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2020ミシックインビテーショナル
2020ミシックインビテーショナル 初日の注目の出来事
2020年9月10日
(編訳注:埋め込み動画は英語配信のものです。)
2020ミシックインビテーショナルは、参加選手160名が4日間にわたり総額250,000ドルと2020年シーズン・グランドファイナル(リンク先は英語)の席を懸けて競い合う場として始まった。
ああ、そして真新しいフォーマットが大型イベントで初採用された場でもある。
これはMTGアリーナのヒストリック・フォーマットが採用された大型イベントを、世界が初めて目撃した瞬間だ。近年のセットと追加された補助セットを組み合わせて利用できることで、ヒストリックはマジックの他のフォーマットとは一線を画した独自性を有している。
初日の7回戦が終了した後、あるプレイヤーが注目を集めた――長年のマジック・ファンにとってはおなじみの名前だ。
イヴァン・フロックはまさにマジック界のスーパースターだったが、最近のマジック・プレイヤーには馴染みのない名前かもしれない。彼はプロツアー『マジック2015』で優勝し、次いでプロツアー『タルキール覇王譚』で5位、プロツアー『ゲートウォッチの誓い』で2位を獲得したのち、このゲームを休止していた。しかし彼はこの2年間で、スタンダードにおいて長期にわたり最高のデッキを次々と塗り替えてきたルームメイト・グループとして有名な「Czech House」(チェコの家)の一員として、再び姿を現したのだ。このトーナメントで唯一の無敗プレイヤーとして7勝0敗という信じられない成績を残した結果を見れば、フロックが戻ってきたことは明白だ。
今大会では、あるデッキも注目を集めた――フロックがそうであるように、マジックの歴史における定番的存在のゴブリン・デッキだ。赤単、または黒をタッチした形のゴブリン・デッキの使用率はこのミシックインビテーショナルの約3分の1に相当し、《上流階級のゴブリン、マクサス》が支配的存在であることを誰もが知っていた。このフォーマットでプロ・デビューする名ゴブリンとして、《上流階級のゴブリン、マクサス》が今週末にいくつも偉大なる瞬間を生み出すと我々は予想していた。そして、初日については期待を裏切ることがなかった。
初日に誘発した《上流階級のゴブリン、マクサス》の能力の中でも最高のもの――そして同じく注目を集めたそのほかの出来事を祝して乾杯だ。
ヒストリックのデビュー
フォーマットがデビューする機会というのは一度きりだ(リンク先は英語記事)。ヒストリックにとっては、今日がそれだ。一部のカードが禁止され、『Jumpstart』と『アモンケットリマスター』で新しいカードが多数登場したため、この1年でメタゲームは何度も変化していった。その結果、《エンバレスの宝剣》アグロからテフェリー・コントロール、猫かまど、果ては《隠された手、ケシス》コンボまで、マジックを隅から隅まで味わい尽くせる豪儀なフォーマットが生まれた。そしてこの舞台の上には、ゴブリンがところ狭しと詰まっている。
トーナメント開始時のメタゲームは以下の様相だ。
そしてこれが、第7回戦終了後の状況だ。
これらの数字から掘り下げられることは多く、2日目のプレイが始まれば配信チームは多くを語ることだろう。
最も人気のあるデッキ、「赤単ゴブリン」から始めよう。トップを走っていたのはフロックの「ジャンド・サクリファイス」だったが、初日の話題をさらっていたのは間違いなくゴブリンであり、少なくともこのトーナメントにおいては最高のデッキであるという喧伝に応えた形だ。
このゴブリンの組み合わせは、ヒストリック・デッキ特有とも言える。このデッキに採用されているカードは様々な方法でこのフォーマットに含まれたもので、(1998年に『ウルザズ・サーガ』で初めて印刷された)《ゴブリンの女看守》のように古典的なものから、『基本セット2021』で初登場したばかりの《人目を引く詮索者》といった新定番カードまでもが採用されているのだ。これは《エンバレス城》に後押しされるゴブリンの群れで勝つアグレッシブ・デッキとして、あるいは《スカークの探鉱者》を用いてマナを生み出し、それを大物である《上流階級のゴブリン、マクサス》に繋ぐコンボ・デッキとして機能する。
《ゴブリンの酋長》と《ゴブリンの戦長》がチームに速攻を持たせることで、《群衆の親分、クレンコ》のようなカードは悪夢へと変わる。そのほとんどは赤単だったが、ゴブリン・プレイヤーの約3分の1は《思考囲い》を採用するために黒を追加することを選んだ。
20 《山》 3 《エンバレス城》 2 《ファイレクシアの塔》 -土地(25)- 4 《スカークの探鉱者》 1 《松明の急使》 4 《人目を引く詮索者》 4 《ずる賢いゴブリン》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの女看守》 4 《ゴブリンの戦長》 1 《宝石の手の焼却者》 4 《群衆の親分、クレンコ》 1 《ゴブリンの首謀者》 4 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(35)- |
-呪文(0)- |
1 《ゴブリンのクレーター掘り》 3 《宝石の手の焼却者》 3 《軍勢の戦親分》 1 《ゴブリンの鎖回し》 1 《ゴブリンの首謀者》 1 《ゴブリンの損壊名手》 2 《マグマのしぶき》 1 《レッドキャップの乱闘》 2 《削剥》 -サイドボード(15)- |
このデッキは、ライバルズ・リーグに所属するエマ・ハンディ/Emma Handyを6勝1敗へと導いた。彼女はオータム・バーチェット/Autumn Burchettとともにこのデッキを完成させたそうだが、2人とも2日目に再び戦いの場へと戻ってくるだろう。
「オータムと私は最終的にゴブリン・デッキを選択しました。それは長期戦狙いのテフェリー・デッキが展開してくるものの多くを打ち負かし、ランプ・デッキを打ち砕くに十分な爆発力があることにすぐ気づいたからです」とハンディは説明した。「数週間前に《ボーラスの城塞》デッキが話題に上がっていたため、ビートを重視したデッキを選びました。そして、ゴブリンよりも先の段階に進んでいるけれども調整が行き届いていないデッキよりは、極限まで調整されたゴブリン・デッキのほうがよいと私たちは判断したのです」
This is my update thread for the #MythicInvitational
— Emma Handy (@Em_TeeGee) September 10, 2020
Beat Cifka on Jund Sac.
I kept this G2 and won. Which is mostly to say, when I win the event I'd like to be known as The Matron of the Magic Community.
1-0 pic.twitter.com/VYFUGSPdCZ
これは #MythicInvitational の私の状況について更新していくスレッドです。
「ジャンド・サクリファイス」のツィフカに勝ち。
2ゲーム目にこの手札をキープして勝ちました。言いたいことはですね、このイベントに勝った暁には、「マジック・コミュニティの女看守」として知られるようになりたいということです。
1-0
「デッキ自体は単なる部族デッキのように見えますが、基本的には3つのデッキが1つに合わさったものです。過剰なまでの速度が必要なら《ゴブリンの酋長》デッキ、戦場への展開を重視するなら《群衆の親分、クレンコ》デッキ、そして爆発力やライブラリーのめくれに期待するときはいつでも《上流階級のゴブリン、マクサス》デッキになりうるという事実がその根拠です。これらのどこに寄せていくか選ぶことで、サイドボード時には想定していたよりも柔軟性が増し、また対戦相手のデッキに合わせて戦略を適合させていくコンボ・デッキのようにも感じます。現状を鑑みると私たちのデッキは環境的にかなりよさそうに思いますし、全体の20~35%を占めるアーキタイプを選択することを悪いと考えることがそもそも難しいですね。私たちのリストはミラーマッチ用に調整されていることもあり、《波乱の悪魔》とその仲間たちに当たらない限りは結果を出せそうです」
これがマクサスの世界だ。あとは上の6枚にゴブリンがいないことを願うしかない。
ジャンドを駆ってトップに上り詰めるフロック
しかしその使用者数にもかかわらず、トップはゴブリンとはならなかった。フロックの「ジャンド・サクリファイス」はつい最近のスタンダード・デッキのように思えるが、フロックはそれがヒストリックに必要なものを備えていると証明したのだ。《魔女のかまど》《大釜の使い魔》エンジンを中心に、脅威と回答の両方を効果的に運用するために必要なものすべてが、ヒストリック・フォーマットのような多様さを持って盛り込まれている。
2 《沼》 4 《血の墓所》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《草むした墓》 2 《森林の墓地》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《根縛りの岩山》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(23)- 4 《大釜の使い魔》 4 《戦慄衆の解体者》 4 《忘れられた神々の僧侶》 2 《血の芸術家》 4 《波乱の悪魔》 4 《真夜中の死神》 4 《悲哀の徘徊者》 -クリーチャー(26)- |
4 《魔女のかまど》 3 《初子さらい》 4 《集合した中隊》 -呪文(11)- |
2 《帆凧の掠め盗り》 2 《漁る軟泥》 2 《再利用の賢者》 1 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 3 《思考囲い》 1 《初子さらい》 2 《削剥》 2 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -サイドボード(15)- |
「私たちは長い間ジャンド(サクリファイス)に注目していて、ゴブリンとこれがベスト・デッキの1つであると考えていたんだ」とフロックは説明してくれた。「《ラノワールのエルフ》や《金のガチョウ》が入ってなくて、緑のカードは《集合した中隊》だけという新しいバージョンを目にしたとき、これに決まったんだ。マナベースとマナカーブが良好で、動きのスムーズさとパワフルさを兼ね備えたデッキになった」
「本当は何らかのコントロールを使おうと思っていたんだけど、ジャンドがもたらすあらゆる角度からの攻撃に――その圧力、《真夜中の死神》のカード・アドバンテージやあるいは《集合した中隊》の力に――対応できなかった。それはジャンドがゴブリンに対してわずかに有利であると私たちが判断している、という事実と相まって、このトーナメントにおける明確な選択となったんだ。私は今の構築におおむね満足しているよ。今ならたぶんサイドボードに2枚目の《フェイに呪われた王、コルヴォルド》を用意すると思うけれどね」
これは、そのキャリアのピーク時には最高のプロ・プレイヤーとして認められたフロックに、遅ればせながら再び注目が集まる結果となった。彼は今や2日目の大本命で、上位8名に残って超一流のマジック・プレイヤーとしての復帰を果たさんとしている。
「調子はいいし、デッキも強いし、今のところカンパニーくじにも恵まれている。明日も同じ調子だといいね」
もちろん、多くの強敵がフロックのすぐ後ろにつけている。元プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのルイス・サルヴァット/Luis Salvattoは6勝1敗で初日を終えており、そこにハンディ、ノア・ウォーカー/Noah Walker、マジック・プロリーグのメンバーであるクリス・カヴァルテク/Chris Kvartekとライバルズ・リーグのグジェゴジェ・コワルスキ/Grzegorz Kowalskiが加わった。
トーナメントの光景と喧噪
自宅からプロ・トーナメントに参加するということは、ミシックチャンピオンシップに関わる全ての人にとって全く異なる経験となり、その時間を共有する機会ともなった。
そこには本当に激しい勝利もあった。
さらに、ファン(とキャスター)のお気に入りも。
ミシックインビテーショナル初日の最高の瞬間の1つは、サルヴァットが全勝を懸けてフロックと対戦した最終ラウンドだろう。2ゲーム目の終わり、そう、衝撃的な盛り返しを見せたアルゼンチン人のための舞台、一進一退の名勝負だった2ゲーム目が終わった直後、サルヴァットは再び視聴者を驚かせたのだ。
そして最後に、「LSVはLSVだ」としか言い表せない行動をしてのける殿堂入りプレイヤー、ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasの映像でお別れしよう。
An 11/11 Korvold wasn't the only thing chowing down during Round 3 of the #MythicInvitational
— Magic Esports (@MagicEsports) September 10, 2020
Catch more @lsv shenanigans LIVE now on https://t.co/we35sjwRQE pic.twitter.com/kPkUhirNpJ
#MythicInvitational の3ラウンド目でモリモリ食べているのは11/11のコルヴォルドだけではありませんでした。
今すぐ http://Twitch.tv/Magic のライブでもっと @lsv のおふざけを見ましょう
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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