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企画記事
グランプリ・京都2015に向けて:第3回 レガシー特有のデッキたち
グランプリ・京都2015に向けて:第3回 レガシー特有のデッキたち
by 小山 和志 (グランプリ・京都2015 イベントカバレージチーム)
皆さんこんにちは。第1回、第2回の記事でレガシーという環境がどういったものかをお伝えしてきました。 第3回の記事では第2回に引き続いて、レガシーのデッキをご紹介していきます。
今回は、レガシーならではの特徴的なデッキたちについて触れていきます。レガシーを楽しむなら知っておきたいデッキたちですので、ぜひお読みいただければと思います。グランプリ・京都2015を間近に控えて、予習としてご覧ください。
発掘
『ラヴニカ:ギルドの都』で登場したキーワード能力「発掘」と、『未来予知』に収録された《黄泉からの橋》を組み合わせたデッキです。墓地を最大限利用しており、非常に独特な構造と動きを持つデッキです。
4 《真鍮の都》 4 《宝石鉱山》 4 《セファリッドの円形競技場》 -土地(12)- 4 《朽ちゆくインプ》 4 《ゴルガリの凶漢》 4 《ナルコメーバ》 4 《臭い草のインプ》 3 《イチョリッド》 1 《炎の血族の盲信者》 4 《ゴルガリの墓トロール》 -クリーチャー(24)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《陰謀団式療法》 4 《入念な研究》 4 《信仰無き物あさり》 4 《黄泉からの橋》 2 《戦慄の復活》 2 《打開》 -呪文(24)- |
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《灰燼の乗り手》 1 《エメリアの盾、イオナ》 4 《水蓮の花びら》 3 《炎の嵐》 3 《自然の要求》 2 《打開》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
まず《入念な研究》や《朽ちゆくインプ》で「発掘」を持つカードを墓地に落とし、ドローを全て置換していきます。墓地が十分にたまり、《黄泉からの橋》が墓地にある状態で《ナルコメーバ》や《イチョリッド》を戦場に出すことができれば、準備完了です。《陰謀団式療法》や《戦慄の復活》をフラッシュバックで唱えることで、ゾンビ・トークンを大量に生み出し物量で押し切ることができます。
メインデッキから墓地対策カードを採用しているデッキは少ないため、コンボ以外のデッキに非常に強く、「メイン最強」と呼ばれることもあり、現在のレガシー環境でも有力なデッキの1つです。《打開》などのカードで序盤から上手く墓地を肥やすことができれば、早い段階で戦場をトークンで埋め尽くすことも可能です。
弱点
「メイン最強」とも言われる「発掘」デッキですが、墓地に依存しきっているため、サイドボード後から投入される墓地対策カードは全てが致命的です。《トーモッドの墓所》や《大祖始の遺産》はデッキの色を選ばず投入することができるため、発掘デッキを使うならば、かなりの頻度で相手にすることになるでしょう。有色呪文では《安らかなる眠り》なども、対処ができなければ即投了級のカードです。
また、速度の速いコンボデッキ相手にはメインボードから辛い戦いになります。コンボを決められる前に押しつぶす他はなく、デッキの特性上サイドボードで効果的なコンボデッキ対策を採用することもできません。
他に類を見ない動きをするこの「発掘」、個性的なデッキが好きな方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?
リアニメイト
「発掘」と同じく、墓地を利用したデッキです。「発掘」のようにデッキ全体の構造で勝負するというよりも、数枚のカードの組み合わせと、それらを探す軽量ドロー呪文で構成されているコンボデッキと言えるでしょう。
2 《島》 2 《沼》 4 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 1 《霧深い雨林》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《新緑の地下墓地》 -土地(15)- 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 4 《グリセルブランド》 1 《灰燼の乗り手》 1 《エメリアの盾、イオナ》 -クリーチャー(7)- |
4 《水蓮の花びら》 4 《渦まく知識》 4 《入念な研究》 4 《納墓》 4 《思案》 4 《再活性》 2 《思考囲い》 4 《死体発掘》 2 《目くらまし》 2 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 -呪文(38)- |
1 《瞬唱の魔道士》 1 《墓所のタイタン》 1 《潮吹きの暴君》 2 《狼狽の嵐》 2 《真髄の針》 2 《思考囲い》 1 《強迫》 1 《残響する真実》 1 《実物提示教育》 2 《虐殺》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《納墓》で強力クリーチャーを墓地に落とし、《死体発掘》や《再活性》で戦場に出すという動きがベースとなります。早ければ、2ターン目にして《グリセルブランド》や《エメリアの盾、イオナ》を「釣る」ことが可能で、序盤からプレッシャーをかけることができます。また、《思考囲い》などの手札破壊呪文や、《Force of Will》を採用しており、妨害をしながらコンボ達成を狙うことができます。
《納墓》の存在が、探してくるクリーチャーの選択に柔軟性を与えています。奇跡コントロールのようなデッキには《グリセルブランド》を、ビートダウンデッキには《大修道士、エリシュ・ノーン》を、コンボデッキには《エメリアの盾、イオナ》をそれぞれ持ってくることができ、どんなデッキにも対応することができます。
弱点
「発掘」と同じく、墓地対策カードが苦手です。《再活性》などのいわゆる「釣る」カードに対応して墓地のカードを取り除かれれば、当然コンボを達成することはできません。《トーモッドの墓所》などが1枚戦場にあるだけで、動きが制限されてしまいます。さらに、伝説のクリーチャーを戦場に出すことが多いので、《Karakas》という明確なアンチカードも存在します。
「クリーチャーを墓地に落とす」→「墓地のクリーチャーを戦場に出す」と簡単で分かりやすい動きをするために、どちらかの呪文を打ち消されたり、手札破壊で捨てさせられてしまうと、一気に速度が落ちてしまうのも苦労する点です。
とはいえ、速度と妨害を両立したデッキで、墓地からの強力クリーチャーで対戦相手を完封するのが爽快なデッキですので、コストを踏み倒すのが好きな方にはオススメしたいデッキです。
デス&タックス
昔から根強い人気と実力を誇る白ウィニーのレガシー版と言えるデッキです。速さだけでなく白の様々なユーティリティクリーチャーをメインボードに搭載していることで、対応力も非常に高いデッキに仕上がっています。
10 《平地》 3 《Karakas》 1 《魂の洞窟》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 1 《幽霊街》 -土地(23)- 4 《ルーンの母》 4 《ファイレクシアの破棄者》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《セラの報復者》 1 《レオニンの裁き人》 3 《ちらつき鬼火》 2 《ミラディンの十字軍》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《コロンドールのマンガラ》 -クリーチャー(26)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《剣を鍬に》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(11)- |
2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《迷宮の霊魂》 1 《コロンドールのマンガラ》 1 《萎れ葉のしもべ》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 2 《安らかなる眠り》 1 《解呪》 2 《議会の採決》 2 《大変動》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《スレイベンの守護者、サリア》や《ファイレクシアの破棄者》など、妨害能力を持ったクリーチャーを展開しつつ、《石鍛冶の神秘家》、《セラの報復者》などの強力なクロックを用意して対戦相手を殴り切ります。
ビートダウンというよりは、上述の《スレイベンの守護者、サリア》などと《不毛の大地》や《リシャーダの港》で相対的に対戦相手のスピードを抑えつつ勝利を目指す構成となっています。
単色ゆえの安定性に加えて、打ち消し呪文を避けつつマナ・コストを払わなくてよい《霊気の薬瓶》のおかげで、クリーチャーに依存しつつも、どんな相手に対しても一定以上の対応力を持っています。《剣を鍬に》も当然採用しており、クリーチャーデッキに対しても強い構成です。
弱点
クリーチャーデッキゆえに、全体除去呪文は厳しいものがあります。そのため、第2回の記事でご紹介した奇跡コントロールとの相性が良くありません。また、《霊気の薬瓶》に頼っている部分もあり、《真髄の針》などで起動を止められてしまうと、途端に動きが鈍ります。
ドロー操作がデッキに入っていないため、上手く《スレイベンの守護者、サリア》や《迷宮の霊魂》を引かないとコンボデッキに瞬殺されてしまうこともしばしばです。サイドボードを手広く採用できるデッキですので、うまく活用しましょう。
いつの時代もファンが多い白単色のデッキですので、白が大好きな方はこのデス&タックスをぜひ手にしてみましょう!
「Lands」
レガシー環境の強力な土地カードをふんだんに利用した贅沢なデッキ、それがLandsです。日本では「土地単」として知られています。デッキの半分以上が土地という、マジックの常識を覆すような構造のデッキです。
1 《森》 2 《Taiga》 3 《樹木茂る山麓》 1 《吹きさらしの荒野》 3 《平穏な茂み》 4 《燃え柳の木立ち》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 4 《演劇の舞台》 3 《暗黒の深部》 3 《Maze of Ith》 1 《Glacial Chasm》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 -土地(34)- -クリーチャー(0)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 4 《輪作》 4 《踏査》 4 《ギャンブル》 2 《マナ結合》 4 《壌土からの生命》 4 《罰する火》 -呪文(26)- |
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 4 《抵抗の宝球》 2 《アメジストのとげ》 1 《虚空の杯》 4 《クローサの掌握》 1 《ボジューカの沼》 1 《暗黒の深部》 1 《Karakas》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《踏査》を戦場に出し土地を並べて、相手のクリーチャーは《罰する火》で封じ込めながら、《演劇の舞台》と《暗黒の深部》を揃えます。《演劇の舞台》で《暗黒の深部》をコピーすると、「氷カウンターが置かれていない《暗黒の深部》」が得られます。その結果誕生する20/20トークンでの勝利を狙っていきます。
クリーチャーデッキに対しては《罰する火》と《燃え柳の木立ち》の組み合わせや、《The Tabernacle at Pendrell Vale》で対処することが可能です。また、《壌土からの生命》で《不毛の大地》を使い回すことができれば、基本でない土地を多く使用するデッキを完封することもありえます。
勝ち手段が土地なので《輪作》で直接戦場に出すことができ、ある程度の速度も兼ね備えています。
弱点
コンボデッキへの対策が非常に重要になってきます。メインデッキでは勝ち目がほぼ皆無というのも過言ではなく、いかにサイドボードを採用するかが重要になってきます。さらに、墓地を利用する構成にもなっており、《安らかなる眠り》や《大祖始の遺産》にも厳しい戦いを強いられます。
ビートダウンデッキには十分な耐性を持っていますので、それ以外のデッキへの勝率をいかに上げるかが鍵になってきます。
強力な土地たちをふんだんに使える「Lands」はレガシーの魅力が満載です。土地が大好きな方にオススメのデッキです。
茶単
「Lands」が土地をフィーチャーしたデッキだとすれば、茶単はアーティファクトをフィーチャーしたデッキです。ヴィンテージでは主流デッキの1つであり、レガシーでもカードプールの広さを活かし、パワフルなデッキとなっています。
4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 4 《雲上の座》 4 《微光地》 4 《魂の洞窟》 4 《ヴェズーヴァ》 -土地(24)- 1 《荒廃鋼の巨像》 4 《金属細工師》 4 《磁石のゴーレム》 3 《カルドーサの鍛冶場主》 4 《ワームとぐろエンジン》 1 《白金の帝像》 -クリーチャー(17)- |
4 《厳かなモノリス》 1 《稲妻のすね当て》 3 《三なる宝球》 1 《威圧の杖》 1 《交易所》 1 《ニンの杖》 4 《虚空の杯》 4 《精霊龍、ウギン》 -呪文(19)- |
2 《ファイレクシアの破棄者》 1 《映し身人形》 4 《アメジストのとげ》 2 《漸増爆弾》 2 《罠の橋》 1 《三なる宝球》 1 《姥の仮面》 1 《ニンの杖》 1 《イシュ・サーの背骨》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《厳かなモノリス》や《金属細工師》によるマナ加速から、《ワームとぐろエンジン》や《隔離するタイタン》などの強力なクリーチャーを連打して圧倒していきます。
妨害手段として、2マナを生み出せる《古えの墳墓》のような土地から《虚空の杯》や《三なる宝球》、《磁石のゴーレム》を高速で唱えることで対戦相手の動きを封じます。特に1マナ域の呪文が非常に高い割合を占めるレガシーでは、《虚空の杯》を1ターン目にX=1で設置することができればかなりの威力を発揮します。
かつては打ち消し呪文を多く積んだデッキに弱い構成でしたが、現在では《魂の洞窟》を手に入れたことで、一定の耐性を手に入れています。高速ビートダウンデッキに対しても、《ワームとぐろエンジン》が間に合えば一気に逆転することが可能です。
弱点
ドローカードが無いため、やはりゲームごとに手札の偏りがあることは否めません。マナ加速呪文ばかり引いて、フィニッシャーにたどりつけず負けることも起こりますし、その逆もしかりです。また、コンボデッキに対しては《虚空の杯》頼みのところがあり、打ち消し、あるいは捨てさせられてしまうと、一気に厳しい戦いとなるでしょう。
デッキの大部分がアーティファクトであるため、当然アーティファクト破壊にも非常に弱いです。レガシーではその種の呪文がそこまで多く採用されていないのが幸いではあります。そして、デッキの勝ち筋がクリーチャーによるものなので、《剣を鍬に》にも対処されてしまいやすいのも痛手です。
カードプールが広いため、アーティファクトには巨大クリーチャーから妨害手段までなんでも揃っています。魅力的なアーティファクトたちを使い倒してみるのはいかがでしょう?
マーフォーク
《アトランティスの王》や《真珠三叉矛の達人》などでマーフォークを強化して殴りきる、青単色のビートダウンデッキです。古くから有力なデッキとして活躍を続けています。
12 《島》 4 《変わり谷》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《呪い捕らえ》 4 《アトランティスの王》 4 《真珠三叉矛の達人》 4 《幻影の像》 4 《銀エラの達人》 3 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(23)- |
4 《霊気の薬瓶》 2 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 3 《行き詰まり》 4 《Force of Will》 -呪文(17)- |
1 《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》 1 《外科的摘出》 2 《狼狽の嵐》 2 《墓掘りの檻》 1 《青霊破》 2 《大祖始の遺産》 1 《真髄の針》 1 《行き詰まり》 1 《四肢切断》 2 《水没》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
数多くのマーフォークと、それらを強化する「ロード」を並べ、一気に押し潰すビートダウンデッキです。《目くらまし》や《Force of Will》も搭載されており、クロックパーミッションとして動くことができます。《アトランティスの王》や《真珠三叉矛の達人》が複数並んだ時の破壊力は抜群で、一気に10点以上のダメージを与えることもままあります。
最近は《真の名の宿敵》という不可侵クロックを手に入れたことで強化されました。その他にも《変わり谷》は土地であり、加えて《霊気の薬瓶》により打ち消し呪文にも強い構成となっています。また、青が多いレガシー環境では、《アトランティスの王》による「島渡り」付加も大きな魅力です。
《銀エラの達人》のおかげで継続的に手札も補給でき、初動を抑えられても攻撃を続けることができるのも強みです。
弱点
色の特性上除去呪文に乏しく、自分たちよりサイズの大きいクリーチャーを召喚してくるビートダウンデッキが苦手です。その他には、打ち消し呪文に頼っているため、妨害手段を絡めてのコンボデッキに対して苦戦することが多いです。
小粒なクリーチャーを横に並べる構成のため、除去呪文が豊富なデッキも得意とはいえません。《渦まく知識》などのドロー呪文を採用していないため、必要なカードを引けずに負けることも多々あります。打ち消し呪文はあれども、基本的にはクリーチャーデッキですので、最大限ダメージを与えるための緻密な計算が必要になってきます。
「ロード」を並べて、サイズでも数でも対戦相手を圧倒する気持ちよさはたまりません。青が好きなら使ってみて損はないデッキです。
ゴブリン
マジックの歴史上数多く存在するゴブリンを集めたデッキです。かつては赤単色で組まれていましたが、最近では白をタッチすることが多くなってきました。バラエティ豊かなゴブリン達によるビートダウンが魅力のデッキです。
3 《山》 2 《Plateau》 1 《Badlands》 3 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 2 《ペンデルヘイヴン》 4 《魂の洞窟》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《ゴブリンの従僕》 3 《巣穴の煽動者》 2 《モグの戦争司令官》 1 《棘鞭使い》 4 《ゴブリンの女看守》 3 《ゴブリンの酋長》 2 《宝石の手の焼却者》 1 《地下牢の管理人、グレンゾ》 4 《ゴブリンの首謀者》 2 《Goblin Settler》 1 《タクタクの潰し屋》 1 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー(28)- |
4 《霊気の薬瓶》 2 《タール火》 3 《紅蓮操作》 -呪文(9)- |
3 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《月の大魔術師》 1 《ゴブリンの名手》 1 《タクタクの潰し屋》 2 《赤霊破》 1 《墓掘りの檻》 3 《安らかなる眠り》 2 《仕組まれた疫病》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
ゴブリンの肝となるのは2種類の1マナカード、《霊気の薬瓶》と《ゴブリンの従僕》です。これらを1ターン目に出すことができれば、デッキに眠るゴブリンたちのマナ・コストを無視しながら展開することができます。そして、《ゴブリンの戦長》や《ゴブリンの首謀者》などのカードを駆使しながら大量展開して対戦相手を押し潰していきます。
ビートダウンデッキながら《ゴブリンの女看守》や《ゴブリンの首謀者》のおかげで攻め手を常に確保することができるので、全体除去呪文で流されてしまっても簡単にリカバリーすることができます。そのため、有力デッキである奇跡コントロールに対して比較的有利に試合を運ぶことができます。
《ゴブリンの群衆追い》があれば一撃で対戦相手のライフを削り取ることもあり、爆発力と継続性を兼ね備えたデッキです。
弱点
コンボデッキに対して弱く、それがかつてより数を減らした原因にもなっています。白をタッチして《スレイベンの守護者、サリア》を投入することでなんとか対抗しようとしていますが、お世辞にもコンボに強くなった、とはいいがたい状況です。
また、《ゴブリンの従僕》か《霊気の薬瓶》からスタートを切れない場合、デッキの速度が非常に遅くなります。《ゴブリンの従僕》を《剣を鍬に》で除去されてしまい、手札のカードを展開しきれず負けることもしばしばあります。ビートダウンデッキではありますが、比較的マナ・コストの大きいカードが多いため、しっかり展開できなければ一気に負けが近づいてしまいます。
ゴブリンは《ゴブリンの女看守》のおかげもあり、非常に柔軟な動きもできるデッキです。単なるビートダウンに飽きたあなたはこのデッキでレガシーを楽しんでみるのも良いのではないでしょうか?
ベルチャー
レガシーでも最速クラスの速度を持ち、1ターン目にしてしばしばゲームを決めてしまうことすらあるのが、このベルチャーです。デッキに入っている土地はわずかに1枚か2枚と、異色の構成となっています。
1 《踏み鳴らされる地》 -土地(1)- 4 《ほくちの壁》 4 《Elvish Spirit Guide》 4 《猿人の指導霊》 -クリーチャー(12)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 3 《金属モックス》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《炎の儀式》 4 《燃え立つ願い》 4 《捨て身の儀式》 4 《土地譲渡》 4 《発熱の儀式》 1 《魔力変》 4 《煮えたぎる歌》 4 《ゴブリンの放火砲》 3 《巣穴からの総出》 -呪文(47)- |
4 《ザンティッドの大群》 3 《紅蓮破》 1 《破壊放題》 1 《冥府の教示者》 1 《紅蓮地獄》 1 《先細りの収益》 1 《巣穴からの総出》 1 《恭しき沈黙》 1 《苦悶の触手》 1 《魂の再鍛》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
このデッキの目標はシンプルで、「いかにして《ゴブリンの放火砲》を起動するか」の1点に尽きます。大量のマナ加速からなんとか7マナをひねり出し、《ゴブリンの放火砲》で勝負を決める。至って明快な勝ち手段です。
サーチカードが無いため、予備の勝利方法として《巣穴からの総出》を採用しており、《Force of Will》を持っていそうな相手にはこちらで対応することができます。その点で最低限の柔軟性は確保していると言えるかもしれません。
弱点
とはいえ、《Force of Will》、この1枚はどうしようもありません。先手1ターン目に《ゴブリンの放火砲》を唱えようとも、この1枚で全てが無に帰すことになります。また、手札破壊で《ゴブリンの放火砲》を捨てさせられるのも当然ながら非常に辛い動きです。
そして、非常に稀ですが、《ゴブリンの放火砲》を起動できても早々に土地がめくれてしまう(ダメージが足りなくなる)こともあります。そうなったら、潔くそのゲームを諦めましょう。
ある意味では「おみくじ」とも言える非常に思い切ったデッキです。運に自信があり、最速で決着をつけたい人はこのデッキを使ってみるのもいいかもしれませんね。
終わりに
さて、レガシーについての短期連載記事はいかがだったでしょうか? 少しでもレガシーの環境について興味を持っていただければ幸いです。今週末にはレガシーで行われるグランプリ・京都2015が迫っています。参加される方だけでなく、ニコニコ生放送でご覧になる方も本連載でレガシーについてぜひ知っていただければと思います。
それでは、グランプリ・京都2015でお会いしましょう!
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