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なかしゅー世界一周2011・第5回:グランプリ・デンバー

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2011.03.10

なかしゅー世界一周2011・第5回:グランプリ・デンバー

By 中村 修平

デンバー

 今年からは隔週連載となったので幾分過去の話になってしまいますが、嵐のようなパリでの1週間が過ぎ去り、帰国の途にいつもどおり月曜日にパリから飛び立って火曜日の昼前に日本に帰国。まだ殆ど何も無い東京の新居に到着してようやく一息・・・という事には残念ながらなりません。まだ翌週にグランプリがアメリカのデンバーで開催されるからです。

空港にて

 我が家に滞在できる時間は30時間少々というもの。ですが、時差ぼけに耐え切れず真昼間から寝てしまい、夕方頃に目を覚ましてみるとどうも体調が思わしくありません。喉と頭が痛くて、寒気がして関節痛。どうも風邪を引いたみたいです。あまり体が強い方ではないので、パリ生活に機内の悪環境、というのが重なって引っかかってしまったのでしょう。幸い水曜日を丸一日養生にあてたところ快復に向かってきたので事無きを得ました。

 今住んでいるところは東京スカイツリーのふもとで、成田空港に行くにも羽田空港に行くにも時間が合えば電車一本で行けるというのは中々に助かります。特に成田へは最近開通した新路線を使うので人が少なくて助かりました。ここから先は確定で人まみれの狭い飛行機、狭いシートに詰められて10時間プラス5時間の旅です。素直に寝るくらいしか余力がなかったのが幸いといえば幸いでしたが、なんとかといった形でデンバーに到着しました。

空港と星条旗

 コロラド州、アメリカ中央部でロッキー山脈の麓あたり。デンバーについてはそれくらいの知識しか持ち合わせていない状態で到着したので、予想以上の大きさに驚きました。
 前回のグランプリ・デンバーに参加していたトモハルの記憶に頼って楽をしようと考えていたのですが、覚えていたのが空港内の某アメリカ・チャイニーズの場所だけという状態だったので、素直にホテルに電話してシャトルを寄越してもらう事に、『15分から20分後に5番ラインあたりにいて』と少し以上に心配なやり取りだったのですが、30分後くらいに無事拾ってもらうことが出来て、ホテルまで到着できました。ホテル名に空港の冠が付いていたので割と近いのかと思いきや、確かに車で20分はかかるという結構な立地条件です。

シャトル

 ですがその分、シャトルバスでの応対に幅があって、靴を買いに行きたいというトモハルの要望に近くのショッピングモールまでバスで送って貰ったり、帰りも迎えに来てもらったりと普段は諸事情により殆ど使わない電話が大活躍していました。

スーパーマーケット

 私もそれに付き合って靴を購入、1ドル=80円近辺なので気分的には素の状態で20%オフ。ただし来た時間が遅すぎて、迷っている間に2足目を買い損ねたのが心残りです。

靴店にて

 プロツアー・パリ、グランプリ・パリと気分的には3週連続となるグランプリ・デンバー。
 今回の会場はホテルに併設されているコンベンションホールでの開催だったのですが、先週のパリに比べて同じくらいの規模の広さと席数の会場での開催です。

デンバー会場

 前日にトライアルと参加登録に訪れた時は2000人グランプリの悪夢が再来かと不安になりましたが、実際は800人強と昨今のグランプリにしては大分おとなしめの人数。ただ「800人」をそう感じてしまっているあたり、それはそれで問題がある気もしますが・・・

介助犬
大会会場には介助犬が

 めでたく規定人数に到達ということで、初日は2つのブロック、ミランブロックとファイレクシアンブロックに分割してのシールド9回戦。各ブロックの上位64名が2日目に進出する事となりました。

 私が貰ったパックはドラゴンや天使といった最強クラスのレアは無いものの、中堅からその上のクラスには恵まれた纏まったデッキ。《鉄のマイア》と《疫病のマイア》に《不純の焼き払い》2枚と《核への投入》《赤の太陽の頂点》の赤、《絡み森の大男》、《ファングレンの匪賊》や《飛行機械の組立工》と言った高コストの優秀クリーチャーという王道パターンなデッキです。

 バイ明けの初戦を先手トリプルマリガンから勝利、その後2本を落とすというなんだかなというスタートから、3連勝。初日通過を賭けた第8ラウンドは《伝染病の留め金》、《伝染病エンジン》の前に負け、仕切りなおしの初日通過を賭けた最終戦を何とか勝って無事に2日目に進出する事が出来ました。


 久しぶりの800人規模のグランプリということで珍事件がありました。
 現在のグランプリ初日通過者数のルールは初日「2敗以上」が全員進出というものなのですが、もしくは「上位64位まで」「参加者数800人以上ならば上位128位まで」という条項もあります。
 こちらの方は近年のグランプリ参加者増大によってほとんど適用されてきませんでしたが、今回はギリギリで800人で2つに分割、つまり実質「400人9回戦」の「上位64人抜け」の初日になった影響で、なんと2敗以下のプレイヤーにも2日目進出のチャンスが発生したのです。非常に限られた枠ですが2敗1分はおろか、3敗のプレイヤーでも初日通過の可能性が出てきました。そして第7ラウンドで3敗目を喫していたLSVが可能性に賭け、見事滑り込みで初日通過を決めていました。

ドラフト卓

 パリの惨敗から1週間。
 もう一度ドラフトテーブルへと舞い戻れた2日目ですが、私的には粗いミスが目立った結果になってしまいました。

 例えば1回目のドラフト。これまで使った事も、使われた事もなく、ただただ強いと評判のカード、《虐殺のワーム》を初手に取れた事と、3手目で包囲戦ドラフトの黒の指針カードの1つである《ファイレクシアの憤怒鬼》を取れた事で黒を意識したまでは良かったのですが・・・
 それ以降の黒いカードが全く取れないのに黒を意識しすぎてしまい、逆にそれまでのピックからメインカラーが確定していた青、卓内で使用者が少なく溢れていた為にカット気味に取っていた白に対して「青黒か白黒」というアプローチに固執してしまった結果、最良の「青白」という組み合わせを失念してしまっていました。

 このドラフトでの結果は3戦目をフルセットまで戦った末、1-2で敗れて2勝1敗というもの、もしピック中にもう少しの柔軟性があればという結果だけに悔しいものがあります。

 2回目のドラフトはより駄目でした。
 今度は色決めを遅らせたのと、やはり人気薄だった青を見くびりすぎて、他の色のカードを取る事を優先させたことが右隣のプレイヤーに青を参入させてしまう事に繋がってしまいました。

 私のドラフトデッキでのセオリーの中に、ゲーム構築をする上で役割に説明が付けられないカード、最たるものが殆ど攻撃もブロックにも使えない能力無しの1/1クリーチャーですが、そういうカードを入れてしまっているデッキは評価する価値がそもそも無いという考えがあります。
 しかし2回目のドラフトデッキにはそんなレベルのカードが3枚も入るデッキになってしまいました。私の基準では完全に失敗作デッキです。

中村 修平
グランプリ・デンバー2011 2ndドラフト[MO] [ARENA]
10 《
7 《平地

-土地(17)-

2 《突風掬い
1 《板金鎧の海うろつき
1 《ヴィダルケンの解剖学者
1 《ニューロックの模造品
1 《ノーンの僧侶
1 《粗石の魔道士
2 《闇滑りのドレイク
1 《微光角の鹿
2 《血清掻き
1 《ソリトン
1 《水銀のガルガンチュアン

-クリーチャー(14)-
1 《起源の呪文爆弾
1 《調和者隊の盾
1 《分散
1 《存在の破棄
1 《大石弓
1 《拘引
1 《光明の大砲
1 《消失の命令
1 《決断の手綱

-呪文(9)-


 その3枚とは《光明の大砲》、《消失の命令》、《微光角の鹿》でした。

 《光明の大砲》はカウンターを増殖する手段が無い上に、4マナ過多でクリーチャーかどちらかをプレイする選択ならクリーチャー展開を優先するデッキ構成上、せめて早いターンに設置しなくては効果が期待できないという最低条件にも達していません。

 《消失の命令》については求めているカード要件から逸れています。対戦相手のカードに対して根本的な解決になっておらず、このデッキでは後半戦になってもクリーチャーを展開し続け、しかも《突風掬い》などでもマナを消費するので、5マナという挙動はただでさえ大振りのカードを使えないレベルにまで落としてしまってます。

 単体では強いカードに分類される《微光角の鹿》、これを不満とする最大の問題はマナシンボルです。

 前述のとおり、このデッキには4マナ圏は多すぎるという構造上の問題を抱えています。そうして4マナ圏が渋滞しているところに、わざわざ平地にマナバランスを割いた上に鹿を投入しなくてはデッキを構築できなかったという点、しかも飛行でダメージを稼ぐというデッキのスタイルにはどっちつかずの3/3というサイズ。また鹿の最大の強みであるカードをブリンクするボーナスがこのデッキではかなり薄いのです。少なくともこのデッキにおいては《微光角の鹿》は駄目なカードでした。

 結果の方は初戦フィーチャーマッチに指定されたポール・リッツェルに敗れ、最終戦も負けての1勝2敗。

 最終戦前に勝てばプロポイント2点獲得の32位圏内、負ければプロポイントが貰える最低ラインの64位から脱落するのですが勝負に出て、3本目を先ほどの3枚を全て抜いて追加の色を足そうかどうかの判断で変更せず、結局初手からあった《微光角の鹿》と《消失の命令》は唱える事もできずに負けてしまい失意のどん底に立たされていると、最終成績は64位以内。実は勝っても負けても引き分けても32位には届かず、負けても64位以内だったという、色んな意味で拳の振り場に困る結果になりました。

 なんというか、こうやって日曜日を振り返ると本当に何もかもが『粗かった』という印象で終わった2日目でした。

Tシャツ
モールで見かけた変な日本語

 幸いな事に次のグランプリは神戸、1ヶ月程の間隔があるので気分転換を図るという意味では非常に助かります。ついでに新居を人が住んでいるという状態にする時間を取れるという意味でも大事な時間になりそうです(※編注:地震の影響で4月23・24日に変更となりました)。

 それではまた次回、世界のどこかでお会いしましょう。

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