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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
アヴァシンの帰還 リミテッド点数表・前編?スマイルアヴァシン!?
読み物
渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
2012.05.25
アヴァシンの帰還 リミテッド点数表・前編~スマイルアヴァシン!~
前回の記事から2週間ぶりのこんにちは。渡辺です。
ついこの前発売したばかりの『アヴァシンの帰還』ですが、発売してからこの2週間の間に大型のプレミアイベントが3つも開催されました。
発売後最初のイベントとなるプロツアー・アヴァシンの帰還は、「奇跡」デッキを使用したAlexander Hayne選手が制し、先週末は、スタンダードのグランプリ・ミネアポリスをChristian Calcano選手が、リミテッドのグランプリ・マルメをMatteo Versari選手が制する結果となりました。(リンクはそれぞれイベントカバレージへ)
どのイベントも、『アヴァシンの帰還』が発売してから間もない環境初期に行われたイベントなので、それぞれのプレイヤーの各フォーマットに対する理解度の深さが伺えます。
特にスタンダードで「赤青Delver」を使用したChristian Calcano選手のデッキの着眼点には驚かせられましたね。Delverデッキから《聖トラフトの霊》を抜くというのは非常に新しい発想で、それで結果を残すのは素晴らしいの一言に尽きます。
それとこれはどうでもいい話ですが、Calcano選手のトップ8プロフィールの内容や、使っていたプレイマットなどのサプライ品にとても好感が持てました。今度会った時に固い握手を交わすような気がします。日本文化万歳。
そして、ご報告することがございます。
2012-2013シーズンに獲得したプロポイントにより、マジック:ザ・ギャザリング・プレイヤー選手権の参加権利と、ワールド・マジック・カップの日本代表に選ばれました!(リンクはそれぞれのイベント詳細へ:英語)
自分の1年間の成果が、このような結果として出るのは非常に嬉しいですね。
特にチーム戦は過去に2度日本代表としてチーム戦を戦ったのですが、どちらも良い結果とは言えませんでした。
なので今回のチーム戦で結果を残し、3度目の正直を成し遂げたいですね。目指すはもちろん優勝で!!
残りの日本代表3人は、ワールド・マジック・カップ予選によって決定されます。
予選は6月のグランプリ・横浜の前後の週に東京・名古屋・大阪の3箇所で行われ、この予選を優勝した方は、僕と一緒に8月にアメリカの大規模なゲームショー・GenConにて行われるワールド・マジック・カップに日本代表として参加します。
詳しくは先週のウィザーズプレイネットワーク通信をご覧ください。
皆さんの参加を心待ちにしています。一緒に世界一を目指しましょう!!
では、個人的なことはこれくらいにして、本題に入りましょう。
今回は『アヴァシンの帰還』特集第3弾、「アヴァシンの帰還 ドラフト点数表・前編」となります。
点数表の詳しい説明に関しては以前のものを参照していただけると助かります。
今回もいつものように、前編・後編の2回に分けて点数票を作っていこうと思います。
『アヴァシンの帰還』の特集記事3回目なので、前回までの記事へのリンクはこちらからどうぞ。
カードの採点基準はこれを参考にしてください。
点数 | 基準 |
10 | 神カード。見たら取るべし。確定初手。 |
9 | 爆弾カード。これ1枚でゲームに勝てるようなカード。初手~2手目。 |
8 | かなり優秀なカード。流れてきてもおかしくないが、初手でも問題ないレベル。初手~3手目。 |
7 | 優良カード。是非デッキに入れたいレベル。2~4手目。 |
6 | 普通にデッキに入るくらいのカード。3~6手目。 |
5 | ぎりぎりデッキに入るぐらいのカード。5~8手目。 |
4 | できればデッキに入れたくないようなのカード。枚数が足りないときに仕方なく使うレベル。または特殊な条件でのみ使用するカード。7~9手目。 |
3 | サイドボード要員。基本はデッキに入らない。10~12手目。 |
2 | よほどのことがない限りデッキに入れることはないカード。12~14手目。 |
1 | 何をしてもデッキに入らないレベル。ほぼ14手目。 |
点数表を作っていく前に、「アヴァシンの帰還のドラフトの基本」について少しだけ。
ちょうどプロツアー・アヴァシンの帰還のカバレージに、この環境のドラフトの戦略記事がいくつか載っているので、そちらを参考にしましょう。
要点をまとめると...
- 環境は速い。2マナ以下のクリーチャーの枚数は非常に重要。マナカーブも常に意識。
- ただ、押し込む系カードは優秀ではないので、前回のイニストラードほどではない。「基本セット2012」リミテッドくらいの速さ。
- 環境のカードパワーが全体的に低いので、クリーチャーと呪文で悩んだときは、基本クリーチャーを優先。
- 2パック目からの色変えは困難。
- 色の強さは上から順に、青>緑>赤>白>黒の順。
- 青と緑はコモンに弱いカードが少なく、非常に安定している色である。
- 黒は最弱色だが、強い戦略は用意されている。
こんなところですね。
僕の『アヴァシンの帰還』ドラフトに対する認識もこれとほとんど一緒なので、これらのことに重点を置きながら点数表を作っていきます。
ではまずは白から。
白
|
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コモンのスペックが全体的に低い白。
《暁の熾天使》は優秀ですが、それ以外のコモンのラインナップがちょっと寂しいものになってしまっています。
同じ色の中でのコモン同士のシナジーがないのも厳しいですね。
しかし、その分レア以上のラインナップは強烈で、《天使への願い》や《聖戦士の進軍》などはそれだけでゲームを決定付けるカードパワーを持っています。これらの爆弾レアが引けた際は、そのカードパワーを頼りにして白をドラフトしてもいいですね。
白をドラフトする際の注意点としては、「相方の色」によって目指す戦略が異なること。
これは何故かというと、白にはコモンのみで完結しているシナジーが非常に少ないので、他の色のコモンと合わせてシナジーを作ることになるからです。
例えば2色目が青になるようだったら、白と青の飛行クリーチャーを軸にして、《ミッドヴァストの守護者》や《霧鴉》のようなCIP(戦場に出たときに誘発する能力)クリーチャーを《雲隠れ》や《幽霊のゆらめき》の「明滅」系のカードでバックアップする戦略を目指します。
もし相方の色が赤になるような場合は、《暴動の首謀者》や《ケッシグの不満分子》のような人間系のシナジーを重点においた戦略を目指すことになるので、飛行クリーチャーである《月明かりの霊》よりも、人間クリーチャーである《ムーアランドの審問官》や《スレイベンの勇者》を優先するような方針になります。
このように、白は相方の色によってデッキの目指すべき方向が変わってくるので、他の色と相性の良いカードを覚えておくようにしましょう。
青
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環境最強色と名高い青。
コモンの全体的なスペックが非常に高く、非常に安定している色といえます。
コモン同士のシナジーも多く、《霧鴉》や《グリフの先兵》を《現実からの剥離》で再利用したり、
《悪寒》で相手のクリーチャーをタップさせて《幽体の牢獄》をつけたりと、青だけでできることが多いのも魅力ですね。
優秀なドローである《材料集め》や、《一瞬の散漫》のような何かしながらキャントリップをするカードも多いので、デッキの中の強いカードにたどり着きやすいのも今回の青の強みの一つです。
また、相手のクリーチャーに触るカードが少ないこの環境では、青のバウンス系のカードは非常に重宝します。
特に4マナ2/2飛行にクリーチャーバウンス能力が付いている《霧鴉》は、文句なしにこの環境のトップコモンといってもいいでしょう。
僕が今回のプロツアーのリミテッド部門で全勝できたのもこのカードのおかげです。2回のドラフトで両方とも、2枚の《霧鴉》が入ったデッキをプレイすることができましたからね。
そんな青のドラフトするときの注意点としては、低マナ域がパワー不足にならないようにすること。
実は青だけだと、2マナ以下のクリーチャーは《翼作り》《錬金術師の弟子》《ネファリアの密輸人》くらいしかおらず、どれもパワー1なので正直なところパワー不足が否めません。
こればかりはどうしようもないので、2マナのパワー2クリーチャーは他の色から引っ張ってくることにしましょう。
できれば序盤のクリーチャー同士の攻防に《翼作り》や《ネファリアの密輸人》は使いたくないので、青をドラフトする際は相方となる色の2マナ域をしっかりと確保するようにしましょう。
黒
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環境でも一番やり辛い色という評価になっている黒。
それは何故かというと、今回の黒の能力である「単騎」が、他の色の「結魂」系のカードとまったく噛み合わないことにあります。
他の4色は「結魂」でシナジーを組めるのに黒はそれができないのだから、評価が低くなってしまうのは仕方ないでしょう。
ただ、参考記事にもあるとおり、黒にもちゃんと強い戦略は用意されています。
改めて言うまでもないかもしれませんが、黒特有の能力である「単騎」を最大限にフィーチャーするのが、今回の黒の戦術となります。
《悪魔の監督官》や《人殺しの隠遁生活》のようなカードは正に「単騎」の状態で最高の効果を発揮するものですし、もし2体以上クリーチャーが並んでしまっても、《骨の粉砕》や《流血の鑑定人》といったカードで自分のクリーチャーの数を調整して、無理やり「単騎」の場にすることができます。
《牙抜き》や《幽体の牢獄》のような戦術そのものに対するキラーカードもありますが、《人殺しの隠遁生活》や《悪魔の顕現》には、その弱点を補って余りあるカードパワーがあるので、これらを引けたときは黒の「単騎」デッキを目指してみましょう。
そんな黒のドラフト時の注意点は、できるだけ黒単色気味にドラフトすること。
「単騎」の能力を持っているカードは黒にしかないので、「単騎」を突き詰めていくなら他の色のカードは不純物となってしまいます。「結魂」持ちのカードなんてもっての他ですね。
また、黒をするなら絶対に欲しいカードが1枚あります。それは《流血の鑑定人》。
単体のスペックだけで見ると大したクリーチャーではないのですが、「単騎」を自分から演出できるという点と、《牙抜き》や《幽体の牢獄》を貼られたクリーチャーを生け贄にして戦術の機能不全を解消してくれたりもします。
もし「単騎」デッキにならなかった場合でも、能動的に《アンデッドの処刑人》や《死体の運び屋》を生け贄に捧げて能力を使ったり、《屋根職人の反乱》をはじめとした他の色のカードとのシナジーも見込めるこのカードは、この環境で黒をやる上で必須とも言えるカードですね。
今回はここまで。
一度に全色は多すぎるので、残りの色はまた次回ということで。
それでは、次回の「アヴァシンの帰還点数表・後編」でお会いしましょう。
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