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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第47回:『イニストラード:真紅の契り』ドラフト攻略
皆さんこんにちは! もう外もすっかり寒くなり、暖房やこたつが恋しい季節がやってきました。先日『イニストラード:真紅の契り』が発売され、12月3日からは「イニストラード・チャンピオンシップ」も開催されるので、家の中でMTGアリーナを遊んだり大会の配信を観ることで冬を上手く乗り越えていきたいですね!
さて、今回は前回から引き続き、事前にMTGアリーナで『イニストラード:真紅の契り』のブースタードラフトをプレイしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『イニストラード:真紅の契り』ドラフト環境のポイント
『イニストラード:真紅の契り』ドラフトは、『イニストラード:真紅の契り』ドラフト・ブースターパック3個を使用します。
環境のポイント1:強力なレアが多いセット
今回は最近の環境と比べて、1枚でゲームに大きな影響を与えるレア以上のカード(以降、シンプルにレアと呼びます)が多く存在します。なので初手付近でピックできた強力なレアは今後の方針に大きく影響しますし、できるだけ使うようにしたいですね。
環境のポイント2:「レアゲー」を制するために
レアを出したり出されたりだけでゲームが決まってしまうと成績が安定しなくなるので、レアを巡るゲームを意識しましょう。特に意識したいことは大きく分けて2つあり、1つはレアを対処する方法をしっかりと用意することと、もう1つはレアを出される前に押し切ることです。
レアに対処できなくて負け、というのは簡単に起きてしまうシチュエーションなので、除去呪文や打ち消し呪文などレアに対応できるカードをある程度優先してピックするようにしましょう。また、そもそもレアを出されるゲームを減らすために、長期戦をせず短期決戦で勝負を決めるという手段もあります。ゲームが長引けば長引くほどレアを巡るゲームになってしまい運の要素が増えるため、ある程度ゲームのレンジを短くすることもこの環境で安定して勝つ、ひとつの要素になります。
環境のポイント3:血・トークンを活用する
後に紹介するメカニズムの血・トークンは今回のリミテッドにおいて非常に重要な役割があります。
そもそもリミテッドにおいて土地を多く引いたり(マナフラッド)、逆に余り引かなかったり(マナスクリュー)といった分散はどうしても避けにくい現象ではあるのですが、血・トークンで手札を入れ替えることで非常に安定したゲームメイクをすることができます。そのため、血・トークンを多く生成する赤か黒の2色のどちらかは使うというのはできるだけ意識したいですね。
特に赤は攻めが得意かつ血・トークンを出すカードが多く存在するので、攻めながら無理なく血・トークンを生成し、後半引いた無駄なカードを新しいカードに回すことができるため、マナフラッドしにくいデッキを作りやすく、今回は非常に強力な色となってます。
以上の3つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。
それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
2.収録メカニズムについて
血・トークン
「血・トークン」とは、1マナとタップと手札を1枚捨てて生け贄に捧げることで、カード1枚を引くことができるアーティファクト・トークンです。
それは「{1}, {T}, カード1枚を捨てる, このアーティファクトを生け贄に捧げる:カード1枚を引く。」を持つアーティファクトである。
それ以外にも血の数を参照にしたり、血を生け贄に捧げることで効果を発揮するカードがあったりと、手札を入れ替える以外にも利用方法があります。
訓練
「訓練」とは、訓練を持つクリーチャーがより大きなパワーを持つクリーチャーと攻撃するたびに+1/+1カウンターを1つ獲得するキーワード能力です。
このクリーチャーが、これより大きなパワーを持つ1体以上のクリーチャーと攻撃するたび、このクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。
能力の性質上、訓練を持つクリーチャーはパワーが低めのクリーチャーが多く、訓練を持つクリーチャーはある程度絞って採用しないと上手く訓練を誘発させることが難しくなります。
また、装備品などを使えば元のパワーをある程度自由に変えることができるので、そういったパワーを可変させるカードでサポートすると訓練を誘発させやすくなります。
勘違いしやすい点として、訓練を持つクリーチャーより大きなパワーを持つクリーチャー2体以上と一緒に攻撃しても+1/+1カウンターは1個しか置かれないので、間違えないように注意しましょう。
切除
「切除」とは、切除コストで呪文を唱えることで呪文に書かれている角括弧([])内の記述を削除し、元の呪文より呪文の効果の範囲を広げるなど、呪文の性質を変化させるキーワード能力です。
あなたはこの呪文を切除コストで唱えてもよい。そうしたなら、角括弧の中の記述を削除する。
基本的には呪文の対象を元の呪文より広くするものが多いため、元の呪文は限定的な対象を取るものが多いです。
濫用
濫用とは、濫用を持つクリーチャーが戦場に出た際にクリーチャー1体を生け贄に捧げることができるキーワード能力です。
このクリーチャーが戦場に出たとき、あなたはクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。
基本的には濫用した際に何らかの効果を発揮するテキストを併せて持っているので、戦局に影響の少ないクリーチャーや、自身を生け贄にして効果を発揮させるために使うことが多いです。
濫用能力を処理する前に濫用持ちクリーチャー自体を除去されてしまうと濫用しても効果を発揮しないため、生け贄に捧げただけになってしまうので注意しましょう。
降霊
降霊とは、墓地にある降霊持ちのカードを、降霊コストを支払うことで第2面の状態で墓地から唱えることができるキーワード能力です。
あなたはあなたの墓地にあるこのカードを変身させた状態で降霊コストで唱えてもよい。
今回の降霊は前回と違い、クリーチャーではなくエンチャントとして戻ってきます。そのため、クリーチャーでありながらクリーチャーではない呪文やエンチャント呪文としてもカウントしやすいため、それらとシナジーあるカードとの相性が良いのでぜひ組み合わせて使ってみましょう。
日暮/夜明
「日暮」とは、これを持つクリーチャーが戦場に出た時に対戦相手と自分どちらにも影響する「昼」という状況になるキーワード能力です。
昼になっている状況でアクティブ・プレイヤー(ターンを進行するプレイヤー)が呪文を1回も唱えずに相手にターンを渡した場合、昼が「夜」になります。夜の状況でアクティブ・プレイヤーがターン中に呪文を2枚以上プレイした場合夜が昼になります。
このように昼が夜に、夜が昼に切り替わった時にカードによってはボーナスがあったり、狼男は日暮・夜明というキーワードで第1面と第2面が入れ替わったりします。さらに、一部では夜だけ強力な呪文なども存在します。
昼と夜が入れ替わるのはターンの開始時なので、その間に何かカードをプレイすることはできません。したがって狼男の第1面、第2面が変わる際にも対応して何かすることはできず、ターンが切り替わった時点で変身していることになります。変身した後や昼・夜が切り替わって能力が誘発するものは、すべてアップキープにスタックに置かれます。
さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
3.『イニストラード:真紅の契り』のトップコモン&アンコモン
白・アンコモン
《天使の需品将校》:5マナの飛行クリーチャーとして十分なマナレシオを備えつつ、盤面を強化することができる強力なクリーチャーです。
《監禁の円環》:降霊などがある環境において、墓地に落とすことなく追放できる除去は貴重です。
《双刃の霊》:二段攻撃という強力なキーワード能力を持ちながら、降霊で後のクリーチャーもサポートできる使い勝手の良いクリーチャーです。
白・コモン
《ドラグスコルの歩兵》:墓地に落ちた後も降霊により盤面に引き続き影響を与えることができる、優秀な2マナクリーチャーです。
《旅する聖職者》:ライフを回復することでボーナスのあるカードと訓練を持つカードどちらとも相性が良い、白のキーカードともいえる重要なクリーチャーです。
《グリフ乗り》:3マナながら訓練によりパワー3以上で攻撃できる可能性のある、攻めに長けたクリーチャーです。
青・アンコモン
《囁く魔術師》:クリーチャー以外の呪文を唱えるたびにトークンを生成できる強力なシステムクリーチャーです。降霊がエンチャントなので非クリーチャー呪文カウントを稼ぎやすいのも追い風ですね。
《潜水スカーブ》:盤面に3/5という安定感のあるサイズのクリーチャーを出しつつ、疑似的な除去を行うことができる優秀な濫用持ちクリーチャーです。
《嵐追いのドレイク》:2マナの飛行クリーチャーとして最低限の仕事をしつつ、降霊との相性も抜群な優秀な飛行クリーチャーです。
青・コモン
《拘束の霊》:攻めるもよし、相打ちして降霊で盤面に影響を与えてもよしの優秀な降霊クリーチャーです。
《残酷な目撃者》:4マナとして十分なマナレシオを持つ飛行クリーチャーかつ、山札を操作する優秀なシステムも併せ持つ強力なクリーチャーです。
《ランタンを携える者》:降霊でエンチャントとして飛行を付与する能力が強力です。サイズの大きなクリーチャーにエンチャントする戦略がシンプルに強いので、特に緑との相性が抜群です。
黒・アンコモン
《寄生性掌握》:3マナで唱えるのが当たり前の性能ともいえる優秀な除去ですが、上手く人間に当てれば2マナになる強力な除去です。
《英雄の破滅》:インスタントかつ3マナと手軽に完全除去を行える最上級の除去です。
《不吉なとげ刺し》:濫用でアドバンテージを稼ぐもよし、接死かつ悪くないサイズのため普通にプレイしても良しの、強力な濫用持ちクリーチャーです。
黒・コモン
《骨の髄まで》:環境に少ない追放除去、かつほぼ完全除去なため、重宝するカードです。
《戦墓の死体あさり》:ダメージレースを覆すドレイン性能と墓地対策、最終的になんらかのクリーチャーと相打ちできる接死と、見た目以上に活躍する優秀なクリーチャーです。
《不貞腐れる農家》:濫用と組み合わせることで能動的に変身させることができ、変身後はダメージレースを許さない強力な絆魂持ちのクリーチャーです。
赤・アンコモン
《魅惑する求婚者》:変身した後マナを出す能力が強力かつ、その後で自軍を強化するシステムクリーチャーとして活躍できる、強力な吸血鬼です。
《バリスタの監視兵》:一度変身すれば自身が強力なサイズになるだけでなく、低タフネスを許さない非常に強力なシステムクリーチャーになります。ブロッカー排除の能力も強力なアンコモン屈指の性能を持つクリーチャーです。
《引き裂く炎》:3マナインスタントかつ広い範囲を除去できる優秀な除去です。忘れがちなスピリットを除去した時の2点も嬉しいですね。
赤・コモン
《削剥》:2マナのインスタントかつアーティファクトも含めた広い範囲を除去可能な優秀なカードです。
《炎恵みの稲妻》:除去できた際の追放が嬉しい、優秀なダメージ呪文です。
《ファルケンラスの祝賀者》:血・トークンを2つ生成しつつ、自身も4/4威迫と優秀なマナレシオを持つ、マナ・カーブの頂点付近に相応しい性能を持つ強力なクリーチャーです。
緑・アンコモン
《休樹林帯》:盤面を毎ターン強化しつつ、いざ大きく攻める際は変身して警戒で攻守を兼ねる、アンコモン屈指の性能を持つエンチャントです。、
《群れ歌の子狼》:成長させる条件が緩く、死亡時のライフ回復も嬉しい優秀な2マナクリーチャーです。
《隠遁した剥製師》:好きな色マナが出るので幅広く活躍できるマナクリーチャーかつ、終盤で引いても4/4相当が期待できる優秀な1枚です。
緑・コモン
《花の織り手》:しっかりと3マナ相当のマナレシオを備えつつ、変身した際はより戦闘でも活躍できる優秀なマナクリーチャーです。
《狼の一撃》:通常プレイでも強力な除去ですが、夜になるとさらに広い範囲を除去できるだけでなく、コンバットトリックとしても使える環境屈指の除去カードです。
《胞子背の狼》:自身のターンならば攻めやすく、タフネスを参照するカードとも相性が良い優秀な2マナクリーチャーです。
続きまして、『イニストラード:真夜中の狩り』の注目アーキタイプを紹介していきます。
4.『イニストラード:真紅の契り』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:青白エンチャント
「青白エンチャント」は、《嵐追いのドレイク》や《塩水漁り》などの呪文の対象になるたびに効果を発揮するカードを、降霊やオーラなどのクリーチャーを対象に取るカードでバックアップするアーキタイプです。
これらのキークリーチャーを優先してピックしつつ、相性が良い降霊持ちのクリーチャーも意識しながらピックしていきましょう。せっかくたくさんオーラを貼ったクリーチャーが除去されてしまうと一気に不利になるので、《不屈の意志》や《安全の揺り籠》を1~2枚採用して守れるようにしましょう。
基本的に色の都合上飛行軸で攻めることになるので、地上を受けつつうまく飛行で攻めるようにデッキを組みましょう。
注目のアーキタイプ・その2:青黒濫用
「青黒濫用」は、《悪運尽きた造反者》や《しつこい標本》などの生け贄に適したクリーチャーを濫用して盤面をある程度保ちつつ、得たボーナスで有利にゲームを進めていくアーキタイプです。
デッキの性質上ゲームが長期戦になりやすいため、濫用持ちや濫用先のクリーチャーと同じくらい除去や打ち消し呪文を優先してピックして、長期戦の際にレアに負けないようにしましょう。また、逆に自分のデッキに除去もレアも無い場合は長期戦を濫用だけでは勝ち切ることは難しいため、どちらも取れない場合は素直に濫用メインから切り替えてある程度攻める構成に切り替えるようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その3:白黒ライフゲイン
「白黒ライフゲイン」は、《旅する聖職者》などのライフを回復するカードで《マルコフの浄化師》などのライフを回復することでボーナスがあるカードをバックアップし、ライフを高水準で保ち徐々に有利にしていくことで安定したゲームメイクができるアーキタイプです。
毎ターン継続してライフを回復できる《旅する聖職者》は必須級なので必ずピックしましょう。あとはライフを回復した際に大きなボーナスがある《マルコフの浄化師》や《眠れぬ求血者》は優先してピックしましょう。
システムこそ強力なもののサイズに乏しいクリーチャーを多く採用しがちなため、どうしても長期戦になりやすいので、血・トークンを出すカードや除去もある程度優先してピックし、長期戦を戦い抜けるようにしましょう。
注目のアーキタイプ・その4:赤黒ブラッド
「赤黒ブラッド」は、赤と黒に多く存在する血・トークンを出すカードで手札を入れ替えることにより、安定したリソースで戦うことができるアーキタイプです。
血・トークンを無理なく生成できる《ファルケンラスの祝賀者》や《肉体の裂傷》などを優先して取りつつ、赤黒に多い吸血鬼ならではの《マルコフの報復》などのカードも使えるようにある程度吸血鬼中心にピックするようにしましょう。
血・トークンを手札入れ替え以外で使える《税血の収穫者》や《血に狂った社交家》などの手段もあるため、時には血・トークンを温存することも必要になります。
赤黒は除去も強力なので本当に強力な色の組み合わせです。除去とレアで長期戦を見据えても良いですし、ある程度攻める構成にして余分な土地を血で回しても強いです。もし狙えるなら優先して狙いたい色の組み合わせですね。
注目のアーキタイプ・その5:青緑切削
「青緑切削」とは、切削と相性が良い降霊のカードを《堕落産みの蜘蛛》や《黴墓のヤスデ》で落とし、緑の優秀なサイズを持つクリーチャーを降霊でバックアップして戦うアーキタイプです。
《ランタンを携える者》は《黴墓のヤスデ》と相性が最高で、大きなサイズになった《黴墓のヤスデ》に回避能力を与えることができます。
色の特性上どうしても除去が薄くなり、血・トークンもほとんど使えず長期戦には弱いため、アグレッシブに攻めるような構成を目指してデッキを組むようにしましょう。また、クリーチャーを多く採用しないと《黴墓のヤスデ》や《堕落産みの蜘蛛》が上手く働かないため、できるだけクリーチャーは18枚以上採用するようにしましょう。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
個人的に今回は赤が血・トークンと除去の性能が高く、非常に強力な色だと感じてます。次点で黒と緑、その次に白と青といった感じの評価ですが、どの色もレアや組み合わせ次第で全然戦えるため、柔軟にピックするようにした方が勝ちやすい環境ですので、ぜひいろいろなアーキタイプで遊んでみてください!
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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