READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ巻きつき蛇(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ巻きつき蛇(スタンダード)

by 岩SHOW

 緑と黒の組み合わせというものは大変に魅力のあるものだと改めて公言させていただこう。

 僕がこのように感じるに至ったのにはきっかけがある。そしてそれは、近年マジックを始めた方には伝わりづらいものだと思う。

 緑と黒の関係は、かつては最悪だった。《疾風のデルヴィッシュ》《たい肥》《Dystopia》《非業の死》と相手を対策するカードのオンパレード。生命の色と、死の色。仲良く混ざるわけもなく、これらを組み合わせたデッキというものがほとんどなかった。いがみ合う色として「敵対色」と呼ばれたものである(青と赤なども)。

 『アポカリプス』は、そんな当時のマジックの常識を吹き飛ばそうという試みがなされた最初のセットだ。このセットはまさしく敵対色を合わせた多色のカードがズラリで、なかでも緑と黒は《破滅的な行為》《魂売り》と超絶パワーカードを揃えており、それをリアルタイムで体験した僕らの世代は一気に「黒緑」という2色のデッキに心惹かれるようになったのである。

 それからもう16年。それだけの時間が経過したら、マジックもそりゃあ変わるよ。敵対色という概念は消え去り、今や最新セットには10パターンの2色の組み合わせそれぞれに多色のカードやドラフトにおける戦略などが用意されている。黒と緑の組み合わせも、当たり前の光景だ。

 最近だと、構築で暴れた黒緑のデッキがあるね。《巻きつき蛇》を軸とした、+1/+1カウンターとエネルギーを用いるビートダウンデッキだ。今の若い世代は、この蛇の活躍を見て黒緑を好きになるのかもしれないね。

 そんなわけで今日紹介するのは、《巻きつき蛇》デッキの最新バージョンだ!

Nukkinz - 「スゥルタイ巻きつき蛇」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2017年10月15日)[MO] [ARENA]
2 《
4 《
1 《
4 《花盛りの湿地
2 《異臭の池
4 《植物の聖域
4 《霊気拠点

-土地(21)-

4 《光袖会の収集者
4 《牙長獣の仔
4 《巻きつき蛇
4 《ならず者の精製屋
2 《ピーマの改革派、リシュカー
4 《人質取り
1 《スカラベの神
4 《歩行バリスタ

-クリーチャー(27)-
4 《霊気との調和
4 《致命的な一押し
4 《顕在的防御

-呪文(12)-
3 《貪る死肉あさり
1 《豪華の王、ゴンティ
1 《スカラベの神
4 《強迫
2 《否認
1 《人工物への興味
2 《ヴラスカの侮辱
1 《秘宝探究者、ヴラスカ

-サイドボード(15)-

 「スゥルタイ(黒緑青)エネルギー」と呼んでも良いが、蛇が入っていないものと区別するために今回は「スゥルタイ巻きつき蛇」と題して紹介させていただこう。

 黒と緑のエネルギー関係のカード、《巻きつき蛇》と相性の良いカードに加えて、青の要素を取り入れている。純粋な青いカードはサイドボードの《否認》のみで、青を採用する理由となっているのはいずれも多色のカードなのが面白い。多色のカードは色マナが複数種いる分、純粋にカードパワーが上がっているからね。

 エネルギーデッキということで、流行りの「ティムール・エネルギー」と同じカードが多数採用されている。いずれのカードも、得られるエネルギーは《巻きつき蛇》で1つ増えるのを忘れずに。微差ではあるが、こういう差が勝敗を分けるものだ。これにより《霊気拠点》に躊躇なくエネルギーを注ぎ込めるというのも、3色デッキとしてはありがたい点だ。

 《霊気との調和》《ならず者の精製屋》はエネルギーの獲得と同時にデッキの円滑な動きをサポートする。これらがあるから、エネルギーデッキは土地21枚など、切り詰めた構築が行えるのだ。

 これらで得たエネルギーの消費先は、同じくエネルギー獲得方法も兼ねている《光袖会の収集者》《牙長獣の仔》だ。

 エネルギーをドローに、エネルギーをサイズに変換するこれらのクリーチャーをガンガン回して、効率の良い展開とダメージレースを仕掛けていこうというわけだ。《牙長獣の仔》は《巻きつき蛇》とエネルギーと+1/+1カウンターの両面で相性の良い、ベストパートナーだ。どんどんと大きくして、仔でこれなら牙長獣の親は一体どんなサイズなんだよと対戦相手に思わせてやってほしい。

 《ならず者の精製屋》以外に青を足している理由は、後半の息切れ防止かつ絶対的フィニッシャーである《スカラベの神》と、そして『イクサラン』より航海してきた海賊《人質取り》!

 これで相手のクリーチャーを奪いまくってしまおう。《ピーマの改革派、リシュカー》によりマナを伸ばすこともできる蛇デッキとこの海賊の相性は、確かに良いと言える。蛇と海賊という組み合わせもなんともそれっぽいではないか。

 これらのカードの展開を助けるおとりになり、後半はゲームをフィニッシュまで導く《歩行バリスタ》でクリーチャー陣は完璧。呪文枠には定番除去の《致命的な一押し》と、除去対策の《顕在的防御》で......理論上、どんなデッキでもかかってこいやと。何とも頼もしいデッキじゃないか。

 よりエネルギーデッキとして運用するための《逆毛ハイドラ》、+1/+1カウンターデッキに特化させるために《新緑の機械巨人》などの採用を検討するのも面白いだろう。《巻きつき蛇》の勢いはまだまだ衰えない、地上戦最強はこのデッキだということを、忘れかけている対戦相手に思い出させてあげよう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索