by Atsushi Ito
プロツアー。各国のトッププロや厳しいプロツアー予選を通過した選ばれし者たちが集う、マジックにおける最高峰の競技イベントだ。
そんなプロツアーの観戦者から見た魅力のひとつとしては、強豪同士の夢の対決が実現したりすることが挙げられるだろう。
開幕第1回戦からフィーチャーマッチエリアに呼ばれたのは、その名を知らぬ者はいないであろう
「殿堂の男」藤田と(リンク先は殿堂入り記念ページ(英語))、そしてプロツアートップ8入賞回数では日本人屈指の6回を誇る大礒。カバレッジマニア垂涎の、実に豪華な日本人対決である。
「練習何時間やった?俺ゼロなんやけど。借り物のデッキやから」という藤田に対し、「いや、僕はやりましたよ!ほとんど脳内ですけど」と大礒。開始前のトラッシュトークはここがプロツアーの舞台であることを忘れそうになるほど軽快だが、手札7枚を手に取ると、2人の表情は一瞬にして真剣なものに切り替わる。
デッキは藤田が八十岡 翔太(東京)謹製の4色PoYコントロール、対する大礒は自作の青黒コントロールである。
Game 1
藤田 剛史
先手は藤田。《》×2と静かな立ち上がりに対し、大礒は2ターン目に《》をプレイする。露わになった藤田の手札は、
というもの。ここから《》が抜かれる。返しで藤田が《》から《》をサーチすると、これに対して大礒は《》をプレイ。
藤田は《》をプレイするがこれは大礒が《》でカウンター。藤田は《》をタップインで置いてターンエンドする。
大礒はここぞとばかりに4ターン目、5ターン目と《》を4マナでプレイしてアドバンテージを取りにいくが、返す藤田の先手6ターン目にフルタップの大礒に対してプレイされたのは《》。これには思わず苦い顔の大礒。
大礒はアップキープに対応策がなく、まずはスフィンクスが藤田に2ドローをもたらす。《》こそ《》する大礒だが、4/6に殴られつつ藤田にさらに2ドローを許してしまう。これ以上引かれるとゲームの趨勢が決まってしまう大礒は、何とか《》をX=2でプレイした後、藤田のアップキープに《》という合わせ技で《》を必死に除去するが、ドローと合わせると実に1対6という絶望的な交換だ。
しかし藤田はドローが芳しくないのか、せっかく大礒がフルタップにもかかわらず、このターンのアクションが《》で自分の《》を割るというかなり寂しいものに留まる。《》も置いてターンエンド。対する大礒も《》を置いてターンを返すのみ。
それでも《》のアタックで大礒のライフは7。藤田は《》をプレイしてターンエンド。
ここで大礒は満を持して3マナ立たせての《》をプレイ。さらに藤田の《》は狙い澄ました《》。今度は大礒が2ドローを始める。これが逆転の狼煙となるか。
だが藤田は《》をプレイし、《》を5/5にして《》と2体でアタック、攻め手を緩めない。藤田の手札の《》が見えている大礒は5/5をブロックするしかない。戦闘後の《》のプレイにはスタックで《》を起動して脇の《》を流して金属術を達成させない大礒だが、《》で戦闘ダメージと合わせて《》が除去される。
返すターンに大礒は《》X=5で5/5の《》ごと盤面を一掃するが、藤田の側にはいまだ《》が健在だ。+1能力で《》が手札に加えられそのままキャストしてエンド。残りライフ4の大礒に対応を迫る。
この局面で大礒の回答は百点満点の《》!!
まずは-3で《》を追放し、盤面には一時的に《》のみとなる。
だが藤田は諦めることなく2体目の《》を出し、残り少ない大礒のライフにプレッシャーをかける。予断を許さない状況だが大礒は+4能力で、まずはカーンの忠誠値を-3能力を使用しても失わずに済む7まで引き上げる。
藤田は《》で本体にアタックし、大礒のライフは1。予定調和で《》が-3能力で《》を追放し、盤面は大礒とカーンに完全にコントロールされてしまったかのように見えた。
だが藤田はエンド前に自分の《》に《》を撃ちこみ、3/3トークンで大礒を介錯したのだった。
藤田 1-0 大礒
大礒 「《》で抜いたのに何故か《》まだ持ってると思ってた・・・ミスりましたね。対人戦が久しぶりだとやっぱダメだなぁ」
Game 2
大礒 正嗣
大礒の先手に移って、
という青マナの出ない手札を悩んだ末にキープ。2ターン目の《》で藤田の
と土地3枚が公開され、《》が抜かれる。
藤田の《》の返しに大礒は《》で藤田のデッキから《》を抜き、まずは色事故を解消。対する藤田は《》をプレイして《》をサーチ。
大礒が《》で《》を指定すると、藤田は苦笑しながら「なんなんそのカード。強すぎやん! 1人だけメタゲーム違わへん?」と漏らす。
手札は潤沢なもののマナ関連ばかりの藤田は、《》でアタックしてから《》《》を置いてターンを返すしかない。
大礒は安心して5枚目の土地《》を置いてエンドするが、返すターンに藤田がプレイしたのは《》!!
思わず「トップつんよ」と呟く大礒。《》をプレイするが、被覆のレベルが違う。4/4にアタックされて大礒のライフは12。
エンド前に《》を《》し、《》でドローを進めた大礒は、ついに《》に辿りつく。藤田のアタッカーが《》のみで大礒の場には《》と《》があるため、ニューゲームが始まるところまでいきそうな盤面だ。
しかし藤田は何事もなかったかのように自身の《》で対消滅させる。これには大礒も「トップ強すぎでしょ!」
藤田が《》で殴らずターンエンドすると大礒もターンを返すしかない。
藤田はさらに《》を引き込み、序盤に墓地に落とされた《》を回収する。大礒は《》のアタックを《》でチャンプし、次のターンにライフ10にしながらの《》で-1/-1カウンターを増殖して、地道に盤面を捌こうとする。
だが藤田は《》された《》を《》能力でチェインしてから、《》で自分の《》のマイナスカウンターを取り除きつつ4点アタック。既に大礒はライフ6だ。大礒は《》で解決策を探しにいくが、サイドインした《》だけが次々とハンドに寄ってくる。
《》をブロックに回して必死に耐える大礒だが、さらに藤田が《》を展開すると、大礒はそのまま殴り切られてしまった。
藤田 2-0 大礒
大礒 「全然そっちのデッキわからなくてサイドミスったー」
藤田 「《》とか《》とか入っとるから、たけし(《》)はまあないやろ、たけしは」