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The Finals 2018
準決勝:岡井 俊樹(東京) vs. 井川 良彦(東京)
岡井 俊樹(写真左) vs. 井川 良彦(写真右) |
プロツアー・サンディエゴ2010で2度目のプロツアー出場にしてトップ8進出という快挙を成し遂げてから8年以上が経過した2018年の年の瀬。1年を締めくくる大イベント The Finalsの準決勝の場に井川良彦は立っている。25周年を迎えたマジックにおいて、10年選手というのはさほど珍しいものではない。それでも、10年以上に渡って彼ほどに競技レベルイベントの最前線に全力を尽くし続けているプレイヤーが、どれほどいるだろうか。その井川は念願のタイトル獲得まであと2戦というところに来て、さすが長年の強豪といった風に堂々と、そして和やかな雰囲気を持って対戦相手の岡井俊樹と談笑する。
その岡井は、井川の最も輝かしい戦績であろうプロツアーサンデー進出時にはまだマジックを始めていなかった――さらに言えば「マジックより若い」世代のプレイヤーだ。彼が身にまとうHareruya Hopesのユニフォームの文字通り、期待の新進気鋭と言ってしまえば一言だが、彼もまた二十歳を少し過ぎたばかりではあるがプロツアーに複数回出場しているプレイヤーなのだ。
マジック歴は違えども百戦錬磨の両者。試合前の雑談はデッキリストの感想どころかデッキ構成の意図に及び、シャッフルもそっちのけで会話に勤しむ。
井川「あれ? 俺今ディールシャッフルした? 覚えてないや(笑)」
(観客の)八十岡翔太「した」
かつてよりThe Finalsは若手の登竜門として位置づけられてきた大会だ。だからといって、井川は後進に勝ちを譲る気などさらさらないし、何より彼は現役のプロプレイヤーであり、岡井もまたブロンズレベルのプレイヤーなのだ。
ベテランも若手も関係なく、ただ頂点を目指す戦いが、ここにはある。
ゲーム1
マリガンスタートの先手、岡井が2ターン目に《ボロスの挑戦者》、井川は《野茂み歩き》。岡井はこれを《溶岩コイル》で処理するが、土地が2枚で止まってしまう。
井川は《翡翠光のレインジャー》。《ビビアン・リード》を墓地に落としつつブロッカーを立てる。
岡井は2枚目の《ボロスの挑戦者》《不屈の護衛》と展開するが、1体の《ボロスの挑戦者》が《貪欲なチュパカブラ》に処理されてしまう。
ならばと、《敬慕されるロクソドン》で生き残った2体のサイズを引き上げるが、井川は2体目の《翡翠光のレインジャー》《探求者の従者》と「探検」クリーチャーを複数展開し、ライブラリートップを調整しつつ十分なブロッカーを用意する。
だが、岡井はさらに《敬慕されるロクソドン》! これには井川も「(岡井のデッキに採用されている《敬慕されるロクソドン》2枚のうち)2枚とも引かれた…」と頭を抱えて長考に落ちる。
そして、出した答えは《ビビアン・リード》プレイから《野茂み歩き》を手に加え、長期戦への準備を整える。これが戦場に出て機能し始めれば井川のゾーンだ。
井川 良彦 |
今度はは岡井が盤面を指で計算しつつ、長考に落ちる。結果、「破壊不能」の《ボロスの挑戦者》をパンプアップし、+1/+1カウンターがそれぞれ置かれた《敬慕されるロクソドン》とともにプレイヤーに向けて攻撃へ向かう。
井川は《敬慕されるロクソドン》1体を《貪欲なチュパカブラ》と《翡翠光のレインジャー》で打ち取り、ライフは8となる。
ターンを迎えた井川。《ビビアン・リード》の能力により3枚目の《翡翠光のレインジャー》を手札に加え、《採取 // 最終》の《採取》で《貪欲なチュパカブラ》と《翡翠光のレインジャー》を回収し、《貪欲なチュパカブラ》で《敬慕されるロクソドン》を打ち倒す。
プランを変えざるを得なくなった岡井。5/4の《不屈の護衛》と5/6となった《ボロスの挑戦者》で《ビビアン・リード》へ向かうが、《不屈の護衛》はダブルブロックにより討たれ、《ボロスの挑戦者》はチャンプブロックで凌がれる。
そして井川は《野茂み歩き》から2体の《翡翠光のレインジャー》を展開すると、マナフラッドに陥っていた岡井はすぐさま「負けました……」と投了を宣言した。
岡井 0-1 井川
ゲーム2
今度は井川がマリガンスタート。岡井が《軍団の上陸》から《短角獣の歩哨》と動くのに対し、井川は《強迫》で《ベナリア史》《溶岩コイル》2枚、《英雄的援軍》から《ベナリア史》を落とし、《ラノワールのエルフ》と流れるように展開する。
岡井はいったん攻撃の手を止め、《ボロスの挑戦者》を展開。井川は《翡翠光のレインジャー》からさらに《強迫》で《英雄的援軍》を落とすが、その隙に岡井は《溶岩コイル》で《翡翠光のレインジャー》を焼き、《軍団の上陸》を《一番砦、アダント》に変身させつつ7点のダメージを叩き込む。
井川は《貪欲なチュパカブラ》で《ボロスの挑戦者》を処理するものの、岡井は引き込んだ《ベナリア史》、2体目の《短角獣の歩哨》と追撃を緩めない。
土地が止まってしまい、マナスクリューとなってしまった井川。《ゴルガリの女王、ヴラスカ》で《短角獣の歩哨》を除去し、必死で岡井の攻勢を食い止めにかかる。その岡井は《一番砦、アダント》起動で「昇殿」を達成する。井川は《黄金の死》でいったん盤面を流すが、《短角獣の歩哨》と《一番砦、アダント》が残ってしまう。
井川は《一番砦、アダント》こそ《暗殺者の戦利品》で対処するものの、岡井のさらなる手は《正義の模範、オレリア》!
この《正義の模範、オレリア》は《ビビアン・リード》で退場させられるが、さらにアンチゴルガリカードと言っていい《トカートリの儀仗兵》、《軍勢の切先、タージク》と脅威を立て続けに引き込む。
井川は《トカートリの儀仗兵》を《ヴラスカの侮辱》で処理するものの、そのまま岡井が押し切ったのだった。
岡井 1-1 井川
岡井 俊樹 |
ゲーム3
井川が《ラノワールのエルフ》、岡井が《軍団の上陸》。井川は2枚目の《ラノワールのエルフ》から《野茂み歩き》という立ち上がり。
岡井は《トカートリの儀仗兵》で井川の動きを封じ、さらに《ベナリア史》と戦線を横に広げていく。
井川は先ほどから動きなし。黒マナ源2枚が《愚蒙の記念像》タップインなのが響いているだろうか。
岡井は《暴君への敵対者、アジャニ》で《トカートリの儀仗兵》と騎士・トークンをサイズアップし、まずは慎重に3点のダメージを井川へ通す。
ここで黒マナが複数揃った井川だが、またも静かにターンを返す。岡井は訝しがりながらも《暴君への敵対者、アジャニ》で先ほどと同じクリーチャーたちをさらに巨大化させ、7点を井川に叩き込む。
さらに第2メイン・フェイズで《ボロスの挑戦者》、《アダントの先兵》と追加すると――
井川「負けた~(笑)」
井川が公開したのは「戦場に出たとき」能力を持つ「ゴルガリ・ミッドレンジ」の基幹となるクリーチャーたちだった。
岡井 2-1 井川
岡井 俊樹、決勝戦進出!
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