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MAGIC STORY
タルキール龍紀伝
タルキール・ブロックの物語
タルキール・ブロックの物語
Wizards of the Coast / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori
2015年4月29日
プレインズウォーカー、サルカン・ヴォルは長く不思議な旅をしてきた。そして彼の旅路とともにタルキールの世界も語られた。次週、私達はサルカンとタルキールからしばしカメラを離すことになる。だから、今こそこの物語を読み返すにふさわしい時だ。
この記事では、私達はタルキールブロックの物語を要約し、それが語られた公式小説全てへとリンクを貼ろう。君達は遡ってその全てを読んでも、ただこの要約をなぞるだけでもいい。タルキール・ブロックの大筋を理解するため、私達は重要な物語に『筋書き』のタグを付けた。だが多くの「筋書きでない」物語の多くにもその大筋を形作るキャラクターや文化について、更なる識見が含まれている。
『タルキール覇王譚』の物語
筋書き:サルカンの狂気
Jennifer Clarke-Wilkes
数年ぶりに故郷を訪れ、サルカンは青年時代とその時以来起こった出来事全てを回想した。彼は数年前の、タルキールからの旅立ちを思い出した。それはマルドゥのカン、ズルゴからの敵意を受けることになる破滅的な戦いの後のことだった。彼はニコル・ボーラスの下僕としての、ゼンディカーでの日々を思い返す(以前、プレインズウォーカー・コミック「Journey to the Eye」「Awakenings」「Enter the Eldrazi」にて描かれたもの)。そしてその訪問の記念として持ち歩く、面晶体の欠片について思案した。最後に、彼は心に取り憑いている声へと語った――「扉を見つけよ」と彼を急かす、精霊龍ウギン(死後久しい龍の幽霊)。彼は山岳地帯へと歩みを向けた、「俺はまた、俺達を強くしてみせる」と誓いながら。
《龍語りのサルカン》 アート:Daarken |
プレインズウォーカーのための『タルキール覇王譚』案内 その1
「プレインズウォーカーのための『タルキール覇王譚』案内」の初回には、サルカンの生まれ故郷であるタルキール世界についての序説、アブザン・ジェスカイ・スゥルタイ氏族についての項目が含まれる。
プレインズウォーカーのための『タルキール覇王譚』案内 その2
「プレインズウォーカーのための『タルキール覇王譚』案内」の第二回には、マルドゥ・ティムール氏族について、そしてタルキールを訪れたプレインズウォーカーについての項目が含まれる。
熊の目覚め
Jennifer Clarke-Wilkes
もしかしたら君は既にティムール氏族のカン、龍爪のスーラクを目にしているかもしれない。もしかしたら熊を殴りつける彼を。だがティムールは皆が皆、顔面を、熊を拳で殴りつける氏族というわけではない。彼らはまた深く崇高な人々で、スーラクは野生への恭しい尊敬と、それらと対峙する全くの現実主義という二面性を体現している。だがカンの地位は世襲制ではなく、スーラクはその中に生まれたのでもない。彼はかつて、名を上げようとするありふれたティムールの若き戦士だった。ある野生での遭遇が彼の運命を永遠に変えるまでは......
筋書き:ソリンの黙示
Adam Lee
サルカンと同様に、吸血鬼にしてプレインズウォーカーであるイニストラードのソリン・マルコフもまた、何かを探してタルキールへとやって来た。ソリンもサルカンも、互いについては知らないながらも、両者ともにウギンを探している。数千年前、ソリンとウギン、そして石術師と呼ばれるプレインズウォーカーは恐るべき怪物エルドラージをゼンディカーへと封じ込めた。今やそれらは解き放たれており、ソリンはエルドラージを止めるべくウギンの助けを得ようとしている。タルキールに到着すると、ソリンは道中ティムールの狩猟隊と戦い、その一人を吸血鬼化させて案内人とした。ソリンの下僕は彼へと精霊龍の領域、エネルギー渦巻く源である峡谷への道を示した。その峡谷の底にて、ソリンの最悪の怖れが現実となった。ウギンは遥か昔に死んでいた。ソリンは、多元宇宙は破滅すると結論づけた。
《真面目な訪問者、ソリン》 アート:Cynthia Sheppard |
テイガムの策謀
Matt Knicl
テイガムと呼ばれる男は「シディシの手」として、スゥルタイのカンの個人的執行者として知られている。だがテイガムはずっとスゥルタイの者だったのではない。そして彼のかつての氏族員達はそれを忘れていない。
カマキリの道
Matt Knicl
タルキールの空に、ジェスカイのカマキリ乗りと山頂の捕食者との戦いが繰り広げられる。
チェンサルの双子
Kimberly J. Kreines
ある盗人が告発されている。あるジェスカイの村が正義を下そうとしている。だが真の正義の源はただ一つ。
悟りし者
Matt Knicl
ナーセットはジェスカイ道のカンである。他のジェスカイの長老たちよりも若年でありながら、彼女は他氏族に対抗して人々を率いている。タルキール世界で生きることは困難であり、世界はナーセットにも損失をもたらす、他の全ての者へと同様に――彼女はただそこから隠れる術を学んできた。彼女は氏族に平和をもたらす方法を探し求め、その答えのためにタルキールの歴史を研究している。
筋書き:石術師
Kelly Digges
六千年前、タルキールから遠く離れた世界。そこで展開されたある劇的な出来事が、サルカンとソリンの両者のタルキールにおける探求に直接繋がることになる。ナヒリという名のコーは――他ならぬ「石術師」は――ソリンとともに、名も知らぬ次元を守るためにそれを貪り食おうとする巨怪な捕食者と戦う。彼らは敗れ、この名も知れぬ次元はすべての住人達とともに滅んだ。その後すぐに、二人はゼンディカーにてソリンの知己であるウギンに合流した。彼はその脅威、エルドラージの性質を説明し、そしてそれらを閉じ込めるためにソリンとナヒリを必要とした。ウギンと彼の計画に疑念を抱きながらも、ナヒリは最終的に故郷の次元であるゼンディカーを牢獄として使用することに同意した。エルドラージの巨人たち、エムラクール、ウラモグ、コジレックを封じ込めるために。罠は機能し、巨人たちは抑え込まれ、そしてナヒリはそれらの封印が続くように、永い牢番としての任務についた。これはナヒリとウギンの両方が最初に登場した、注目すべき物語である。
塩路
Jeremiah Isgur
マルドゥは敏捷性を重んじ、素早く移動しては猛烈に攻撃し、戦利品を奪う。アブザンは忍耐を信条とし、その敵よりも長く持ちこたえ、最後の一人となるべく戦う。今日、私達はマルドゥとアブザンの巡察指揮官の心を垣間見る。彼らがそれぞれの軍にて戦いの準備をする様を......
慈悲
Sam Stoddard
スゥルタイのカン、シディシはあるゴブリンへと復讐を企てている。異なる、進行中の一連の暗殺計画と戦いながら。
筋書き:勝利
Tom LaPille
タルキールの現在へと戻る。マルドゥのカン、兜砕きのズルゴは軍勢を率いてティムール境の兵たちと戦った。ズルゴは憎む敵サルカン・ヴォルが近頃目撃されたと知り、彼を追うべく全軍を動員してティムールの地へと入った。だがティムールの抵抗が想定よりも大きいとわかると、マルドゥは個人的な復讐を追い求めるズルゴに従うことを拒否した。ズルゴの命令には異議が唱えられ、彼はその挑戦者を殺した。だが何も残らなかった――彼は既に氏族の忠誠を失っていた。怒りに狂い、ズルゴはただ独り山へと分け入った。サルカン・ヴォルを探し出して復讐を遂行するために。
《兜砕きのズルゴ》 アート:Aleksi Briclot |
絆と血
Ari Levitch
アナフェンザは常にアブザン家の長だったのではない。この物語では、彼女はカンとして琥珀の玉座へと昇り、長い時をかけて計画した復讐を遂行する、彼女を裏切った一人の血族へと。
筋書き:「きずな」への旅
Jennifer Clarke-Wilkes
私達はサルカンの物語へと戻る。彼はウギンの幽霊に駆り立てられて進みながら、目的地へと近づいていた。一方でジェスカイのカン、ナーセットは悟りを求めて山中へと旅をしていた。サルカンとナーセットの道は交わり、二人は互いからウギンについてを学んだ。ナーセットはサルカンを「きずな」へ、精霊龍の墓所へと導いた。だがズルゴが二人を待ち伏せしていた。ナーセットが立ちはだかってズルゴを押し留め、サルカンはきずなへと辿り着いた。ズルゴはナーセットを打ち負かし、彼女を殺害した。ナーセットの犠牲を無駄にしない最良の道は旅の、次の一歩を踏み出すことだとサルカンは悟った。ズルゴへの復讐を誓い、彼は「門」へと足を踏み入れた。
《精霊龍の墓》 アート:Sam Burley |
『運命再編』の物語
筋書き:古の、新たなタルキール
Kimberly J. Kreines
「きずな」を通り抜けたサルカンは、どこか馴染みある世界にいた――タルキール、だが正確には彼の知るタルキールではなかった。そして悪いことに、彼の頭の中の声はついに黙った――彼がウギンの導きを実際に必要とした、まさにその時に。だがすぐに、彼は異なる類の手がかりを見つける。龍を生み出す嵐、「龍の大嵐」を。彼は真実を知った。彼はタルキールの過去へと旅をしてきた――正確な年月こそサルカンは知らないが、1280年前――何らかの悲劇がその大嵐を止める前に。サルカンは龍アタルカが彼女の新たな血統の子らに支配を主張するのを目撃した。そして一人の女性を目にした――それは古のティムールのカン、龍爪のヤソヴァだと彼はまもなく知ることになる――彼女は龍たちへと攻撃し、アタルカの子らを退散させた。彼女は龍と戦う人間の強さを見せつけた。そしてサルカンは実感した、これは新たな始まりだと――タルキールにとっての好機、この世界が彼が望んできたものに変わるための、そしてナーセットの、ウギンの運命を再編するための。
《開拓地の包囲》 アート:James Ryman |
プレインズウォーカーのための『運命再編』案内
「プレインズウォーカーのための『運命再編』案内」には過去のタルキール世界、五氏族についての説明と彼らがいかにして生き延びているか、そして五つの龍の血統とその子らについての記述と、精霊龍ウギンのプレインズウォーカーとしての人物像が含まれている。
筋書き:書かれざるもの
Kelly Digges
サルカンは目撃した女性を追跡して山を登り......そして彼女の剣歯虎に不意打ちされた。彼は彼女が何者かを知り、そして彼女はサル-カンを、「偉大なるカン」を意味する名を名乗る彼を責めた。彼女は手に持った槍で岩に印を刻みながら進んでいることにサルカンは気付いたが、彼女は説明を拒否した。彼は自身の物語を正直に語り、未来から――ティムールの民が「書かれざる今」として知るものから――来たのだと彼女は受け入れた。続いて、彼女は自身の幻視を追いかけていると明かした。それはサルカンが憎む敵、他ならぬニコル・ボーラスが彼女へと与えたものだった。その奇妙な印はいかにしてかボーラスへと繋がっており、彼をウギンへと導くものだった。ウギンの敗北を止めるには遅すぎたかもしれないと思いながら、サルカンは龍へと変身し飛び立った。
《龍爪のヤソヴァ》 アート:Winona Nelson |
筋書き:再編の連環
Doug Beyer
サルカンは間に合った。彼は龍の姿のまま、生きているウギンとニコル・ボーラスの壮大な戦いを目撃した。二体の古龍にしてプレインズウォーカーは世界を震わせる魔術を互いへと放った。サルカンがウギンの骨を発見した裂け目は、この戦いの間に形成されたものだった。ウギンは無数の龍を召喚して戦いに加わらせ、だがヤソヴァが――ボーラスからの後押しもあって――巨大な精神支配の術を用いて龍たちをウギンへと反乱させた。サルカンはウギンを攻撃するよう強制する力に抵抗するため、空中で人間の姿へと戻った。ボーラスはウギンを打ち負かし、サルカンは雪の中へと落下した。ヤソヴァがサルカンを癒した。彼が質問に答えることを願ってのことだったが、彼は彼女に対し龍火を放ち、倒れたウギンの身体へと駆けた。サルカンが持ち続けていた面晶体の欠片へと魔術を吹き込むと欠片は複製され、ウギンを包むように防護的な石の繭を織り上げた。過去でやるべき事を終え、サルカンは書き変えられた現在へと運び去られた、当惑するヤソヴァと癒されつつあるウギンを残して。元の時間軸においては、龍の大嵐はウギンの死後に止み、カン達は絶滅するまで龍を狩り尽くした。ウギンは傷を負ったが生きており、大嵐は強まった――それはタルキールの歴史の進みを劇的に変化させることになる、一種の免疫反応である。
《命運の核心》 アート:Michael Kormarck |
名の真実
James Wyatt
古のマルドゥの若きカン、アリーシャは軍勢とともに龍と戦う。彼女はその戦名から――彼女の祖母の名から――力を引き出し、そして一人の若き無礼なオークへと教訓を与える。自己とは何か、英雄的行為とは何か、そして真実を。
《死に微笑むもの、アリーシャ》 アート:Anastasia Ovchinnikova |
筋書き:黄金牙の破滅
James Wyatt
タシグルは――虚栄心に満ちて残酷、傲慢で子供じみた、古のスゥルタイのカンは――暗殺の試みを一つ切り抜けた。だが復讐への渇望に行き過ぎた。彼はスゥルタイを影から操る虎頭の悪魔、強大なラクシャーサの怒りを買い、そしてラクシャーサと蛇人ナーガの両方から見捨てられてしまう。数ヶ月が過ぎ、スゥルタイは残忍な龍の攻撃を受け、彼らにもはやそれを止めるすべはなかった。進退極まり、タシグルは龍シルムガルを尋ねて恐ろしい取引を申し出た。彼は龍への忠誠と引き換えに、その助力を求めた。
《黄金牙、タシグル》 アート:Chris Rahn |
筋書き:終わりなくして始まりなし
Nik Davidson
強まる龍の大嵐と、ドロモカ種のかつてないほど強い結束と力を前にして、アブザンのカン、ダガタールに選択肢は残されていなかった。彼はアブザンの死者達、祖先の霊が無数に吹きこまれた鎚「追憶」に意見を求めた。「追憶」は彼へと力説した、あらゆる犠牲を払っても耐えろと――最後まで戦うために。ダガタールはドロモカと交渉し、対立の終結を求めた。ドロモカは通訳を介し、それは不可能だろうと伝えた。彼の氏族が祖先信仰を捨てない限りは。彼女はそれを屍術とみなしていた。前に進む道は一つしかないと知り、ダガタールは「追憶」を破壊すると屍術の習慣を捨てるように命令し、彼と氏族のドロモカへの奉仕を誓約した。
《不屈のダガタール》 アート:Zack Stella |
筋書き:カンの落日
Kelly Digges
ダガタールの衝撃的な転向、そして勢いを増す大嵐による苦難の中、ジェスカイのカン、シュー・ユンはディルガー要塞にて五人のカン全員の会合を召集した。彼自身、アリーシャ、ヤソヴァ、タシグル、レイハン(自由なアブザン残党のカン)。シュー・ユンの書記官クーアンがその議事録を記した。ヤソヴァは大嵐の増大における彼女の関わりを明かし、そして一同へとサルカンについて、そしてウギンとボーラスの戦いについて語った。その頂上会談は、シルムガルとオジュタイが率いる群れが要塞を攻撃したことによって中断された。タシグルは逃亡し、他のカン達は彼が龍へと自分達を売ったのだと理解した。シュー・ユンはクーアンが記した議事録を持って塔を飛び降り、その途中で一体の龍を殺し、要塞内の秘密の場所へとその巻物を隠した。そして彼はオジュタイと対峙し、自身の命を差し出す変わりに氏族の存続を願った。オジュタイはその言葉を了承した。レイハンはヤソヴァとアリーシャを逃がす戦いの中で死亡し、タシグルはシルムガルの鉤爪に掴まれて沼地へと戻った。私達は五つの氏族の命運を簡潔に締め括る。氏族は滅びた、だがその人々は残った。
《僧院の包囲》 アート:Mark Winters |
『タルキール龍紀伝』の物語
筋書き:龍たちのタルキール
Kimberly J. Kreines
サルカンは書き変えられた現在にいると気が付き、数世紀が経過したことを把握した。彼は時を経て摩耗した面晶体の繭を発見したが、ウギンを蘇らせることはできなかった。だが彼は長いこと失望はしなかった。彼はかつて夢見たことを行えたのだ。タルキールの空を、龍の群れとともに舞う。サルカンは龍王コラガンに遭遇し、彼のいたタルキールでは彼女の頭蓋骨がマルドゥのカンの玉座になっていたと理解した。彼は知己の、足首裂きという名のゴブリンに会ったが、彼女は薬瓶砕きと名乗り、彼のことを知らなかった。サルカンが憎む敵、ズルゴも――今やコラガンの私的な伝令を務めるほどに落ちぶれていた――彼を知らなかった。彼はかつてジェスカイの領土として知っていた土地へと向かい、ナーセットを探し求める。だが今やオジュタイの僧となったテイガムはサルカンへと、彼女は異端者でありもういないと告げた。当惑し、そして孤独に、サルカンはあの峡谷へ戻ることを決めた。理解の助けになってくれるかもしれない唯一の存在、他でもないウギンを求めて。
大師の学徒
Kimberly J. Kreines
別の歴史において、ナーセットはジェスカイのカンとして生き、兜砕きのズルゴの手にかかって死を遂げた。だがその歴史は去った。この歴史では龍たちがタルキールの空に満ち、カンは存在せず、ジェスカイという氏族も存在せず、ズルゴは鐘を突いている。だが一つ、変わらぬままに残されているものがある。ナーセットの内には神秘の力が燃えている――彼女を休みなく突き動かす潜在能力は、解放されたがっている。
《卓絶のナーセット》 アート:Magali Villeneuve |
プレインズウォーカーのための『タルキール龍紀伝』案内 その1
「プレインズウォーカーのための『タルキール龍紀伝』案内」の初回にはタルキールの書き変えられた現在の紹介と、オジュタイとシルムガルの龍氏族の項目が含まれる。
プレインズウォーカーのための『タルキール龍紀伝』案内 その2
「プレインズウォーカーのための『タルキール龍紀伝』案内」第二回にはコラガン、アタルカ、ドロモカの龍氏族の項目が含まれる。
筋書き:ソリンの修復
Doug Beyer
元の時間軸では、ソリン・マルコフのタルキールにおける探求は不名誉な終わりを遂げていた。ウギンは死亡しており、そして彼とともに、エルドラージを止めるいかなる希望も失われたとソリンは考えた。だがソリンにその訪問の記憶はない――それは文字通り、起こらなかった――彼は初めて足を踏み入れた、全く異なるそのタルキールへと。ソリンはウギンの峡谷への道を見つけ出し、彼の案内人はそこを精霊龍の安息地と呼んだ。そこにある面晶体を見て、それは彼以前にナヒリが訪れた証拠ではないかと心配しながらも、ソリンは繭を破壊してウギンを目覚めさせた。ウギンは一千年以上の眠りについており、ソリンはいっとき、その古龍より物知りであることを楽しんだ。だが不幸にも、その知らせは良いものではなかった。エルドラージ達は再び自由となった。ウギンがナヒリの所在を尋ねると、ソリンは言及を避けた。ウギンは苛立ちを増して言った、「はっきりさせよ。我ら三人が不可欠だ。おぬしと彼女との間にどのような些細な諍いがあろうとも、おぬしが我にどのような問題を隠していようとも、解決せよ。彼女とともにおらぬ限り、おぬしの顔を見たいとは思わぬ」 ソリンはエルドラージを止めるべく、ナヒリを探し出し、ウギンとゼンディカーで再会することを渋々了承した。
《精霊龍のるつぼ》 アート:Jung Park |
守護者
Ari Levitch
元の『タルキール覇王譚』の時間軸において、アナフェンザはアブザン氏族のカンであった。長く続く忠義で知られた氏族の、固い信念を持つ統治者であった。『タルキール龍紀伝』の書き変えられた時間軸においては、彼女の運命はそれよりも優しいものとは言えず、だがその崇高さは劣ることはない。
毒入りの心臓
Sam Stoddard
『タルキール龍紀伝』の書き変えられた世界において、ナーガのシディシは最早カンではない......そしてもはや生きてもいない。龍王を利用する行いで処刑されながらも、彼女は今やゾンビとなって仕えている。だが新たな策略が、彼女の忠誠へと疑問を呼び寄せる。
狩猟の呼び声
Nik Davidson
異なる運命のもう一つのタルキールにて、スーラクと呼ばれる男はその氏族のカンであった。獰猛に、敏速に、そして自然と共にありながら、彼はティムールの模範として氏族を統べていた。だが歴史は変わった――歴史そのものが変わった――そしてスーラクは決してそのような人生を送っていなかった。今、彼はアタルカ氏族の狩猟の統率者として、彼らの龍王の腹を満たすために狩りを行う。もしもスーラクがこの別の運命を、カンとしての元々の運命を知ったとしたら、彼はそちらの人生の方を好んだかもしれない。だが、好まないかもしれない。
筋書き:揺るぎなき、そして気高き者
Kelly Digges
サルカン・ヴォルはウギンが眠る峡谷へと戻ると、そこは精霊龍に守られていた。そして面晶体の繭は破壊されていた。サルカンは生きている、目覚めているウギンに会い、だがウギンは答えるよりも多くの疑問を彼へと投げかけた。サルカンはエルドラージの解放におけるニコル・ボーラスの関わりを明かし、それはウギンを不安にさせたように思えた。ウギンの助言を受け、サルカンは自身についての真実を実感した。彼はこの時間軸に存在する――彼がエルドラージを解き放ったのだ――だがこのタルキールの歴史において、彼は決して生まれてこなかった。ウギンの洞察に感謝し、サルカンはナーセットを探しに出発した。もしもこの時間軸において彼女が本当に追放されたのであれば、真実の探求は彼女を再び精霊龍の領域へと導くだろうと結論づけて。サルカンは彼女を発見し、そして二人は互いを認識した。彼女はサルカンを古の禁じられた記録に残された「サル-カン」として知っていた。サルカンも彼女を友人ナーセットとして、だが違う彼女として――異なる人生を送ってきたナーセットとして。彼はすぐに彼女がプレインズウォーカーだと気付き、再びタルキールを離れるつもりはあるのかと尋ねた。このタルキールにはまだ多くの神秘があると彼女は答え、そしてプレインズウォーカー二人の心は同じだった。彼らは今、真に望んだ世界にいるのだと。
《揺るぎないサルカン》 アート:Aleksi Briclot |
結論
時間旅行というのは常に混乱を招くものだ。そしてサルカンの旅の状況が独特であることから、今回のその法則は、マジックにおける以前の時間旅行の実例とは少々異なっている。例えば、プレインズウォーカー・ウルザが創造した「時の門」は、銀で作られたものだけが通過できる――この法則はここでは適用されない。何故なら今回の「時の門」は人工的なものではなく、ウギンの死によって自然に作られたものであるために。
それでは、私達がこのブロックの間に受け取ってきた質問を言い換えよう。一体全体何が起こったのか、そしてそれはマジックの物語全体において何を意味するのか?
『タルキール覇王譚』は存在しなかった。
これがサルカンの行動の、最も明白かつ永続的な影響だ。カードはそれでも存在するが、『タルキール覇王譚』という背景世界はそこで展開された全ての物語とともに歴史から消去された(「石術師」は『タルキール覇王譚』の物語中に掲載され、上述の『タルキール覇王譚』の項目内に挙げてあるが、それは回想の物語、サルカンが歴史を変える遥か以前の出来事であるために影響されない)。兜砕きのズルゴも、タルキールの龍の玉座も、龍爪のスーラクも存在しない。ソリンのタルキール訪問も起こることはなかった――ウギンの骨を発見したことを彼は覚えていない。そしてウギンは決して死んではいない。
『運命再編』は起こったが、タルキールのほとんどの人々はそれを知るよしもない。
元の五氏族は――『タルキール覇王譚』のものと同じ氏族は――過去のタルキールにて存在し、『運命再編』で目にすることができる。だが龍王たちはその知識のほぼすべてを禁じた、もしくは踏み消した。ナーセット、サルカン、ウギン、そしてタルキールの人々でも僅かな者だけが、元の氏族名を知っている。
『タルキール龍紀伝』が真の、最終的な時間軸である。
サルカン・ヴォル以外に、『タルキール覇王譚』の時間軸を直接経験した者は多元宇宙に存在しない。タルキール世界と多元宇宙に関係する限り、存在するのは一つの時間軸だけであり、これがその一つである。
サルカン・ヴォルは生まれてこなかった。
多くの同じ人々が異なる時間軸にも生まれてきているとはいえ――それは運命によってか、それとも歴史の修正力の一種によってか――サルカン・ヴォルはそうではなかった。もしかしたらこれは、彼がその変化に関わっており、従って、ある意味、既に彼は存在していたためなのかもしれない。彼はある日、初めて次元を渡ったどこかの世界に現れる。真に起こることはなかったこれまでの人生を記憶しながら。別の見方もある。彼は異なる時間軸から訪れたのかもしれない。もしくは、決して存在しなかった世界を記憶しながら、何処からともなく現れたのかもしれない。
エルドラージは今も解き放たれたままである。
突然の出現から、サルカンは『アラーラの断片』ブロックの出来事において脇役をこなし、ゼンディカーブロックでは重要な役割をこなした。その間、自身の生まれ故郷が歴史から消去されることになる変化には言及しなかった。彼がタルキールから離れていた間の行動と、そこから生じたすべては、そのまま成されている。
ウギンは死ぬことはなく、エルドラージの脅威を知っている。
ソリン・マルコフがウギンを目覚めさせた。そしてゼンディカーにて再会し、エルドラージと対処することに同意した。
次週は『モダンマスターズ 2015年版』を記念して、別の世界へとカメラを向けよう。
DragonsofTarkir タルキール龍紀伝
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