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なかしゅー世界一周2012・第13回:空からアジアへ?マニラからアンコールワット

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2012.06.28

なかしゅー世界一周2012・第13回:空からアジアへ~マニラからアンコールワット

By 中村 修平

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 トーナメントマジックが他を模倣したもので特に目に付くものを、1つ前の回の記事で言及し忘れてました。
 それは航空会社のマイレージ制度です。
 年間で飛行機に搭乗したマイル数=距離そのものをカウントして、一定以上の数値でボーナスが付くという仕組み。
 例えば年間25,000マイル以上の搭乗があればシルバー会員。上級会員専用のチェックインカウンターが用意されていて、混雑している繁忙期でも楽々チェックインができてしまいます。

 もう一ランク上の年間50,000マイル、地球2周分でクラスはゴールドに。
 シルバーの特典に加えて、(国際線という条件付きですが)各空港にある航空会社ラウンジが利用できるという特典が付いてきます。
 ちなみにこのラウンジ。国や地域や航空会社によってピンからキリまであるのですが、上の方を味わってしまうともう乗り継ぎ待ち中はこれなしではやってけないほどの居心地の良さ、
 そして成田や関空のものは上から数えてもかなり早くに現れるクオリティなのです。
 フリーのインターネット回線、飲食自由、シャワー付きに休憩用の個室、マッサージチェアまで用意されているという、その気になればあの空間で住めるのではないかと思えるほどの設備が整っています。

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 ですがマイレージにはまだまだ上のランクがあります。
 そう、だいたい察しはついているとは思いますが、次のクラスはプラチナ。
 上級会員になればなるほど、それより下の会員の特権に加えて新たなボーナスが追加される仕組みとなっていて、直接ウィザーズのスタッフに聞いた訳ではないですが、マジックのプロシステム制度はおそらくこれを参考に作られていると考えています。
 さらに殿堂入り的ポジションとして、永久ゴールド会員枠というものがあり、こちらはだいたいどこの航空会社でも「自社便のみで100万マイル分」のフライトをすれば自動加入となっていたりします。
 マイレージをプロポイントに置き換えればだいたい一緒。期間ポイント、生涯ポイントなど、今は少しルールが違いますが「やればやるだけ」という点でも、プレインズウォーカーポイントはを目指していたのだろうと思えてしまいます。

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 話を私に戻しましょう。
 そんなプロシステムの師匠的な存在であるマイレージシステムは、私のライフスタイルにとっても欠かせないもの、時には順位計算ならぬマイル計算まで行なって、できうる限り上級会員のステータスを確保しようと調整しています。
 プロポイントほどではありませんが、それくらいには実際価値があるのです。
 先ほど移動中の特典、フリーのインターネット回線は機内で書き上げた原稿を送信する際には絶対に必要なもの。帰国した瞬間に着信が編集さんに埋め尽くされている光景というのは色んな意味でよろしくありません。
 他にも、ゴールドからの特典である「預け入れ荷物が2つまで無料」というのも地味に嬉しかったりしますね。

 ですが何よりも大きいのは、貯めたマイルが航空券と引換えにできるということ。

 私がアメリカ、例えばサンフランシスコへと日本から往復した場合、得られるマイル数はだいたい1万マイルほど。
 それに加えて上級会員ボーナスとして+100%入るので、合計で2万マイル強がマイル口座に入ることになります。
 そしてアメリカ行きの航空券をマイレージで購入した場合の必要マイルは7万マイル前後、かなり大雑把に言ってしまえば3回に1回は無料で航空券を手に入れている計算になっているのです。

 さらに、マイルでの取得だと普段の旅行プランだと全く視野に入らないビジネスクラスも検討の余地があるものになります。
 お金で購入すれば倍額どころか3倍あたりになってしまう優雅な空の旅も、マイルでの引換なら1.5倍でOKなのです。

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 ということで、シーズンが終わってまだまだ一息つこうぜと、アジアグランプリの合間にアンコールワットを見に行ってしまう暴挙を、「フラットシートなら疲れないから大丈夫」という暴理で包み込み、ベンさん(Ben Shwatz)と、6月12日火曜日その日にチェコから到着してきたジュザ(Martin Juza)、この3人のパーティーでマニラ~カンボジア、ちょっとうまく条件にあう旅券が取れなかったので間に半日韓国ソウル、のおおよそ2週間の旅へと出かけてきました。

 で、一足早く着いたマニラで何をしていたかというと・・・
 主に三食マッサージ付きの何か、でしょうか。

 フィリピン・マニラで、以前ジュザがかつての全米チャンピオン、アントニノ・デ・ロサ(当時在住)の家に滞在していた時に足繁く通ったマッサージ店というのがあるのですが、2年ぶりだというのに女将がジュザのことをばっちり覚えていました。

 そこに通うこと実に4/6日間。
 初めは1時間までとある程度慎みもあったようですが、1時間700円という金額とサービスの良さに気がつけば2時間コース。
 いつの間にか会員カードまで作ってもらい、12時間分回数券でちょっとお得だなと思っている。
 それどころか気がつけば、後から訪れたジャッジたちにも布教活動をしている始末。
 完全に虜と化してますね。
 マカティのマッサージユートピア。マニラにお立ち寄りの際はぜひ。


グランプリ・マニラ

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 そんなお気楽極楽三昧だったマニラですが・・・
 マジックの方はジュザと一緒にナヤビートダウンを持ち込んで6勝3敗で初日落ちという結果に終わってしまいました。(以下はほぼ同じ構成のジュザのデッキ)

Martin Juza
グランプリ・マニラ2012 / 6位(スタンダード)[MO] [ARENA]
3 《
2 《
2 《平地
4 《銅線の地溝
4 《剃刀境の茂み
4 《魂の洞窟
4 《ガヴォニーの居住区

-土地(23)-

4 《アヴァシンの巡礼者
4 《極楽鳥
3 《絡み根の霊
3 《スレイベンの守護者、サリア
4 《刃の接合者
4 《国境地帯のレインジャー
4 《高原の狩りの達人
4 《修復の天使
3 《霊誉の僧兵

-クリーチャー(33)-
4 《忌むべき者のかがり火

-呪文(4)-
2 《刃砦の英雄
2 《ウルフィーの銀心
3 《士気溢れる徴集兵
2 《天界の粛清
2 《焼却
1 《古えの遺恨
1 《垂直落下
1 《押し潰す蔦
1 《忘却の輪

-サイドボード(15)-

 一言で済ませるなら、
『賭けに負けた』
 です。

 というのもこのデッキ、メタゲームの一番上に位置する青白《秘密を掘り下げる者》を倒すためだけに用意したデッキだったのですが、
 それ以外のデッキに対して、特に《審判の日》を使うようなコントロール系のデッキには全く歯が立たないのです。

 それでもこのデッキを選んだ理由はそれ以上に《秘密を掘り下げる者》デッキが強い、3バイの間にコントロールは淘汰されて勝ち上がってくるのは《秘密を掘り下げる者》ばかりになるとメタゲームを読んだから。

 予測は概ね正解でしょう。トップ8を見渡すと過半数の《秘密を掘り下げる者》。実際トップ8に進出しているジュザは6回中5回をこのデッキと対戦して勝利を収めたということでした。

 もしバイ明け初戦のフィーチャーマッチで赤緑ケッシグに負けていなければ・・・

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 それに加えてグランプリの参加人数。これは完全に目算を上回っていました。
 前回のアジアで行われた構築戦のグランプリ・シンガポールが600人程度だったので、今回もそれくらいと考えていたのですが、大幅に上回る1100人もの参加者、
 一般的に大会の小さければ小さいほどまぎれは小さく、規模が大きくなればなるほどさまざまなデッキが勝ち上がり、振れ幅が大きくなってしまうのです。

 初戦を負けてしまい、ランダムなメタゲームの海にのまれた結果、ケッシグ×3、青白黒コントロール、青緑毒、赤緑ビートダウンという当たりでは3勝3敗が精一杯でした。


 というわけで図らずも暇になってしまった日曜日、常夏のマニラで会場のモールにあるアイスリンクでフィギュアスケートの選手団の練習を眺めていたり、今週初上陸したばかりのユニクロフィリピン1号店を冷やかしてみたり。あ、もちろんマッサージにも行きました。日課なので。


アンコール・ワットへ

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 さて、そんな悲しい話はこれくらいにして、今週のメイン、カンボジアはアンコール・ワット行きに話を移したいと思います。

 事の発端はジュザのライフタイム旅行計画、「世界7不思議を全て回ってみたい」というところから。
 に「グランプリ・マニラと横浜もあるし、マニラから一番近くのアンコールワットに行こう」という計画を立てたのが、チェコにいる4月の頃。
 そこから旅券取りで難航し、旅券をマイルで取ろうということにしたのがプロツアー・アヴァシンの帰還の開催中。
 そして諸事情により宿を取るのが遅れてマニラ中にようやく滞在先が決まり、月曜日の夜からカンボジアへと飛び立つ・・・と行きたいところだったのですが、まずは韓国、ソウルまで。
 マイレージで取れる旅券で直通便というのがなかったの止むなく、いったん韓国に行ってから乗り継ぎです。

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 飛行機の接続が上手くいかず、ほぼ丸1日をソウル市内を観光したりで過ごし、カンボジアのシェムリアップ空港に到着したのは出発から24時間以上経過した、火曜日深夜。

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 タラップから直接空港の施設まで徒歩で移動という中々珍しい経験をした上で、ビザの申請をするところからスタート。
 とは言っても普段イメージするような複雑な手続きが必要なものではなくて、入国税を払うというのに少し仰々しさが入った程度。淡々と20アメリカドルを払う作業と言ったほうが良いかもしれません。
 ビザを発券するのに写真が必要だったみたいなのですが、そんなものは無い、という一言でじゃあいいや、みたいなフランクさ。
 事前のネット情報では賄賂を要求されたりするから事前に撮っておく方がよいなんて書かれてたりもしましたが、全然そんなこともなくあっさり通過できました。
 さっさとホテルへと向かい、ベッドに倒れこむ簡単なお仕事。

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 マチュピチュに行くときも似たような経験をしましたが、現地通貨が弱い国の観光地では現地通貨の代わりに米ドルが使われることがわりかし普通にあります。
 アンコール・ワットとアンコール・トムへの玄関口である観光都市シェムリアップではさらに進んで、何もかもが米ドルでやりとりされているのです。
 空港からのタクシーに始まって、食事、ツアーの代金、果てはお土産品まで。
 そんな具合なので両替所すら存在しません。この旅の間中、一度も見る機会がありませんでした。
 もちろんカンボジアの通貨・リエルを見ないことはないのですが、それは現地の住民が使うもの。
 観光客が使う時は1ドル以下の小銭のかわりか、もしくは物珍しさ的な意味あいでしかありません。
 覗こうと思えば覗けれる別の顔。
 ちょうどひとつの街の中に、米ドルを使う観光客向けの通りと現地民用の通りが不思議なバランスで並立している。
 かつてあった租界というシステムは、こんなのだったのかもしれません。

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 ちなみに物価の方は日本を10、マニラの外国人向け価格を4とするなら、ここで言う米ドル経済圏で2くらいといった具合。
 50円をなんとかボッたくろうとすることに血眼を上げているマニラのタクシーに比べ、なんとカンボジア人の大人しいものか。おそらく、この価格でもリエル経済で考えれば大幅にぼったくりだからなんでしょう。
 とか思っていたら、あっさり値下げに応じてくるあたり、物価が安い国の底が読めなかっただけのようです。実はアジアの他の国とあまりかわりありませんね。
 このあたりはネイティブよりも英語の口がたつジュザに、インド渡航経験があるベンさんがいるので完全にお任せです。
 バイクに台車が付いている現地タクシー、トゥクトゥクの半日貸切交渉は25ドルから始まって15、10、最終的には8ドルで決着。

 土産物屋に関しても同上。言い値の首を振るだけで簡単に半額くらいまではディスカウントしてくるのを筆頭に推して知るべし。
 個人的な感触ではおそらく3分の1あたりが適正な気がしたのですが、もしかすればそれすら甘かったのかもしれません。
 安いと思ってもさらに底がある。どうもこの国ではそれが常識のようなのです。

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 そんなアンコール・ワット、アンコール・トム、そしてその近辺の遺跡群を巡ってきました。

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 アンコールワットは1つの寺院、おそらくイメージしている遺跡そのままですね。

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 一方、アンコール・トムはまるまる1つの都市の遺跡なのです。

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 都市の外壁の遺構とその内部に遺跡が点在している、といった様相。

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 それは外縁部も同様で、いたるところに寺院跡があると言ったほうが正確な表現です。

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 アンコール・ワットを見学するのなら半日もあれば大丈夫ですが、アンコール・トムも全て見たいというのであれば、おそらく3日は必要でしょうね。

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 何はともあれこの風景に勝る説明は他にないと思います。
 この風景を見るためにここまで来たのです。

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 さて、今回はここまで、
 まだ帰国という大事な工程が残っていて、しかもニュースによると台風が日本列島に接近していて下手すれば乗り継ぎ先で欠航しかねないという話なのですが・・・
 まあその時はその時、なるようにしかならないと考えるしかなさそうですね。

 それでは世界のどこかでまたお会いしましょう。

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