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戦略記事

ReConstructed -デッキ再構築-

ブリマーズからブリッツへ

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ブリマーズからブリッツへ

Bruce Richard / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2014年4月1日


 ガヴィンはちょっと疲れてるみたいだったから、今週は僕、ブルース・リチャード/Bruce Richardが代わりにやっておくよ。

(訳注:原文掲載は4月1日で、ガヴィンとブルースはお互いのコラムを交換してジョーク記事を掲載しています)

 何週間か前にガヴィンは、フライデー・ナイト・マジックで勝負できるモダンのテーマデッキを組み上げるよう君達に提案したよね。それに対して君達は僕が圧倒されるほど山のようにデッキを投稿してくれた。その投稿数と創造性には驚かされるばかりさ!

 多くのデッキが強さを追い求めるせいで、テーマを実質無視していたり、テーマを守るのに意固地になってしまって、勝ち目が無かったりしていたかな。ありがたいことに、それらを除いても、まだ多くの投稿がテーマに忠実でありつつもすごいデッキだったんだ! 僕が個人的に気に入ったのは「シアトルのドクター・フー」が送ってくれたデッキさ。

シアトルのドクター・フーの「ブリマーズ集中砲火」
モダン[MO] [ARENA]
4 《乾燥台地
4 《魂の洞窟
4 《湿地の干潟
4 《変わり谷
3 《平地
1 《聖なる鋳造所
1 《踏み鳴らされる地
1 《寺院の庭

-土地(22)-

4 《壌土のライオン
4 《ステップのオオヤマネコ
4 《野生のナカティル
3 《サバンナ・ライオン
4 《羊毛鬣のライオン
4 《クァーサルの群れ魔道士
4 《順応する自動機械
4 《オレスコスの王、ブリマーズ
1 《ファイレクシアの変形者

-クリーチャー(32)-
4 《流刑への道
2 《末裔の道

-呪文(6)-
どんなデッキなの?

 このデッキは、その中身を展開して勝利することを目的にしている。つまり戦場に大量のクリーチャーを並べて、対戦相手がそれを防げるようになる前に攻撃して勝つってわけだね。まさに疾風となった修験者――デルヴィッシュの到達点といったところかな。実際、《疾風のデルヴィッシュ》よりずっといい軍団だよ。このデッキが溢れんばかりにクリーチャーを生み出している限りは、《疾風のデルヴィッシュ》じゃ及びもつかない軍勢となれるさ。さて、どうやって長所を伸ばしていこうか?

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変えちゃおう

ちまちましたやつ

 このデッキは序盤からダメージを与える方法を1マナ域のカードに依存していて......それはうまくいってそうだ。1マナ域が19枚あることで、4ターン目を終えるまでには12点のダメージを与えられるだろうね。ほとんどの対戦はすぐに終わってしまうだろう。

 でもほとんどの対戦っていうのは全ての対戦ってことじゃないだろ?

 イソップ童話の「獅子の分け前」よろしく、小さなネコちゃん達が仕事のほとんどを終わらせてくれるものとして依存しすぎているのが問題さ。そんなにうまく行かないだろ。この小動物達でゲーム後半を勝ちきるのは無理だろうね。


 だから《野生のナカティル》は抜いて、《鍛冶の神、パーフォロス》を4枚入れとこう。

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 《鍛冶の神、パーフォロス》への変更は物議をかもすかもしれないけど、まだ考えられるところさ。このデッキで唯一の赤いパーマネントだからクリーチャーにはならないけど、それでもこの破壊不能なエンチャントはクリーチャーを出すたびに対面する全ての対戦相手に2点のダメージを与えてくれるんだからね。デッキに入っているクリーチャーの数を考えれば、《鍛冶の神、パーフォロス》はデッキの力を削ぐことなく対戦相手に10点は追加のダメージを与えられるんじゃないかな。それにゲーム中盤まで赤マナが必要ないから、マナベースに対する負担はより軽くなるね。《野生のナカティル》は出した次のターンには山が欲しくなっちゃうだろ?

 白い《密林の猿人》は確かに嬉しいんだけど、《壌土のライオン》はそれ以上のことをしてくれるわけじゃない。4ターン目以降に引いても(《鍛冶の神、パーフォロス》がいなければ)何にもならない。これを《ナカティルの戦群れ》4枚と入れ替えちゃおう。

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 《ナカティルの戦群れ》は《壌土のライオン》より大きいから、守ることだけを考えてもより有効だね。だけど実際にこいつが光るのは攻撃のときさ。《ナカティルの戦群れ》で一番大量のクリーチャーを抱えている対戦相手に向かって無造作に殴りかかるだけ! 対戦相手がクリーチャーを4体コントロールしていて、こちらに《鍛冶の神、パーフォロス》が出ているとすれば、まだ戦闘ダメージすら与えていないのに各対戦相手に8点のダメージを与えることになるぞ! 《鍛冶の神、パーフォロス》を伴った《ナカティルの戦群れ》はチェーンソーのようなアブナい存在で、対戦相手は磐石なクリーチャー布陣を築かないように気をつけなければならないから、こいつにずっとイライラさせられるだろうね!

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 《サバンナ・ライオン》はこのクリーチャー群の中では最も貧弱なので、ドクター・フーが3枚しか入れなかったのもわかる。元のデッキリストでは1マナ域の締めくくりではあったけども、デッキに新しい内容を加えた今となっては《サバンナ・ライオン》は全然ダメダメだ。白1マナで2点ダメージを与えたりチャンプブロックに使えるのもまあ悪くはないけども、僕が新しいデッキのために選んだ主役はブリッツ――《火猫の襲撃》さ! 《火猫の襲撃》なら《鍛冶の神、パーフォロス》との相互作用を色々と増やしつつ猫テーマを維持できるんだ。6マナあれば《鍛冶の神、パーフォロス》で8点ダメージを与えられることになるし、さらに出てきた赤い猫トークンで何か他にもやれることはあるだろう!

 そして意外な活躍を見せてくれるのがフラッシュバック能力だ。正常な状況下にあればこんな瞬間的利益のために《》を生け贄に捧げるのはどうかしてる。誰が次のターンまでも残らない1/1の猫のためにマナベースを放り投げるっていうんだ? この場合の恩恵は、フラッシュバックすることがすなわち止めを刺す動きになるというところにあるのさ。たった3枚の《》を生け贄に捧げるだけでさらに6点のダメージを与えられるんだからね。最初に唱えたときに支払ったマナが8なら、次ははたった6のマナを支払うだけで勝利できる! 《火猫の襲撃》が墓地にある限り、対戦相手はこちらがコントロールしている《》を数えて自分のライフの残りとの差を常に再計算しなきゃならない。《ナカティルの戦群れ》でダメージはさらに加速するというのにね!

 僕は《ステップのオオヤマネコ》が大好きだし、ドクター・フーが考えたマナベースなら1ターンに土地を2枚出すこともできる。それは素晴らしいことなんだけども、元のデッキに加えた変更のせいで、《ステップのオオヤマネコ》が活躍できるはずのゲーム序盤に白マナを出すことが難しくなってるんだ。《ステップのオオヤマネコ》のような序盤のための存在が欲しいことに変わりはないから、《ステップのオオヤマネコ》を《暗影のボブキャット》4枚と入れ替えとこう。

 《暗影のボブキャット》は《ステップのオオヤマネコ》よりは遅いけど、その防御スタイルはちょっと面白い。《鍛冶の神、パーフォロス》を一緒に出しておけば、対戦相手はこっちに攻撃するのを嫌がって別の対戦相手に攻撃するだろう。《暗影のボブキャット》はブロックに参加して死んでもその黒い影を戦場に残すことでさらに2点のダメージを本体に与えることができる。大きくなれる《ステップのオオヤマネコ》の能力は良いものだけど、代わりのブロッカーを生み出しつつ各対戦相手に追撃の2点ダメージを与える《暗影のボブキャット》の能力のほうがここでは納得できるね。

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 猫単体で攻撃するとかアーティファクトやエンチャントを排除する手段が欲しいとかがあれば《クァーサルの群れ魔道士》はオマケが付いてくるわけだが、マナ・コストに入っている白マナが新しくなったデッキでは払えないんだ。《クァーサルの群れ魔道士》の枠は《帰化》に入れ替えちゃおう。新しいデッキは1体のクリーチャーを+1/+1することで勝ちにいく感じではないので、損してるわけじゃないよ。猫テーマで猫を抜くことはつらく思っているけど、《帰化》は同じ2マナでありながらインスタント速度で使えるから良い仕事をしてくれるはずさ!

大きなやつ
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 サイズが大きくなる以外、《羊毛鬣のライオン》はほとんど何もやってくれない。怪物的な怪物化コストにマナを費やすぐらいなら、《草陰の待ち伏せ》にしとこう。これは猫テーマを維持しつつも《鍛冶の神、パーフォロス》が愛でるための猫をより多く生み出してくれるんだ。最悪でも2体の猫が4点ダメージを与えてくれるけど、考えているマナベースならこれを唱える時期には6体ぐらいの猫を得られるんじゃないかなと思うよ、多分。

 これの利点は《鍛冶の神、パーフォロス》が戦場にいれば各猫が2点ずつダメージを与えてくれるというだけじゃない。そのまま戦場に残って素晴らしいブロッカーになるんだ。このデッキには少々防御の必要性があるんだけど、《草陰の待ち伏せ》はそのための素晴らしい方法になってくれるさ。別の利点としては、対戦相手に緑の子猫を送ることにも意味はある。それが《ナカティルの戦群れ》とどう噛み合うか気づけば、あるターンで20点ダメージを全ての対戦相手に与えてフィニッシュを決められるだろうね!

 《オレスコスの王、ブリマーズ》は、デッキがゲーム中盤に必要とする、相手の残りライフを削りきるためのダメージを通しきる素晴らしいカードだ。とは言うものの、新しいデッキではうまく行かないだろう。どこにでも猫兵士を連れまわす《オレスコスの王、ブリマーズ》はお気に入りのカードではあるけど、白のダブルシンボルは変更後の土地では使えないね。

 その止めを刺せるライフ範囲を《火炎の裂け目》が広げてくれる。この各対戦相手への4点ダメージがあれば、対戦相手を《火猫の襲撃》のフラッシュバックで削りきれる範囲に捕らえられるぞ!

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ブリマーズの猫・兵士とジェディットの猫・戦士
(写真:Bonnie Bruenderman)

 《火炎の裂け目》と一緒に、《エフラヴァのジェディット・オジャネン》も追加したよ。《オレスコスの王、ブリマーズ》の猫・兵士は可愛い1/1だけど、《エフラヴァのジェディット・オジャネン》の猫・戦士は2/2で森渡りも持ってるんだ。《オレスコスの王、ブリマーズ》のほうが軽いけど、使うつもりのマナ・ランプ一式を見れば《エフラヴァのジェディット・オジャネン》のほうがいいって思うはずさ。

マナ・ランプ

 マナ・ランプについてだけど、新しいデッキにはマナを伸ばすためのカード一式が必要になるだろうね。多くのカードが重くて、色マナをそろえるのが大変なものもいくつかあるから、必要なマナを素早く的確に揃えるために、序盤から使えるマナ・ランプとして《耕作》と《砕土》を入れておいたよ。

サーチ

 最後に、《俗世の教示者》を2枚採用してみた。このデッキは《鍛冶の神、パーフォロス》への依存度が極めて高いんだけども、《俗世の教示者》を2枚追加することで事実上6枚投入したことになるからさ。危険なときはブロックに回すためのクリーチャーを見つけることもできるしね。

 さてデッキはどんな風に変わったかな?

ブルースの「ボールルーム・ブリッツ、ブリマーズはお断り」
ベリーカジュアル[MO] [ARENA]
13 《
4 《火の灯る茂み
4 《踏み鳴らされる地
3 《

-土地(24)-

4 《暗影のボブキャット
5 《鍛冶の神、パーフォロス
4 《ナカティルの戦群れ
1 《エフラヴァのジェディット・オジャネン

-クリーチャー(14)-
2 《俗世の教示者
4 《火炎の裂け目
3 《帰化
4 《耕作
4 《草陰の待ち伏せ
3 《火猫の襲撃
3 《砕土

-呪文(23)-

ロックだろ?

 この改良によってデッキは素早くマナを伸ばし、できるだけすぐに《鍛冶の神、パーフォロス》を展開して、それから残りの手札で決めることができるだろうね。おそらくどこかで1~2ターンを費やせば全ての対戦相手を(あるいは1対1の試合をしているならその相手を)倒すのに必要なダメージを叩きだせるはずさ。デッキはもうモダンじゃなくなってるけど、このデッキで遊べば大盛り上がりだろうし、君はこのデッキを使って素晴らしい時を過ごしてくれるよね!

 私が検討したほかのデッキはこちら。

惜しくも選ばれなかったデッキたち

ファイレクシアを極めた者の「天空からの子猫」
モダン[MO] [ARENA]
24 《平地

-土地(24)-

4 《群れの護衛
4 《レオニンの空狩人
4 《太陽の槍のシカール
3 《レオニンの遺物囲い
4 《ケンバの空護衛
4 《王の摂政、ケンバ
2 《ケンバの軍勢

-クリーチャー(25)-
2 《ダークスティールの斧
2 《シルヴォクの生命杖
2 《神聖なる好意
2 《ヴィリジアンの爪
3 《白の太陽の頂点

-呪文(11)-
ケンサン・オニの「長靴を履いた猫」
モダン[MO] [ARENA]
24 《平地

-土地(24)-

4 《群れの護衛
4 《レオニンの遺物囲い
4 《王の摂政、ケンバ

-クリーチャー(12)-
4 《ダークスティールの斧
4 《急送
4 《刃の翼
4 《速足のブーツ
4 《白の太陽の頂点
4 《エルズペス・ティレル

-呪文(24)-
Zakb6の「長靴を履いて斧を持った猫」
モダン[MO] [ARENA]
22 《平地

-土地(22)-

4 《レオニンの遺物囲い
4 《レオニンの空狩人
4 《順応する自動機械
4 《ケンバの空護衛
4 《王の摂政、ケンバ

-クリーチャー(20)-
4 《ダークスティールの斧
4 《急送
4 《刃の翼
4 《速足のブーツ
2 《白の太陽の頂点

-呪文(18)-
MinscAndBooの「猫好きの女性」
モダン[MO] [ARENA]
21 《平地
2 《ならず者の道

-土地(23)-

4 《聖所の猫
4 《訓練されたカラカル
4 《アジャニの陽光弾手
4 《銀毛のライオン
4 《群れの癒し手
1 《セラのアバター

-クリーチャー(21)-
3 《天上の鎧
4 《神聖なる好意
3 《盲従
4 《生の杯
2 《群れの統率者アジャニ

-呪文(16)-

ブリッツからの脱却

 今回の戦えるテーマデッキ、楽しんでもらえたかな!? 友達をびっくりさせたいなら、燃え上がるボール・キャットニングを擁するこのデッキについて教えてあげよう! 聞いてもらえるのは最初だけだ!

 4月1日分のデッキ募集はないんだよね(編訳注:4月15日のデッキ募集はあります。詳しくは末尾をご覧ください)――僕がガヴィンの仕事を横取りしてなければ、ガヴィンが戻ってきて皆が楽しみにしているプレビュー記事をがんばって書いてくれるからさ。まあそれまでに、この記事を通しての何らかの感想や、君が見たかったもっと一般的な話題など、あれば気軽に教えて欲しい。僕は感想を聞くのが大好きなんだ。フォーラムに書き込むかTwitterで返信してくれれば絶対に見るよ。言うのがちょっと遅れちゃったけど、4月1日には毎年とっても素晴らしい記事があるんだぜ!

 来週もよろしく!

ブルース・リチャード (@manaburned)


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(4月15日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。※ここから下はジョーク記事ではありません。 この節の文責・編集 吉川)

by Gavin Verhey

 それでは、今週のチャレンジだ。『ニクスへの旅』のカードで作った新しいスタンダードのデッキを、気軽に送ってほしい!

フォーマット:スタンダード

デッキの制限:『ニクスへの旅』のカードを1枚以上使う、または、それを中心に構築すること。

締め切り:4月23日(水)午前10時(日本時間)

 すべてのデッキリストを英語で、こちらのリンク先のフォームからメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)
Standard(フォーマット)
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 締め切りはセットのカードすべてがカードギャラリーに載る後に設定しているから、全部見るまで待ってデッキを送ってくれてもかまわない――もしくは、今すぐカードを見て回って、思いつくことを探してくれてもいい!

 来週は『ニクスへの旅』の新カードとともにお会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey

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