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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第26回:『イクサランの相克』ドラフト 答え合わせ編
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第26回:『イクサランの相克』ドラフト 答え合わせ編
皆さんこんにちは! 今回は前回から続いての後編ということで、いつも同様に「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」をしていきましょう。
今回もプロツアーに参戦してきたので、その練習や本戦の経験を元に、しっかり振り返っていきます。
1.プロツアーを終えて環境のまとめ
前回の記事でも書いた通り、僕が感じた最初の印象がこちら。
- 『イクサラン』のみの環境に比べてより部族が強調された
- 多色化が容易になった
- 膠着しにくい環境になりそう
そして、その後の実際の練習過程やプロツアー『イクサランの相克』で感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。
80点:イクサランのみの環境に比べてより部族が強調された
初手付近でピックされる《軍団の副官》や《軍団の先駆け》などの部族カードはドラフトの明確な指針となるため、以前より部族を選択するメリットは大きくなりました。
60点:多色化が容易になった
実際に多色化が容易になったこと自体は間違いではありませんが、環境がビートに寄った環境であり、多色のマナベースを揃えるために《進化する未開地》や《旅行者の護符》で序盤を犠牲にする展開が許されにくい環境でした。
90点:膠着しにくい環境になりそう
《帆凧の海賊》が環境のトップコモンに挙げられるように、今回の環境は回避クリーチャーを軸にしたビートダウンが強力なため、膠着しにくい環境なのは間違いなさそうです。
2.新・環境のまとめ
以上の点を加え、前回のファーストインプレッションと統合した環境のまとめは以下のとおりです。
- 初手付近で「部族ロード」や「部族先駆け」がピックできたら、それを指針に部族中心のピックをしよう
- 安易な多色化は序盤を犠牲にしてしまいがちで、ビートダウンに対して不利な状況に陥りがちなので、できるだけ避けよう
- 膠着しにくい環境なので、受け一方ではなくダメージレースができるデッキを作るようにしよう
皆さんもぜひ、これらの要素を意識しながらピックしてみてください。
さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったアーキタイプを中心に紹介していきますね。
3.各種注目アーキタイプ
注目のアーキタイプその1:青白オーラ
青白オーラは飛行クリーチャーを《従者の献身》や《執着的探訪》などのクリーチャー強化エンチャントでサポートするアーキタイプです。
青白である理由として、飛行クリーチャーが多くオーラも優秀なものが多い、というのももちろんそうなのですが、《急流の魂》と《従者の献身》の相性は特に特筆するものがあり、一度決まってしまえばダメージレースを非常に有利に進めることができます。
また、オーラとクリーチャーを中心にデッキを組むためパーマネントが戦場に残りやすく昇殿が達成しやすくなるため、《尖塔這い》などの昇殿カードも上手く使えます。優先的にピックしていきましょう。
注目のアーキタイプその2:白黒吸血鬼
白黒吸血鬼は《軍団の副官》や《軍団の先駆け》などの吸血鬼をバックアップするクリーチャーで吸血鬼をバックアップしていくアーキタイプです。
基本的にはアンコモンである上記2種類が最重要カードですが、コモンの《鮮血の賛美者》は強力な吸血鬼専用カードであることから、遅い巡目で確保できた場合は卓に他に吸血鬼をピックしている人が少ない可能性が高いため、そこから吸血鬼を目指す価値はあります。
《薄暮軍団の盲信者》や白の吸血鬼・トークンを出すカードは昇殿を達成しやすくなるため、吸血鬼に寄せきれない時は《薄暮の軍馬》などの昇殿シナジーも取り入れると安定感が増します。
注目のアーキタイプその3:緑黒グッドスタッフ
緑黒グッドスタッフは、黒の優秀な除去と緑の優秀なマナレシオを持つクリーチャーで盤面を優位に取り続ける、いわゆるミッドレンジと呼ばれるアーキタイプです。
黒の優秀な除去である《渇望の時》や《刺突》などを序盤にピックできた時に、2色目として緑を迎えるパターンが緑黒グッドスタッフへの向かい方です。遅く流れてきた《冠羽の群れ使い》や《ジャングルの化け蔓》から向かうのが理想です。
緑は回避能力が乏しく、どうしても相手の回避能力を持つクリーチャーを対処してからでないと攻撃に転じるのが難しいため、黒の除去カードは優先的にピックしましょう。
4.『イクサランの相克』のトップコモン&アンコモン
前回も『イクサランの相克』の各色トップ3を挙げましたが、今回はその改訂版です。
前回から評価が変わってトップ3から抜けたカードと入ったカードを解説していきますので、前回の記事を読んでいない方はぜひそちらも確認していただけたらと思います。
白・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《軍団の先駆け》 | 《軍団の先駆け》 |
《不可解な終焉》 | 《空渡りの野心家》 |
《征服者の誇り》 | 《征服者の誇り》 |
in
《不可解な終焉》:白は完全除去が少なく、各種ロードや先駆けに苦しめられることが多いため、除去できる幅が狭く多少使いにくいものの評価を上げました。
out
《空渡りの野心家》:依然として強力な1マナクリーチャーですが、相対的に評価を下げました。
白・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《光明の縛め》 | 《光明の縛め》 |
《歓喜する空渡り》 | 《歓喜する空渡り》 |
《薄暮の殉教者》 | 《従者の献身》 |
in
《薄暮の殉教者》:有利なトレードをしやすく、残った絆魂トークンが強力なため、優秀な2マナ域として評価を上げました。
out
《従者の献身》:ゲームを決定づける可能性がある強力なカードですが、複数デッキに採用するとリスクも生じるため評価を下げました。
青・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《執着的探訪》 |
《セイレーンの略奪者》 |
《銀エラの達人》 |
青・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《帆凧の海賊》 | 《帆凧の海賊》 |
《尖塔這い》 | 《尖塔這い》 |
《水結び》 | 《霧まといの川守り》 |
in
《水結び》:昇殿達成もしやすくなるため、昇殿が多い青と相性が良い優秀な除去として評価を上げました。
out
《霧まといの川守り》:マーフォークでは必須級の1マナ域ではあるものの、かなり攻撃的なデッキでないと採用できないため、評価を下げました。
黒・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《貪欲なチュパカブラ》 |
《サディストの空渡り》 |
《黄金の死》 |
黒・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《刺突》 |
《渇望の時》 |
《薄暮の軍馬》 |
※ただし《薄暮の軍馬》の枠は他のコモンに同列のものが多く、実質トップ2
赤・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《帝国の先駆け》 |
《針歯の猛竜》 |
《無謀な怒り》 |
赤・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《砲撃》 | 《砲撃》 |
《ゴブリンの先駆者》 | 《ゴブリンの先駆者》 |
《エリマキ死吐き》 | 《反逆》 |
in
《エリマキ死吐き》:攻撃的なデッキならば相討ちしても有利にゲームを進めることができ、《帝国の先駆け》で能力を誘発させ始めればそれだけでゲームに勝ててしまう、アーキタイプの中心になれる強力なクリーチャーとして評価を上げました。
out
《反逆》:1マナでテンポを取れる優秀な除去ではあるものの、シチュエーションを多少選ぶので評価を下げました。
緑・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《冠羽の群れ使い》 | 《冠羽の群れ使い》 |
《打ち壊すブロントドン》 | 《打ち壊すブロントドン》 |
《川守りの先駆け》 | 《群れの力》 |
in
《川守りの先駆け》:各種優秀なマーフォークをサーチしつつ、自身も強化されるのは非常に優秀。マーフォークのアーキタイプに必須なため評価を上げました。
out
《群れの力》:強力にプレイするためには状況を選びすぎるため評価を下げました。
緑・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《ジャングル生まれの開拓者》 |
《弱者狩り》 |
《金林の追跡者》 |
以上、各色トップ3でした。皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。
5.最後に
『イクサラン』に引き続き前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想いただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。
今回のプロツアーはドラフトラウンド5勝1敗と非常に良い成績となっただけでなく、大会自体もトップ4と最高の成績で終えることができました!
これも皆様に応援していただいたおかげだと思っております。この場を借りてお礼申し上げます。
では次回も新セット発売直前にお会いしましょう。それでは!
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