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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第48回:『神河:輝ける世界』ドラフト攻略
皆さんこんにちは! 2月22日は僕の誕生日、この記事が公開される前日くらいには33歳になります。20歳くらいから今までずっとマジックのプロとして活動させていただけてることをふと振り返って、少し感慨深い思いとこれまで応援していただいた皆様に感謝の気持ちが一杯です。これからも皆様記事ともどもよろしくお願いします!
さて、今回は前回から引き続き、事前にMTGアリーナで『神河:輝ける世界』でブースター・ドラフトをしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。
それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!
1.『神河:輝ける世界』ドラフト環境のポイント
『神河:輝ける世界』ドラフトでは、『神河:輝ける世界』ドラフト・ブースターパック3個を使用します。
環境のポイント1:アーキタイプを意識する
この環境はコモンに単体で強力なものが少なく、カードの組み合わせによって強力になるものが多くあります。例えば青黒ならば戦場に出た時に誘発する効果を持つクリーチャーや、低いマナ域の飛行持ちクリーチャーは忍術と相性が非常に良いため、これらを意識してデッキを組むことで単体のカードだけで戦うより高いパフォーマンスを発揮することができます。
このように、この環境はそれぞれ色ごとに進むべき指針があります。これらの指針となるカードを中心にカードを集めていくドラフトのことを「アーキタイプ・ドラフト」と言います。
今回はこれらアーキタイプの中心になるカードを集め、しっかりとシナジーを形成していくことが重要になります。なので、まずは各色の特徴を知ることが重要になります。まだこの環境を始めたばかりの方はぜひ後の項目の注目のアーキタイプを見て色の特徴を覚えてみましょう。
環境のポイント2:序盤の流れを意識する
この環境を代表する要素である換装、忍術、英雄譚……どれもが序盤からしっかりと盤面を作ることでより効果的に働きます。
なので1~2ターン目に盤面になんらかのクリーチャーを展開するか除去呪文で序盤を意識しないと、対戦相手に序盤から攻めの形を作られてしまうと一方的なゲーム展開になってしまうこともよくあります。
前述したように、基本的にはカードの組み合わせで戦う環境なので、できるだけ盤面を先に作れるように序盤の流れを意識するようにしましょう。
環境のポイント3:あらゆる選択肢を考える
この環境は換装や忍術、魂力など、カードに選択肢があるものが多く、プレイで差がつく非常に難易度の高い環境です。
特に換装と忍術はいろいろなテクニックがあり、例えば換装は装備品として使った後に換装してクリーチャーから外すと、アンタップ状態でブロッカーになることでダメージレースを有利にしたりできます。
忍術がある色相手ではブロック指定の後で除去しようとして忍術でかわされてしまったり、さらにはダメージが通った後にも忍術するタイミングがあり、戦場に出た時の誘発能力をアテにする場合はダメージが通った後の方が良いこともあります。
自分なりに色々なテクニックを模索することで勝率も上がっていくと思いますので、いつも以上にプレイの選択肢を常に模索しながら遊ぶようにしましょう。
以上の3つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。
それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。
2.収録メカニズムについて
忍術
忍術[コスト]([コスト], あなたがコントロールしていてブロックされなかった攻撃クリーチャー1体を手札に戻す:あなたの手札にあるこのカードをタップ状態かつ攻撃している状態で戦場に出す。)
忍術とは、ブロックされなかったクリーチャーを手札に戻し忍術に必要なマナ・コストを支払うことで、攻撃状態で手札の忍術持ちクリーチャーを戦場に出す起動型能力です。
起動型能力なので普通の打ち消し呪文では打ち消せませんし、攻撃した状態で戦場に出せるので戦闘ダメージをプレイヤーに与えた時の誘発型能力も期待することができます。
忍術持ちクリーチャーを忍術で戻し、それをまた忍術で出したりもできるので非常に工夫しがいのある能力です。
換装
換装[コスト]( [コスト]:これを、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象としてつけるか、クリーチャーからはずす。換装はソーサリーとしてのみ行う。ついている間、これはクリーチャーではない。)
換装とは、装備品でありながら装備していない間はクリーチャーである、クリーチャーと装備品どちらの性質も持つ能力です。普通の装備品と大きく違うのが、装備しているクリーチャーから換装コストを支払うことではずすことができる点です。
装備しているクリーチャーが攻撃しても装備品自体はタップされないので、戦闘後に換装で外すとアンタップ状態であるという挙動が意外と役に立つので覚えておきましょう。
改善されている
(装備品やあなたがコントロールしているオーラがついているかカウンターが置かれているクリーチャーは改善されている。)
改善されている、とは、自分のコントロールしているクリーチャーに装備品やあなたがコントロールしているオーラがついているか、カウンターが置かれている状態を指します。
改善されているクリーチャーがいることでボーナスがあるカードが多く存在するため、上記の状態に積極的にすることが必要なアーキタイプも存在します。
英雄譚
英雄譚(この英雄譚が出た際とあなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンター1個を加える。)
英雄譚とは、戦場に出た際と、自分のターンのドロー・ステップ後に伝承カウンターを置き、その数に対応した能力を誘発させるエンチャントです。
今回の英雄譚は最終章で追放されクリーチャーとして戦場に戻ってくるので、ある程度クリーチャーとしてもカウントでき構築に組み込みやすくなっています。
魂力
魂力 ― [コスト], [カード名]を捨てる:[効果]。
魂力とは、魂力を持つカードを指定されたコストを支払い手札から捨てることで効果を発揮する起動型能力です。
呪文ではないので起動型能力を打ち消すものでなければ打ち消せず、タイミングの制限もないのでインスタント・タイミングでいつでも使うことができます。
追放領域など、手札以外からは使用できない点に注意しましょう。
さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!
3.『神河:輝ける世界』のトップコモン&アンコモン
白・アンコモン
《払拭の斬撃》:環境に多いエンチャントとアーティファクトに触れるだけでなく、限定的ながらクリーチャーにも触れる優秀な除去です。
《魅知子の真理の支配》:2マナと軽く、2回の強力なバフに加えて最後には自身も十分な脅威となる強力な英雄譚です。
《無私の侍》:絆魂付与に破壊不能付与と、ダメージレースにおいて非常に強力なクリーチャーです。
白・コモン
《蛾との親睦》:飛行と強化を2回、さらには最終章で自身も飛行と、アグレッシブに攻める際はぜひ採用したい英雄譚です。
《仲裁者の拘束》:エンチャントなので多数のカードとシナジーも見込める優秀な除去です。
《金之尾の門弟》:エンチャントかつ絆魂なので、白の英雄譚と相性が良く、ダメージレースになりがちな今回の環境では重宝するクリーチャーです。
青・アンコモン
《語られざるものの警告》:戦場に出た際に相手のクリーチャーを弱体化させるので設置しやすく、多数のアドバンテージと最後にはフィニッシャーをもたらす環境屈指の英雄譚です。
《裕福な盗人》:忍術のコストが軽く、宝物が出ることで後のムーブもしやすくなる優秀な忍術クリーチャーです。
《複製の専門家》:5マナ3/4飛行と優秀なマナレシオに加え、コピー能力も強力なあらゆるデッキで活躍できる飛行クリーチャーです。
青・コモン
《月罠の専門家》:忍術デッキにおいては繰り返し使える可能性のあるバウンス能力持ちクリーチャーは非常に強力。特にシナジーがなくとも普通に採用される青を代表するコモンです。
《月回路のハッカー》:忍術のコストが軽く使い勝手が良く、アドバンテージも稼ぐ忍術デッキのキーカードです。
《ネットワークの攪乱者》:自身が飛行で忍術の種になりやすく、手札に戻った後もタップ能力で攻撃を通しやすくなる、忍術と非常に相性が良いクリーチャーです。
黒・アンコモン
《梅澤俊郎の生涯》:除去のモードがタフネス1の多いデッキのキラーカードな上、他の選択肢もどれも有用な使い勝手の良い英雄譚です。
《暗殺者の色墨》:コスト軽減が高い確率で見込めるため、実質3マナ以下でプレイできる確定除去は流石に環境屈指の強さです。
《うろつく鼠》:忍術により非常に強力なコンバットトリックとして使え、他の忍術と一緒に使うことで使い回しも効く非常に強力な忍術クリーチャーです
黒・コモン
《ねじれた抱擁》:改善の条件も満たしつつ、確定除去と盤面の強化どちらもできる優秀なオーラです。除去を構えていそうな相手には、時にはクリーチャー以外のアーティファクトにエンチャントすると隙なく使うことができます。
《大牙勢団の襲撃》:いつ引いてもドレインの能力で役に立つ1マナ域かつ、第2面のクリーチャーが威迫と何枚あっても嬉しい英雄譚です。
《致命的な不具合》:コンバットトリックとしても使える優秀な除去です。
赤・アンコモン
《兎電池》:序盤はクリーチャーとしてダメージソースになり、中盤以降は換装コストが軽いため、後続を速攻持ちに変えて一気に押し切る強力な換装持ちクリーチャーです。
《地震波》:状況次第では3マナ2点と相手の盤面すべてに1点と盤面を崩壊させることもあり、プレイヤーにも打てる非常に強力な火力呪文です。1点の方はアーティファクト・クリーチャーには効かない点にご注意を。
《双弾の狙撃手》:通常プレイでクリーチャーを除去することができればアドバンテージを取れ、アーティファクト・クリーチャーなのでシナジーも期待でき、魂力としても使える使い勝手の良い強力なクリーチャーです。
赤・コモン
《鉄蹄の猪》:通常状態も6マナのクリーチャーとして十分なスペック、かつ魂力が使い勝手の良いコンバットトリックとどちらで使っても活躍してくれる優秀なクリーチャーです。
《神の火炎》:普通に使っても2マナ3点と十分な除去性能かつ、改善と合わせるとコモンとは思えない性能を叩き出す強力な除去です。
《電圧のうねり》:基本的には2点火力ですが、いざとなったら4点のモードで中盤以降のクリーチャーも幅広く対応することができる優秀な除去です。
緑・アンコモン
《機械壊しの河童》:2ターン目にプレイして圧をかけるも良し、忍術でいきなり戦場に出すも良しの、アーティファクトとエンチャントにあふれている環境においてあまりにも強力なクリーチャーです。
《花咲く跳獣》:アドバンテージを獲得できなくてもライフを得ることができる、単体の性能も到達持ちと申し分ない優秀なクリーチャーです。
《無尽活力の御神体》:改善を自身で達成でき、クリーチャー・エンチャントかつ祭殿と、あらゆるシナジーを受けやすい優秀なクリーチャーです。
緑・コモン
《達人の咎め》:緑の貴重な除去として活躍してくれる優秀な格闘呪文です。
《樹海の保護者》:通常プレイして改善済みの4/4相当、さらに魂力で盤面強化しつつコンバットトリックと、非常に強力なクリーチャーです。
《樹海の練習生》:実質2マナ3/3相当と、攻守にわたって活躍できる優秀なクリーチャーです。
続きまして、『神河:輝ける世界』の注目アーキタイプを紹介していきます。
4.『神河:輝ける世界』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:青黒忍術
「青黒忍術」は、《ネットワークの攪乱者》や《ウイルスの甲虫》など忍術と相性が良いクリーチャーを忍術クリーチャーで使いまわし、一方的に攻めるアーキタイプです。
忍術は能力の特性上、攻撃を通しやすく再展開しやすい低コストの回避持ちクリーチャー、そして手札に戻り再利用できるため戦場に出た時に能力を誘発させるクリーチャーと相性が良いです。
これらを満たす《ネットワークの攪乱者》や《ウイルスの甲虫》は忍術の種として優秀なので意識して早めにピックするようにしましょう。
忍術のカードはどれも優秀ですが、戦場に出た際の能力を持ちつつ自身が忍術持ちである《月罠の専門家》は忍術の種としても忍術のカードとしても優秀なので、見かけたらぜひ優先してピックしましょう。
注目のアーキタイプ・その2:赤軸アーティファクト
「赤軸アーティファクト」は、赤に多いアーティファクトと、アーティファクト・シナジーがあるカードを組み合わせ戦うアーキタイプです。
基本的には赤黒か青赤の組み合わせのどちらもマルチカラーのアンコモンがアーティファクトと相性が良く、この2色はアーティファクトとシナジーするカードも多いため、この2色の組み合わせを狙って行くことになります。
赤を軸にデッキを作る際は、序盤からプレッシャーをかけることができる《継ぎ接ぎ自動機械》と《都和市の整歌師》を優先的にピックしていき、アーティファクトでもある換装クリーチャーでバックアップしていく形を目指しましょう。
注目のアーキタイプ・その3:緑白エンチャント
「白緑エンチャント」は白と緑に多く存在する、エンチャントを参照するカードを軸に英雄譚やエンチャント・クリーチャーで強力な盤面を作り上げ戦うアーキタイプです。
マルチカラーの《樹海の自然主義者》を筆頭に、《気前のいい訪問者》、《魅知子の真理の支配》など強力ではあるものの、エンチャント・シナジーのあるカードはどれもアンコモン以上なので、これらをピックしてから目指すと強力なデッキになりやすいです。
緑白は緑のテーマでもある改善とも相性が良いため、エンチャントと改善2つの軸でデッキを組むと強い盤面を作りやすくなります。ですので、エンチャントであり改善とも相性が良い《樹海の保護者》はコモンながらこのアーキタイプにおいてキーカードと言っても良いぐらい活躍するクリーチャーなので、ぜひ優先してピックしましょう。
注目のアーキタイプ・その4:黒緑ミッドレンジ
「黒緑ミッドレンジ」は、戦場に出た際にアドバンテージを稼ぐことができる緑と黒のクリーチャーを中心に黒の優秀な除去と緑の優秀なスタッツのクリーチャーで戦うアーキタイプです。
黒緑のマルチカラーである《闇叫び》は簡単にアドバンテージを稼ぐことができ、自身も威迫なので攻撃を通しやすいため忍術とも相性が良いです。
緑はクリーチャー・エンチャントに、黒はアーティファクト・クリーチャーに優秀なものが多いため、《恐るべき秘密の神》も上手く使うことができる色の組合せです。
アーティファクトかつオーラをサーチすることでアーティファクトとエンチャントどちらも満たせる《神社の世話役》は、《ねじれた抱擁》や《入念な栽培》など優秀なオーラが多い緑黒ではぜひ入れたいカードです。
注目のアーキタイプ・その5:赤緑改善
「赤緑改善」とは、赤と緑の改善とシナジーするカードを赤の換装と緑の+1/+1カウンターを置くカードを軸にバックアップして戦うアーキタイプです。
なんといってもキーカードはマルチカラーの《活力の温泉》で、改善クリーチャーを毎ターン用意しつつ速攻も付与するので、一度攻め始めると一方的に試合を決めることができます。
赤と緑はコモンに改善と相性が良い《古の牙を継ぐ者》と《悪忌の種火守り》がいてシナジーが組みやすいため、これらを繰り返しバックアップしやすい《兎電池》のような換装コストが軽い換装クリーチャーは優先してピックしましょう。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
本セットは僕が今までプレイしてきたドラフト環境の中でも屈指のプレイ難易度の高さだと感じています。最初こそ、この環境特有のシステムを難しく思うかもしれませんが、少しずつ慣れていき自分の中の引き出しを増やしていきましょう! この記事が少しでもその助けになれば幸いです。
それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!
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