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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.08.07

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:黒緑打撃体(スタンダード)

by 岩SHOW

 せっかくプロツアーに出るなら、爪痕を残したい。そう思うのはプレイヤーの性ではないだろうか。超一流の調整チームにより時間も手間もかけて作られたデッキに対して、アイディア勝負のオリジナルデッキで挑む! そういう参戦スタイルもありだ。皆が皆、世界一の座をかけて争える腕を持っているわけじゃない。それに、時にそういうデッキが旋風を巻き起こすことだってある。

 ......まあ現実はそう甘くもないのだが。チャレンジしたという事実に意味がある。プロツアーのスタンダードラウンドにて6勝、すなわちなんとか勝ち越したというラインのデッキには、プロツアー上位には残れなかったが可能性を秘めているのでは......と思わせる、幻想力の高いリストが眠っているものだ。今日はプロツアー『破滅の刻』よりそんなデッキを1つ紹介しよう。

Gabriel Carleton-Barnes - 「黒緑打撃体」
プロツアー『破滅の刻』 スタンダード部門 6勝4敗 (2017年7月28~30日)
2 《沼》
3 《森》
4 《花盛りの湿地》
2 《風切る泥沼》
4 《霊気拠点》
1 《イフニルの死界》
4 《ハシェプのオアシス》

-土地(20)-

4 《緑地帯の暴れ者》
4 《光袖会の収集者》
4 《牙長獣の仔》
2 《導路の召使い》
4 《静電気式打撃体》
2 《夢盗人》
4 《逆毛ハイドラ》

-クリーチャー(24)-
4 《霊気との調和》
4 《顕在的防御》
2 《致命的な一押し》
4 《気宇壮大》
2 《霊気圏の収集艇》

-呪文(16)-
2 《不屈の追跡者》
2 《難題の予見者》
2 《ヤヘンニの巧技》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《致命的な一押し》
1 《自然のままに》
1 《闇の掌握》
1 《精神背信》
1 《人工物への興味》
1 《不帰+回帰》
1 《イフニルの死界》

-サイドボード(15)-
プロツアー『破滅の刻』 イベントカバレージ より)

 《静電気式打撃体》を用いた、コンボ要素を備えたビートデッキは『カラデシュ』以降のスタンダードではおなじみ。

 パワー倍々ゲームでとんでもない角度からワンパンチK.O.を狙ってくる奇襲性が強みで、同プロツアーにおいてもあのウィリアム・ジェンセン/William Jensenも用いていた。ジェンセンが用いていたのはオーソドックスな「赤緑打撃体」だったが、今日紹介するのはご覧の通り「黒緑打撃体」だ!

 そもそも打撃体デッキでの色の役割を振り返ってみるとしよう。打撃体デッキの根幹を担うのは緑である。《霊気との調和》《牙長獣の仔》《導路の召使い》《逆毛ハイドラ》と、エネルギーを蓄えつつデッキの動きをスムーズにするカード、殴れるクリーチャーが揃っている。

 《気宇壮大》のようなパワーを急上昇させる呪文もあり、中でも除去をはじく実質的な打ち消し呪文として用いることもできる《顕在的防御》はこのデッキを成立させるキーカードだ。

 これに対して赤は、《蓄霊稲妻》《通電の喧嘩屋》とエネルギー獲得手段と別の役目を兼ねたカードの水増し、そして打撃体による一撃必殺をサポートする《暴力の激励》《放たれた怒り》《投げ飛ばし》といったカードで、緑単色では組むのが難しいデッキの成立を支える役割を担っている。このサポートカラーを、他の色に置き換えることは可能か? というのがこのデッキの出発点だったのではないだろうか。

 赤を黒に置き換えるとどうなるか。除去は、より軽い《致命的な一押し》に。エネルギーは得られないが、低コストのクリーチャーに対しての確実性は上がったし、除去の1マナと2マナは大きな差だ。特に除去って殴って後続、と動きたいデッキならなおさら。

 喧嘩屋に置き換わるクリーチャーは《光袖会の収集者》だ。打点はそこそこながら、攻撃してエネルギーを増やし、そのエネルギーを用いてカードを引くことが出来る。一度手札を使い切ると、割とどうしようもなかった打撃体デッキにアドバンテージ獲得手段が追加されるのは、無視できない恩恵である。これで中長期戦もそれなりに立ち回れるようになる。

 そして、『破滅の刻』から《夢盗人》が参戦だ。これを《顕在的防御》で守って......という話は「黒緑巻きつき蛇」の時も話したが......このデッキだと《気宇壮大》で5枚捨てさせることだってできる! そこまでする必要は全くないが、できるという引き出しを作っておけば、それを開けるゲームがあるかもしれない。夢があるってのは良いじゃないか。

 黒緑になるかどうかはともかく、今後の打撃体デッキのトレンドとなるのはこのデッキも採用している《ハシェプのオアシス》だ。クリーチャー強化を土地が兼ねる恩恵は、見た目よりもデカい。特にサイド後、《気宇壮大》なんかの大振りなカードをサイドアウトしても、デッキ内に《静電気式打撃体》のパワーを上昇させ、エネルギーを注いでのワンパンチを可能とするカードが残っているというのはありがたい限りである。

 「赤緑打撃体」や、エネルギーに寄せた「黒緑巻きつき蛇」といったデッキを使っている人は、簡単に組み替えることができるので一度遊んでみても良いんじゃないかな。このデッキを使え、というわけではなく、こういうアプローチも面白いよねということも伝えていくコラムでありたい、と改めて思ったところで、それじゃまた明日!

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