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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第53回:『機械兵団の進軍』ドラフト攻略
皆さんこんにちは!
最近はすっかり暖かくなり外に出たくなる気候になってきましたね。『機械兵団の進軍』が発売されて間もない事もあり、週末友人と大会やドラフトで遊ぶ機会も増えました。
さて、今回も事前にMTGアリーナで『機械兵団の進軍』でドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
- 1.『機械兵団の進軍』ドラフト環境のポイント
- 2.『機械兵団の進軍』収録メカニズムについて
- 3.『機械兵団の進軍』のトップコモン&アンコモン
- 4.『機械兵団の進軍』ドラフトの注目のアーキタイプ
- 5.最後に
1.『機械兵団の進軍』ドラフト環境のポイント
『機械兵団の進軍』ドラフトは、『機械兵団の進軍』ドラフト・ブースターを3パック使用します。
環境のポイント1:レアリティを意識しよう
この環境は通常よりアンコモン以上のカードが多く封入されています。というのも、特殊枠である「多元宇宙の伝説」枠が存在するため、アンコモン以上のカードが通常より1枚多く確定で増えています。
その為いつもよりデッキに入っているカードが強力になりやすい反面、コモンで再現性のあるアーキタイプを狙う事は難しくなっています。今回についてはシナジーは意識しつつも、デッキを特定のアーキタイプに寄せすぎず、しっかり高レアリティのカードを活かす構成にする事が必要になってきます。
環境のポイント2:バトル過多にご注意を
今回から登場した新カード・タイプである「バトル」は、戦闘やダメージを与える呪文で守備値を0にする事で裏の第2面を唱える事ができます。バトルはカード2枚分の働きをするため、上手く働けば大きくアドバンテージを稼ぐ事ができます。
しかし、裏面を唱える事ができなかった場合はマナ・コスト相応より少し弱い働きをするものが多く、一度劣勢になってしまった場合戦闘に参加できるクリーチャーが足りないことで守備値を削る事ができず、裏返らないバトルが複数戦場に並んでしまってそのまま敗北してしまう……というケースもよくあります。
そのため、バトルはただ闇雲にいれるのではなく、守備値を現実的に削ることができるデッキになっているか、守備値を削らなくても表だけでも十分な活躍ができるバトルかを吟味し、「戦闘や呪文で第2面を唱える選択肢があるカード」という認識で厳選したバトルだけをデッキに採用するようにしましょう。
環境のポイント3:システムを形成せよ
この環境は培養・トークンが地上戦で活躍する事もあり、よく地上が膠着する展開になります。そのため飛行クリーチャーや、膠着状態でも何かしらカードを使わずにアクションを起こせるカードが重要になってきます。
例えば《雑草学の指導者》のようなマナを支払って変身するクリーチャーや、《都和市の堕落》等のカードアドバンテージを稼ぐシステムカードです。
片方が何かしら毎ターンマナを有効活用できる状況になってしまうと膠着状態で一方的に不利になってしまうため、これらのカードを意識してデッキに採用するようにしましょう。
また、もちろんゲームが長引いた時はレア以上のカードがゲームを決める事も多くなってくるので、自分のデッキにレア以上の強力なカードを多く採用するために2色土地などのマナベースにも気を付けて、相手よりも強力なカードを多くデッキに投入できるようにしましょう。
以上の3つのポイントを意識する事でデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。
2.『機械兵団の進軍』収録メカニズムについて
それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
賛助
賛助X(このクリーチャーが戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンターX個を置く。それがこれでないクリーチャーなら、ターン終了時まで、それは以下の能力を得る。)
賛助とは、賛助を持つクリーチャーが戦場に出た際に、自身も含めてクリーチャー1体を対象とし、それに賛助の数値分の+1/+1カウンターを置き、自身以外に置いた場合はその下に書かれた能力をそのターンだけ付与するキーワード能力です。
自身以外にも置く事ができるため、盤面をコントロールしやすい能力です。ターン終了時には付与した能力が失われてしまう事に注意しましょう。
培養
培養Xを行う。(培養器・トークン1つを、「{2}:このアーティファクトを変身させる。」を持ち、+1/+1カウンターX個が置かれた状態で生成する。それは0/0のファイレクシアン・アーティファクト・クリーチャーに変身する。)
培養とは、その数値分の+1/+1カウンターが置かれた状態で培養器・トークン1つを生成する能力です。
培養器・トークンは2マナ支払う事で変身し、クリーチャーになる事ができます。マナを支払うまでは特に何もしないアーティファクト・トークンです。
実質的にクリーチャーを戦場に出す強力な能力なため、培養を持つカードは積極的に採用したいですね。
バトル
バトル - 包囲戦(包囲戦1つが戦場に出るに際し、それを守る対戦相手1人を選ぶ。あなたや他のプレイヤーはそれを攻撃できる。それが倒されたとき、それを追放する。その後、それを変身させた状態で唱える。)
バトルとは、戦場に出た際に対戦相手一人にそのバトルを守らせ、自身はクリーチャーの戦闘ダメージや火力呪文でそれの守備値(カード右下の値)を0にし、変身させた状態で唱える事ができる新カード・タイプです。
バトル自体のコントローラーはプレイしたプレイヤーであり、守っている側ではありません。また、守備値を0にして変身させることに成功した場合、そのまま裏返るのではなく一度追放領域に移動させてから唱えることに注意しましょう。
バトルは攻めが継続的にできる盤面では有効活用しやすいカードですが、劣勢の時には上手く倒す事ができずに有効活用しにくい性質があるため、複数採用する場合はちゃんとバトルを倒せる構成になっているか検討して採用するようにしましょう。
今回のバトルはすべて「包囲戦」というサブ・タイプを持つためルールが一定ですが、今後違うサブ・タイプのバトルが出た場合、違うルールのバトルも出てくるかもしれません。
3.『機械兵団の進軍』のトップコモン&アンコモン
さて、続きまして各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
白・アンコモン
《ノーンの審問官》:培養能力により1枚で2枚分の働きをするだけでなく、培養を含め変身カードと相性が抜群な非常に優秀なシステムクリーチャーです。
《存在の封印》:除去できる範囲が広く、護法により除去耐性もあるため完全除去としての信頼が高い強力な除去です。
《ファイレクシアの覚醒》:培養4と大きめの培養器・トークンを出せるだけでなく、ファイレクシアン・クリーチャー全体に警戒を付与できる優秀なエンチャントです。
白・コモン
《次元壊しの掌握》:アーティファクトにも触れることができるため、変身前の培養器・トークンにあらかじめ貼っておくなど、プレイに幅が出る優秀な除去です。
《門口の断絶》:最低でも2マナ2/2相当かつ、上振れた場合相手のエンチャントかアーティファクトを破壊して培養できる使い勝手の良いカードです。
《注意深い空守り》:貴重な飛行クリーチャーかつ、培養器を裏返す能力でマナを使わずに次々に盤面を強化する事ができる、優秀な飛行クリーチャーです。
青・アンコモン
《囚われの奇魔》:変身する事でカードアドバンテージを稼ぐ事のできる、自身が1マナと軽く小回りの利く優秀なクリーチャーです。
《都和市の堕落》:培養4と優秀なサイズの培養を持ちつつ、変身の際にカードを引ける能力が非常に強力な環境屈指のシステムカードです。
《キセレクスの投光騎士》:飛行と警戒持ちなので安定してダメージを与える事ができ、さらにはトークンを生み出し盤面も強化できる優秀な飛行クリーチャーです。
青・コモン
《羽づくろう勇者》:トークン生成能力を持ち召集と相性が良いだけでなく、本体は飛行を持ち戦闘面で活躍できる環境屈指の優秀なコモンクリーチャーです。
《精神の交差》:召集持ちなので見た目以上にプレイしやすい、優秀なドロー呪文です。
《ギタクシアスの眼》:カードを引きつつ培養3と、手札を消費せずに培養できる優秀な呪文です。
黒・アンコモン
《集団的悪夢》:召集持ちの除去なので警戒されにくく、使い勝手の良い優秀な除去です。
《完成化した猟匠》:起動コストが軽く、次々に自身のクリーチャーを培養器に変えていく事ができる、強力なシステムクリーチャーです。
《ウルグローサへの侵攻》:ライフ回復が嬉しい除去、かつ変身後も強力な飛行クリーチャーとして相手に圧をかける事ができる優秀なバトルカードです。
黒・コモン
《霊気刃の工作員》:2マナの接死持ちと盤面を安定させることができる性能かつ、変身後はカードアドバンテージを稼ぐ事ができる、強力な変身持ちクリーチャーです。
《命を奪う嘲笑》:インスタントの確定除去、かつ宝物生成能力で後のカードもサポートできる非常に優秀な除去です。
《最期の一花》:2マナと軽い除去かつ、キッカーする事で除去できる範囲も広くなる、優秀な除去です。
赤・アンコモン
《メルカディアへの侵攻》:変身後が強力なフィニッシャーなのに守備値が4と変身させやすい、優秀なバトルカードです。
《呪文槍のケンラ》:表の時点で戦闘能力が高く、裏返ると除去耐性と更に強力な戦闘能力を得る事ができる環境屈指のアンコモンクリーチャーです。
《かき立てる炎》:召集持ちで使いやすく、好きなターゲットに撃てる為、除去としてだけでなくプレイヤーやバトルにもプレイできる選択肢がある優秀な火力呪文です。
赤・コモン
《火山の悪意》:2マナのインスタントの3点と使い勝手の良い除去性能だけでなく、手札を整える事も出来る優秀な除去です。
《戦鍛えの斬鬼》:単体としての性能が4/3威迫と標準以上の性能かつ、バトルを裏返す事に関しては環境屈指の性能を持つ優秀なクリーチャーです。
《ラルの援軍》:2マナで2体のトークン生成カードなので召集持ちカードを大きく助ける事のできる、召集アーキタイプの核となる呪文カードです。
緑・アンコモン
《雑草学の指導者》:序盤盤面を落ち着かせライフも回復し、中盤以降は変身で除去もできる、ミッドレンジにおける嬉しい役割を1枚で複数こなせる優秀な変身クリーチャーです。
《囁かれる希望の神》:パワー分好きな色マナを出す事が出来る為マナクリーチャーとして優秀なだけでなく、+1/+1カウンターを追加で置く能力が環境の多くのカードとシナジーする、システム面でも強力なマナクリーチャーです。
《世渡り上手の交渉人》:自分に乗せれば実質2マナ3/3相当かつ、中盤以降は他に乗せる事で戦闘の助けになる、優秀なクリーチャーです。
緑・コモン
《食らいつくカヴー》:賛助により4マナ4/4相当かつ、パワー2以下にブロックされない能力が攻める際に強力な優秀なクリーチャーです。
《星界の飢餓》:格闘と違い一方的にダメージを与える事ができる、優秀な除去呪文です。
《前兆の追跡者》:土地をアンタップさせる事で実質マナクリーチャーとして活躍するだけでなく、バトルに対しても有効な能力を持つ優秀なクリーチャーです。
4.『機械兵団の進軍』ドラフトの注目のアーキタイプ
続きまして、『機械兵団の進軍』の注目アーキタイプを紹介していきます。
注目のアーキタイプ・その1:白青騎士
「白青騎士」は、騎士とシナジーするクリーチャーおよび騎士クリーチャーカードで継続的に攻める事を得意するアーキタイプです。
アーキタイプの軸になるのは《ザルファーの司令官》で、騎士全体のサイズアップかつタッパーの能力で戦闘を有利に進める事ができます。騎士のアーキタイプは《剣誓いの騎兵》のような騎士を毎ターン出す事が重要なカードもあるので、騎士かつ疑似除去である《儀礼の騎士》は騎士のアーキタイプにおいて重要な役割を果たします。
色の性質上飛行クリーチャーも多い為、騎士ばかり集めて地上一辺倒にならないよう、騎士以外の飛行クリーチャーも積極的に採用するようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その2:白黒ファイレクシア
「白黒ファイレクシア」は、《彫り込まれた完成態》や《ファイレクシアの覚醒》等のファイレクシアン・クリーチャーを強化するカードでファイレクシアン・クリーチャーを強化しながら戦うアーキタイプです。
ファイレクシアン・クリーチャーは基本的に培養器・トークンを含め地上のカードが多い為、サイズで上回れない時は膠着してしまうケースが多くなるので、そこで如何に多くのシステムがデッキに入っているかが重要になってきます。そのため《完成化した猟匠》や、他の色ではありますが《都和市の堕落》等システムカードを積極的に採用するようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その3:青黒切削
「青黒切削」は、環境屈指のパワーカードである《アモンケットへの侵攻》を軸に、切削により相手の墓地をためて、相手の墓地が8枚以上ある場合にボーナスのあるカードで戦うアーキタイプです。
色の性質上妨害手段は豊富なのですが、機械兵団の進軍は黒のコモンクリーチャーが弱く、クリーチャーで攻める事は難しい色の組合せになります。そこで、《探検隊の見張り》や《終身油唱師》等他の色の組合せでは採用しにくいカードをむしろ強力なクリーチャーとして使える事が青黒切削の強みになります。
カードアドバンテージも稼ぎやすく比較的自由度が高い為、環境上位に入る色の組合せになります。
注目のアーキタイプ・その4:青緑変身
「青緑変身」は、《変異体の鑑定人》や《都和市の堕落》等、変身カードと相性が良いカードと優秀な変身持ちクリーチャー、各種バトル、培養器・トークンと組み合わせカードパワーの高さで戦うアーキタイプです。
変身とシナジーがあるカードと変身を持つカードを集めていくと自然とカードパワーが高く戦いやすいデッキになるのですが、色の性質上妨害手段に乏しくなります。そこで、《荒廃した芽ぐみ》や《囁かれる希望の神》等のマナサポートカードで3色以上の構成も目指していくケースも多くなってきます。
除去やレア以上のカードを積極的に採用できるのも緑の性質ではあるので、いかにカードパワーを詰め込めるかが青緑変身においては重要になってきます。
注目のアーキタイプ・その5:青赤召集
「青赤召集」は、《ラルの援軍》や《羽づくろう勇者》等の1枚で2枚以上のクリーチャーの働きをするカードと召集を持つカードを組み合わせ、早期ターンから召集のカードをプレイしていくアーキタイプです。
《精神の交差》がクリーチャーを展開しながら比較的簡単に手札を増やしてくれるので、カードアドバンテージを稼ぎつつ余ったマナで除去やクリーチャーを展開できる、強力なアーキタイプとなります。
完成すれば環境屈指の強力なアーキタイプなのですが、今環境はコモンの出現率が他の環境より少なく、狙ったカードがでにくく同じカードが複数取れる可能性が低くなる為、毎回狙うのではなく自然の流れでできるようにしたいですね。
注目のアーキタイプ・その6:赤緑バトル
「赤緑バトル」は、赤と緑のバトルカードを《戦鍛えの斬鬼》等のバトルを攻撃した際にボーナスがあるカードでバトルを倒していくアーキタイプです。
このアーキタイプを狙う際はまずは強力なバトルがある事が最低条件になるため、裏返す価値が高いバトルがピックの序盤で取れた時に狙うようにしましょう。《エルガモンへの侵攻》は変身するとバトルをサーチしてくることができるので、赤緑の利点はこのバトルを裏返す事で連鎖的に強力なバトルを変身させ続ける事にあります。
とはいえバトル過多になりやすく、地上クリーチャーが多くカードアドバンテージを取れない色になるので強力な構成を組むのは難しく、安易に手を出すのは危険な色の組合せになります。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回は新たなカード・タイプである「バトル」や、「多元宇宙の伝説」枠のおかげで毎回違う体験ができるドラフト環境になっていて非常に楽しくドラフトできるセットだと感じます。ぜひ皆様も遊んでみてください!
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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