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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第13回:『異界月』発売直前!新環境ドラフト攻略
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第13回:『異界月』発売直前!新環境ドラフト攻略
皆さんこんにちは!《約束された終末、エムラクール》の到来により凄まじい世界に変貌してしまったイニストラード、『異界月』の発売日を迎えました!
そして今回はプロツアー『異界月』の参加権利があるので、しっかりプロツアー後の振り返り記事もやらせていただきます!
というわけで、今回も引き続き「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」の2本立てで、今回は前編です。基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。
それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!
1.新環境~『異界月』のドラフト
『異界月』2パックと『イニストラードを覆う影』1パックを使用する形式になります。開封順は『異界月』『異界月』『イニストラードを覆う影』となります。プロツアーやグランプリの2日目などを除く、一般的なイベントでのドラフトの際は、パックを開封する度に両面カードを卓全員に見せることになるでしょう。
ファーストインプレッション
今回の『異界月』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の3点です。
- 緑にプレイアブルカードが少なく、弱い。
- マッドネス補助のカードが増え、赤・黒・青の3色が強くなった。
- 《テラリオン》のおかげで昂揚が達成しやすくなった。
順番に解説していきます。
緑にプレイアブルカードが少なく、弱い。
前環境では最強色であった緑ですが、今回は両面カードの変身にマナが必要なことで大きくグレードダウンしています。両面以外のクリーチャー・呪文の質も大きく低下しています。一番厳しいのが『異界月』は現出推しにも関わらず、3パック目の『イニストラードを覆う影』では人間や狼男、昂揚関係のカードが多いためいまいち噛み合いが悪いというところです。
マッドネス補助のカードが増え、赤・黒・青の3色が強くなった。
《オリヴィアの竜騎兵》や《スカースダグの嘆願者》、《予言的妄語》といったカードを捨てる手段、いわゆる共鳴者がコモンに増えたことで、マッドネスのシステムがある赤・黒・青の3色は強化されました。
特に黒は《オリヴィアの竜騎兵》でマナをかけずに手札を捨てることができるためマッドネス・カードとの相性は抜群で、なおかつ2マナ域としての役割も十分強力なので、黒は前環境より大幅に強化されたといえます。
《テラリオン》のおかげで昂揚が達成しやすくなった。
前環境における昂揚達成の指針は「土地」、「クリーチャー」、「インスタント」、「ソーサリー」の4つが墓地に落ちるかで、そこに「エンチャント」と「アーティファクト」があればなお良い、というものだったのですが、今回は《テラリオン》が能動的に墓地に落とせるアーティファクトなので、前環境より昂揚が達成しやすくなっています。
土地も《オリヴィアの竜騎兵》で捨てたり、《月皇の外套》で生け贄に捧げたりと墓地に落とす手段が増えたので、以前よりも昂揚は達成しやすく、強力になったといえそうです。
ここまでがカードリストを見た最初の感想です。
《オリヴィアの竜騎兵》による強力なマッドネス戦略をいかに他の色が受けられるか、といった環境になりそうです。
さて、次は『異界月』の新キーワード能力について見ていきましょう。
2.収録キーワード能力について
現出
現出[コスト](あなたはこの呪文を、クリーチャー1体を生け贄に捧げるとともに{X}だけ減らした現出コストを支払って唱えてもよい。Xはそのクリーチャーの点数で見たマナ・コストに等しい。)
現出はクリーチャーを生け贄に捧げることで通常よりマナ・コストを支払わずにプレイできるシステムです。現出のカードは現出コスト自体が通常のプレイより低く設定されているので、より軽くプレイすることができます。
増呪
増呪[コスト](2つ目以降に選ぶモード1つにつきこのコストを1回支払う。)
以下から1つ以上を選ぶ。
増呪は通常のマナ・コストに追加で増呪コストを支払うことで、複数のモードを選択できる能力です。追加のコストをたくさん支払っても同じモードを追加でプレイすることができないことに注意しましょう。
合体(XとYを合体させる)
合体は特定の2枚の組み合わせが戦場に出たときに、そのカード毎のタイミングで合体するシステムです。合体したカードは1つのパーマネントとなり、クリーチャー破壊やバウンス呪文で戦場を離れる場合はどちらも同じ領域へと移動します。
3.『異界月』の注目のカード
さて、それではここからは色別、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。
今回登場した「現出」のカードについて、現出コストに有色マナが含まれるカードは基本的にその色でしか使わないカードが多いため、各色に含めて評価いたします。
白・アンコモン
《単体騎手》/《同体騎手》:素のスペックは並以下のクリーチャーですが、いざ変身すれば手がつけれられない最強スペックに。変身の条件は意外と簡単に達成できるので、非常に強力なクリーチャーです。
《勇敢な先導》:4マナ3/4という標準以上のサイズに加え、さらにアドバンテージを獲得する可能性もある、デッキを引き締める1枚です。
《罪からの解放者》/《肉体からの解放者》:場に出たときに好きなパーマネントを生け贄に捧げることができるので昂揚が達成しやすく、さらに変身すると自分の好きなクリーチャーを3/2のエルドラージへと変換できる、見た目以上に意外と強力なシステムクリーチャーです。
白・コモン
《恩寵借用》:全てのクリーチャーにインスタントタイミングで修正が入るのは正直強すぎますね。3マナでプレイしても、5マナでプレイしても良い、使い勝手が良いコンバットトリックです。
《絞首束縛》:基本的には少し重い《平和な心》ですが、マナさえ払えばどんなクリーチャーも完全除去できる安心機能付き。能動的に墓地に落とせるので昂揚達成にも一役買ってくれます。
《シガルダ教の僧侶》:古よりタッパーはリミテッドにおける最強のシステムクリーチャーの一つ。人間こそタップできないものの、1マナで好きなクリーチャーに対処できるのは魅力的です。
青・アンコモン
《改良された縫い翼》:《縫い翼のスカーブ》が強力であったように、《改良された縫い翼》も繰り返し戻ってくる飛行クリーチャーとして活躍が期待される1枚です。
《厄介な船沈め》:インスタント・ソーサリー回収自体が非常に強力な能力ですが、さらに自身が4/5と頼りになるサイズと優秀な現出クリーチャーです。
《溺墓のビヒモス》:5/7瞬速、さらにそれが呪禁ともなれば相手のクリーチャーを1体はブロックで持っていける、青らしからぬパワフルなクリーチャーです。
青・コモン
《不憫なグリフ》:現出コストが軽く、さらに飛行で1枚ドローと良いことずくめの1枚。
《巧妙なスカーブ》:果敢が誘発するとパンプアップ能力も多く起動できるようになり、かなりの打点が期待できるようになります。その打点が許容できない場合は相手はブロックに回らざるを得ないため、非常に厄介なクリーチャーです。
《ぼろぼろの憑依者》:いわゆる《天空のアジサシ》。2マナのパワー2の飛行は強いです。
黒・アンコモン
《殺害》:インスタント・3マナ・完全除去と良いことしか書いていない優秀な除去です。
《憑依された死体》:戦場と墓地をぐるぐるまわすだけで1/1飛行のスピリットが増える、いやらしいクリーチャーです。マッドネスや昂揚のサポートとしても優秀です。
《無情な処分》:自軍の一番いらないクリーチャーといらない手札を、相手の強いクリーチャー2枚と交換できる、意外とコスパが悪くない除去です。
黒・コモン
《オリヴィアの竜騎兵》:共鳴者としての性能、吸血鬼という種族、2マナの飛行クリーチャーと、リミテッドの観点で見ればほぼパーフェクトなベストコモンです。
《夜深の死体あさり》:《グレイブディガー》としての性能は言うまでもなく、さらに《墓ネズミ》との合体のシナジーも考えると早い巡目でピックして良いと思います。
《エムラクールの加護》:相手の3マナ域までのクリーチャーをほぼ全て除去できる、優秀な除去です。
赤・アンコモン
《血の霧》:お手軽に二段攻撃を付与できる強力なエンチャントです。これだけでデッキのクリーチャーの大半がいきなりフィニッシャーになるのは流石にいかんでしょう。
《くすぶる狼男》/《噴出する戦慄狼》:戦場に出たときに相手のタフネス1を屠る、タフネス1許さないマン。戦闘後に出すとコンバットトリックのように使うこともできます。第2面になったらゲームエンド級のフィニッシャーに変貌と、良いことずくめの優秀なクリーチャーです。
《粗暴な協力》:優秀な除去効果に加え、さらにトランプルの能力まで使えば、そのターンに限り自軍のアタックはかなりのダメージを叩き出せるので、序盤から膠着状態の終盤まで幅広く活躍できる除去呪文です。
赤・コモン
《流電砲撃》:リミテッドでは《ショック》より強いことが多いので、是非枚数を集めましょう。
《錬金術師の挨拶》:挨拶がわりに4点は痛すぎやしませんか。マッドネスでプレイする場合はかなりコストパフォーマンスの高い除去です。
《猛々しい狼》:3マナ4/3と高スペックなバニラクリーチャー。赤の攻めの柱となるクリーチャーです。
緑・アンコモン
《ソンバーワルドの雄鹿》:相手のパワー2以下破壊で使わないと得こそできませんが、それでも相手のタフネス4まで破壊でき、時にはおまけとして4/3が残る除去として考えれば非常に強力です。
《首絞め》:緑なので共鳴者としての能力はそこまで期待できませんが、おまけとして付与されている到達やマナを使わないパンプアップ能力が渋い働きをする優秀な2マナクリーチャーです。
《直接射撃》:+1/+1修整のおかげでかなり広い範囲のクリーチャーを除去できる、優秀な除去呪文です。
緑・コモン
《ウルヴェンワルドに囚われしもの》:防衛持ちなもののパワー・タフネスもあり、第2面は普通に戦力に換算できる優秀なマナクリーチャーです。
《捕食》:格闘なので過信こそできませんが、1マナで相手のクリーチャーを除去できるテンポの良い除去です。
《辺境林の生存者》:昂揚のアーキタイプを目指す際は是非ピックしておきたい優秀なクリーチャーです。
以上、各色のトップ3でした。
さて次は、『異界月』参入後の注目アーキタイプをチェックしていきましょう!
4.『異界月』の注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプその1:青緑現出
《原初のドルイド》や《悟った狂人》のような生け贄に捧げやすいクリーチャーを現出クリーチャーで生け贄に捧げ、強力なクリーチャーをゲーム中盤からプレイするアーキタイプです。
生け贄に捧げるクリーチャーはもちろんシナジーがあるものが優先されますが、2~3マナ域を適当に生け贄にしても良いので、まずは優秀な現出クリーチャーである《不憫なグリフ》や《溺墓のビヒモス》をピックするようにしましょう。
注目のアーキタイプその2:白黒昂揚
白黒昂揚は、《スレイベンの異血種》や《捨て身の歩哨》などの優秀な昂揚クリーチャーをかき集め、それらを昂揚で強化するアーキタイプです。
昂揚達成のためには、白だと《絞首束縛》や《月皇の外套》などが相性が良く、黒だと《オリヴィアの竜騎兵》などの共鳴者や、直接山札を削る《嘆きのグール》などがいます。こうしたカードが多いため、白黒は昂揚と相性が良い組み合わせです。
注目のアーキタイプその3:緑白トークン
緑白トークンは《忌まわしい群れの存在》や《霊体の予備兵》のような横並びするトークン生成カードを軸に、《恩寵借用》でバックアップするアーキタイプです。
トークンを出す2種は代替えが効くパーツなので急いで集める必要はありませんが、《恩寵借用》は代わりのカードが無いので、見たら取るぐらいの気持ちで集めましょう。
専用パーツが大事なので普通のアーキタイプよりムラが激しいアーキタイプですが、爆発力は高いのでぜひ試してみてください。
5.既存アーキタイプの変化
『イニストラードを覆う影』3パックの環境で活躍したアーキタイプは、『異界月』参入によってどう変化したのでしょうか?ここでは、過去の記事でピックアップしたアーキタイプの変化について予想していきます。
- 赤黒マッドネス:共鳴者が増え強化されました。
- 赤緑狼男:両面の狼男の質が下がり、さらに狼シナジーのカードが異界月に少ないため、大幅に弱体化しました。
- 黒緑昂揚:昂揚が《テラリオン》のおかげで達成しやすくなり、強化されました。
- 白緑人間:《信条の香炉》が入手しづらくなり、両面の人間クリーチャーが減ったため弱体化しています。
- 赤白マッドネス:赤のコモンに共鳴者エンチャントが増え、赤のマッドネスカードも依然強力なため、前環境と同じくらいのパフォーマンスが期待できそうです。
- 青緑調査:調査が『異界月』に無いためほぼ組めなくなりました。
6.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
プロツアー『異界月』後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。今回は参加してきますので、皆さん応援のほどよろしくお願いいたします!
それでは皆さんまた次回の連載の記事でお会いしましょう!
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