READING

コラム

木曜マジック・バラエティ

浅原晃の「デッキタイムトラベル!」 Part8 ?アーティファクトデッキ

読み物

木曜マジック・バラエティ

2011.08.04

浅原晃の「デッキタイムトラベル!」 Part8 -アーティファクトデッキ

By 浅原 晃


■パワー9

 マジックの最初のセットにはパワー9と言われる伝説のカードが存在する。黎明期のマジックのカードの中でも特に象徴として語られる9枚のカード達だ。

 《Black Lotus》、《Mox Pearl》、《Mox Sapphire》、《Mox Jet》、《Mox Ruby》、《Mox Emerald》、《Ancestral Recall》、《Time Walk》、《Timetwister》。

 このパワー9のカードのうち、6枚はアーティファクトで占められている。
 それは何故だろうか。その理由として、単純な強さはもちろん、アーティファクトであるためにパワー9に入ることができたと言えるかもしれない。色に縛られないという一つの点だけでも、アーティファクトというのは有色のカードに比べて、遥かに優遇されている存在であるからだ。

 キャストに色マナを必要としない点や、0マナというコストを設定できる点、それらは、アーティファクトの大きな利点であり、それが、他のカードに比べ格段に使いやすいということに繋がる。

 もちろん、それゆえに、アーティファクトには強力な効果を持ったカードというのは入りにくく、また、コストも重く設定されることが多い。さらにセットでの割合を考えるなら、枚数自体も5色のカードに比べて少ないことがほとんどだ。

 しかし、最新のセット、ミラディンの傷跡ブロックがアーティファクトをフィーチャーしたセットであったように、アーティファクトを多く含んだセットというのもマジックの中には存在する。

 アーティファクトは色を持ったカードに比べシステム的に優遇されているため、セット全体でアーティファクトの質が向上することがあると、とてつもない勢いでメタゲームを席巻することもある。先の日本選手権での優勝デッキがアーティファクトを主体としたデッキだったというのも記憶に新しいことだろう。

 今回はそんなアーティファクトを主体としたデッキを、黎明期から繋がるヴィンテージやレガシー、そして、アーティファクトが特に活躍した3つのブロックに分けて紹介していこうと思う。


■黎明期~ヴィンテージ、レガシーのアーティファクトデッキ

 アンティキティーにおいて、アーティファクトデッキをサポートする強力の土地が登場した。それが、《Mishra's Workshop》だ。ヴィンテージのアーティファクトデッキを語る上でもっとも重要なカードだろう。

 この土地の強さは「3マナを生み出す」という能力を見れば一目瞭然であり、アーティファクトにしか使用できないという欠点をデッキ構築によって補うことができれば、余りある爆発力をデッキに与えてくれるカードだ。
 ただ、《Mishra's Workshop》は発売当初に相棒となるアーティファクトがそれほど強力ではなかったことや、ヴィンテージでは一定の期間制限カードであったため、目立った活躍が見られるのは、制限が解除された1997年以降のことになる。

 引くと捨てることだけ特化した《Bazaar of Baghdad》が、ラヴニカブロックから発掘という相棒を得て化けたように、何かに特化したカードはいつか開花する。アーティファクトにしか使えない《Mishra's Workshop》の3マナは、逆に言えば、アーティファクトに対しては繰り返し使える《Black Lotus》になりうる。

『5/3 初期型』 David Price
インビテーショナル2000春 / ヴィンテージ[MO] [ARENA]
2 《
4 《Underground Sea
4 《地底の大河
4 《不毛の大地
4 《Mishra's Workshop
1 《Library of Alexandria
1 《トレイリアのアカデミー
1 《露天鉱床

-土地(21)-

4 《Su-Chi
4 《巨大戦車

-クリーチャー(8)-
1 《Black Lotus
1 《Mox Emerald
1 《Mox Jet
1 《Mox Pearl
1 《Mox Ruby
1 《Mox Sapphire
1 《太陽のリング
4 《強迫
1 《吸血の教示者
1 《Ancestral Recall
1 《神秘の教示者
4 《Mana Drain
1 《Time Walk
1 《Demonic Tutor
1 《修繕
1 《ヨーグモスの意志
3 《氷の干渉器
4 《Force of Will
1 《記憶の壺
1 《天才のひらめき

-呪文(31)-
1 《トリスケリオン
1 《黒の万力
4 《無効
3 《赤霊破
1 《意外な授かり物
1 《Timetwister
1 《The Abyss
1 《ネビニラルの円盤
1 《崩れゆく聖域

-サイドボード(14)-

 このデッキは《Mishra's Workshop》によって生み出されたマナによって、《巨大戦車》や《Su-Chi》を高速で召喚して殴り切るデッキだ。他のパワー9と合わせれば、簡単に1ターン目に5/3の《巨大戦車》を出すこともできるため、後は、それをいかに守るかというカードで占められている。

 高速でフィニッシャーを展開し、それを守り切るという点において、このデッキはクロックパーミッションに近い動きをする。ただ、このデッキはあくまでクリーチャーの攻撃によって勝負を決めるという点で、これから紹介するデッキに比べれば健全であると言わざるを得ないかもしれない。


 ミラディンブロックが加わってからのバージョンにおいては3マナで出るフィニッシャーとも呼べるカードを加えてロックデッキとして大きく進化した。

『5/3 後期型』 David Allen
ヴィンテージ選手権04 準優勝 / ヴィンテージ[MO] [ARENA]
4 《Volcanic Island
4 《Mishra's Workshop
4 《不毛の大地
1 《トレイリアのアカデミー
1 《露天鉱床
3 《シヴの浅瀬
2 《汚染された三角州

-土地(19)-

4 《ゴブリンの溶接工
1 《ゴリラのシャーマン
4 《巨大戦車
2 《Su-Chi
1 《トリスケリオン
1 《映し身人形
1 《隔離するタイタン

-クリーチャー(14)-
1 《Black Lotus
1 《Mox Emerald
1 《Mox Jet
1 《Mox Pearl
1 《Mox Ruby
1 《Mox Sapphire
1 《Mana Crypt
1 《太陽の指輪
1 《魔力の櫃
1 《Ancestral Recall
1 《神秘の教示者
2 《火 // 氷
1 《Time Walk
3 《三なる宝球
3 《世界のるつぼ
4 《知識の渇望
1 《修繕
1 《Wheel of Fortune
1 《記憶の壺

-呪文(27)-
4 《虚空の杯
1 《トーモッドの墓所
3 《水流破
3 《赤霊破
3 《荒残
1 《三なる宝球

-サイドボード(15)-

 ダークスティール産の《三なる宝球》は、3マナ以下の呪文を全て3マナにしてしまうというアーティファクトだ。自身のマナコストも{3}であるが、これは《Mishra's Workshop》で1ターン目に出せる上に、ほとんどのカードが3マナ以下で構成されているヴィンテージにおいては、先攻ならば、こちらだけ《Mox Sapphire》などを並べ、《三なる宝球》を置けば相手は何もできない、ということが普通に起こりえた。

 また、《世界のるつぼ》+《不毛の大地》などのエンジンも加わることで用意にロック状態を作れるデッキにもなっている。

 1ターン目の《三なる宝球》は一時代を象徴する戦略であったが、その後、ヴィンテージでは制限カードに指定されることになる。


 しかし、《抵抗の宝球》といった、それに準じたアーティファクトは残っており、《アメジストのとげ》や《磁石のゴーレム》といった、相手の行動を縛るアーティファクトが加わると、色を含まない純粋な茶単デッキ『MUD』が登場した。

『MUD』Vincent Forino
ヴィンテージ選手権10 ベスト4 / ヴィンテージ[MO] [ARENA]
3 《古えの墳墓
2 《裏切り者の都
4 《Mishra's Workshop
2 《リシャーダの港
1 《露天鉱床
1 《トレイリアのアカデミー
4 《不毛の大地

-土地(17)-

4 《磁石のゴーレム
1 《銀のゴーレム、カーン
4 《金属細工師
3 《トリスケリオン

-クリーチャー(12)-
1 《Black Lotus
1 《Mox Emerald
1 《Mox Jet
1 《Mox Pearl
1 《Mox Ruby
1 《Mox Sapphire
1 《Mana Crypt
1 《太陽の指輪
1 《魔力の櫃
4 《虚空の杯
4 《アメジストのとげ
4 《抵抗の宝球
4 《からみつく鉄線
3 《威圧の杖
2 《彫り込み鋼
2 《火と氷の剣

-呪文(32)-
2 《剃刀毛のマスティコア
3 《映し身人形
2 《世界のるつぼ
3 《道化の帽子
3 《永劫の中軸
1 《全ては塵
1 《火と氷の剣

-サイドボード(15)-

 《磁石のゴーレム》《アメジストのとげ》《虚空の杯》《からみつく鉄線》と相手の行動を縛ることに特化しており、《Mishra's Workshop》が引けているかどうかで、また先攻・後攻で大きく勝率を変化させるムラはあるものの、相手に何もさせずに勝利することもデッキになっている。

 《Mishra's Workshop》が登場して、そして、強い純粋なアーティファクトのみのデッキを作れるまでにという点にマジックの歴史の長さを感じざるを得ない。

 また、レガシーにおいても《Mishra's Workshop》こそ禁止カードだが、逆に《三なる宝球》は使えるため、《古えの墳墓》や《裏切り者の都》などを使い、ロックする『白スタックス』デッキや、レガシー版の『MUD』デッキも存在する。

『白スタックス』 Anton Lunau
世界選手権07 / レガシー[MO] [ARENA]
5 《平地
4 《トロウケアの敷石
4 《古えの墳墓
4 《裏切り者の都
4 《ミシュラの工廠
2 《The Tabernacle at Pendrell Vale
4 《不毛の大地

-土地(27)-

4 《賛美されし天使
3 《幕屋の大魔術師

-クリーチャー(7)-
4 《モックス・ダイアモンド
4 《虚空の杯
4 《世界のるつぼ
4 《三なる宝球
4 《亡霊の牢獄
2 《ハルマゲドン
2 《戦の惨害
2 《Moat

-呪文(26)-
4 《トーモッドの墓所
4 《真髄の針
4 《抑制の場
3 《解呪

-サイドボード(15)-

 《ハルマゲドン》に加えて、同じ効果で違う名前を持つ《戦の惨害》も採用されており、土地を縛れる構成になっている。まず、《虚空の杯》や《三なる宝球》で相手の行動を封じながら動くのが基本。
 そのため、《古えの墳墓》や《裏切り者の都》をフル投入している。


 ここからは、アーティファクトが活躍したブロックから、スタンダードやエクステンデッドで活躍したデッキを紹介していこう。


■ウルザブロック

 マジックのエキスパンション、その中でも最初にアーティファクトが多く活躍したのはウルザブロックだ。

 ウルザブロックの初期のイメージは、高速のコンボデッキというものに支配されていたが、《トレイリアのアカデミー》《時のらせん》などの禁止カードの制定によって、環境が健全性を取り戻すと、アーティファクトを効果的に使ったデッキも生まれた。

 その中で世界選手権99では、カイ・ブッディが『赤茶単』を使って優勝を果たした。

『赤茶単』 Kai Budde
世界選手権99 優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
13 《
3 《古えの墳墓
4 《裏切り者の都

-土地(20)-

4 《欲深きドラゴン
3 《マスティコア
1 《銀のゴーレム、カーン

-クリーチャー(8)-
4 《緋色のダイアモンド
4 《厳かなモノリス
2 《摩滅したパワーストーン
4 《スランの発電機
4 《呪われた巻物
4 《通電式キー
4 《束の間の開口
2 《ミシュラのらせん
4 《燎原の火

-呪文(32)-
4 《呪文ショック
2 《破壊的脈動
2 《荒残
2 《沸騰
1 《ファイレクシアの処理装置
1 《ミシュラのらせん
3 《地震

-サイドボード(15)-

 《厳かなモノリス》と《通電式キー》によるマナ加速と、《欲深きドラゴン》などの強力なフィニッシャー。アーティファクトマナと相性のよいリセット呪文である《燎原の火》などによって素早く場を掌握することに長けたデッキになっている。

 赤という色の特性上、ドローソースを持たないのが一つの欠点ではあるが、このデッキでは《束の間の開口》といった重いものの、豊富なマナがあれなアドバンテージを取ることができるカードが入っており、また、同様にマナが潤沢にあれば、《マスティコア》によって、相手のクリーチャーを完封することも可能だった。

 この年の世界選手権はその圧倒的な破壊力によって決勝ラウンドをカイ・ブッディが制したが、次の年にも似たような、それでいて性質の異なる『スーサイドブラウン』が世界選手権を制している。

『スーサイドブラウン』 Jon Finkel
世界選手権2000 優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
9 《
4 《水晶鉱脈
4 《リシャーダの港
4 《サプラーツォの岩礁

-土地(21)-

4 《マスティコア
4 《金属細工師
1 《ファイレクシアの巨像

-クリーチャー(9)-
4 《厳かなモノリス
4 《スランの発電機
4 《通電式キー
4 《渦まく知識
4 《からみつく鉄線
4 《修繕
4 《ファイレクシアの処理装置
1 《崩れゆく聖域
1 《ミシュラのらせん

-呪文(30)-
4 《無効
4 《寒け
4 《誤算
2 《水位の上昇
1 《ミシュラのらせん

-サイドボード(15)-

 青の《修繕》を軸としたアーティファクトデッキである『スーサイドブラウン』。スーサイドというのは《ファイレクシアの処理装置》によって多くのライフ、時には19点のライフさえ支払うことから来ている。赤茶単がコントロール寄りのデッキだったのに比べ、このデッキはより攻撃的に作られているのが特徴的だ。

 それを可能にしたのが、《修繕》によるシルバーバレット戦略だ。《崩れゆく聖域》などは攻撃的な相手にとってはキーカードとなるが、相手や状況を選ぶために多くをデッキに入れることはできない。《ファイレクシアの巨像》も同様だ。
 しかし、《修繕》を使えば、1枚デッキに入れておけばマナを無視して出すことができる。速さを持った攻撃的なデッキでありながら、対応力にも優れていたデッキと言える。

 また、《金属細工師》という、脅威的なマナ加速が存在していたのも挙げておかなければいけないだろう。10マナをも軽く捻り出すこのクリーチャーは《通電式キー》と合わせれば膨大なマナを生み出せた。しかし、さらに脅威なのは、そのマナを使い切るのに困らないデッキだということかもしれない、膨大なマナを無駄なく使い切る。ウルザブロック時代のアーティファクトはそういったことに象徴されるのだろう。


■ミラディンブロック

 ウルザブロックはアーティファクトだけでなく、エンチャントにも焦点を当てたセットであったため、次にアーティファクトをフィーチャーしたミラディンブロックは、よりアーティファクトというものを全面に押し出されたブロックと言えるだろう。

 その代表的なシステムが親和だ。

 基本的に親和はアーティファクトをコントロールしている枚数によってマナコストを軽減できるシステムになっている、
 つまり、アーティファクトにデッキを寄せれば寄せるほどによりマナを使わずに動くことができた。ウルザブロックがそれこそマナそのものを生み出すのに対し、ミラディンブロックはマナそのものの必要性を無くしてしまう。

 これは似ているようだが、性質としては大きく異なる。

 マナを生み出すものと使うものに分かれてしまうウルザの仕組みに比べ、アーティファクトをデッキに多く入れるだけで、マナを効率的にする仕組みが完成しているのがミラディンなのだ。マナそのものを多く生めるわけではないので、より、ビートダウン志向の強い能力であったと言えるだろう。

 ミラディンが加わったばかりの親和デッキは、その速さをどこまで追求するか、アドバンテージとの兼ね合いをどう取るかということが焦点になっていた。日本ではコントロールに近いものがブルード親和、速度を追及したものがグレ親和などと呼ばれていた。

『ブルード親和』 影山清友
The Finals03 ベスト8 / スタンダード[MO] [ARENA]
2 《
4 《教議会の座席
4 《囁きの大霊堂
4 《大焼炉
4 《空僻地

-土地(18)-

4 《マイアの処罰者
3 《金属ガエル
2 《ブルードスター

-クリーチャー(9)-
3 《金属モックス
4 《威圧のタリスマン
3 《発展のタリスマン
4 《溶接の壺
4 《黄鉄の呪文爆弾
4 《知識の渇望
4 《物読み
4 《時間の亀裂
3 《未来予知

-呪文(33)-
1 《ブルードスター
4 《紅蓮地獄
2 《赤の防御円
2 《減衰のマトリックス
3 《踏みにじり
3 《迫害

-サイドボード(15)-

 このデッキは青を主体として、アドバンテージを取れるようにし、親和によってフリーコストで使える《金属ガエル》《マイアの処罰者》を並べ、ストームの《時間の亀裂》で盤面を掌握する。

 また、グレ親和と呼ばれる、《大霊堂の信奉者》と《エイトグ》によってより速く勝負を決める形も存在した。

 しかし、ダークスティールが加わると親和というデッキは一つの形、いわゆる『電結親和』へと収束していく。本来、速さというのは強さではあるが、脆さでもある。展開力の裏を返せば、《神の怒り》で全てが無になってしまうことでもある。

『電結親和』 津村 健志
日本選手権04 準優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
4 《大焼炉
4 《囁きの大霊堂
4 《教議会の座席
3 《ダークスティールの城塞
3 《空僻地

-土地(18)-

4 《大霊堂の信奉者
4 《電結の働き手
4 《電結の荒廃者
4 《金属ガエル
4 《マイアの処罰者

-クリーチャー(20)-
4 《溶接の壺
3 《黄鉄の呪文爆弾
4 《彩色の宝球
4 《頭蓋骨絞め
4 《物読み
3 《爆片破

-呪文(22)-
4 《厳粛な空護り
4 《炉のドラゴン
3 《紅蓮地獄
3 《煮えたぎる歌
1 《爆片破

-サイドボード(15)-

 しかし、それを感じさせないほどに速度を高めたのがダークスティールから加わった、《電結の荒廃者》であり、《神の怒り》のような全体除去を受けても潤沢な手札を持てるだけのアドバンテージを与えてくれたのが、《頭蓋骨絞め》であった。
 これによって、親和は瞬く間に環境の最高峰のデッキとなりメタゲームの中心となっていた。

 その後、《頭蓋骨絞め》は余りにも膨大なアドバンテージをもたらすために禁止になるものの、《頭蓋囲い》という速度に特化した装備品が加わることで、親和デッキは生き残ることになる。

 そして、その年にエクステンデッドで行われたプロツアー・コロンバス04では、《頭蓋骨絞め》なき後の親和デッキがエクステンデッドにおいても優勝を果たし、その強さが未だ一級品であることを証明して見せた。

『薬瓶親和』 Pierre Canali
プロツアー・コロンバス04 優勝 / エクステンデッド[MO] [ARENA]
4 《教議会の座席
4 《囁きの大霊堂
2 《古えの居住地
4 《ダークスティールの城塞
2 《空僻地
1 《真鍮の都
2 《ちらつき蛾の生息地

-土地(19)-

4 《電結の働き手
4 《大霊堂の信奉者
4 《電結の荒廃者
4 《翻弄する魔道士
4 《金属ガエル
3 《厳粛な空護り
3 《マイアの処罰者

-クリーチャー(26)-
4 《彩色の宝球
4 《霊気の薬瓶
3 《頭蓋囲い
4 《物読み

-呪文(15)-
3 《古の法の神
2 《退去の印章
3 《陰謀団式療法
3 《寒け
3 《仕組まれた疫病
1 《真鍮の都

-サイドボード(15)-

 殆どが当時のスタンダードと変わらないが、エクステンデッドとして《霊気の薬瓶》と《翻弄する魔道士》が採用されている。これによって、コンボデッキなどに耐性を持つことができ、また、インスタントタイミング召喚できる《翻弄する魔道士》はもちろん、《電結の荒廃者》や《大霊堂の信奉者》は大きなプレッシャーとなり、決勝戦では中村修平のミスを誘い勝利を果たした。

 最終的に多くのカードが禁止されてしまうが親和というデッキ構成の効率性の追求は、このセットの中心であったと言えるだろう。


■ミラディンの傷跡ブロック

 現在のところ最新であるミラディンの傷跡ブロックは、時を経たミラディンブロックであり、アーティファクトを軸にしたサイクルである。

 そして、その中で生まれた、最近もっとも活躍したアーティファクトのビートダウンデッキが今年の日本選手権で優勝した、《鍛えられた鋼》デッキだ。

『白単《鍛えられた鋼》』石田 龍一郎
日本選手権2011・優勝 / スタンダード[MO] [ARENA]
11 《平地
4 《墨蛾の生息地
3 《激戦の戦域

-土地(18)-

4 《メムナイト
4 《羽ばたき飛行機械
4 《信号の邪魔者
4 《きらめく鷹
4 《大霊堂のスカージ
4 《鋼の監視者
3 《磁器の軍団兵

-クリーチャー(27)-
4 《オパールのモックス
4 《急送
3 《きらめく鷹の偶像
4 《鍛えられた鋼

-呪文(15)-
3 《呪文滑り
4 《コーの火歩き
2 《精神的つまづき
2 《天界の粛清
4 《忠実な軍勢の祭殿

-サイドボード(15)-

 元はミラディンの傷跡ブロック構築において中心となっていたデッキのスタンダードバージョンになっている。ビートダウンの構成と爆発力は親和デッキに近いが、このデッキは親和と違いシステムよりも《鍛えられた鋼》というカードに多くを依存している。そのため、ドロー補助もほぼ存在しない現状では、安定性という点では欠ける部分も多い。しかし、《鍛えられた鋼》を張れたときの強さは証明されている。

 クリーチャー化土地である《墨蛾の生息地》もアーティファクトであるため、毒によって相手を打ち倒すことも多い。《鍛えられた鋼》だけでなくとも、《鋼の監視者》で強化すれば、簡単に毒を10個溜めることもできるだろう。

 デッキの力を最大限に生かせれば、日本選手権の優勝という結果は当然と言えるかもしれない。


 また、かつてのミラディンブロックは、親和という一つの形にアーティファクトデッキのほとんどが集約されていたが、アーティファクトの軸となるカードがいくつか存在しているミラディンの傷跡ブロックでは様々な方向性に可能性がある。アーティファクトの軸となるカードがいくつか存在している。

『青黒テゼレッター』 八十岡 翔太
日本選手権2011・7位 / スタンダード[MO] [ARENA]
4 《
3 《
4 《忍び寄るタール坑
4 《水没した地下墓地
4 《闇滑りの岸
4 《地盤の際
1 《墨蛾の生息地

-土地(24)-

1 《ワームとぐろエンジン
1 《聖別されたスフィンクス

-クリーチャー(2)-
4 《永遠溢れの杯
3 《定業
3 《コジレックの審問
2 《見栄え損ない
3 《漸増爆弾
2 《倦怠の宝珠
2 《マナ漏出
2 《破滅の刃
2 《転倒の磁石
1 《冷静な反論
1 《弱者の消耗
1 《黒の太陽の頂点
1 《ソリンの復讐
1 《殴打頭蓋
2 《ジェイス・ベレレン
4 《ボーラスの工作員、テゼレット

-呪文(34)-
3 《方解石のカミツキガメ
1 《聖別されたスフィンクス
2 《見栄え損ない
2 《強迫
1 《倦怠の宝珠
4 《瞬間凍結
1 《破滅の刃
1 《ジェイス・ベレレン

-サイドボード(15)-

 例えば、プレインズウォーカーである《ボーラスの工作員、テゼレット》はアーティファクトを主体としたデッキの軸になりえるカードだ。基本的にアーティファクトの総数を増やせば増やすほどに《ボーラスの工作員、テゼレット》の効果を安定して使うことができる。

 ただ、このブロックではアーティファクトそのものの相互シナジーが薄いため、アーティファクトの枚数を抑えた形で《ボーラスの工作員、テゼレット》を組む場合も多い。バランスのとり方が難しいが、現状でもっとも強い能力を持ったプレインズウォーカーの一人と言えるため、これからアーティファクトと共に多くのデッキで活躍するのは間違いない。


 ミラディンの傷跡ブロックはスタンダードでこれからも活躍するセットだ。イニストラード以後もアーティファクトが出続ける限り、多くのカードを見直す必要があるだろう。


■???ブロック

 アーティファクトというカードは全てのデッキに入るだけでなく、それ自体が主軸となる、多くの可能性を秘めている。
 ミラディンの傷跡ブロックがスタンダードから落ちてしまっても、また、いつか、新しいアーティファクトのセットが来ることがあるだろう。

 そして、個人的には次のアーティファクトのセットこそ、《蒸気打ちの親分》を使った『からくり』が来るのではないだろうかと思っている。できれば、自分が生きているうちにからくりを出してほしい。とりあえず、お願いします。


 それでは、また、次回。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索