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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
第27回:『ドミナリア』発売! 新環境ドラフト攻略
皆さんこんにちは!
僕自身まだマジック:ザ・ギャザリングと出会っていなかった時期の世界観である、『ドミナリア』が遂に今週末帰ってきますね! リミテッド・構築ともに前評判が非常に高いので、楽しみで仕方ありません!
さて、今回もいつも通り「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」の2本立てで、今回は前編です。
基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドデッキでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。
それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!
1.新環境~『ドミナリア』のドラフト
『ドミナリア』のドラフトは、『ドミナリア』3パックを使用します。
ファーストインプレッション
今回の『ドミナリア』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の3点です。
- 除去が強い反面、低コストのクリーチャーのスペックが低いため勝負は中盤戦以降になりそう。
- ミッドレンジ以降のアーキタイプではカードアドバンテージの獲得、除去、高レアリティの3つが重要となるためそれらを意識したい。
- 地上は低コストのキッカー持ちクリーチャーなどで膠着しやすいため、ビートダウンを組む際は装備品か飛行クリーチャーが必須になりそう。
順番に解説していきます。
除去が強い反面、低コストのクリーチャーのスペックが低いため勝負は中盤戦以降になりそう。
《シヴの火》や《不純な捧げ物》など軽い除去が後半のマナ域まで対処できるものが多く、非常に除去が強いです。
除去が強い反面、低マナ域のクリーチャーがキッカー持ちのものが多く、キッカーありきな性能のものもあるので、序盤のクリーチャーのスペックは低めです。
そのため、序盤から軽いクリーチャーを展開して押し切るビートダウンよりも、除去とある程度相手の攻めを受けるミッドレンジ以降のアーキタイプが今回の環境では優遇されそうです。
ミッドレンジ以降のアーキタイプではカードアドバンテージの獲得、除去、高レアリティの3つが重要となるためそれらを意識したい。
ミッドレンジ以降のコントロールなどのアーキタイプでは、相手よりも多くのリソースを確保できるか、相手の強力なクリーチャーに対処する除去があるか、ゲームを決定づけるアンコモン以上のカードがどれだけあるか。この3点が非常に重要となるため、これらのどれかができるカードは優先してピックした方が良さそうです。
また、それらをピックできる際に、自分の色と合わないカードだとしたら、色を足すことを検討しても良いと思います。
地上は低コストのキッカー持ちクリーチャーなどで膠着しやすいため、ビートダウンを組む際は装備品か飛行クリーチャーが必須になりそう。
キッカー持ちの低コストクリーチャーは基本的に攻めには使えないものがほとんどです。ビートダウンを組む際は、それらで攻撃できるように《馬上槍》のような装備品を意識してピックしましょう。
また、地上はキッカー持ちクリーチャーが序盤~終盤まで膠着させると思うので、飛行などの回避能力持ちクリーチャーはいつも以上に点数を高くピックしましょう。
ここまでがカードリストを見た最初の感想です。
基本的にはミッドレンジ以降のアーキタイプを目指してデッキを作ると良さそうですが、ミッドレンジに強い、より重いコントロールのようなデッキが環境に増えだすと、今度はコントロールに強いビートダウンにも日が当たりそうなので、ビートダウンも組めるように練習しておいた方が良さそうです。
さて、次は『ドミナリア』の新キーワード能力について見ていきましょう。
2.収録キーワード能力について
英雄譚
(この英雄譚が出た際とあなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンターを1個加える。Ⅲの後に、生け贄に捧げる。)
伝承カウンターが英雄譚に置かれるたび、そのカウンターの数と同じ章の能力が誘発します。(1個目が置かれた場合はⅠ章が、2個目ではⅡ章が誘発する)
Ⅲ章の誘発が解決された後、その英雄譚はそのまま生け贄に捧げられて墓地に置かれます。
歴史的
(歴史的とは、アーティファクトと伝説と英雄譚のことである。)
歴史的のキーワード能力は、アーティファクトと伝説と英雄譚をまとめて呼ぶためのキーワード能力です。それ自体には特に意味があるわけではありません。
歴史的なカードを参照するカードがあるため、歴史的とはどの種類のカードなのかは覚えておきましょう。
キッカー
キッカーX(あなたはこの呪文を唱えるに際し、追加でXを支払ってもよい。)
コストを追加で支払うことによって、追加でボーナスを受けられるキーワード能力。ボーナスはカードそれぞれで異なります。
例えば、通常コストが3マナで、キッカーコストが4マナならば、合計で7マナを支払うことでキッカーのボーナスを受けられます。
伝説のソーサリー
(伝説のソーサリーは、あなたが伝説のクリーチャーか伝説のプレインズウォーカーをコントロールしているときにのみ唱えられる。)
伝説のソーサリーは、唱える際に戦場に伝説のクリーチャーか、伝説のプレインズウォーカーが必要なソーサリーカードです。
歴史的である英雄譚やアーティファクト、またクリーチャーかプレインズウォーカー以外の伝説では条件を満たさないので注意しましょう。
3.『ドミナリア』の注目のカード
さて、それではここからは色、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。
白・アンコモン
《セラの天使》:単純明快に強力なフィニッシャー。攻守に渡って活躍する強力なクリーチャーです。
《模範となる者、ダニサ・キャパシェン》:3マナクリーチャーなのに先制攻撃と魂絆と警戒とたくさん能力付きすぎてるお得なクリーチャー。伝説であることを除けば言うこと無しです。
《封じ込め》:インスタントタイミングでプレイ可能なので、タップが必要なシステムクリーチャーも除去可能な、非常に優秀な除去です。
白・コモン
《ペガサスの駿馬》:地上が膠着しやすい環境なので、回避を付与できる飛行クリーチャーとして重宝しそうです。
《エイヴンの歩哨》:4マナ3/2と突出して強力な点はありませんが、飛行クリーチャーはビートダウンの要であるため、いつも以上に点数を高めにピックしそうです。
《祝福の光》:強力な英雄譚が多くある環境で、メインデッキから無理なく触ることができる、汎用性が高い優秀な除去です。
青・アンコモン
《ボーラスの手中》:対戦相手の盤面の一番強力なクリーチャーがこちらに……? 対戦相手は間違いなく辛い表情を浮かべるでしょう。
《氷河期》:相手のテンポをこれでもかってくらい阻害する、非常に強力な英雄譚です。
《逃亡者、梅澤哲子》:回避が重要な環境において、クリーチャーに回避能力を付与できるのは非常に強力です。
青・コモン
《一瞬》:カードカウントを減らさずにバウンスすることができる、強力なカードです。
《中略》:キッカーを含め、重いカードが多い環境なので、使いやすいカウンターとして機能しそうです。
《雲読みスフィンクス》:優秀なサイズを持った飛行クリーチャーとしてだけでなく、占術でドローの質も上げてくれる、青の攻守の要となるクリーチャーです。
黒・アンコモン
《最古再誕》:ターンこそかかるものの、ほぼ1対3交換が可能な、非常に強力な英雄譚です。
《喪心》:伝説のクリーチャーこそ除去できないものの、除去できる幅が広い、優秀な軽量除去です。
《サリッドの予言者》:苗木やキッカーで役目を終えた低コストのクリーチャーをドローに変えられる、強力なシステムクリーチャーです。
黒・コモン
《死花のサリッド》:中盤~終盤まで地上を固めることができる、守りに向いたクリーチャーです。また、1体で2枚分の働きをするので、生け贄にするカードなどとも相性抜群です。
《臓腑抜き》:シングルシンボルの確定除去はあまりにも強力です。
《不純な捧げ物》:序盤から終盤までいつプレイしても強力な除去です。
赤・アンコモン
《火による戦い》:3マナ5点はそれだけで破格ですが、キッカーで唱えればゲームを終わらせる性能と大盤振る舞いの除去カードです。
《魔術師の稲妻》:ウィザードをコントロールしていれば1マナでプレイ可能と最強クラスの除去になります。もしいなくても、3マナでプレイして十分強力な除去です。
《炎の番人、ヴァルダーク》:単体では何もしないものの、装備品やオーラでバックアップできればすぐにゲームを終わらせる性能の伝説クリーチャーとして期待しています。
赤・コモン
《シヴの火》:クリーチャーのみではあるものの、キッカーのおかげで序盤から終盤まで強力なインスタント除去です。
《ギトゥの年代記編者》:アドバンテージを取れる、優秀なキッカー付きクリーチャーです。
《ケルドの軍監》:素のプレイでも速攻がうれしく、キッカーはゲームを決める可能性もある、赤の攻めの要ともいえるクリーチャーです。
緑・アンコモン
《菌類の勢力範囲》:これ1枚でゲームを決めることが可能な、強力なシステムエンチャントです。
《胞子冠サリッド》:ファンガスと苗木の2種を強化できる、強化幅の広い優秀なロードクリーチャーです。
《荒々しいカヴー》:2マナでプレイするとちょっと強いくらいのクリーチャーですが、真骨頂はキッカーでプレイした時。5マナ5/5トランプル警戒が攻守に渡って活躍してくれるのは間違いないでしょう。
緑・コモン
《ラノワールのエルフ》:1ターン早く相手より多くのマナを使用できるというのは先手と後手を入れ替えるようなもので、いつだって1マナのマナクリーチャーは非常に強力です。
《マンモスグモ》:地上が膠着しやすい環境ですが、飛行も止めちゃう安定したサイズを持つ優秀な到達クリーチャーです。
《灰からの成長》:多色化を目指す際の要となる、最大2枚土地を持ってくることができる優秀な土地加速カード。アンタップインなのも嬉しいですね。
4.『ドミナリア』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプ・その1:青白飛行
青と白の飛行クリーチャーを中心にピックし、それらを《馬上槍》や《小剣》などの装備品でバックアップしていくアーキタイプです。
地上が膠着しやすい環境な中で、飛行を咎めるカードはそんなに多くないので、ビートダウンを組むなら青白の組み合わせは有効に見えます。
注目のアーキタイプ・その2:緑黒ファンガス
緑黒ファンガスは、《死花のサリッド》などのファンガスや、《苗木の移牧》などの苗木を出すカードと相性が良い《胞子冠サリッド》や《菌類の勢力範囲》でバックアップするアーキタイプです。
基本的に長期戦を目指しでじわじわ有利になっていくようなゲームプランとなるので、黒の除去や飛行を止める《マンモスグモ》などは、時にはアーキタイプカードより優先してピックしましょう。
注目のアーキタイプ・その3:青赤ウィザード
青赤ウィザードは、《燃えがらの風、エイデリズ》で他のウィザードをバックアップするアーキタイプです。
《火拳の達人》と《アカデミーの修士魔道士》は盤面を有利にできる優秀なウィザードなので、優先的にピックしましょう。
また、《ギトゥの年代記編者》や《燃えがらの風、エイデリズ》はインスタント・ソーサリーが一定以上ないと活躍が難しいため、赤の除去や青のバウンスカードは優先的にピックしましょう。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
今回のドラフトは、最近のリミテッド環境には珍しく、明確なアーキタイプが多くなく、横つながりのシナジーも少ないため、シナジーよりもカードパワーを意識してピックした方が良さそうです。
プロツアー『ドミナリア』後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。
それでは皆さん、また次回の連載の記事でお会いしましょう!
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