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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザン・トークン(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザン・トークン(スタンダード)

by 岩SHOW

 現スタンダード環境は、さまざまな要因でこれまでにあまり見たことのない環境になっている。ローテーションの変更がその最も大きなものだろうか。

 本来、『アモンケット』が使用可能なスタンダードでは『戦乱のゼンディカー』『ゲートウォッチの誓い』は使えなくなるはずだった。これらは『アモンケット』の発売とともに環境を去る予定だったが、そうはならず。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》ら圧倒的なパワーを持ったカードにより、『アモンケット』のカードは押し込まれてしまった。特にウラモグを叩き付ける《霊気池の驚異》デッキは圧倒的で......多くのデッキの可能性を潰していた。

 そのため、《霊気池の驚異》は使用禁止に。この環境5枚目の禁止カードとして名を連ねてしまった。これは、英断だったと思う。この禁止により、ゾンビ以外はかなり抑え込まれていた『アモンケット』のカードが活き活きとし、環境にはこれまで見たこともないタイプのデッキが生まれ始めている! その代表格が本日紹介する「アブザン・トークン」だ!

Vicalis - 「アブザン・トークン」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2017年6月23日)[MO] [ARENA]
3 《平地
1 《
2 《
4 《秘密の中庭
3 《要塞化した村
2 《まばらな木立ち
4 《花盛りの湿地
2 《ウェストヴェイルの修道院
4 《進化する未開地

-土地(25)-

4 《膨れ鞘
4 《スレイベンの検査官
4 《選定の司祭
4 《地下墓地の選別者
1 《信義の神オケチラ
2 《賞罰の天使

-クリーチャー(19)-
4 《秘密の備蓄品
3 《謎の石の儀式
4 《ウルヴェンワルドの謎
4 《選定された行進
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-呪文(16)-
1 《戦慄の放浪者
3 《不屈の追跡者
1 《刻み角
1 《賞罰の天使
2 《黄昏 // 払暁
4 《致命的な一押し
2 《石の宣告
1 《排斥

-サイドボード(15)-

 『アモンケット』のテーマは多数あるが、その1つに「トークン」がある。不朽能力により、多種多様な能力を持ったトークンが戦場に登場することに。死後にミイラとして蘇るこのシステムは絵面が面白くて好きだ。そして、この不朽能力を活かすために用意されているのが《選定された行進》。トークン限定の《倍増の季節》とでも言おうか、とにかくこれが出ている状態でトークンを生成すると倍になる。1体の遺骸から2体のミイラが作られるわけだ。......あれ、なんか怖くね?

 ダブルミイラのトリックは不明だが、それは忘れるとして。このエンチャントは重ね貼れば倍の倍、つまりトークンが4体飛び出すことになる。3枚目なら8体、4枚目まであれば16体だ! わけがわからない! そんなイカれたトークン生成を楽しむデッキがこの「アブザン・トークン」。この倍々ミイラ祭りで戦線を構築しようという、『アモンケット』を体現したようなデッキである。

 選定された状態で行進するのは《選定の司祭》だ。トークンが戦場に出るたびにライフが1点回復する。《選定された行進》1枚からの《選定の司祭》不朽起動で、トークンが2体出てそれぞれ誘発して合計4点回復。2枚あれば4体の16点、3枚で8体の64点...こんなことされて勝てるビートダウンは、まあまずないな。

 他のカードもおおむねトークン生成カードだ。《膨れ鞘》《地下墓地の選別者》はエルドラージ・末裔を、《信義の神オケチラ》は戦士を生み出す。《膨れ鞘》と《選定の司祭》は死亡してナンボだが、これを能動的に墓地に送るのが《秘密の備蓄品》だ。

 これでこれらのクリーチャーを生け贄に捧げつつ占術し、死亡誘発を引き出したり不朽したりするわけだ。そしてついでに紛争でトークンも得られるときたもんだからパーフェクト。この生け贄により《ウルヴェンワルドの謎》が誘発して手掛かり・トークンが得られて、それもクリーチャーではないがトークンなので倍に。これは《スレイベンの検査官》も同じだね。本体は特にいらないので、このエンジンが形成されたらさっさと生け贄に捧げて大量の各種トークンに変換しよう。この手掛かりを生け贄に捧げると《ウルヴェンワルドの謎》により倍の人間・兵士が手に入る。とんでもないシナジーの絡みつきである。

 こうして増えだしたトークンを《謎の石の儀式》でマナ・エンジンとして用いる。得たマナでトークンを生産し、あっという間に戦場はトークンまみれになる。あとは対戦相手の心が折れるのを待つか、総攻撃でライフが0になるのを見届けるだけだ。

 《賞罰の天使》が8体舞い降りるなんていう光景を見てみたくはないか? この天使は単にオーバーキルなシーンを担うだけでなく、同型とのゲームを終わらせるためにも役に立つ。

 《選定された行進》の貼り合いになると不毛なトークン生産対決が始まるのだが、このエンチャントを追放することができれば一方的な展開に持っていくことができる......はず。手遅れな場合もあるだろうけど。とにかく同型だけはしんどい闘いになるので、各々何かしらの手段は用意しておくべきだろう。まあ、同型と当たることがどれぐらいあるかはその地域のメタゲームによる、としか言えないが......プロツアー予備予選会場に1人はいるんじゃないかな?

 Twitterなんかでも、とんでもないライフに回復しているMagic Onlineのゲーム画像をよく見る。トークンが出すぎて物凄く小さくなっている光景など、かなり笑える。が、ギャグと思って油断していると足元をすくわれそうだ。

 さて、『破滅の刻』で永遠能力持ちを手に入れて、デッキの幅は広がるか? 《立て直しのケンラ》がいっぱい出てきて大ダメージなんて、やってみたくないかい?

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