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2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)
木原 惇希の「Kihara Works ver. MCⅣ」
(本記事は1日目に取材した内容をもとに作成しています)
《甦る死滅都市、ホガーク》の海。
このミシックチャンピオンシップでは、《黄泉からの橋》を失ってなおその強さが噂されていた「ホガークヴァイン」が前評判通り大勢力となり、フィールドを闊歩している。
総参加者数のうち21%強が使用という数字は、ミシックチャンピオンシップにおいて支配的と言っていい。
この「ホガークヴァイン」に対し、プレイヤーたちは選択を迫られた。
すなわち、このデッキを使用するか、立ち向かうか。
木原惇希が選んだのは「ホガークヴァイン」ではなく、それに立ち向かう道だった。
木原「体感は8対2で有利ですね」
Kihara Works ver MCⅣ
4 《森》 1 《平地》 1 《島》 2 《寺院の庭》 1 《繁殖池》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《霧深い雨林》 2 《地平線の梢》 1 《冠水樹林帯》 -土地(20)- 4 《極楽鳥》 4 《貴族の教主》 4 《ルーンの与え手》 4 《献身のドルイド》 4 《療治の侍臣》 1 《薄暮見の徴募兵》 1 《豊潤の声、シャライ》 1 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(23)- |
4 《エラダムリーの呼び声》 4 《新生化》 4 《異界の進化》 1 《死後の一突き》 4 《召喚の調べ》 -呪文(17)- |
1 《無私の霊魂》 3 《拘留代理人》 1 《弁論の幻霊》 4 《アロサウルス乗り》 2 《グリセルブランド》 1 《流刑への道》 3 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
木原「トップメタが『ホガークヴァイン』『エルドラージ・トロン』『白青コントロール』の3つになると予想して、そのうち『ホガークヴァイン』『エルドラージ・トロン』に強いコンボ系のデッキがいいなと思って。最初はアブザン(白黒緑)カラーから練習し始めたんですけど、そのカラーリングだとコンボに特化していないんですよね。《台所の嫌がらせ屋》なんかのカードが入っていたりして。そこを排除してコンボ特化型にしたら劇的に勝率が上がったんです」
彼が予想していたメタゲーム通り、「ホガークヴァイン」が圧倒的な使用者数となる98名=21.4%。「エルドラージ・トロン」が42名=9.2%。仮想敵に据えたデッキが総参加者数の30%を超えており、木原の読みはかなりの精度と言っていいだろう。
より刃を尖らせることで、それらのデッキに対し冒頭で述べたとおり圧倒的な勝率を叩き出せるようになったという。木原いわく『モダンホライゾン』発売後、環境は明らかに高速化したという。序盤の3ターンで勝負がついてしまうことも珍しくなく、そのスピードに対抗できるだけのデッキ構築を模索する必要があった。
木原「2ターン目に絶対《献身のドルイド》を出したいんですよね。そうでないとこのデッキはめちゃくちゃ弱くて……。なので、1ターン目のマナクリーチャーから《異界の進化》と《新生化》で2ターン目に《献身のドルイド》を出すことが前提です」
木原「安定3キルですね」
順調に行けば、3ターン目には土地が3枚と《献身のドルイド》で5マナを捻出できることになる。《療治の侍臣》が手札になくとも《召喚の調べ》か、『モダンホライゾン』で得た《エラダムリーの呼び声》があれば、問題なくコンボを決めることができる。
コンボに特化することで、速さを手に入れた木原のデッキは前述の通り「ホガークヴァイン」に対し圧倒的な強さを手に入れた。
だが、先鋭化するということは同時に脆さも併せ持つことになる。
サイドボードの発見
木原「とにかくこのデッキは《稲妻》に弱いんですよね」
コンボパーツがすべて低タフネスのクリーチャーに依存しているため、どうしても軽量除去に対しては耐性が低くなってしまう。このイベントで7.9%のプレイヤーが使用している「ジャンド」や、常に一定の使用者がいる「バーン」といったデッキに対しては遅れを取ってしまうことが多かった。
そんな中、木原は思いつく。
木原「あれ? このデッキならもしかして《アロサウルス乗り》から《新生化》で《グリセルブランド》出せるんじゃないかな?って」
巷で話題となった「ネオブランド」デッキ――《アロサウルス乗り》を代替コストでプレイし、そこから《新生化》か《異界の進化》で《グリセルブランド》をライブラリーから直接戦場に出す。そして主に大量のカードを引き込み、ライフを回復しつつライブラリーを引ききって《研究室の偏執狂》で勝利するコンボデッキだ。
木原はそこから《アロサウルス乗り》と《グリセルブランド》までの部分を抽出し、サイドボードに組み込んだ。
木原「『ジャンド』や『バーン』に対しては劇的に相性が改善しましたね。コンボを決めずとも3回攻撃すればゲームが終わりますし」
軽量除去が大量に入るデッキに対しては、マナ・クリーチャーを抜いてこのコンボパーツを投入する(《アロサウルス乗り》のコスト「緑のカード」の枚数調整のため《療治の侍臣》を2枚抜くとのことだ)。そういったデッキは往々にして《グリセルブランド》を除去できるようなカードが多く採用されているわけではない。「ジャンド」に関しては《暗殺者の戦利品》で処理されてしまうこともあるが、ライフを攻め立ててくるデッキではないため《グリセルブランド》の7枚ドローが生きてくる。
同じく《稲妻》が採用されており、かつ《グリセルブランド》の天敵《氷の中の存在》を擁する「イゼット・フェニックス」に対しては《拘留代理人》を投入することで対処するという。
コンボを尖らせながらも、斬新なサイドボードで天敵への相性を改善させた木原惇希の力作を紹介してきた。
支配的とも言えるデッキに対し、木原は抗うことを選んだ。「ホガークヴァイン」の強さが話題となっている現環境だが、モダンをプレイされる方は、ぜひ一度この研ぎすまされたデッキを手にとってみてはいかがだろうか。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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