで落ち込んでしまう。
が、7ターン目に《山》を引き込むとそこからのリカバリーが圧巻だった。
後続を引けていない渡辺を尻目に、《燃えがらの風、エイデリズ》から先ほどは持っていなかった《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》と続けてプレイし防御網を構築すると、《冷水カミツキガメ》に往年の《セラの抱擁》――
――を思い起こさせる、同じく『ドミナリア』次元の天使の象徴「セラ」の名を冠する1枚のカードをエンチャントする。
ダブルマリガンに加え多めに土地を引いてしまっていた渡辺は苦笑いをして勝者を称える右手を差し出さざるを得なかった。
チュウ 2-0 渡辺
ケルヴィン・チュウ Wins!
試合後、真っ先に渡辺はチュウに「(4ターン目に)《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》持ってた?」と尋ねた。結果としてチュウが引いていなかったのはともかくとして、「攻撃に行くべきだった」と冷静に振り返る。
ここで敗北を喫してしまった渡辺だが、続くラウンドへ気持ちを切り替えフィーチャーエリアを後にする。
グランプリ・北京2018という物語はまだ始まったばかり――
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