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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第7回:『戦乱のゼンディカー』発売直前!新環境ドラフト攻略

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第7回:『戦乱のゼンディカー』発売直前!新環境ドラフト攻略

 皆さんこんにちは! ついに『戦乱のゼンディカー』が10月2日に発売となりますね!

 プレリリースでは「Zendikar Expeditions」、いわゆる大当たり土地フォイルを引けてラッキー!なんて方もよく見かけました。パックを剥くのが非常に楽しそうなセットで、リミテッドしがいがありますね!

 それでは、新セットである『戦乱のゼンディカー』を使った、新環境のドラフトをしっかり予測していきます! 今回も引き続き「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」の2本立てで、今回は前編です。基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。

 それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!

1.新環境~『戦乱のゼンディカー』のドラフト

 新たなブロックのセット『戦乱のゼンディカー』が発売されることで、ドラフトの環境も『戦乱のゼンディカー』3パックを使用した新環境のものになります。

ファーストインプレッション

 僕が『戦乱のゼンディカー』のカードリストを見た最初の印象は、「アーキタイプドラフト環境である」というものです。アーキタイプドラフトとは、いずれかのカードの組み合わせにデッキを特化させるピックをすることです。

 『戦乱のゼンディカー』での例をあげると、《待ち伏せ隊長、ムンダ》を初手でピックできたなら、その後同盟者をかき集め、同盟者に特化したデッキを作る、といったものです。今回は「欠色」や「同盟者」などカードの組み合わせで強くなるデザインのカードが多いので、アーキタイプドラフト環境になると思います。

アーキタイプのキーになるカード

 また、「上陸」や「覚醒」などのキーワード能力は、マナを引きすぎる、いわゆる「マナフラッド」への回答となるので、土地を多めに入れる戦略も成立しそうです。18~19枚の土地が入ったデッキも十分ありえるでしょう。

 さらに、エルドラージ・末裔・クリーチャー・トークンを出すカードが多数存在するため、地上は他の環境に比べて膠着しやすくなります。そのため、「飛行」をはじめとした回避能力持ちクリーチャーの価値は他の環境よりもさらに高くなりそうです。

 ここまでがカードリストを見て抱いた最初の感想です。

 簡単にまとめますと、

  • アーキタイプドラフトが強い環境
  • 「上陸」や「覚醒」などマナフラッドに強い能力があるので、デッキによっては土地は18~19枚推奨
  • エルドラージ・末裔・クリーチャー・トークンにより地上が膠着しやすく、回避能力でゲームが決まりやすい

 だいたいこんな感じでしょうか。

 初手や早い巡目でピックできた強力なコンセプトを持つカードから、いかに上手くアーキタイプドラフトに持ち込めるかが鍵となりそうな環境です。飛行が強いので、飛行を使うか、飛行対策は是非しておきたいですね。

 さて、次は強力な新キーワードについて見ていきましょう!

2.新キーワードについて

欠色

このカードは無色である。

 なんの意味があるのかわかりにくい能力ですね。本来、マナコストに色マナが含まれるカードはその色のカードですが、それが無色として扱われる能力です。無色であることで、本来有色であるはずのカードが無色を参照する能力の恩恵を受けることができます。主にエルドラージに関連するカードがこの「欠色」を持っていますね。

嚥下

このクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを追放する。

 一見するとライブラリー破壊であり、あまり強くないように見えますが、実際は「追放領域のカード」を作って利用するための能力です。《塵の予言者》のような、追放領域のカードを墓地に置くことで効果を発揮するカードを補助するための能力ですね。

収斂

 支払われたマナの色の数を参照する能力です。《影響力の行使》のようにそもそも色マナを支払わないと何も起きないカードや、《空乗りのエルフ》のような、マナの色の数だけ強化されるカードなどがあります。3色以上の多色でデッキを組むことができたなら、これらのカードを上手く使う事ができるでしょう。

結集

~か他の同盟者が1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、~

 同盟者クリーチャーに付与されている、自身か同盟者が場に出たときに誘発するキーワード能力で、その効果は同盟者だけではなく、自分のクリーチャー全体に影響を及ぼします。

 同盟者でデッキを固めた時の爆発力はいわずもがな、《タジュールの戦呼び》のように、戦場に出たときに強力な効果を発揮するカードは同盟者関係なくピックしてもかまいません。

覚醒

覚醒N―覚醒コスト(この呪文を覚醒コストで唱えたなら、加えて、あなたがコントロールする土地1つを対象する。それの上に+1/+1カウンターをN個置く。それは速攻を持つ0/0のエレメンタル・クリーチャーになる。それは土地でもある。)

 覚醒は通常のマナコストとは別に、覚醒のコストで呪文をプレイすることで、自分がコントロールする土地1つをクリーチャー化させる能力です。覚醒のコストはどれも重いものが多いので、土地を過剰に引いてしまった時に活躍します。

 《乱脈な気孔》のような、いわゆるミシュラランドと呼ばれるクリーチャー化できる土地に覚醒の能力を使用し、そのうえで自身の能力を起動すると、基本のパワー/タフネス、この場合は2/3にさらに+1/+1カウンターが置かれた状態になることができるのは覚えておくといいかもしれません。(ターン終了時に、0/0で+1/+1カウンターが置かれたクリーチャーに戻ります。)

3.『戦乱のゼンディカー』の注目カード

 では毎度恒例、色別、レアリティ別(レア以上を除く)に、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。今回は無色(無色カード+アーティファクトカード)の枠も用意しました。最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。

白・アンコモン

停滞の罠》:インスタントでクリーチャーを追放できる完全除去。追放領域を参照するエルドラージの昇華者とも相性が良いですね。

乱動の報復》:攻撃時にもブロック時にも使える5点振り分けの除去。上手く決まればゲームをひっくり返すポテンシャルを持っています。

回生の天使》:飛行であり同盟者。能力も数が並ぶデッキだと馬鹿にならないライフゲイン量で、同盟者デッキを作る際は優先的にピックしたいですね。もちろん同盟者が関係なくとも強いカードです。

白・コモン

真っ逆さま》:《暗殺》に優秀なおまけがついてくる強力カードです。

影の滑空者》:飛行が環境的に強そうなので、点数は高めでいいと思います。

ギデオンの叱責》:攻め、守りともに使える、汎用性が高い2マナの除去です。

青・アンコモン

ハリマーの潮呼び》:覚醒のカードを回収できる、強力なクリーチャーです。自身のサイズも2/3とマナレシオが悪くなく、土地に飛行が付与されるのも強力なおまけですね。

破滅を導くもの》:無色クリーチャーのパワーを上げる能力持ち。無色デッキでは何よりも優先してピックしたいですね。

逆境》:対戦相手のクリーチャーを2体も一時的に無力化できるのは非常に強く、さらにおまけのトークンもマナに使えるので馬鹿にできません。

青・コモン

掴み掛かる水流》:普通に使えば使い勝手が悪い《送還》ですが、覚醒コストでプレイできたならクリーチャーが付いてきます。バウンス付きクリーチャーと考えれば十分に強力です。

空中生成エルドラージ》:最近よくある3マナ2/1+トークンシリーズ。ただし今回は、この2/1自身が飛行とただもんではない。全てのコモンの中でも上位に入るのは間違いありません。

培養ドローン》:地上をガッチリ止めるナイスガイ。出てくるトークンはいざとなればマナに充てることもできるので、非常に使い勝手が良さそうです。

黒・アンコモン

ハグラの名射手》:能力起動は5マナと若干重いながら、-1/-1修正を与える能力はコンバットに大きな影響を与えます。もちろん、タフネス1に対してはティムのような働きができます。

荒廃の一掴み》:インスタントタイミングで土地とクリーチャーを破壊できるので、ブロックやアタック前にプレイして、対戦相手のコンバットトリックのマナを潰すと面白いことになるかもしれません。

捕らわれの宿主》:シンプルながらコスト対効果は抜群。相討ちからのトークン生成で、マナジャンプするのは強力です。

黒・コモン

完全無視》:強力な重いクリーチャーへの対処はできないものの、インスタントの除去は貴重です。

威圧ドローン》:自身のサイズが攻撃的なものに加えて、2点のライフルーズはかなり暴力的です。嚥下が活かせるとなおいいですね。

大群の殺到》:お手軽な《踏み荒らし》効果に加えて、無色デッキだとさらに先制攻撃の大盤振る舞い! エルドラージ・末裔・クリーチャー・トークンで、無色のクリーチャーは並びやすいのも良いですね。

赤・アンコモン

アクームの石覚まし》:トランプルと速攻を持つ3/1を上陸のたびに召喚できる2マナ2/1。トークンはターン終了時に追放されるとはいえ、2マナ域のクリーチャーの仕事としては十分です。

とどろく雷鳴》:X点を割り振れる火力は強い!

不快な集合体》:無色デッキのエース。やたら高いタフネスと、強力になりえるパワーとトランプル、上手くはまればとんでもない性能になります。

赤・コモン

多勢》:1マナのインスタントで除去できる幅が非常に広い、頼りになる除去です。

虚空の接触》:ソーサリーとはいえ、3点火力はなかなか。追放のおまけも昇華者とのシナジーが期待できていいですね。

ヴァラクートの捕食者》:流石に3マナ4/4はなかなか止まりませんし、クロックとして非常に強力です。

緑・アンコモン

タジュールの戦呼び》:同盟者デッキならばエースオブエース。同盟者以外で使用しても、《踏み荒らし》能力は普通に強いです。

虚空の従者》:緑には嚥下持ちがいないので他の色と組み合わせる必要がありますが、一度嚥下で追放領域にカードが供給し続けられる状態にさえなれば、トークン製造機として大活躍できるでしょう。

板金鎧の破壊屋》:除去しにくいフィニッシャーでトランプル持ちと、重いながらも強力なクリーチャーです。

緑・コモン

目なしの見張り》:マナブーストとしての価値と、トークン戦術としての価値があり、様々なアーキタイプで活躍できるでしょう。

生命湧きのドルイド》:好きな色のマナが出るので、収斂やマナランプのアーキタイプでは必須です。

噛み付きナーリッド》:2マナ3/3はなかなか止まりません。上陸デッキの主力ですね。

無色/アーティファクト・アンコモン

ウラモグの強奪者》:追放領域のカード2枚というコストが重いものの、どの色でも使える6マナ9/9はかなり強いです。普通にプレイしても5/5と標準サイズなのが嬉しいですね。

バーラ・ゲドを滅ぼすもの》:7マナで実質的に滅殺2を持つクリーチャー。前の『エルドラージ覚醒』環境で8マナ払って《ウラモグの破壊者》を使っていたことを考えると、1マナ軽くなった分使いやすくなっているはずです。

面晶体の記録庫》:マナブーストとドロー、どちらも兼ね揃えた万能カード。重いカードを使う口実としてピックしてもいいですね。

無色/アーティファクト・コモン

破滅の昇華者》:5点回復をあなどるなかれ。ダメージレースをしてるときには非常に頼りになるフィニッシャーです。

コジレックの媒介者》:5マナ4/4と頼りになるサイズに加えて、2マナも生み出しちゃう器用な奴。マナ加速しつつ、いざとなれば戦闘にも加われるのは頼りになりますね。

存在の一掃》:重いながらもインスタントの色を選ばない確定除去なので、緑系でピックしてる時は重宝します。重いカードなので、あまり取るものがない6手目以降のタイミングでピックするといいですね。

 

 以上、各色+無色のトップ3でした。

 アーキタイプドラフト環境なので、ピック状況によっては点数を無視してピックしなくてはいけないケースもあります。注目カードを参考にしつつ、ケースバイケースで臨機応変にピックしていきましょう!

 さて次は『戦乱のゼンディカー』の注目アーキタイプをチェックしていきましょう!

4.『戦乱のゼンディカー』の注目アーキタイプ

注目のアーキタイプその1:赤緑上陸

 《噛み付きナーリッド》や《ヴァラクートの捕食者》など、上陸持ちのクリーチャーと、土地を追加で置ける《荒廃した森林》や《進化する未開地》などでバックアップするアーキタイプです。

 上陸持ちクリーチャーは、上手く土地を置き続けることができたならどれもマナレシオ以上の働きをするので、土地は18~19枚以上で構築し、呪文として考えることのできる能力を持った土地を多くピックするのが良いでしょう。

注目のアーキタイプその2:青白覚醒

 青と白には除去やバウンス呪文に覚醒が付与されているものが多いので、序盤を凌ぎ、後半戦に強い覚醒持ちのカードで盤面を制圧していきましょう。

 クリーチャーは《城砦化した塁壁》や《岩屋の衛生兵》など盤面を固めるカードで構築し、青白に多い飛行でコツコツ殴る、役割をハッキリと分けた構築を心がけると良さそうです。

注目のアーキタイプ3:青黒嚥下

 青黒には嚥下持ちクリーチャーと、それを活かせる昇華者クリーチャーが多く存在します。嚥下持ちは回避能力が付いた《霧の侵入者》と《水底の潜入者》を中心に攻撃を通していき、《精神を掻き寄せるもの》や《塵の予言者》でアドバンテージを得ていきましょう。

 アンコモン以上の昇華者はより強力な能力を持つもの多くなるので、まずは《ウラモグの回収者》のようなアンコモン以上の強力な昇華者からピックしていくといいでしょう。

注目のアーキタイプその4:多色同盟者

 今回の同盟者は、同盟者だけで構築しなくても十分な活躍ができます。しかし、同盟者だけで組めた場合は、毎ターン様々な能力が誘発し、どんどん有利な盤面を構築することができます。

 同盟者ピックするなら同盟者をかき集めるのは当たり前なのですが、それと同時にマナベースも一緒に集める必要があります。緑は《未開地の捜索》、《自然の繋がり》、《生命湧きのドルイド》と、色マナのサポートが揃っているので、緑ベースで多色ピックするのが良さそうです。

 こちらも青黒嚥下と同じく、《タジュールの戦呼び》のようなアンコモン以上の強力な同盟者からアーキタイプに参入すると良いといいでしょう。

 

 注目のアーキタイプは以上です。もちろん他にも多くのアーキタイプがあるかとは思いますが、これからドラフトする際に参考にしてみてください。

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。プロツアー『戦乱のゼンディカー』後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。

 また、『戦乱のゼンディカー』プレリリース以降は、バンクーバー・マリガンと呼ばれるマリガン時に占術1を行なう新マリガンルールも導入され、今後はこのマリガンルールに慣れていく必要があります。リミテッドは構築に比べて事故のリスクが少々高いので、初手に不安要素がある手札がきたなら、1回は積極的にマリガンしても良いと思います。

 皆さんまた来月の連載の記事でお会いしましょう。それでは!

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