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2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)
2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)最終日の注目の出来事
2019年12月8日
ここロングビーチで迎える週末には、あらゆるものが懸かっていた。マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019への参加権利。マジック・プロリーグへの招待。ライバルズ・リーグへの招待……そしてそれらに比べればささいなものだが、今年最後の大会である2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)の優勝賞金100,000ドルも。
週末が終わり、すべてのレースが決着した。優勝トロフィー(と世界選手権2019の最後の出場枠)のゆくえを決する伝説的な最終戦を経て、まさに王者にふさわしいピオトル・グロゴウスキ/Piotr Głogowskiという王者が誕生した。彼はこの週末を通してすべてのマッチに勝利し、今年はじめのミシックインビテーショナルでの準優勝という結果を優勝の2文字に塗り替えたのだ。
ここでは、最終日の注目の瞬間を振り返ろう。
「Kanister」が完璧なる王者に
ピオトル・グロゴウスキ |
ミシックチャンピオンシップで優勝できる者はごくわずかだ。ましてや他を圧倒しての優勝となれば、さらに少なくなる。「Kanister」ことピオトル・グロゴウスキは、その限られた者しか達成できない偉業を成し遂げたのだ。彼はMPLエルドレイン・スプリットでディビジョン優勝を果たし今大会の2日目シード権を獲得すると、そこから無傷の8連勝でグランドファイナルへ進出。使用者3人を全員トップ8へ送り出したセス・マンフィールド/Seth Manfield謹製の「シミック・フラッシュ」を使う、ブラッド・ネルソン/Brad Nelsonと対峙することになった。
最終日のメタゲームは、実に幅広い様相だった。《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》、《パンくずの道標》を中心とした消耗戦に強いデッキから、《創案の火》でマナの支払いを踏み倒すデッキ、そしてアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciをトップ8入賞に導いた派手なランプ・デッキまで、さまざまなデッキが姿を見せた。
だが最終的には、グロゴウスキが自身で調整して仕上げた「ジャンド・サクリファイス」が勇躍した。彼は今大会を席巻した「シミック・フラッシュ」の使い手3人(セス・マンフィールド、ハビエル・ドミンゲス、そして最後にブラッド・ネルソン)を全員倒し、さらにパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaが操る「ジェスカイ・ファイアーズ」をも打ち破ったのだ。
グランドファイナル
最終戦は、両者のデッキがどちらも最高の動きを見せた。ネルソンはクリーチャーを瞬速で繰り出し、打ち消し呪文を駆使して戦った。グロゴウスキは生け贄によってアドバンテージを得るエンジンを組み上げていった。最初の2試合を両者が1つずつ取ると、第3試合ではネルソンが2枚の《世界を揺るがす者、ニッサ》を立て続けに繰り出した。無事にアンタップを迎えられれば、巨大な《ハイドロイド混成体》が待ち受けていた。
しかしグロゴウスキはその2枚とも対応しきってみせた。1枚目は《パンくずの道標》で《残忍な騎士》を探し当て、次のターンは《大釜の使い魔》を《魔女のかまど》にくべたときに《波乱の悪魔》が生み出すダメージを、2枚目の《世界を揺るがす者、ニッサ》が退場するまで叩き込んだ。
2枚目の《世界を揺るがす者、ニッサ》を失ったネルソンは、決着が近いことを悟った。だが最後の最後で彼は、この戦いにサプライズ演出を盛り込んだ。グロゴウスキはMTGアリーナで使用できるエモート機能を(対戦相手の心を乱すために)存分に使うことでよく知られている。だからネルソンは、その意趣返しをしたのだ(もちろん悪意からではなく)。最終ターン、彼は不敵な笑みを対面に見せながら「ロープ」が出るまで粘った。いよいよ制限時間が迫ると、「Thinking...(考え中……)」のエモートを飛ばしてみせた。
グロゴウスキも言っていたが、まさに「ふさわしい」決着であった。
今大会はグロゴウスキにとって、シーズンを文字通り完璧に締めくくる素晴らしいものだった。だが彼も言うように、2019年シーズンにはまだもう1つ、大仕事が残っている――来年2月の世界選手権2019で優勝することだ。
I'M THE BOSS OF THIS GYM#MythicChampionshipVII
— Piotr 'kanister' Głogowski (@kanister_mtg) December 9, 2019
俺がこのジムのリーダーだ #MythicChampionshipVII
2020年に向けたさまざまなレースの結末
2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)には、1つの大会での勝利だけでなくずっと多くのものが懸かっていた。今大会を観戦した皆さんも、世界最高のプレイヤーたちが競い合った3つのポジション争いが生み出すドラマに、釘づけになったことだろう。すなわち、世界選手権2019への参加権利争いと、2020年の「移行シーズン」におけるマジック・プロリーグおよびライバルズ・リーグの枠争いだ。
3つのレースは、最後の最後までドラマを生み出した。今大会のトップ8にはこのゲームの歴史に残る至高の才能が揃い、中でもグランドファイナルで相見えたグロゴウスキとネルソンの戦いは1つの収束点だった。彼らは、世界選手権への参加権利を2つの軸で競い合っていた。この試合で勝った方は、ハワイで行われる賞金総額100万ドルの大会に「2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)王者」として出場できる。そしてそれと同時に、両者は獲得ミシック・ポイントにおけるMPLの上位4名の枠も争っていた――こちらは他のMPL選手の状況も絡む複雑なレースだった。そしてグロゴウスキとネルソンの両者ともトップ8入賞に近づくにつれて、状況がはっきりしてきた。すでに参加権利を確定させているトップ8入賞者が今大会で優勝した場合に限り、グロゴウスキとネルソンのうち最終成績で上回った方が世界選手権への参加権利を獲得するのだ。
他にもあり得る可能性として、グランドファイナル進出のチャンスが2回まであるハビエル・ドミンゲスが優勝し、「招待枠を空ける」ことも考えられた。しかし彼はグロゴウスキとネルソンに立て続けに敗れ、いよいよ勝った方が2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)王者の座と世界選手権への切符の両方を得ることになったのだった
グロゴウスキの勝利によって勝者に参加権利が授与され、MPL上位4名の枠はアンドレア・メングッチ、マルシオ・カルヴァリョ、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ、セス・マンフィールドの4名に決まった。なお「挑戦者」側からは、ラファエル・レヴィ/Raphaël Levy、クリス・カヴァルテク/Chris Kvartek、セバスティアン・ポッツォ/Sebastian Pozzo、ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifの上位4名がホノルルへ向かう。
ぜひ世界選手権出場選手の一覧を確認し、応援する選手を決めよう。
Talk about a group of killers. This Worlds is going to be insane! #mtga #MTGWorlds #MTG pic.twitter.com/CdEkYMUZzW
— Sev (@Sev2119) December 9, 2019
まさに死のグループ。今年の世界選手権やばい! #mtga #MTGWorlds #MTG
マジック・プロリーグへの招待をめぐるレースは、「挑戦者」からオンドレイ・ストラスキー/Ondřej Stráský、ラファエル・レヴィ、ガブリエル・ナシフ、クリス・カヴァルテク(今大会でトップ8に入賞し、滑り込んだ)の4名が移行シーズンのMPLに招待されることになった。
ぜひ2020年の移行シーズンにおけるMPL招待選手一覧を確認し、再び始まる世界最高のマジック・プレイヤーたちの戦いに備えよう。(参考記事:英語。なお「招待選手」であり参加確定選手の一覧ではありません。)
そして最後に、ライバルズ・リーグへの招待枠もこの週末を終えるまで決まっていなかった。今大会でミゲル・ダ・クルス・シモエンス/Miguel da Cruz Simõesがトップ8に入賞したことで、人気配信者の「NumottheNummy」ことケンジ・エガシラ/Kenji Egashiraがライバルズ・リーグ入りを確定させた。詳しくは、2020年の移行シーズンにおけるライバルズ・リーグ招待選手一覧もご確認いただきたい。(参考記事:英語。なお「招待選手」であり参加確定選手の一覧ではありません。)
その先へ
開催は2020年2月だが、2019年シーズンにはまだもう1つ大会がある。マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019は、2月14~16日(現地時間)にかけてホノルルにて行われる。賞金総額100万ドルと「世界王者」のタイトルを懸けて16名が競い合うこの大会は、今シーズン最大のマジック・イベントになるだろう。
ぜひ応援したい選手を見つけ、2020年1月からの移行シーズンをお楽しみに!
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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