MAGIC STORY

ドラゴンの迷路

EPISODE 12

ラヴニカハイスクール

読み物

Uncharted Realms

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ラヴニカハイスクール

Jennifer Clarke Wilkes / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori

2013年8月14日


 私達はラヴニカへの回帰ブロックの間、記事執筆者達で机を囲み、ハイスクールについて、そして各ギルドをハイスクールの派閥に当てはめたらどうなるかを語り合ってきた。それは面白い探求で、一体ラクドスやゴルガリはハイスクールでどうなるのだろうかと皆で笑い合った。メジャーな所を全て当てはめ、私達は家に帰った。その後すぐ、ジェニファーがこの物語を書いてくれた。

 ラヴニカはバックミラーに遠ざかりつつあるかもしれないが、いつも私達の記憶と心のそばにいてくれる。愛してやまない都市次元、そのもう一つの陽気な一面を見てみよう。楽しんでくれ!

 アダムより


ギルドのタブレット》 アート:Nic Klein

 ラヴニカ高校へようこそ! 私はスクリージス、このオリエンテーションでみんなを案内させてもらうわ。校内ツアーの間、わからない事があったら何でも聞いてちょうだい。

 ここでの日常生活に慣れてもらうために、今日やることと巡る所はリストにびっしりあるの。もう何分かしたら、教頭のベレレン先生が幅を利かせる集会が始まるわ。オリエンテーションってだいたいそんなものだけど、クラスの組織とキャンパスの規則の説明が中心ね。

 ミゼット校長は多分出てこないでしょうね。あの方は最近姿を見せないの――噂によると何か凄い調査プロジェクトを進めてるみたいよ。だけど校長もベレレン先生もどっちも厳しいわ、それは確かよ。


アート:Jaime Jones

 さて、レクチャーが終わってお堅い話を一通り聞いた所で、ホントのことを話させてね(私はここに何年かいるから、ちょっとは知ってるのよ)。大人はみんな否定するけど、学校生活には派閥ってものが本当にあるの。そして、ラヴニカ高校以上に派閥がはっきりしてる所はどこにもないわね。あなたはどこかのグループに合うかもしれないし、どこかのグループを避けたいかもしれないし、どこにも加わらないかもしれない。まあ少なくとも、制服規定はここにはないわよ。

 それじゃあ、事務室からツアーを始めましょうか。書類を書くのにわからない事があって聞きにきたり、提出するのもここね。事務官のイスペリアさんが仕切ってくれてて、何がどこにあるか全部知ってるわ。イスペリアさんは教頭先生の耳とも言える存在だから、敵に回さない方がいいわよ。


至高の審判者、イスペリア》 アート:Scott M. Fischer

 え、ベレレン先生について? そうね、いつも開かれた政策を心がけてる。でもちょっと、誰とも友達でいようって頑張りすぎてるかな、私の言ってることわかる? あの人はしょっちゅう議会を招集して色々な問題について話し合ってるけど、忙しすぎて全部に目をくばれないってみんな知ってるわ。でもね、私は教頭先生の注意を惹きたくはないな。謹慎させるのが好きなの、特にあなたがグルールの暴れ者とかオルゾフのいじめっ子とやりあったらね。あと、ベレレン先生のお小言っぽいレクチャーを我慢しなきゃいけないし、威張り散らしたアゾリウスの風紀委員達もいるし。

 それはそうとして、あいつらアゾ公達には気をつけた方がいいわよ。あいつら、つまらない事で生徒を売り渡すのが大好きだから。でも見分けはつきやすいわよ。いっつも会館の監督ボランティアをやってるし、全員完璧にお揃いの気取ったデザインシャツを着てるから(今は見たら駄目よ、ちびのラヴィニアがこっちを見てる。普通に行動して)。

 あいつらについて目いっぱい好意的に言える事といえば、すごく熱狂的だってことね。一番前の席に座っていつも手を挙げてる子、いるでしょ? そういう感じ。まあ、もしあなた自身がそういうタイプでも、たぶんそんなに悩むことはないと思うわ。ただ、人気者にはなれないかなってだけだから。

 さ、先へ進みましょ。ここがカフェテリア。金曜はピッツァの日だから、食べたいって思ったなら早く来ないと駄目よ。列は長くなるし、グルールがいっつも割り込んでは人の二倍は取ってくから。それと、これは警告。ゴルガリが差し出すものを食べちゃ駄目。真面目によ。

 会館から降りてくるとロッカーがあるわ。一人一つロッカーが割り当てられるけど、鍵は自分で用意してね。それとゴルガリの奴の隣になっちゃったら、防カビ剤を用意しておく事をお勧めするわ。安全のためにね。


ゴルガリの魔除け》 アート:Zoltan Boros

 便利なことにロッカーは体育館のそばなのよね。私自身はスポーツやらないけど、教頭先生は体育を重視してるの。健全なる精神は健全なる身体に宿る、って奴ね(でも率直に言って、あの人は体力トレーニングか何かをした方がいいわよ)。でも大抵オルゾフのいじめっ子が何人か、体育の時間にもっと弱い子をこき使うわ――更にあいつらはあなたの昼食代をカツ上げしてくる。だから体育は大変かもしれない。最善を尽くして。

 もちろんあなた自身がスポーツをしないなら話は別よ。ごめんね、侮辱するつもりはないの。事実、ボロスの体育会系連中は色々な意味でお堅いわ。あいつらは腕力以上のことはあんまり理解してないけど、チームになると頼もしいし何よりルールをわかってる。もしいじめっ子に悩まされて守ってくれる人が欲しいなら、ボロスを呼ぶのが一番いい手段ね。他に何も理由がないのなら、グラウンドではボロスに従っておくことね。


破壊的一撃》 アート:Steve Prescott

 こっち、講堂の後ろの方が舞台裏ね。演劇部はここに集まってるし、ピアノもある......もちろん調律されてないけど。ラクドスの演劇オタクがいつでも何人か、そのあたりに夜遅くまでぶら下がってるのを見ることができるわ。あいつらはあいつらなりのやり方で十分楽しませてくれるんだけど、音楽のチョイスは率直に言って最悪ね。あいつらはいつもクレイジーなパフォーマンスをやって、結局保健室に運ばれるってのがお決まりのコースよ。

 事件好きなのは誰だかわかる? あの不気味なディミーアの連中よ。あいつら本っ当に奇妙なの。いっつも黒のトレンチコートを着て厚化粧をしてて、そんな感じ。噂では夜にグラウンドでライブアクションRPGをやってるって聞いたわ。正真正銘、奇人変人どもの集団よ。

 さ、来て。階段を上るわ。上はだいたい教室だけど、見ておく場所がいくつかあるから。

 ここが学生ラウンジ。体育館が使えない時にここで時々ダンスパーティが開かれたりするわ。大抵ここでセレズニアの子達がじーっとしてるのを見つけることができるわね。人なつっこい子達よ......人なつっこすぎるくらいに。くたびれたジーンズを穿いてギターを弾いてて、で一緒に過ごさないかって通りがかりの人を誘うの。クラスで見た事はないわね。もしセレズニアに加わりたいのだったら、あなたにとって成績は別に重要じゃないってことを願うわ。

 ああそう、視聴覚部もここに集まってるんだった。音響関係の装置が必要になったら、イゼットの子に聞けばいいわ。ハイテク機器だったらあいつらの腕は本物よ。金属工作室にもあいつらはいるわね。それと年に何回かロボットバトルをやってるの。あれは必見よ。


馬力充電》 アート:Matt Stewart

 そんな所で、今度は階段を降りるわよ。化学と生物の実験室があるわ。ここにもイゼットの子がいるけど、私が本っ当に理解に苦しむのはシミックの科学オタクね。自由時間をずっと実験室で過ごしてて、化学実験をしたり顕微鏡を覗いてるの。で、生き物をバラすのに夢中になってる。気持ち悪いって思わない? 更に変なのは、それを縫い合わせて繋げてるの。カエルと豚とか、コオロギと蜘蛛とか――次は一体何が来るっていうの? あいつらはいつもホルムアルデヒドの匂いをさせてるわ。どこへ行くにも白衣を着てる奴等がいる時は、何かがおかしいってことに気が付いて。

 さ、外に出るわよ。フットボール場と陸上のトラックがあるわ。フィールドホッケーとサッカーがここで行われてる。ソフトボールの投球練習場はここ。この外側で沢山の子がお昼ご飯を食べてるけど、テーブルを確保できたら幸運よ。日陰を見つける方がいいわね。上級生は学校の外に食べにいくことを許可されてて、大抵は安いファストフードで済ませてるわ。下級生は校内にいないといけないけど、はじっこの方には茂みなんかが十分な数あるから。

 でも、グルールの輩には気をつけて。あいつらはいつも茂みをぶらついて喧嘩を売ってるの。典型的なのを知っておくといいわ、フランネルのシャツに大きくて重いブーツ、そんな感じよ。あいつら、二十歳を過ぎてもまだここにいるんじゃないかって私は思うわね。

 さあ、これでツアーも終わりよ。え? 私はどの派閥にいるのかって? それはね、「どこにも入ってない」が答え。入らないことを選んだっていうんじゃなくて――どこにも合わなかった、っていうだけ。私みたいなのはここではそんなに多くはないけど、そんな自分達を「門なし」って呼ぶ人達もいるわ。派閥に入らない人達の派閥って言うのは変かな。でも多分、それがこの学校で生き延びる一番いい方法なのかもしれないわよ。

 幸運を祈るわ、さ、行きなさい。フローゲモスと戦う時間よ!

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ラヴニカ高校 フローゲモスとの戦い
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