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2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)
2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)2日目メタゲームブレイクダウン
2019年11月9日
初日を戦った495名のプレイヤーたちのうち、4勝4敗以上の成績で2日目へ進出できたのは304名(全体の61.4%)。理論的にはスタンダード部門が1勝4敗でもドラフト部門全勝なら2日目進出の目はあり、スタンダードで3勝2敗と勝ち越してもドラフト全敗なら初日敗退の可能性はある。だがそれでも、初日を突破できるだけの優れたスタンダード・デッキを分析することに意味はあるだろう。
初日の結果を得た今こそ、現環境を詳しく分析してみよう。
最強の《王冠泥棒、オーコ》デッキは?
昨日は、《王冠泥棒、オーコ》が圧倒的支配を見せた。そして大会2日目となる今日は、わずかながらさらに使用率を高めている。メインデッキやサイドボードに《王冠泥棒、オーコ》を採用しているアーキタイプのデータは、以下の通りだ。
アーキタイプ | 初日使用者数 | 使用率 | 2日目使用者数 | 使用率 | 進出率 |
---|---|---|---|---|---|
スゥルタイ・食物 | 183 | 37.0% | 115 | 37.8% | 62.8% |
シミック・食物 | 94 | 19.0% | 59 | 19.4% | 62.8% |
バント・食物 | 35 | 7.1% | 21 | 6.9% | 60.0% |
スゥルタイ・サクリファイス | 13 | 2.6% | 11 | 3.6% | 84.6% |
4色サクリファイス | 5 | 1.0% | 4 | 1.3% | 80.0% |
4色食物 | 3 | 0.6% | 2 | 0.7% | 66.7% |
シミック・フラッシュ | 3 | 0.6% | 1 | 0.3% | 33.3% |
バント・ランプ | 2 | 0.4% | 0 | 0.0% | 0.0% |
ティムール・プレインズウォーカーズ | 2 | 0.4% | 2 | 0.7% | 100.0% |
シミック・出来事 | 1 | 0.2% | 1 | 0.3% | 100.0% |
シミック・模写 | 1 | 0.2% | 0 | 0.0% | 0.0% |
計 | 342 | 69.1% | 216 | 71.1% | 63.2% |
最終列が「2日目進出率」を表している。これは、ある特定のデッキ・タイプを使用したプレイヤーのうち、何割が2日目へ進出できたかを示す数値である。ただし競技にはドラフトも含まれ、また8-0のプレイヤーと4-4のプレイヤーが等しく記録されるため、やや曖昧なデータではある。
それでも、スタンダード部門の各アーキタイプ勝率(こちらは明日公開予定だ)と進出率を合わせて見ると、現段階では「スゥルタイ・サクリファイス」が最強の《王冠泥棒、オーコ》デッキであることが示さた。
6 《森》 4 《繁殖池》 4 《草むした墓》 4 《沼》 4 《湿った墓》 2 《ロークスワイン城》 -土地(24)- 4 《大釜の使い魔》 4 《金のガチョウ》 3 《残忍な騎士》 2 《意地悪な狼》 3 《虐殺少女》 -クリーチャー(16)- |
4 《魔女のかまど》 4 《むかしむかし》 4 《パンくずの道標》 2 《害悪な掌握》 4 《王冠泥棒、オーコ》 2 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -呪文(20)- |
サイドボードの枚数はまだ未公開(編訳注:原文掲載時)だが、《霊気の疾風》、《強迫》、《恋煩いの野獣》、《否認》、《朽ちゆくレギサウルス》、《打ち壊すブロントドン》、《夏の帳》、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》が採用されている。
「スゥルタイ・サクリファイス」を使用したプレイヤーは13人。2日目進出率は最も高い数値を記録し、初日のスタンダード部門における勝率も、使用者5人以上を集めたアーキタイプで最も高かった。全体勝率は73%(43勝16敗)、「食物」に分類されたデッキに対しては56%(20勝16敗)、そして「食物」以外のデッキに対しては100%(23勝0敗)という圧倒的なパフォーマンスを見せつけた。
恐らく、《大釜の使い魔》、《魔女のかまど》、《パンくずの道標》による生け贄エンジンが、《世界を揺るがす者、ニッサ》から《ハイドロイド混成体》のランプ・プランを上回ったのだろう。また、「スゥルタイ・サクリファイス」があまり知られておらずサプライズ的な要素を含んでいたことも、大きな追い風だったと言えそうだ。いずれにせよ、「スゥルタイ・サクリファイス」は今大会ここまでで最も花開いたデッキとなっている。
《王冠泥棒、オーコ》デッキを打ち倒すデッキは現れたか?
次に、《王冠泥棒、オーコ》を採用していないアーキタイプのデータを見てみよう。
アーキタイプ | 初日使用者数 | 使用率 | 2日目使用者数 | 使用率 | 進出率 |
---|---|---|---|---|---|
ゴルガリ・出来事 | 33 | 6.7% | 19 | 6.3% | 57.6% |
ジェスカイ・ファイアーズ | 21 | 4.2% | 16 | 5.3% | 76.2% |
ティムール・荒野の再生 | 21 | 4.2% | 12 | 3.9% | 57.1% |
アゾリウス・コントロール | 12 | 2.4% | 4 | 1.3% | 33.3% |
ラクドス・サクリファイス | 11 | 2.2% | 6 | 2.0% | 54.5% |
グルール・アグロ | 8 | 1.6% | 6 | 2.0% | 75.0% |
セレズニア・出来事 | 8 | 1.6% | 6 | 2.0% | 75.0% |
エスパー・屋敷の踊り | 5 | 1.0% | 2 | 0.7% | 40.0% |
ジャンド・サクリファイス | 5 | 1.0% | 3 | 1.0% | 60.0% |
ラクドス・騎士 | 5 | 1.0% | 5 | 1.6% | 100.0% |
グルール・出来事 | 3 | 0.6% | 3 | 1.0% | 100.0% |
イゼット・フラッシュ | 3 | 0.6% | 0 | 0.0% | 0.0% |
スゥルタイ・エレメンタル | 3 | 0.6% | 2 | 0.7% | 66.7% |
その他 | 15 | 3.0% | 4 | 1.3% | 26.7% |
計 | 153 | 30.9% | 88 | 28.9% | 57.5% |
「ジェスカイ・ファイアーズ」と「アゾリウス・コントロール」の2日目進出率が目を引くが、それらはドラフト部門の成績が主な要因になっている。初日のスタンダード部門の勝率は、「ジェスカイ・ファイアーズ」が52%、「アゾリウス・コントロール」が48%と、統計的に有意なほど50%から離れているわけではないのだ。
スタンダード部門で最も印象的な活躍を見せたのは、「グルール・出来事」で間違いない。使用者数は3人に留まっているものの、3人合わせて初日12勝3敗を記録しており、とりわけ「食物」デッキに対して10勝3敗の好成績は特筆すべきことだろう。
10 《森》 10 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 -土地(24)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《クロールの銛撃ち》 4 《リムロックの騎士》 4 《砕骨の巨人》 4 《恋煩いの野獣》 4 《探索する獣》 -クリーチャー(24)- |
1 《夏の帳》 4 《ドムリの待ち伏せ》 4 《むかしむかし》 3 《エンバレスの宝剣》 -呪文(12)- |
サイドボードの枚数はまだ未公開だが(編訳注:原文掲載時)、《燃えがら蔦》、《エンバレスの盾割り》、《実験の狂乱》、《炎の一掃》、《溶岩コイル》、《ショック》、《魔術遠眼鏡》、《夏の帳》が採用されている。
「グルール・出来事」がこの上ない活躍を見せたのには、いくつか理由がある。まず《エッジウォールの亭主》を採用したことで、比較的除去の少ない「食物」デッキの弱点を突けたこと。それから、《砕骨の巨人》と《クロールの銛撃ち》が《金のガチョウ》に物語を始めさせなかったこと。そして《恋煩いの野獣》に《エンバレスの宝剣》を付けることで、突然12点もの攻撃を仕掛けられること。
使用者の3人は、ワールド・マジック・カップ2014でチームを優勝に導いたマーティン・ミュラー/Martin Müller、世界選手権2015王者セス・マンフィールド/Seth Manfield、そして現在の世界王者ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezと錚々たるメンバーだ。彼らなら何を使っても勝っていたかもしれないが、「食物」デッキを次々と打ち倒し、初日のスタンダード部門で80%もの勝率を記録したという事実は、見事の一言だ。
彼らは究極の「対《王冠泥棒、オーコ》デッキ」を見出したのだろうか? それはトップ8入賞という形で報われるのだろうか? 2日目の結果を見届けよう。twitch.tv/Magicでの生放送をお見逃しなく!
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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