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エズーリの捕食

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エズーリの捕食

Chas Andres / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori

2015年11月3日


 ミラディンの偉大なる英雄はファイレクシアに飲み込まれ、今や彼はかつて守ろうとしていたものと戦っている。

 真に邪な悪役にはどこか偉大さというものが存在しないだろうか? マーベルコミックスで私が一番好きなキャラクターはロキ、バットマンの映画ではジョーカー、彼の登場している場面は全て最高だ。そしてライオン・キングで見せ場を奪うスカーも。彼はまた歌も最高だ。

 マジックの悪役もまた同じく素晴らしい。私がゼンディカーへの帰還に興奮したのは、《コーの空漁師》のバックストーリーをもっと知りたかったからじゃない――エルドラージが何をしようとしていたかを知りたかったからだ。奴らはこの二度目の登場でも恐怖に満ちているんだろうか? そしてこの世のものとは思えない存在なのだろうか?(答えはイエス、そしてイエス)

 マジックの多元宇宙には相当な数の極悪人がいる。そして今週の『統率者(2015年版)』プレビューカードは私たちに、マジックでも最大の悪人の一人が最後に顔を見せて以来どうなったかを少しだけ見させてくれる。これまで私は面白いプレビューカードを何枚か紹介してきたが、実際に「な、何だってー!?」と叫んで衝撃にデスクを蹴って椅子を動かしたほどのカードはこれが初めてだ。

 紳士淑女の皆々様、ファイレクシアがエズーリを手に入れたことをお知らせします。

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 嘘だと言ってくれ! 《エズーリの捕食》によると、ミラディンでも最も偉大な英雄の一人は今や「完成され」て完全なファイレクシア人となった。これは大ニュースだが、『ミラディンの傷跡』ブロックの終焉へと至る物語に注意を払っていた者にとってはそれほど衝撃ではないだろうか。

 何が起こったか。小説「The Quest for Karn」によると、エズーリはファイレクシアの侵略が始まる以前は一人の悪漢であり、その次元に何が起こっているかを把握した最初のミラディン人の一人だった。罪の人生を捨て、エズーリはヴィリジアン・エルフと絡み森の人間種族シルヴォクをまとめ上げた。彼は人々のために避難所を設立し、強壮な者達を率いてファイレクシア人に対する抵抗活動に身を投じた。これが《背教の主導者、エズーリ》のカードとして名声を与えられたエズーリだ。

 だがエルズペス、コス、ヴェンセールが現れると、エズーリの内で何かが揺れ動いた。プレインズウォーカーたちがカーンを見つける手助けをするのではなく、エズーリは彼らを妨害しようとした。エズーリはその抵抗活動によってミラディンでも最も強力かつ影響力を持つ存在の一人となっており、そのエルフは自身の地位を諦めたくなかったのだ。プレインズウォーカーたちがエズーリの避難所にメリーラを、ファイレクシア病を癒す力と油への抵抗力を持つシルヴォクの娘を伴って現れた時、エズーリは自身の力を確固たるものとするために彼女とその治癒力を支配しようとした。

 「Uncharted Realms」担当のケリー・ディグスによると、メリーラとプレインズウォーカーたちはエズーリがファイレクシアの感染に対する免疫を得るよりも前に避難所を離れた。エズーリはやがてジン=ギタクシアス率いるファイレクシアの青派閥、「発展の動力源」に捕われて完成させられた。彼らはエズーリをファイレクシアの怪物へと変えた。今や、エズーリは彼らのために働いている。


容赦無い潮流》 アート:Dave Kendall

 この最後の部分について特に興味深いのは、エズーリがグリッサとは対極のポジションにあるということだ。彼女は「悪意の大群」と名乗る、法務官ヴォリンクレックスと緑に列するファイレクシア人が支配する絡み森の現在のリーダーだ。他の次元の緑系クリーチャーと同じように、悪意の大群は自分たちを森の管理人とみなしている。しかしながら彼らのよじれた世界の中では、このことはさらにたちの悪い、そしてさらに強いクリーチャーは、注意深く洗練されたそして暴力的な「自然淘汰」の過程を経た進化が可能だということを意味している。

 一方で発展の動力源は、悪意の大群スタイルの進化を漫然としていて愚直なものとみなしている。完璧なファイレクシアは鍛錬と実験を経てのみ創造可能だとジン=ギタクシアスは信じている。エズーリの現在の外見がこんなにも「機械的」なのは、もしかしたらそれが原因なのかもしれない。

 従って、絡み森のエルフ二人は――ともにかつてミラディンの英雄だった者は――自身を完成させられてファイレクシアの権力闘争の中で正反対の立場にいるということになる。

 さて――前置きが長くなった。そして私達はまだそのカードテキストすら見ていないんだ!

 《エズーリの捕食》ができることに基づくと、発展の動力源には一理あるようだ。君はこの呪文を唱えるために8マナを必要とするだろうが、これほど多くのトークンを生み出すマジックのカードは他に多くはないと思う。

 《エズーリの捕食》は純粋なファイレクシア的効率でいっぱいでもある。自然は3/3のビーストを作り出す? ファイレクシア人なら4/4のそれを作り出すだろう。君の戦場には18体のクリーチャーがいるって? ファイレクシアは今戦場に18体のクリーチャーを並べている。ファイレクシアに対抗したい?君の兵士の一人一人が、私のビーストの一体一体と戦わないといけないけど?

 エズーリは自分のビーストの何体かは勝てない戦いをふっかけることを意に介していない。ビーストは所詮替えがきくもので、そしてファイレクシアに逆らう者は全て、何にせよファイレクシアとなるのだから。

 従わぬ者は、食い尽くされる。

 《背教の主導者、エズーリ》を《エズーリの捕食》と一緒のデッキに入れていいものだろうか? ああ、もし君がそうしたいなら。だが君は彼をかつての戦友ではなく新たな仲間で取り囲むことになると覚えておくことだ。《エズーリの大部隊》はもういない。だが発展の動力源の一部はぎらつく者たちだから、奴らは格好の的だ。エズーリを《ぎらつかせのエルフ》たちで満載のデッキに入れるのは、今の彼の能力の良い使用法だと思う。

 もしかしたらこれは、ジン=ギタクシアスが私の耳に気を狂わせるような声で囁いているだけかもしれない、だが私は前のエズーリを新たな捕食デッキに入れようとは思わない。今やエズーリはファイレクシア人であり、単純に、新ファイレクシアに不完全なものの居場所はない。私達にとって幸運なことに、完成バージョンのエズーリもまた『統率者(2015年版)』に入っている。

 私はその新エズーリを《エズーリの捕食》と、そして発展の動力源のキーカードもう数枚と一緒に動かす予定だ――《堕落した良心》、《容赦無い潮流》、そしてもちろん、《核の占い師、ジン=ギタクシアス》。ともに私たちはミラディン人の最後の残りを打ち砕き、ヨーグモス様の完全なる世界を再建するのだ。

 次の時まで、君のお気に入りの悪役が皆この時代に返り咲きを果たしますように。

 キャス・アンドレス

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