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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第8回:『戦乱のゼンディカー』ドラフト 答え合わせ編
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第8回:『戦乱のゼンディカー』ドラフト 答え合わせ編
皆さんこんにちは! 今回は前回から続いての後編ということで、いつも同様に「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」をしていきましょう。
プロツアー『戦乱のゼンディカー』を終えて、実際にどのような環境だったかを改めて解説させていただきます。
1.プロツアーを終えて環境のまとめ
前回の記事でも書いた通り、僕が感じた最初の印象がこれです。
- アーキタイプドラフトが強い環境
- 「上陸」や「覚醒」などマナフラッドに強い能力があるので、デッキによっては土地は18~19枚推奨
- エルドラージ・末裔・クリーチャー・トークンにより地上が膠着しやすく、回避能力でゲームが決まりやすい
そして、その後の実際の練習過程やプロツアー本番で感じた環境の印象とファーストインプレッションの差、つまり「的中度」を点数にすると、以下のようになりました。
70点:アーキタイプドラフトが強い環境
上陸クリーチャーや、同盟者をかき集めたりして作る、いわゆるアーキタイプドラフトが強い環境なのは間違いありません。ですが、普通に強いクリーチャーや強い除去だけをピックするような、アーキタイプにとらわれないピックも十分通用します。
100点:「上陸」や「覚醒」などマナフラッドに強い能力があるので、デッキによっては土地は18~19枚推奨
この環境をやればやるほど土地の枚数は多い方が良いと感じるようになりました。というのも、1~2マナ域のカードにプレイアブルなカードが少ないので、序盤戦でゲームの流れが決まることがそうそうないからです。なので、重いマナ域勝負でしっかりゲームできるように土地の枚数は増やし、なおかつ重いカード(覚醒カード含む)を採用するようにしましょう。
70点:エルドラージ・末裔・クリーチャー・トークンにより地上が膠着しやすく、回避能力でゲームが決まりやすい
末裔トークンだけでなく、《城砦化した塁壁》のような壁クリーチャーも優秀なので、やはり地上で攻撃していくのは難しいです。ですが、《ヴァラクートの捕食者》をはじめとした赤緑の上陸クリーチャーは基本的にクリーチャーサイズで対戦相手を上回ることができるため、回避が少なくとも膠着することなくゲームを進めることができます。
といったところで、今回もかなり的中度高く予想できました。「上陸」など以前のゼンディカー環境から馴染みのあるキーワードが引き継がれていたため予想しやすかったですね。
また、今回予測できなかったのは、「色を足すことが大事」という点です。
膠着しやすい環境なので、レアや除去の枚数がものを言う展開になるゲームが少なくなくありません。ですので、《生命湧きのドルイド》などの色マナサポートがある緑以外でも、《進化する未開地》や《巡礼者の目》を上手く使えば、3色目のレアや除去をタッチする選択肢があることを頭に置きながらドラフトしていきましょう。逆に、これらマナサポートはドラフトの際に点数を高めにピックするといいですね。
新・環境のまとめ
以上の点を加え、前回のファーストインプレッションと統合した環境のまとめは以下のとおりです。
- アーキタイプドラフトが強い環境ですが、通常の環境通り、アーキタイプに属さないデッキでも十分戦えます。
- 序盤戦でゲームが決まることが少なく、重いマナ域までゲームが続くので、土地が止まらないように18~19枚入れる構成を心がけましょう。
- エルドラージ・末裔・クリーチャー・トークンにより地上が膠着しやすく、回避能力でゲームが決まりやすいですが、赤緑の上陸クリーチャーのような、対戦相手より基本サイズで上回れば地上攻めも可能です。
- 自分のメインカラーと合っていないレアや除去を使えるように、色マナサポートのピック優先度は高くしましょう。
皆さんもぜひ、これらの要素を意識しながらピックしてみてください。
さて、次はこの環境で実際にどのようなアーキタイプが活躍しているか、代表カードとともに解説していきます。前回紹介しなかったデッキを中心に紹介していきますね。
2.各種注目アーキタイプ
「青赤欠色」
《棘撃ちドローン》をメインダメージソースにした、欠色持ちのカードを中心にピックするアーキタイプです。
《コジレックの歩哨》も無色を参照するので、シナジー色の強い構成になりやすく、完成したデッキは基本的にほぼ無色のカードばかりになりやすいです。
青赤にする理由として、アンコモンの《コジレックの伝令》があります。コストが{1}軽くなる能力はクリーチャーだけでなく欠色のインスタント・ソーサリーにも適用されるので非常に強力です。
基本的に《棘撃ちドローン》以外のダメージソースが細いので、《ヴァラクートの捕食者》や《マキンディの滑り駆け》などの上陸クリーチャーとのハイブリッドした形で打点を稼ぐ形もあります。
「白黒吸血鬼」
《カラストリアの癒し手》と《カラストリアの夜警》が主なパーツで、主に同盟者を中心とした構成になりやすいです。
恒久的にライフ回復をするカードとして《岩屋の衛生兵》もこのアーキタイプでは重要な役割を持つことができます。アンコモンですが、《物静かな使用人》はこのアーキタイプでは大活躍するので、このカードからアーキタイプに参入してもいいですね。
白も黒も除去が優秀で、白は飛行も多いので、白黒グッドスタッフを作る流れで回復シナジーを採用すると、デッキがまとまりやすくなります。逆に《カラストリアの癒し手》を中心に回復シナジーばかりにしてしまうと、デッキが細くなってしまうので注意しましょう。
「緑黒トークン」
エルドラージ・末裔・クリーチャー・トークンを並べるデッキです。
この環境のトークン戦術には2つの勝ちパターンがあります。1つはトークンを生け贄に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》のような強力なエルドラージを召喚すること。もう1つはトークンを活かし、トークンを強化したりトークンを生け贄に捧げたりするシナジーを活用することです。
トークンを強化するには《タジュールの戦呼び》や《大群の殺到》が簡単で強いです。トークンを生け贄に捧げるカードは、《骨の粉砕》や《吸血の儀式》があるといいですね。特に《吸血の儀式》はそれだけでゲームを決めてしまうこともあるデッキのキーカードです。
トークンを上手く使うことで様々な勝ち筋を作ることができる自由度の高いアーキタイプなので、安定感が高く、狙える時は積極的に狙っていいと思います。
以上、3つの注目のアーキタイプでした。
他にも赤白同盟者や、青白飛行ビート、前回紹介したものなどまだまだたくさんのアーキタイプがありますので、ぜひ皆さんで新たなるアーキタイプを見つけてみてください。
3.『戦乱のゼンディカー』のトップコモン&アンコモン
前回も『戦乱のゼンディカー』の各色トップ3を挙げましたが、今回はそれの改訂版です。
前回から評価が変わってトップ3から抜けたカードと入ったカードを解説していきますので、前回の記事を読んでいない方はぜひそちらも確認していただけたらと思います。
白・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《停滞の罠》 | 《停滞の罠》 |
《物静かな使用人》 | 《乱動の報復》 |
《回生の天使》 | 《回生の天使》 |
in
《物静かな使用人》:複数枚ピックできると嬉しいライフゲインアーキタイプの中心的カード。
out
《乱動の報復》:強力な除去なのは間違い無いが、構えるマナが重いので、一度ばれると途端に使いにくくなるので評価を下げました。
白・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《真っ逆さま》 | 《真っ逆さま》 |
《グリフィンの急使》 | 《影の滑空者》 |
《ギデオンの叱責》 | 《ギデオンの叱責》 |
in
《グリフィンの急使》:2点ライフゲインのおまけが付いた飛行はダメージレースの際に貴重で、非常に使い勝手がいいです。
out
《影の滑空者》:《グリフィンの急使》と比較して評価を下げました。
青・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《ハリマーの潮呼び》 | 《ハリマーの潮呼び》 |
《破滅を導くもの》 | 《破滅を導くもの》 |
《沿岸の発見》 | 《逆境》 |
in
《沿岸の発見》:覚醒コストでプレイした時に、6マナ4/4かつ2枚ドローとコストパフォーマンスが《熟考漂い》ばりに良く、十分初手でピックする価値があります。
out
《逆境》:ダメージレースを狂わせることができる優秀なカードですが、《沿岸の発見》と比べ汎用性の問題で評価を下げました。
青・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《掴み掛かる水流》 | 《掴み掛かる水流》 |
《空中生成エルドラージ》 | 《空中生成エルドラージ》 |
《水底の潜入者》 | 《培養ドローン》 |
in
《水底の潜入者》:嚥下をほぼ確実にし続けることができるので、嚥下持ちの中では一番頼りになるクリーチャーです。
out
《培養ドローン》:安定感のあるクリーチャーですが、アーキタイプの主要なカードにはなりづらいので評価をさげました。
黒・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《マラキールの使い魔》 | 《ハグラの名射手》 |
《荒廃の一掴み》 | 《荒廃の一掴み》 |
《捕らわれの宿主》 | 《捕らわれの宿主》 |
in
《マラキールの使い魔》:2/1飛行接死とハイスペックなだけでなく、ライフゲインデッキで使うとサイズアップも見込め、十分な打点も期待できます。
out
《ハグラの名射手》:優秀なシステムクリーチャーですが、枚数が重なって嬉しいものでもないので評価を下げました。
黒・コモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《完全無視》 | 《完全無視》 |
《泥這い》 | 《威圧ドローン》 |
《カラストリアの夜警》 | 《大群の殺到》 |
in
《泥這い》:1マナ1/1と侮るなかれ、パンプ能力を駆使すれば、攻撃を通し続けることも難しくありません。序盤から後半まで、どのレンジでも活躍できる貴重な低マナ域です。
《カラストリアの夜警》:白黒ライフゲイン以外でもクリーチャーのサイズが優秀なので、使い勝手が良いです。
out
《威圧ドローン》:使えるアーキタイプが限られるので評価を下げました。
《大群の殺到》:こちらも使えるアーキタイプが限られる上に枚数もそんなに多くはいらないので評価を下げました。
赤・アンコモン
トップ3(変更なし) |
---|
《アクームの石覚まし》 |
《とどろく雷鳴》 |
《不快な集合体》 |
赤・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《多勢》 |
《虚空の接触》 |
《ヴァラクートの捕食者》 |
自分よりもサイズの大きなクリーチャーを処理するのが苦手な赤緑上陸だと、《確実な一撃》は除去よりも優先する瞬間があります。
緑・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《タジュールの戦呼び》 | 《タジュールの戦呼び》 |
《血統の観察者》 | 《虚空の従者》 |
《カザンドゥへの撤退》 | 《板金鎧の破壊屋》 |
in
《血統の観察者》:6マナと少し重いながら、マナにも使えるトークンを3体は非常に強力です。
《カザンドゥへの撤退》:赤緑上陸の際のキーカードともいえます。
out
《虚空の従者》:緑に嚥下持ちクリーチャーがいないため、能力を起動するのが難しく評価を下げました。
《板金鎧の破壊屋》:重いカードはエルドラージでも代用可能なので評価を下げました。
緑・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《目なしの見張り》 |
《生命湧きのドルイド》 |
《噛み付きナーリッド》 |
無色/アーティファクト・アンコモン
今回のトップ3 | 前回のトップ3 |
---|---|
《巡礼者の目》 | 《ウラモグの強奪者》 |
《バーラ・ゲドを滅ぼすもの》 | 《バーラ・ゲドを滅ぼすもの》 |
《面晶体の記録庫》 | 《面晶体の記録庫》 |
in
《巡礼者の目》:色マナサポートを安定でこなすいぶし銀な職人。環境的に3色目を採用したいシーンがあるので、早めに取っておくと安心です。
out
《ウラモグの強奪者》:追放領域2枚というコストは思った以上に重いものでした。
無色/アーティファクト・コモン
トップ3(変更なし) |
---|
《破滅の昇華者》 |
《コジレックの媒介者》 |
《存在の一掃》 |
以上各色トップ3でした。皆さんと評価が違う部分ももちろんあると思いますので、ぜひ比較してみてください。
4.最後に
今回の記事はこれで終わりです。『マジック・オリジン』に引き続き前編・後編とやらせていただきましたが、いかがでしたか? 感想いただけましたら今後の参考とさせていただきますので、ぜひTwitterなどでお送りください。
今回のプロツアーで惜しくも6敗と、プロツアーの権利を獲得できなかったため、次回のプロツアーの権利が無い状態ではありますが、なんとかプロツアー地域予選(RPTQ)やグランプリで権利を獲得し、ぜひ次回も権利のある状態で皆さんとお会いできるように頑張りますので、応援していただけますと幸いです。
では次回も新セット発売直前にまたお会いしましょう。それでは!
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